主要国通貨と仮想通貨の相関関係

主要国通貨
仮想通貨
2018-10-31 更新

法定通貨の場合は、たとえばドルが売られて円が買われるとドル安・円高が進み、逆のパターンではドル高・円安になるという“綱引き”が繰り広げられています。また、テロなどで地政学的リスクが高まると、ドルが売られて比較的安全だと言われている円やスイスフランが買われるという傾向もうかがえました。

では、仮想通貨と法定通貨との間には何らかの関係性があるのでしょうか? あるいは、仮想通貨同士の間でも“綱引き”のような動きが見られるのでしょうか? 過去の推移などをもとに検証してみます。

仮想通貨と法定通貨の間に関係性はあるのか?

言うまでもないことかもしれませんが、ビットコインをはじめとする仮想通貨の価格は、それを買いたい人たち(需要)と売りたい人たち(供給)のバランスによって決まるものです。それぞれの国家が発行・管理している円やドルなどの法定通貨に対し、ビットコインをはじめとする仮想通貨はブロックチェーンに参加している人たちが共同で管理し、世界共通で使用できるものであり、論理的にも関係性がないとされています。

また、法定通貨の場合は必要に応じて発行国の政府が為替相場に介入し、過度な通貨高や通貨安を阻止することがあります。仮想通貨にはいずれの国も関わっていないので、こうした介入とも無縁です。

ただ、仮想通貨を手に入れるには、法定通貨と交換することが必要になるのも事実です。世界的に見て最も多いのは「米ドル→ビットコイン」の流れですが、こうした動きは法定通貨の為替相場やビットコイン相場に何らかの影響を及ぼしているのでしょうか? 

法定通貨は貿易や越境eコマースなどに幅広く用いられており、仮想通貨との交換がもたらす影響は軽微であるようにも思われますが、本当にそうなのでしょうか? 特にビットコインの認知度はここ数年で非常に高まっているため、次第に法定通貨との関係性が顕在化してきている可能性も考えられます。

そこで、この記事ではビットコインを代表とする仮想通貨が為替相場などとどのような関係にあるのかを探ってみたいと思います。ひょっとしたら、意外なものに対して高い相関性を示しているかもしれません。

ビットコインは米ドルと逆相関の関係にある!?

実は、米ドルとビットコインは逆相関の関係にあると指摘する声があります。米ドル/円と米ドル/BTCのチャートを比較したところ、確かに対円で米ドル高が進むとビットコインの価格が下がるという傾向がうかがえるようにも見えます。

また、逆に米ドル安が進んだ局面ではビットコインの価格が上昇傾向にあると言えなくもなさそうです。そうなると、米ドルの価値が高まるのに伴って、「ビットコイン→米ドル」に交換する動きが活発化し、逆に米ドル安が進むと「米ドル→ビットコイン」という流れが生じているとの仮説も成り立つように思われます。

しかしながら、2018年初めから3月にかけて続いた米ドル高・円安局面でビットコインの価格が下落したのは、2017年の記録的な高騰に対する反動(調整)と捉えるほうが自然かもしれません。そもそも、ビットコインはまだ10年程度の歴史しかないため、当初はほとんど認知されていなかったのも確かです。

したがって、逆相関の関係にあることを立証するだけのデータがそろっていないというのが現実でしょう。今後の推移を観察しながら、関係性の有無を見定めていくことになりそうです。

法定通貨とビットコインの関係性と言えば、人民元のことを連想する人もいることでしょう。中国では富裕層を中心に、人民元をいったんビットコインに交換したうえで米ドルなどの外貨建て資産に移すという動きが活発化してきました。

人民元が売られてビットコインが買われるという大きな流れが生じていたのです。しかし、中国政府はそれを規制によって禁じました。

それに、人民元の為替相場は完全な変動制に移行しておらず、中国政府のコントロール下にあります。人民元の相場変動はきちんと実態を反映しているものとは言いがたく、よってビットコインの価格との関係性も正確には確認できなくなっています。

ビットコインは米国株との相関性が高い?

一方、米国株式市場の代表的な株価指数であるS&P 500とビットコインが正の相関関係にあるとの説も出ています。ビットコインの認知が高まり始めた2012年頃からのその傾向がうかがえるようになり、特に最近では相関性が強くなっているというのです。

世界的な金融情報発信機関であるBloombergでも、ビットコイン価格のピークがS&P 500 におけるPER(株価収益率=業績予想と現状の株価水準を比較した指標)のそれと一致していることを指摘する記事が報じられました。

ただ、おおまかに見れば相関性があるように見えても、目を凝らして観察してみると連動が強まっている局面と弱まっている局面があるのも確かでしょう。S&P 500とビットコインの相関性についても、あまり鵜呑みにしないほうがいいかもしれません。

さらに、金価格とビットコインの相関性まで指摘する意見もあります。燃えてなくならない実物資産であるうえ、世界共通の価値を有することから「有事の金」と言われ、金価格は地政学リスクが高まったり金融市場でショックが発生するなどの局面で上昇傾向を示しやすいという特徴がありました。

これに対し、ビットコインも2013年のキプロス金融危機ではユーロからの避難先として資金流入が加速し、価格の上昇が顕著となりました。もっとも、その相関性は局所的なものにとどまっているというのが現実でしょう。

2017年にビットコインの価格が驚異的な上昇を記録した一方、2018年に入ってから深刻な調整局面を迎えたことによって、ビットコインはリスク資産の一種であるという認識が投資家の間で広まった可能性が考えられます。つまり、ハイリターンを追求できる反面、相応のリスクも負うことになることが共通認識になってきたわけです。

その結果、キプロス危機でビットコインがユーロからの避難先となったような展開は、もはや期待しづらいとの見方も出てきています。ただ、裏返せば、リスクオン(リスク資産への投資熱が高まる)モードになると、株式などと同じようにビットコインをはじめとする仮想通貨への資金流入が活発化する可能性も考えられます。

そして、そのような傾向が顕在化してくれば、米国株との連動性が高まってくることもありえるでしょう。リスクオンで米国株などと同じようにビットコインへの投資が活発化し、リスクオフ(安全資産への待避)モードに切り替わると下落基調を強めるというパターンとなってくるわけです。

仮想通貨同士の相関性を指摘する声も!

仮想通貨同士の関係性に注目した分析もあります。たとえば、ビットコインとイーサリアム(ETH)との間に高い相関性が見られるというのです。

両者のチャートを見比べると、確かにそのような傾向がうかがえます。時価総額1位と2位の仮想通貨の2大巨頭として、これら2つを選択する投資家が圧倒的だからなのかもしれません。

ただ、時価総額ではこれらに大差をつけられているライトコイン(LTC)も、ビットコインとの相関性が高いという指摘もあります。確認してみると、チャートの形状もかなり似ています。

ただし、2017年にはビットコインのみならず多くの仮想通貨が大幅上昇を遂げましたが、この局面ではイーサリアムとライトコインはどちらもビットコインとの相関性が低下しました。なぜなら、並行してビットコインからアルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)に乗り換える動きも活発化したからです。

その結果、ビットコインには売りが出る中でアルトコインは買われるという展開になり、それぞれの推移の連動性が薄れました。しかし、2018年を迎えて仮想通貨が総じて大幅な調整局面を迎えてからは、再び相関性が高まっています。

他にも、ビットコインとビットコインキャッシュ(BCH)が逆相関の関係にあるとの説があります。比較するとそのように見えるのも確かですが、あまりにも検証可能な期間が短すぎるので、結論づけるのは早計だと言えそうです。

仮想通貨の変動要因は多く、決め打ちは危険

いずれにしても、法定通貨と比べれば仮想通貨の歴史ははるかに浅く、相関性についてのさまざまな指摘はまだ推測の域を出ていません。

したがって、現時点ではあまり相関性のことは意識しないほうが無難かもしれません。仮に相関性が高くなる局面があったとしても一過性の現象にとどまり、やがてまったく関係性のない推移に変化してしまう恐れも出てくるでしょう。

ただ、すでにビットコインの時価総額は約12兆6,400億円(2018年9月時点)にまで達しており、他のオルタナティブ(株式などの古典的な資産の代替え)投資の選択肢と肩を並べるようになってくれば、事情はかなり違ってくるかもしれません。たとえば、債券が売られてビットコインが盛んに買われるような現象が起きる可能性も考えられるわけです。

あるいは、たとえ一時的なものであっても、明らかに相関性が高まっていると思われる局面では、あえて注目してみるのも一手かもしれません。無論、その際には「期間限定の法則性である」ということを念頭に置いたうえで、あくまで判断材料の一つにとどめたほうがよさそうです。

長い目で見れば、仮想通貨が今まで以上にポピュラーな存在となって、その価格動向が法定通貨の為替レートなどと同じように報道される可能性も考えられます。そういった時代が訪れた際には、為替相場などとの関係性が明確になってくるかもしれません。

ともかく、現状においてはまだ不確かなものであり、仮にそうでなかったとしても、仮想通貨においては複眼的な分析が肝心となってきます。一つの事象だけに囚われず、幅広い視点で臨むのが今後の展開を見通す際の鉄則だと言えます。

需要と供給のバランスから世界的な経済情勢まで、ビットコインをはじめとする仮想通貨の価格変動には多様な要因が関わってきます。それらを冷静に紐解いていくことが今後の道筋を見定めるヒントとなってきます。

いくつもの要因が絡み合っていて判断が難しい局面では、テクニカル分析に目を向けてみるのも一考でしょう。チャート上の価格や指標の推移から、今後の方向性を見出すのです。

そして、そうやって自分なりの分析法を追求していくことが仮想通貨への投資の面白みともなるかもしれません。まだ歴史の浅いものであるだけに、仮想通貨とともに投資家自身も知見を高めながら成長できるというのも仮想通貨投資の醍醐味ではないでしょうか。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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