暗号資産(仮想通貨)取引でのローソク足の見方は?種類やパターンを解説!
一説には江戸時代の豪商・本間宗久が米の取引のために考案したとも言われるローソク足は、今や日本のみならずグローバルに株式や為替、暗号資産(仮想通貨)の取引で活用されています。では、ローソク足を見ることで、何がわかるのでしょうか? ローソク足の基本的な見方について解説します。
1本のローソク足は何を表している?
ローソク足チャートでは、時間の経過とともに価格がどのように変化していったのかが詳しく把握できます。
具体的には、
- 始値(最初に取引が成立した価格)
- 高値(最も高かった価格)
- 安値(最も安かった価格)
- 終値(最後に取引が成立した価格)
の4つの価格が1本のローソク足に表示されています。
1本のローソク足は、ボックス状になっている「実体」部分と、実体部分から上に伸びた「上ヒゲ」、下に伸びた「下ヒゲ」によって構成されています。
例えば、BTC/JPYにおいて1BTC=200万円でその日の取引が始まり、一時は192万円の安値をつけたものの、そこから反発して195万円の高値を記録し、その日の最終取引は194万円だったとしましょう。
このケースでは、実体部分の下辺を始値、実体部分の上辺を終値、上ヒゲの先端を高値、下ヒゲの先端に安値となります。
では、同じく193万円で取引がスタートし、190万円まで下げてから198万円まで切り返し、194万円で取引を終えた場合はどうなるでしょうか? 前述のパターンと実体部分はまったく同じになりますが、上ヒゲと下ヒゲはもっと長くなっています。こうしたヒゲの長さを見れば、その日の価格変動がどれだけ派手だったのかが把握できます。
陽線と陰線の違いとは?
先程の例はどちらも、始値よりも、終値が高い水準となって取引を終えています。このように価格が上昇傾向を示した際には実体部分を緑色で表示し、「陽線」と呼びます。特に、買いの勢いが続くことを示唆している実体が長い陽線を「大陽線(だいようせん)」と言います。
これに対し、始値よりも安い終値となった場合は価格が下落傾向を示したことを意味します。こちらは実体部分を赤色で表示し、「陰線」と呼んでいます。特に売りの勢いが続くことを示唆する実体の長い陰線を「大陰線」と言います。
陽線と陰線からわかること
「陽線」が連続している局面は上昇の勢いが強く、逆に「陰線」ばかりが目立つ局面は下落基調で推移していると判断できます。また、実体部分が長い「陽線」は価格の急騰、実体部分が長い「陰線」は価格の急落を意味しています。
あるいは、日中に上昇局面と下落局面がそれぞれあったものの、結局は始値と同じ価格で取引を終えるというパターンもあり得ます。そういった場合は実体部分がボックス状ではなく完全に1本線で、その上下にヒゲが伸びる格好となります。これを「十字線」と呼んでおり、取引に参加している投資家が先行きを読み切れなくて迷っている状態を示しています。それまで相場の上昇もしくは下落が顕著になっていたとしても、この「十字線」が出現すると、投資家が迷い始めて流れが大きく変わるキッカケになる可能性が考えられます。
一方、上昇傾向が続いてきたところで、長い上ヒゲの「陽線」や「陰線」が出現した場合も注意が必要です。上ヒゲが長くなるのは、いったんは強気が優勢となって上昇が顕著となったものの、その後は急速に勢いを失ったためです。「陽線」であっても、上ヒゲが長かった場合(陽トンカチ)は上昇のピッチが鈍ることがありえます。長い上ヒゲの「陰線」であれば(陰トンカチ)、強気から弱気へと流れが急変していることを示唆しており、反落の可能性を念頭においたほうがよいでしょう。
対照的に、下落傾向が続いていた局面でローソク足が長い下ヒゲの「陽線(陽カラカサ)」や「陰線(陰カラカサ)」を描いたら、ポジシティブなサインだと受けることができます。いったん大きく売り込まれたものの、そこから大きく戻しているからです。「陰線」であっても、長い下ヒゲは弱気派が減ってきたことを意味し、反発の可能性が出てきたと解釈できます。長い下ヒゲの「陽線」ともなれば、上昇に転じる確率がより高まっていると判断してよいでしょう。
分足、時間足、日足、週足、月足とは?
さて、ここまで説明してきた1本のローソク足は、1日の間でつけた始値、高値、安値、終値を示しているものでした。これを「日足(ひあし)」と呼びます。
また、1本で描く時間軸を変えれば、日足以外のローソク足チャートを描くことが可能です。
その一つが分単位の始値、高値、安値、終値が分単位で1本のローソク足となっているものを「分足(ふんあし)」と呼びます。よく用いられているのは1分足や5分足です。その名の通り、1分足は1分間、5分足は5分間のうちにつけた始値、高値、安値、終値を表しています。
1時間ごと、4時間ごとといったように時間単位の始値、高値、安値、終値で1本のローソク足を描いているものを「時間足(じかんあし)」と呼びます。分足では値動きの方向性が判断しづらい勢力が拮抗した場面でも、時間足に目を転じてみることで、どちらに流れが生じつつあるかといった兆しを察知できるケースも出てきます。
もっと間隔を大きくとったものもあります。「週足(しゅうあし)」は1週間、「月足(つきあし)」は月内における始値、高値、安値、終値を1本のローソク足で描いたものです。
分足が目の前の価格変動を如実に伝えるチャートであるのに対し、週足や月足はもっと大きな潮流が浮き彫りになってくるものです。
短期的な傾向は分足や時間足、日足のほうがわかりやすく、中長期的な方向性は週足や月足のほうがはっきりしやすいということになります。
19世紀に米国でジャーナリストや証券アナリストとして活躍したチャールズ・ヘンリー・ダウが導き出した「ダウ理論」では、トレンド(価格の方向性)には3つの種類があると説いています。それは、潮流(大きなトレンド)、波(二次的トレンド)、波紋(小さなトレンド)です。
肝心なのは、これら大中小のトレンドが必ずしも同じ向きになっているとは限らないことです。そこで、週足や月足で大きなトレンド、日足や時間足で二次的トレンド、分足で小さなトレンドをそれぞれ見分けていくことが重要となってきます。
分足や週足などはどう使い分ける?
いずれのローソク足チャートに注目すべきなのかは、自分がどのようなスパンで取引を行うのかによって異なってきます。買ったその日に売って取引を完結させるデイトレードなら分足、数日間〜数週間の保有を前提とするスイングトレードなら時間足、数カ月〜半年をメドとしているなら日足、もっと気長に取り組むなら週足といった具合になるでしょう。
ただし、自分のスパンに合っている時間軸のローソク足さえ見ておけば万全だというわけではありません。デイトレードでは分足とともに時間足、スイングトレードでは時間足とともに日足、数カ月〜半年の取引では日足とともに週足、もっと長期で臨む場合も週足だけでなく月足といったように、時間軸の異なるローソク足を組み合わせて見比べるのがチャート分析の基本です。
たとえば、日足が上向きであっても、週足が下降基調になっていたとしたら、大きな流れは下向きで日足のほうの上昇は長続きしない可能性が出てきます。反対に、日足と週足がどちらも右肩上がりで推移していたら、しばらく上昇が続くものと予想できるでしょう。
ローソク足をはじめとするチャートの分析において大前提となってくるのは、「価格の推移には必ずトレンドが生じる」ということと、「トレンドは反転するまで継続する」ということ。これらも前述した「ダウ理論」に基づくものです。
トレンドは上昇、下落、横ばいの3つ
価格のトレンドは上昇、下落、横ばいという3つのいずれかに分類できます。そして、いずれのトレンドにおいても価格は一定の方向感を示しつつも、小刻みにN字型の波動を描いて山と谷を形成していくものです。
上昇トレンドが確認できる場面であれば、小さな波動はN字を描きながらも、谷(安値)がその前の谷よりも高い水準になっているはずです。「安値を切り上げていく」と表現される現象で、逆に下落トレンドだった場合には、谷がその前の谷よりも低い水準となっていき、「安値を切り下げていく」というパターンを描きます。
トレンドが横ばいのパターンであっても、やはり小さな波動はN字を描いています。このトレンドにもやがて必ず転換点は訪れるのが宿命で、上昇トレンドにシフトする場合はそれまでの山(高値)を大きく超える山を形成したうえで、以降もどんどん安値を切り上げていくようになります。下落トレンドに転換した場合はそれまでよりも深い谷を描いたうえで、安値を切り下げていく展開となります。
たとえば、「デイトレードだから分足を見ているだけで十分」などというスタンスをとってしまうと、N字の波動の中の断片的な部分しか視界に入ってきません。つまり、トレンドの向きをきちんと確認できていないわけです。時間軸の異なるチャートを組み合わせて両睨みすることで、目先の波動だけに翻弄されず、トレンドをしっかりと見極めて売買のタイミングを判断できるようになります。
情報が詰まっているローソク足を存分に活用しよう!
一定期間中の4つの価格(始値、高値、安値、終値)が分かるばかりか、実体部分とヒゲ部分で表現したり、「陽線」と「陰線」に描き分けたりすることで、どのような展開だったのかも判明するのがローソク足です。しかも、実体部分やヒゲの長さから相場の強弱を把握できたり、トレンド転換の兆しを察知できたりするため、非常に重宝するチャートだと言えるでしょう。
特に、実体部分が非常に長い「大陽線」や「大陰線」、先にも述べた長い上ヒゲと下ヒゲは要注目です。「大陽線」は上昇、「大陰線」は下落の勢いが強いことを意味していますし、上ヒゲや下ヒゲは転換点となる可能性が考えられます。
もちろん、必ずそうなると断言できるものではありませんが、多くの投資家がローソク足のそういった特性に注目していることで、より法則的な動きを示しやすくなります。少なくとも、チャートが転換点を示唆するようなパターンになったら、その可能性を念頭に置きながら注意深く観察するのがよいでしょう。
実際のビットコインのチャートはこちらにありますので、本コラムの内容と合せてご覧ください。
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