暗号資産(仮想通貨)投資とは?株式投資との違いを解説

仮想通貨投資
株式
違い
2024-07-27 更新

ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)を代表とする暗号資産(仮想通貨)は、近年、株式と同様に投資を目的として取引されることが増えた金融商品です。

いずれも金融商品として常日頃から市場価格の変動が注目されることが多いですが、両者には基本的な性質や取引市場、配当の有無、価格変動の原因、かかる税金などさまざまな点において違いがあります。

投資の際には、暗号資産投資と株式投資の基本的な違いや、それぞれのメリットとデメリットなど互いの特徴について知り、投資の選択に役立つ情報として理解しておきたいところです。この記事では、暗号資産投資と株式投資との違いについて、詳しく解説します。

暗号資産(仮想通貨)投資とは

暗号資産(仮想通貨)投資は、ビットコインやイーサリアムなどブロックチェーン上で発行されたデジタル通貨に投資する行為です。暗号資産への投資は、暗号資産交換業者が提供するサービスにて取引を行います。

暗号資産の取引は、暗号資産交換業者に開設した自分の口座(またはアカウント等) を介して取引を実行します。

ちなみに日本国内においては、日本の金融庁・財務局に登録された、日本国内向けに暗号資産取引サービスを提供している暗号資産交換業者から購入することを推奨します。登録業者は、ある一定の安全基準を満たしていることが金融庁によって証明されています(ただしリスクがないわけではありません)。

DMM Bitcoinも、日本の金融庁に登録されている暗号資産交換業者(関東財務局長 第00010号)です。

暗号資産の取引を始める際、口座開設から暗号資産の取引ができるようになるまでには、本人確認や銀行口座の登録などいくつか手続きが必要で、手続きに掛かる時間は、交換業者によっても異なります。取引開始には、口座開設の手続きにかかる時間を考慮しましょう。

ビットコインは代表的な暗号資産の1つですが、暗号資産には他にもたくさんの種類があります。暗号資産交換業者が取り扱う暗号資産の種類は交換業者によって異なりますので、購入したい暗号資産を購入できる暗号資産交換業者をあらかじめ調べておくことも重要です。

現物取引とレバレッジ取引

暗号資産の取引には現物取引とレバレッジ取引などがあります。

現物取引は、顧客と暗号資産交換業者との間で、取引を行うたびに現金などと暗号資産の受け渡しを行う取引です。暗号資産での購入目的として実際に暗号資産が必要な場合は、現物取引で暗号資産を手に入れる必要があります。

レバレッジ取引は、損失時の決済に備える一定額の資金(証拠金)を担保に、それより大きな金額の取引ができる取引です。レバレッジ取引は現物取引とは異なり暗号資産自体を保有せず、売買の差額を日本円等で受け渡しする「差金決済」というのが特徴です。暗号資産の現物を必要としない投資目的の場合はレバレッジ取引でも良いでしょう。

その他にも、代替不可能な「ノンファンジブルトークン」(NFT)という仕組みを使い、アート作品、ゲームのアイテムやキャラクター、トレーディングカードなどをトークンとして発行したデジタル資産を購入する投資手段などもあります。

株式投資とは

株式投資は、企業が発行する株を売買することで利益を得る投資方法です。株式の取引は株式市場で行われます。

世界各地に株式市場は存在しますが、日本においては東京証券取引所(東証)、名古屋証券取引所(名証)、札幌証券取引所(札証)、福岡証券取引所(福証)の4か所があります。

個人が株式投資を行うには、基本的には、金融商品取引法の規定に基づき内閣総理大臣の登録を受けた金融商品取引業者(証券会社、銀行)を通して、株式の売買をする必要があります。証券会社・銀行は、株式や債券などの金融商品発行体(企業や国)と投資家を仲介する役割を担います。

株式投資をする際は、必ず株式の取引専用の口座を開設しなければなりません。

株式投資は、企業の株式を購入し、その企業の成長と利益に伴う配当金や上がり益といったリターンを期待するほかにも、株主優待制度のある企業の株主になることで独自商品やサービス等の特典を受けることや、保有株式の割合に応じて経営に参加する権利を得ることができます。

株式もまた、暗号資産の取引のように現物取引とレバレッジ取引(信用取引)があるほか、さまざまな金融商品が用意されています。

株式投資においては、新NISA(ニーサ)、iDeCo(イデコ)など、国が行っている優遇制度も存在します。

暗号資産(仮想通貨)と株式の違いは

ここまでの解説では、暗号資産(仮想通貨)と株式は投資対象の違いはあるものの、投資方法は双方口座の開設の必要性があり、また取引方法として現物取引とレバレッジ取引があるなど、かなり似ている部分が多いと思われるのではないでしょうか。

しかし、その投資対象は、株式においては世界の株式市場と無数に存在する企業が対象、暗号資産市場は各種イノベーションにより立ち上がったプロジェクトによって発行される暗号資産が対象と、その規模は大きく異なります。

2021年の時点で、世界の株式発行残高は106兆ドルと推定されていますが、暗号資産市場の総規模は2.6兆ドル程度であるといわれており株式市場の2.5%にすぎないといわれています。その市場規模の違いは、市場の歴史の長さにも比例しているといっても過言ではありません。

暗号資産の代表格であるビットコインが誕生したのは2008年ですが、株式市場(証券取引所)の始まりは1531年にベルギーに設立されたアントワープ証券取引所における株式および債券の取引といわれており、490年近くも前にさかのぼります(諸説あります)。

暗号資産の歴史は浅く、また法整備も追いついていないことから鑑みても、成長はこれからという市場であることは否めません。しかし、その急速な市場の拡大、技術の発展速度には目を見張るものがあるのではないでしょうか。

市場の性質の違い

非中央集権性の高い暗号資産市場は、24時間365日アクセスすることができ(暗号資産交換業者のメンテナンス時を除く)、従来の取引所や銀行の制限なしにいつでも取引でき、市場に休日がありません。

一方の株式市場は、市場の開いている時間が限られており、土日祝日は基本的に取引ができません。

スマートフォンやパソコンがあればいつでもどこでも取引ができる暗号資産市場は、株式市場と比較すると大きなメリットと受け取る投資家もいることでしょう。

異なる収益性とボラティリティの違い

暗号資産と株式では、株式や債券などの資産を保有中に得られる収益(インカムゲイン)とボラティリティ(価格変動率)に、いくつかの重要な違いがあります。

収益性の違い

株式の主なインカムゲインは配当によるものです。多くの企業は利益の一部を株主に定期的に配当として支払います。株式において配当は通常、安定した収入源と見なされ、特に高配当株を選ぶことで、インカムゲインを重視した投資が可能となります。株価に対する配当の割合である配当利回りは、投資の魅力を評価する指標の一つになっています。

一方の暗号資産は、一般的な暗号資産においてインカムゲインはほぼないに等しく、特定の暗号資産においてのみステーキングというプロセスを通じてインカムゲインを得ることができます。

暗号資産のステーキングの多くは、ネットワークのセキュリティやトランザクションの検証を支援するために暗号資産を一時的にロックすることで、新たに発行される通貨を報酬という形で受け取ることができる仕組みです。

また、一部の暗号資産プロジェクトでは、トランザクション手数料などの収入を保有者に分配することがあり、これは株式の配当に似ていますが非定期的かつ予測不可能なことが多く、確実性が乏しいことからも、株式における配当とは異なります。

そのほかにも、一部のDeFi(分散型金融)や暗号資産交換業者によっては、保有する暗号資産を貸し出すことで収益を得ることができるサービスも存在します。

ボラティリティの違い

暗号資産と株式ともにボラティリティは存在しますが、通常、暗号資産市場に比べて株式のボラティリティは低いのが特徴です。

株式市場は、経済の基本的な要素、企業の業績、政治的な出来事などに影響を受けやすいものの、株式市場は長い歴史と規制の枠組みによってボラティリティの幅をある程度抑えることができています。

一般的に株式の価格変動は、売り手と買い手のバランスにより決まります。価格変動の要因としては、企業の業績や景気動向、金利水準、政治動向、国際情勢、自然災害などがあります、中でも投資家が考慮するのは企業の業績や将来性、社会経済の状況とされています。

一方の暗号資産のボラティリティは非常に高いものになっています。

暗号資産の価格変動は、主に通貨の需要と供給に左右されますが、その要因としては、将来性や知名度、暗号資産交換業者への上場、ブロックチェーンのアップデート、バーン(焼却)による供給量の減少などが挙げられます。

また、短期間に急激に変動することもしばしば訪れますが、その要因の一つは、市場の成熟度が低く、(株式と比べて)流動性が限られていることから、小さな取引でも価格に大きな影響を与えることがあるためともいわれています。

暗号資産市場は24時間年中無休で運営されているため、グローバルな出来事や市場参加者の感情による影響を極端に受けやすいため、逆にそれが注目されている部分でもあります。

こうした両者の価格変動の違いは、投資家が自分のリスク許容度、投資目的、市場への理解に基づいて投資を選択する際に考慮すべき重要な要素です。

規制の違い

暗号資産と株式では、規制にも顕著な違いがあります。これらは投資の性質、市場の成熟度、法的枠組みの差異によって影響を受ける要素です。

株式市場は長い歴史を持ち、世界中のほとんどの国で厳格な規制が設けられており、これには証券取引所、証券会社、金融機関、および株式公開企業に対する規制が含まれます。

株式を公開する企業は、定期的な財務報告、株主への通知、取締役会の情報開示など、厳格な開示義務に従う必要があります。これにより、投資家は公開される情報に基づいた意思決定を行うことが可能になります。

また、株式市場にはインサイダー取引の禁止や、市場操縦に対する厳しい制裁が設けられるなど、不正取引を防ぐための規制や、投資家を保護するための法律が存在します。

暗号資産は比較的新しい資産クラスです。日本は世界的にも暗号資産に関する法の整備が進んでいますが、多くの国ではまだ規制の枠組みが確立していません。

日本や一部の国では、暗号資産交換業者やウォレットサービスの提供者に対してライセンス要件や顧客の身元確認(KYC)プロセスの実施など、特定の規制を導入していますが、暗号資産市場は、国によって規制の不確実性が高く、政策の変更や新たな規制の導入によって市場が大きく動くことも少なくありません。

日本の規制においては、株式と暗号資産のレバレッジ取引の倍率にも違いがあります。

投資の世界におけるレバレッジは、少額で大きな金額の取引ができることを指しますが、国内の暗号資産の規制は厳格化されつつあり、改正資金決済法により2021年5月以降は暗号資産のレバレッジ取引の倍率は2倍が上限になっています。

ちなみに、株式は最大約3.3倍(オンライン信用取引は最大約2.85倍)となっています。

暗号資産の規制は世界的な規模で見れば発展途上であり、市場の成熟度によってリスクが高まる可能性があります。

投資家はこれらの違いを理解し、自身のリスク許容度に合わせて投資判断を行うことが重要です。

投資するならどちら良い?

投資するにはどちらが良いかは、個人の投資スタイルやリスク許容度によります。

ビットコインは成長余地があり、ボラティリティが高い一方、株式は成熟した市場でインカムゲインを狙える特徴があります。リスクを分散するために、両方を組み合わせて投資することも考慮できるでしょう。

将来性については、市場の動向や技術の進歩により変動しますが、両方の投資を理解し、適切なポートフォリオを構築することが大切ではないでしょうか。

暗号資産(仮想通貨)投資は税金に注意

暗号資産(仮想通貨)も株式も取引で得た利益には税金がかかりますが、その税金の種類は異なります。

株式投資により得られた利益は、基本は所得税15%と住民税5%、2037年12月末までは、復興特別所得税が加算され合計で20.315%の税金が課されます。原則として譲渡益や配当金は「申告分離課税」としてほかの所得と分けて税額を計算します。

暗号資産で得られた利益は所得税の対象となり、原則として雑所得に区分されます。ただし、その年の暗号資産による収入が300万円を超え、帳簿書類の保存がある場合は事業所得に区分される可能性もあります。

また、株式投資では新NISAやiDeCoなど税制優遇措置が取られていますが、暗号資産にはそのような措置はありません(2024年5月時点)。

株式投資では注目の新NISAで節税も

2024年から導入された新NISA(New Nippon Individual Savings Account)は、NISA制度の改革版です。

NISAは「少額投資非課税制度」で、個人の投資を支援するための制度です。新NISAは、従来のNISAから大幅に進化し、投資可能期間と非課税枠期間が無期限になりました。

従来のつみたてNISAでは、投資可能期間は2042年まででしたが、新NISAでは期限がなくいつでも新規投資が可能になりました。また、非課税期間も無期限になり、今後は継続的に非課税で運用ができます。ただし、2023年までにつみたてNISA口座で積立したものは、非課税期間はそのまま20年です。

また、年間の非課税枠が大幅に拡大されました。新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の2つの非課税枠が設定されています。つみたて投資枠は最大で月10万円の積立が可能で、成長投資枠との合計で年360万円の非課税投資が可能です。

新NISAでは生涯投資枠が設定され、生涯投資枠は毎年積み上がり、非課税枠を超えた分も利用できます。

暗号資産(仮想通貨)関連株に投資する方法もある

暗号資産(仮想通貨)と株式の最も重要な違いは、すべての暗号資産を支えるブロックチェーン技術というテクノロジーに対する投資か否かであるともいえます。

多くの暗号資産ではスマートコントラクト(プログラム)を追加することができ、暗号資産そのものの性質をプログラム可能な資産に変えることもできます。

暗号資産といえばビットコインが有名ですが、ビットコインは代表的な暗号資産の1つでしかなく、今後もより優れた性質と機能を持つ暗号資産が誕生する可能性があります。

また、暗号資産の「ノンファンジブルトークン(NFT)」という仕組みを使ったアート作品、ゲームのアイテムやキャラクター、トレーディングカードなどをトークンとして発行したデジタル資産を購入する投資手段などのように、投資対象自体が進化かつ新たに発明される可能性も秘めています。

こうしたプロジェクトを開発する企業等、暗号資産関連株に投資する方法もあるでしょう。

近年は、株式市場においてマイニング関連株やグローバルに展開する暗号資産交換業者の公開株等にも注目が集まっています。

こうした流れから、やはり両方の投資を理解し、適切なポートフォリオを構築することは、今後さらに求められる知識となるでしょう。

まとめ

暗号資産(仮想通貨)と株式は、その投資対象が株式においては世界の株式市場と無数に存在する企業が対象、暗号資産市場は各種イノベーションにより立ち上がったプロジェクトによって発行される暗号資産が対象であり、その規模は大きく異なります。

暗号資産の急速な市場の拡大、技術の発展速度には目を見張るものはあるものの、暗号資産の歴史は浅く成長はこれからという市場であることを理解する必要があます。株式も含めて投資は常にリスクが伴っていることを念頭におき、余剰資金の範囲内で取引を行うことが重要です。暗号資産と株式に投資する際には両方の投資を理解し、適切なポートフォリオを構築することが大切です。

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