暗号資産(仮想通貨)に大きな影響を及ぼすイベントとは?
さまざまなイベントが暗号資産(仮想通貨)の価格変動に大きな影響を及ぼすことがあります。そういったことを認識しておけば、イベントが発生する前に先回りして投資するという発想も生まれてくるでしょう。
では、いったいどのようなイベントが暗号資産の価格を動かすのでしょうか? 主に考えられるものを挙げてみましょう。
やはり、半減期は特に注目度の高いイベント
ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)の価格にインパクトを与えるイベントは大小織り交ぜてたくさん存在していますが、最大の関心事となりやすいのは半減期でしょう。半減期とは、マイニングに対する報酬が半分になってしまうタイミングのことです。
暗号資産のトランザクション(取引)は、そのすべてがブロックチェーンに記載されており、演算処理によってブロックチェーンに記録する行為をマイニング、それを行う人をマイナーと呼んでいます。そして、誰よりも早く演算処理を完了させ取引内容を記載できたマイナーには、マイニングによって新たに発行された暗号資産と、送付の際に支払われた手数料が報酬として支払われる仕組みになっています。
円やドルのように中央銀行が発行量をコントロールしている法定通貨とは異なり、ビットコインをはじめ多くの暗号資産には中枢で管理する組織が存在しません(リップルのように管理組織が存在する暗号資産もあります)。しかも、ビットコインの場合は発行上限があらかじめ2,100万BTCと決められているため、発行上限に達した後はマイナーが手にする報酬は送付手数料のみとなります。
そうなると、発行上限に達する前にできるだけ多くのビットコインを手に入れたいと考えるマイナーが殺到し、どんどんマイニングが進んでしまう可能性が高まります。こうして発行量がむやみに増えていけば、急激なインフレーション(供給過剰による暗号資産価値の下落)が発生しかねません。
そこで、その急激なインフレーションの発生を未然に防ぐために講じられているのが半減期です。報酬が半額になれば市場に新たに供給される暗号資産の量も半減するため、過度に発行が進まないようにコントロールしているわけです。
当初、ビットコインの報酬は1回当たり50BTCでした。これが2012年の半減期で25BTCになり、2016年には12.5BTCになりました。約10分に1個のペースで生成されるブロックが21万個に達した時点で半減期が訪れるように定められているので、「10分×21万ブロック=約4年」ごとというサイクルになっています。
ビットコインの半減期と価格動向
では、半減期というイベントは暗号資産の価格にどのような影響を及ぼすのでしょうか? 2012年11月に実施された初めての半減期では、まだビットコインの利用者やマイナーの数も限られていたこともあって、価格にさほど特徴的な変化はうかがえませんでした。
しかし、2016年7月実施の2回目の半減期では、それに先駆けて5月頃からビットコインの価格が上昇傾向を示し始め、半減期直前に利益確定の売りが出て6月末にいったん反落しましたが、再び上昇基調を強める動きがありました。
その後の流れでは、半減期以降は価格が中期的に上昇トレンドを示しました。それにより世間では「マイニング報酬半減→新たな供給量抑制」という需給関係の改善が価格上昇に結びつくといった分析がなされました。
そして、ビットコインは12.5BTCの報酬が6.25BTCとなる3回目の半減期を協定世界時2020年5月11日(日本時間12日)に迎えました。この半減期のタイミングが迫ると、2回目のケースと同じように価格が上昇するであろうという期待が高まりました。
しかし今回は半減期の前に、新型コロナウイルス感染拡大の影響により世界経済が大きく揺れ動き、株式をはじめ多くの金融市場が大暴落しました。その影響を受けてビットコインの価格も3月に大幅下落、一時期1BTCは50万円台まで落ち込みました。
ビットコインはその後、徐々に価格上昇に転じ、4月末には80万円台から90万円台まで回復、半減期を待たずして5月初旬に100万円台の大台を記録しました。
半減期を迎えたビットコインは利益確定のためか売りが先行し、すぐに90万円台にまで下がりましたが、しばらく90万円台を維持し、5月末には再度上昇し軒並み100万円台を記録しています。
参考コラム:
ビットコインを生み出すマイニング(採掘)とは?仕組みを紹介
ASIC、マイニングとは?詳細を解説
ハードフォークや技術的なブレイクスルーも大イベント!
一方、技術面に関するイベントも価格を大きく左右しがちです。その典型例として挙げられるのがハードフォークでしょう。
ハードフォークとは、暗号資産(仮想通貨)の技術的な課題を克服するために実施される大掛かりな仕様変更です。ハードフォークを実施すると過去につながれてきたブロックチェーンとの間に互換性がなくなるため、新たなチェーンが枝分かれしたままの状態が続き、一本化されることはありません。
つまり、ブロックチェーンが完全に分裂して新たな暗号資産が誕生するわけです。たとえば、ビットコインはここまで普及することは想定されていなかったせいか、当初に設定された1MBというブロックの容量がネックとなって、送付スピードの低下や手数料の高騰など問題が発生していました。
そこで、2017年8月にハードフォークが行われ、ブロックチェーンが分裂してビットコインキャッシュ(BCH)が誕生しました。その後も2回のハードフォークが実施されて、10月にビットコインゴールド(BTG)、11月にビットコインダイヤモンド(BCD)が新たに登場しています。
果たして、これらのハードフォークの前後でビットコインの価格はどう動いたのでしょうか? まず2017年8月1日のハードフォーク当日は大きく下落したものの、すぐに反発し、数日後には実施以前の水準を大幅に超えました。
そして、2017年10月24日の2回目のハードフォークではさらに大きな下落に見舞われましたが、わずか2日間で実施以前の水準まで回復。しかも、その後は上昇が加速していますし、2017年11月25日の3回目のハードフォーク以降はさらに続伸し、翌12月には史上最高価格を大幅に更新することになります。
ハードフォーク以外にも、ブロックチェーンの永続的な分岐を伴わない仕様変更であるソフトフォークや、その他のアップデートなど、各暗号資産において技術的な改善は随時続けられています。利便性やセキュリティが大きく向上する内容のものは投資家から大いに歓迎されることになり、価格に対してもプラスに作用する可能性が考えられそうです。
参考コラム:
暗号資産(仮想通貨)のハードフォークとは?基礎知識や過去の事例を紹介
ビットコインキャッシュとは?特徴・詳細を徹底解説
ビットコイン先物の期日、ETFの承認は!?
2017年12月下旬、米国ではビットコイン先物取引が認可され、CME(シカゴ・マーカンタイル先物取引所)とCBOE(シカゴ・オプション取引所)に上場して取引が開始されました。ビットコイン先物取引とは、将来の特定の時点(決済期日=限月)において、あらかじめ決められた価格で、ビットコインを売買することを約束するというものです。
ビットコインが限月までに上昇すると思うなら先物取引で買いのポジションを建て、逆に下落すると予想するなら売りのポジションを建て、思惑通りの展開となれば利益が得られます。暗号資産(仮想通貨)のレバレッジ取引のように、売買代金の一部に相当する証拠金を預けるだけで取引できるのも大きな特徴です。
どちらもビットコインが対象となっていても、現物取引と先物取引では価格の推移が大なり小なり異なってきます。しかし、限月が近づくにつれて、先物価格は現物価格に収れんしていきます。
こうした特性に着目した大口のトレーダーは、あらかじめ先物取引で売りのポジションを建てたうえで、その限月が迫ると保有していた現物のBTCを大量に売って価格を意図的に下落させ、大きな利益を上げていると言われています。FRB(連邦準備制度理事会)の統轄下にあるサンフランシスコ連邦準備銀行は2018年5月に、「ビットコインの史上最高価格からの下落は先物取引が始まったことに起因している」との見解を示しています。
このようにビットコイン先物取引は、今のところ価格を下落させる方向に影響力を強めていると受け止められているようです。反対に、価格上昇に結びつく好材料だと思われがちなのはビットコインETF(上場投資信託)の市場への上場でしょう。
ビットコインETFとは、その価格がビットコインに連動するように設計された金融商品で、市場において株式と同じような感覚で時価での売買が可能です。このため、上場が認められると今まで以上にビットコインへの投資が活発化することが期待されています。
2018年8月22日、SEC(米国証券取引委員会)は申請中だった9本のビットコインETF上場を否決しましたが、その翌日には再審査を決定。詐欺や価格操作を防ぐ対策がさらに進められることで、上場が認められるであろうとの期待が高まりました。
しかしながら、その後、SECは再審査による承認判断を最大限に延期した挙句、2019年には多くの申請を非承認としました。
2019年1月にビットコインETFの上場を申請したCBOE(シカゴ・オプション取引所)の子会社Cboe BZX Exchangeもまた再審査とされ、承認判断を延期されました。Cboe BZX Exchangeは、2019年9月17日に自ら申請を取り下げ、SECの承認を得ずに販売できる機関投資家向けビットコイン金融商品開発に取りかかることを発表しました。
また、この間もいくつものビットコインETF上場の申請は続きましたが、再審査、非承認等を繰り返し、2020年11月現在、SECに承認されたものはありません。SECの上場否決の判断理由は、市場の監視体制が不十分なためであるというものでした。
ビットコインETFが実現するとの観測が強まった場合、価格に顕著に影響する可能性は考えられるものの、2020年11月末現在では難しいといえるでしょう。
一方、Bloombergが2018年9月13日に配信した報道によれば、米国の大手金融機関であるモルガン・スタンレーがビットコインのスワップ取引を機関投資家に提供することを計画しているとのことです。スワップ取引はデリバティブの一種で、同じ種類の通貨において異なる種類の金利(固定金利と変動金利)を取引の当事者間で交換するというものになります。
その後、モルガン・スタンレーは2020年2月にネット証券大手のEトレードを130億ドルで買収しています。Eトレードは2019年4月、ビットコインとイーサリアムの取引プラットフォームを準備していることも報道されていました。
参考コラム:
ビットコインETFとは?その仕組みは?実現されると何が変わる?
2020年以降の暗号資産(仮想通貨)関連のイベントは?
2020年の注目すべきイベントとしては、イーサリアム 1.xのハードフォーク、イーサリアム 2.0「フェーズ0」運用開始、モナコイン(MONA)の半減期、ビットコインキャッシュのハードフォーク、次期ネム「シンボル」(Symbol/XYM)の運用開始などがあります。それぞれについて、詳しく紹介していきましょう。
2020年6月以降にイーサリアム 1.xのハードフォーク
暗号資産(仮想通貨)「イーサリアム」は、次期バージョン「イーサリアム 2.0」の開発が進行する中、現行の「イーサリアム 1.x」系列も開発を継続しています。
イーサリアムは、これまでに何度かアップデートを行っており、今後もいくつかのハードフォークが実施予定となっています。
イーサリアムは、2020年1月2日に「ミュア・グレイシャー」(Muir Glacier)と命名されたハードフォークを実施しました。ミュア・グレイシャーは、イーサリアム1.x系で実装されているマイニング難易度調整メカニズム「ディフィカルティボム」の発動をイーサリアム 2.0運用開始時期まで遅らせる対策です。この対策によって、ディフィカルティボムの起動まで最大611日分の猶予期間が設けられました。しかし、イーサリアム 2.0の開発状況によっては、今後も同内容のアップデートが発生する可能性は高いといえるでしょう。
また、イーサリアム1.x系列は時期大型アップデートとしては、「ベルリン」(Berlin)を予定しています。当初はテストネットでの実施を6月頃、メインネットでは7月を予定していましたが、現在は時期が未定となっています。(2020年11月27日現在)。
アップデートの内容には、各種ガスコスト(手数料)の削減、EVMスタックの改善、ASICという特殊なチップを搭載するマイニング専用機器のマイニング効率低減を意図した次期コンセンサスアルゴリズム「ProgPoW」(Programmatic Proof-of-Work) の実装などが含まれる予定です。いずれの内容も承認されていますが、暫定的ということで実装される機能は変更される可能性もあります。
ちなみにProgPoWの実装は、現在のアルゴリズムETHhash(イーサハッシュ)と置き換えることで、一般的なパソコンでの搭載例が多いGPUでもマイニングしやすくし、特定のマイニング事業者への過度の集中化を避けることを目的としています。
さらに実施時期は未定ながら、ベルリンの次は「ロンドン」(London)といった名称のアップデート(またはハードフォーク)が予定されています。
参考コラム:
アップデート直後のイーサリアム、2020年や今後の動向は?
2020年12月、イーサリアム 2.0のフェーズ0が稼働開始
暗号資産(仮想通貨)「イーサリアム」の次期バージョン「イーサリアム 2.0」(セレニティ)は、現在、計画されているイーサリアムのアップグレード最終段階となる、超大型アップデートになります。
イーサリアム 2.0は、「フェーズ0」から「フェーズ6」の全7段階に分けて行われる予定です。コンセンサスアルゴリズムが「プルーフ・オブ・ワーク」(PoW。Proof of Work)から「プルーフ・オブ・ステーク」(PoS。Proof of Stake)へと変更されること、スケーラビリティの改善にシャーディングを導入、セキュリティ向上が大きな変更点となっています。
イーサリアム 2.0は、現行のメインチェーンに接続する複数のブロックチェーンという形で開発が進められています。
導入第1弾となる「フェーズ0」は、2020年12月1日に実施され、イーサリアム 2.0のコア部分「Beaconチェーン」が開始されました。Beaconチェーンは、コンセンサスアルゴリズムPoSの根幹となり、PoSでブロック生成を担う「バリデーター」の管理を行います。
これまでのPoWでは、最も早く計算を終えたマイナーがブロックを生成する権利を得ましたが、PoSでは保有するイーサリアムを「ステーク」(賭け金)するバリデーターの中から、ブロック生成者を抽選で選びます。PoSはPoWのような計算が発生しないため、ブロック生成のための総消費エネルギーが小さくなります。
PoSでその抽選の仕組みとなる乱数生成やイーサリアムのステークを扱う機能が実装されますが、フェーズ0では、バリデーターの登録機能のみが実装される予定になっています。
また、Beaconチェーンはスケーラビリティを解決するシャーディングにも関わります。シャーディングでは、取引データやアカウントデータの処理を「シャードチェーン」(Shard Chain)という複数のブロックチェーンに分散させることで負荷を軽減させますが、各シャードチェーンはBeaconチェーンに「クロスリンク」(Crosslink)という仕組みでつながり、同期されます。
以降、イーサリアム 2.0は2020年~2022年にかけてフェーズ2程度まで開発進行するというロードマップが公表されているものの、変更される可能性が非常に大きく注意が必要です。イーサリアム 2.0について詳細を知りたい場合には、公式サイトで必ず最新情報を入手するよう心がけましょう。
なお、イーサリアム関連の大手開発企業であるConsenSysが発表した「イーサリアム 2.0 ステーキング・エコシステム・レポート」によると、イーサリアム 2.0において投資を検討するETH保有者にアンケート調査を行った結果、保有者の66%がステーキングに参加したいと回答しているそうです。
2020年9月8日、モナコイン(MONA)の半減期
暗号資産(仮想通貨)「モナコイン」(MONA)は、匿名掲示板サイト「2ちゃんねる」(現・5ちゃんねる)で公開された、日本で初めて誕生した暗号資産です。名前の由来にもなっている「モナー」は、有名なアスキーアート(テキストアート)によるキャラクターをモチーフにしています。
モナコインは、ライトコイン(LTC)を基に開発されており、2014年1月1日にリリースされました。また、コンセンサスアルゴリズムにはPoW(Proof of Work。プルーフ・オブ・ワーク)を採用しています。ブロック生成時間が1分30秒となっており、ビットコイン(平均10分)やライトコイン(平均2分30秒)に比べて短時間で決済・送付を行なえるのも特徴です。
モナコインの発行上限数量は1億512万MONA(MONAはモナコインの単位)で、2020年6月2日現在のブロック高は「201万2,331」ブロックとなっています。
ビットコイン同様、モナコインにも一定期間ごとに採掘報酬(マイナー報酬、ブロックリワード)が半分に減少する半減期が存在します。モナコインの半減期周期は105万1,200ブロックごとで、約3年半に1度訪れます。
発行当初のモナコインの採掘報酬は、50MONAでした。2017年7月16日に初めての半減期を迎え、報酬は25MONAになりました。その次の半減期は2020年9月8日に行われ、この段階で報酬は12.5MONAになりました。
【モナコインの半減期】
回数 | 日付 | 採掘報酬 |
---|---|---|
1回目 | 2017年7月16日 | 25MONA |
2回目 | 2020年9月8日 | 12.5MONA |
3回目 | 2023年(予想) | 6.25MONA |
参考コラム:
日本発祥の暗号資産(仮想通貨)モナコインとは?その特徴を探る
モナコインもマイニング(採掘)で獲得できる?その方法や注意点を紹介
モナコインの今後と将来性は?2023年動向を詳しく解説
ビットコインキャッシュは、2020年11月15日にハードフォーク
暗号資産(仮想通貨)ビットコインキャッシュ(BCH)は、ビットコインからのハードフォーク(分岐)を行い、2017年8月に誕生した暗号資産です。
ビットコインキャッシュは、何度かハードフォークを繰り返すことで、利便性や機能を向上させてきました。しかも毎年5月15日と11月15日の2回、半年周期で定期的にハードフォークを伴うネットワークアップグレードを実施しています。公式サイトは、ハードフォークではなく「定期プロトコルアップグレード」と呼んでいます。直近では、ハードフォークが2020年11月15日に行われました。
2019年11月15日のハードフォークでは、シュノア署名の拡張と、トランザクションのセキュリティ向上などを実装しました。このときは、ハードフォーク以降ビットコインキャッシュの価格は下落しましたが、他の暗号資産も軒並み下落傾向にありました。そのため、ハードフォークの影響によるものという判断は、難しい状況でした。
2020年5月15日のハードフォークでは、スクリプト実行時の署名チェックを既存の「SigOps」による方式から「SigChecks」方式へとコンセンサスルールの変更を行いました。メモリプール内のトランザクションチェーン最大参照数デフォルト値を25から50へとポリシーの変更も実施しています。
価格への影響という点では、このハードフォークよりも、ビットコインキャッシュ初の半減期(2020年4月8日)の方が影響したようです。採掘報酬が半減することからマイナー離れが心配され価格が若干下がり、一時期ハッシュレートも下がるなどしました。ただし、大手マイニングプールによるマイニング参入などがあり、すぐに相場は回復しました。
参考コラム:
ビットコインキャッシュとは?特徴・詳細を徹底解説
20211月予定、次期ネム「シンボル」(Symbol/XYM)運用開始予定
暗号資産(仮想通貨)「ネム」の次期バージョンにあたる開発コードネーム「Catapult」(カタパルト)は、2020年1月に正式ブランド名を「Symbol」(シンボル)に、新暗号資産のティッカー名を「XYM」に決定しました。
次期ネム「Symbol」は、当初の予定では2020年2月~3月に正式運用開始を予定していましたが、その後、2020年第2四半期(4月から6月)に延期となり、テストネットで不具合が見つかったことなどから、さらに延期となり4月に改めてロードマップが発表されました。
Symbolへの移行に際し、現行のネムは「NEM v.1」(バージョン1)として、Symbol(NEM v.2)としばらく平行して運用される予定になっています。移行に関しては、以下の通り主要事項が決定しています。
【Symbol移行主要決定事項】
ネットワーク/チェーン | 2チェーン |
---|---|
トークン名 | 2種類 |
ローンチ方法 | 新チェーンへのオプトイン(承諾制) |
NEM v.1より移行されるもの | XEMバランス、マルチシグアカウント、ルートネームスペース |
NEM v.1より移行されないもの | サブネームスペース、モザイク、モザイクバランス、 Txデータなど、その他すべて |
ネットワーク/チェーン:2チェーン
ローンチ後は、NEM v.1と並行してSymbolを導入し、しばらくは2ネットワーク/チェーンで運用します。NEM v.1とSymbolの技術基盤には互換性がなく、従来ノードを一気にSymbolへと切り替えるのは困難なため、このような措置をとっています。また、強制的に切り替える中央集権的な決定は望ましくないという理由などにより、この方式が採用されました。
2種類のトークン
2ネットワーク/チェーン運用のもとでは、2種類のトークンを持ちます。トランザクション手数料は、それぞれのチェーンのトークンで支払うことになります。つまり、現行のXEMは継続となり、さらに新たなSymbolのトークンとしてXYMが作成されます。
トークンの移行について
NEM v.1からSymbolへと移行するにあたり、保有するXEMの移行方法については「トークンアロケーション」という方法で行われることが有力とされています。トークンアロケーションでは、XEM所有者はローンチ前後に自由にオプトイン(移行の許諾)を行える予定です。XEMトークンを放棄することなく、Symbolのトークンが与えられます。
ただしXEM所有者は、Symbolローンチ前に「NEM Wallet」またはプログラムからトランザクションを送りオプトインを宣言し、その意志を示す必要があります。宣言後、Symbolのネメシスブロック(最初のブロック)は、オプトインしたアカウントにSymbolトークンを配布します(予定)。
2020年9月15日にオプトインの開始、Symbolの開発完了(コア、SDK)とテストネットのテスト完了を9月28日としています。また、XEM残高のスナップショット取得を2021年1月14日とし、ローンチは2021年1月14日としています。
暗号資産ネムからSymbolへの移行は、ネムにとっては一大イベントになるでしょう。
【暗号資産ネムからSymbolへの移行イベント(2020年11月末現在)】
予定イベント | 予定時期 |
---|---|
オプトイン開始 | 2020年9月15日 |
テストネット運用完了 | 9月28日 |
スナップショット取得 | 2021年1月14日 |
ローンチ | 1月14日 |
参考コラム:
暗号資産「ネム」のハーベストとは?「カタパルト」動向にも注目
ビットコイン、ライトコイン、ビットコインキャッシュの半減期は?
ビットコイン(BTC)の次の半減期は2024年予定
暗号資産(仮想通貨)ビットコインは、発行上限数量が2,100万BTCに定められており、21万ブロック(約4年)ごとに採掘報酬を半分にする半減期を迎えます。
ビットコインは、2009年1月に運用を開始しており、当初の採掘報酬は50BTCでした。初の半減期は2012年11月28日で、採掘報酬は50BTCから25BTCに半減しました。2回目の半減期(42万ブロック目)は2016年7月9日、12.5BTCになりました。そして2020年5月11日、3回目の半減期(63万ブロック目)を迎え採掘報酬は6.25BTCになりました。
【ビットコインの半減期】
回数 | 日付 | 採掘報酬 |
---|---|---|
1回目 | 2012年11月28日 | 25BTC |
2回目 | 2016年7月9日 | 12.5BTC |
3回目 | 2020年5月11日 | 6.25BTC |
4回目 | 2024年5月(予想) | 3.125BTC |
4回目の半減期(84万ブロック目)は、2024年5月頃 と予想(2020年5月末現在)されており、採掘報酬は3.125BTCになります。
ライトコイン(LTC)の次の半減期は2023年予定
暗号資産(仮想通貨)ライトコインは、2011年10月13日に運用開始しており、歴史的にはビットコインの次に古い暗号資産です。発行上限数量はビットコインの4倍、8,400万LTCです。ブロック生成時間は約2分30秒で、84万ブロックごと(約4年)に半減期を迎えます。
ライトコイン初の半減期は2015年8月25日で、採掘報酬が50LTCから25LTCに半減しました。2回目の半減期(168万ブロック目)は2019年8月5日で、12.5LTCになりました。3回目の半減期(252万ブロック目)は、2023年8月頃予定 (2020年5月末現在)で、採掘報酬が6.25LTCになります。
【ライトコインの半減期】
回数 | 日付 | 採掘報酬 |
---|---|---|
1回目 | 2015年8月25日 | 25LTC |
2回目 | 2019年8月5日 | 12.5LTC |
3回目 | 2023年8月(予想) | 6.25LTC |
ビットコインキャッシュ(BCH)の次の半減期は2024年予定
ビットコインキャッシュは、先に触れたようにビットコインからハードフォークを行い誕生した暗号資産です。そのため、ビットコインキャッシュの採掘報酬は、ハードフォーク時点のビットコインの採掘報酬と同じ12.5BCHから始まっています。そのほか、発行上限数量が2100万BCHであることや、21万ブロックごとに採掘報酬を半分にする半減期タイミングもビットコインとよく似ています。
ビットコインキャッシュは、ビットコインからのハードフォーク後、初の半減期を2020年4月8日に迎えました。ビットコインの半減期(2020年5月11日)のタイミングに対して、ビットコインキャッシュが一足早く半減期を迎える形になっています。
両暗号資産とも、半減期のタイミングは、ブロック番号63万ブロック目で実施される仕様を採用しています。ビットコインキャッシュの由来や、予定ブロックが同じであることを考えると、半減期の日時が同じになってもいいはずですが、実際にはそうなっていません。ビットコインよりもビットコインキャッシュが早く半減期を迎える理由は、ブロックの平均生成時間が異なっているためです。
ビットコインとビットコインキャッシュには、ブロックの生成時間が10分に1回となるよう、マイニングの難易度を調整する仕組みがありますが、両者のマイニング難易度の調整方法が異なります。
ビットコインは、2週間に1回(2016ブロックに1回)の頻度で、その難易度を調整します。一方、ビットコインキャッシュは、は直近1日程度(144ブロック)のハッシュレートに合わせて、ブロックごとにマイニング難易度を調整するようになっています。そのため、取引量が増加し続けると、ビットコインのほうがブロック生成時間に遅延が生じやすくなっています。
ビットコインキャッシュは、2020年4月の半減期により採掘報酬が12.5BCHから6.25BCHになりました。2回目の半減期(84万ブロック目)は、2024年4月頃と予想(2020年5月末現在)されており、採掘報酬は3.125BCHになります。
【ビットコインキャッシュの半減期】
回数 | 日付 | 採掘報酬 |
---|---|---|
1回目 | 2020年4月8日 | 6.25BCH |
2回目 | 2024年4月(予想) | 3.125BCH |
イベントにまつわる憶測やハードフォークなどの延期に注意
ここまで見てきたように、暗号資産(仮想通貨)にまつわるイベントはその価格を大きく動かす可能性を有しています。ただし、イベントを巡ってインターネット上などで様々な憶測が飛び交い、いたずらに投資家を翻弄させている状況も散見されます。
イベントがらみの記述の中でも特に裏づけのなさそうな内容のものは真に受けないのが賢明だといえそうです。最低限、複数の情報源で確認をとり、根拠の薄いものは視界から外していくとよいでしょう。
また、ハードフォークやソフトフォークをはじめとする技術面のアップデートに関しては、不意に延期されるケースが多々あります。そして、イベントを巡って過去と同じ反応が必ず起きると保証されているわけでもありません。
言い換えれば、イベントは価格にインパクトを及ぼす可能性が高い反面、肩すかしをくらうリスクも存在しているということです。イベントに先回りする投資を考える場合は、予想が外れた場合の撤退(ロスカット)についてどのように行うのかをあらかじめ決めておくのがよいでしょう。
加えて、イベントの中には価格上昇ではなく下落につながるものもあるため、個々にその中身をきちんと吟味することが肝心です。こうした基本を押さえておけば、暗号資産の取引においてイベントが大きな収益をもたらしてくれる可能性があります。
記事の中でご紹介したEthereum2.0につきましては、「「合意レイヤー(旧称イーサリアム2.0)」とは 「マージ」後の開発段階も解説」にも詳しく解説しています。
※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。
関連記事
-
暗号資産(仮想通貨)とエネルギー問題、ビットコイン価格への影響は?
暗号資産(仮想通貨)は、発行する際に、エネルギー、特に電力を大量に消費することが度々問題になっています。この記事ではビットコインに関するエネルギー問題について価格への影響とともに解説します。
-
主要国の政治経済が暗号資産(仮想通貨)に及ぼす影響
ブロックチェーンに参加している人たちが集団で管理している非中央集権型の暗号資産(仮想通貨)は、特定の国もしくはグローバルな政治経済の影響をあまり受けないような印象を抱くかもしれません。しかし、実際のところはどうなのでしょうか?本記事では、過去を振り返りながら、政治経済と暗号資産との関係性について探ってみます。
-
暗号資産(仮想通貨)の詐欺に注意!その手口を見抜くには?
2016年以降に「国民生活センター」へ報告されている暗号資産(仮想通貨)関連の詐欺やトラブルの事例を踏まえ、詐欺に遭わないための基礎知識や対策を紹介していきます。
-
暗号資産(仮想通貨)業界でも年々増加するロビー活動とは?米大統領戦で活発化
アメリカでは暗号資産(仮想通貨)に関するロビー活動(ロビイング)が活発に行われています。2023年から2024年にかけては、米大統領選前に報道も多くなりました。この記事では、ロビー活動とはどのようなものなのか、暗号資産業界でのロビー活動の動向も含めて解説します。
-
暗号資産(仮想通貨)取引に関わるリスク、サイバー攻撃について解説
暗号資産(仮想通貨)取引には様々なリスクが存在します。特に予期せぬ大規模なサイバー攻撃は大きなリスクになっています。この記事では、サイバー攻撃について詳しく解説します。
-
暗号資産(仮想通貨)で利益が出た場合の税金対策!納税額はどのように決まるのか
暗号資産(仮想通貨)を通じて得る利益に対して、どのような仕組みで税が課せられるのかをしっかり理解しておくことが重要です。今回は、ビットコインおよび仮想通貨の取引において税金が発生するタイミングや税額の計算方法、そして節税対策などについて解説します。
-
ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)の確定申告方法を解説
ビットコイン(BTC)などの暗号資産(仮想通貨)を売買して利益が発生した場合には、翌年の一定期間内に自分で利益額を計算して確定申告し、納税する必要があります。ここでは、2023年10月現在の税制で仮想通貨の取引において、利益が発生した際に確定申告する所得の扱いや違反した時の罰則についてご紹介します。
-
19歳でイーサリアムを開発したヴィタリック・ブテリンとは
2023年9月現在で時価総額2位であるイーサリアムは発表当時、弱冠19歳だったヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が開発を主導しました。この記事では、今後のイーサリアムの行方を占うためにも最重要人物であるヴィタリック・ブテリン氏について解説します。
今、仮想通貨を始めるなら
DMMビットコイン