アルトコインの季節(アルトシーズン)とは?ビットコイン価格との関係について解説

アルトコインの季節(アルトシーズン)
2024-07-27 更新

暗号資産(仮想通貨)投資では度々、「アルトコインの季節」または「アルトシーズン」という言葉が使われます。この言葉は、投資先としてアルトコインに注目が集まっている時期のことを指しています。銘柄別の暗号資産時価総額では、ビットコイン(BTC)が不動の1位(2024年5月時点)である一方、常にパフォーマンスがアルトコインよりも優れているわけではありません。そうしたビットコイン以外の銘柄である「アルトコイン」のパフォーマンスが優れている時に頻出する用語が「アルトコインの季節」です。暗号資産投資における資金の流れを知る重要な言葉として知られているため、注目される理由や過去の動向などをこの記事で把握しておきましょう。

アルトコインの季節(アルトシーズン)とは

数多くある暗号資産(仮想通貨)銘柄の中でビットコイン以外の暗号資産は「アルトコイン(オルトコイン)」と呼ばれます。ビットコインの誕生以来、数多くのアルトコインが生まれています。イーサリアム(ETH)やエックスアールピー(XRP)などが著名なアルトコインです。また、2024年5月時点では「ミームコイン」と呼ばれるアルトコインのカテゴリが注目を集め、暗号資産投資の対象として広がり続けています。

一般的に、これらアルトコインの価格が急騰し、時価総額でトップのビットコインよりも高いパフォーマンス(価格変動率)をアルトコイン全体で挙げている時に使われる言葉が「アルトコインの季節(アルトシーズン)」です。

「高いパフォーマンスを挙げているとき」といっても、「アルトコインの季節」には、世間一般で共通の定義が定められているわけではありません。

ただ、独自に定義を定めているWebサイトもあります。例えば暗号資産の価格情報サイトであるブロックチェーンセンターは「過去90日間で時価総額トップ50のアルトコインの75%がビットコインよりも高いパフォーマンスを示した場合、それはアルトコインの季節である」と定義しています。この定義ではステーブルコインとラップドトークンは除外されています。これは、ステーブルコインは価値が比較的安定していることや取引の媒介として利用されていること、さらにラップドトークンは裏付け資産と同様のパフォーマンスを示すことで二重にカウントしてしまうことを避けるためです。

この定義に従うと、2022年8月、2021年の3月から6月、2020年の8月から9月、2018年の1月から3月がアルトコインのパフォーマンスが高く「アルトコインの季節」だったことになります。

こうした定義以外で、ニュースサイトなどで頻繁に用いられるのが、アルトコインのドミナンス(市場全体に占める時価総額の割合)です。これがビットコインのドミナンスよりも高い数値を示す時が「アルトコインの季節」だと判断されます。

どちらの定義でも、投資家のアルトコインへのセンチメントが高まり、ビットコインからアルトコインに投資資金がシフトしている状態を示しています。

アルトコインの季節が注目される理由

「アルトコインの季節」が報道や投資家の間で注目されるのは、ビットコインの価格が安定的に推移する時期に入ると、投資家がより高いリターンを求めてアルトコインを物色するなど、次の投資先を探る動きがみられるようになるためです。アルトコインは暗号資産業界での新しい技術やトレンドに対応していることがあり、新技術に注目する投資家はアルトコインに資金を流入させます。

特にビットコインで強気の動きが出た際に、その流れがアルトコインにも波及することが多いため、価格上昇の期待とともに注目されます。

「アルトコインの季節」をテクニカル分析の手法で分析し、投資手法の一つとして紹介しているアナリストもいます。

また、暗号資産に関する情報はソーシャルメディア上でのやり取りが活発です。ミームコインを含めたアルトコインのコミュニティが盛り上がることで、注目度が大きく高まることもあります。注目度が高まることから新規参入者も増え、「アルトコインの季節」には市場全体の取引高の増加が起こります。

ただ、アルトコインは一般的にビットコインよりも流動性が低い銘柄が多いためにボラティリティが大きくなりやすく、リスクも高い傾向にあります。取引には注意が必要であることは認識しておきましょう。

過去のアルトコインの季節の動向

過去に大きく話題になった「アルトコインの季節」は、2017年〜2018年と2020年、2021年の相場です。前述したブロックチェーンセンターのデータでも「アルトコインの季節」であったことが示されています。

2017年〜2018年の「アルトコインの季節」は、ビットコインのドミナンスの大幅な低下が原因で発生したとされており、ビットコインのドミナンスは2017年末には86.3%ありましたが、2018年初頭には40%以下まで下落しました。

このビットコインのドミナンス低下の要因として考えられるのは、2017年〜2018年はICOが活況を呈していたことです。当時はテゾス(XTZ)をはじめとしたアルトコインへの投資が集まり、多くの資金が流入し、アルトコインの時価総額が増大しました。

2020年8月には「DeFi(分散型金融)サマー」という用語が生まれたほどDeFiプラットフォーム関連の暗号資産の価格が急騰しました。また、主要なDeFi関連銘柄はイーサリアム基盤で作られていたことから、イーサリアムの価格も高騰し、「アルトコインの季節」が到来します。ただ、注目が高まったトークンがあった一方で、コード監査を受けておらず、バグが見つかって価格が急落したトークンが複数出たことも不安視され、「アルトコインの季節」は1ヶ月ほどで収束しました。

2021年3月〜6月の「アルトコインの季節」ではミームコインのドージコイン(DOGE)やシバイヌ(SHIB)が注目されました。当時はテスラCEOのイーロン・マスク氏が度々ドージコインに言及したことで価格が上昇し、同じく日本の柴犬をモチーフにした暗号資産のシバイヌにも波及しました。当時はNFTやなども流行し、ビットコインのドミナンスも70%から40%弱まで急落しています。

アルトコインの季節が起きる理由

「アルトコインの季節」が起きる理由については、正確な原因がわかっているわけではありません。メディアやアナリストらも期待を込めて「アルトコインの季節が到来か?」と報じていることも多い印象です。

ただし、「アルトコインの季節」の前には、ビットコイン価格の上昇が発生することが多いようです。主にビットコインの強気相場が到来し、価格が安定した後に、投資家がボラティリティを求めてアルトコインへの循環物色が起きることが要因でしょう。その際には、ただやみくもにアルトコインが選定されているわけではなく、DeFiやNFTなど新しい技術の他に、ミームコインといったトレンドが引き金となっているようです。

2024年には、特別な新技術が開発されたわけではなくコミュニティが主体となったいわゆるミームコインの価格上昇によって「アルトコインの季節」が訪れるのではないかという予測が、アナリストやメディアから出ました。これはビットコインが過去最高値を更新し、その後価格が鈍化したことから生じた予測だと考えられます。

しかし、2024年5月末時点では頻繁にアルトコインの季節の到来について報じられてはいるものの、ビットコインのドミナンスが2024年の年初から50%を割っておらず、ブロックチェーンセンターの指数でも数日だけ基準点を上回っただけですので、明確にアルトコインの季節だとはいえなさそうです。

アルトコインの季節で気を付けること

「アルトコインの季節」にはアルトコインへの投資センチメントが向上しますが、ビットコインと比較すると多くのアルトコインは出来高が少なく、ボラティリティが高いものが多いことに注意が必要です。ボラティリティが高いということは価格が上昇しやすい一方で、急落する恐れもあります。

実際に「アルトコインの季節」とされた2021年5月には、多くのアルトコインの価格が上昇しましたが、その後7月にかけて価格が急落しました。

特に、投機的な動きによって価格が異常なほどに高騰している場合には急激な下落につながることもあります。アルトコインの中には、過去には価格が99%下落した例もあったほどです。

さらに、プロジェクトによっては詐欺まがいのアルトコインもあることに注意が必要です。ホワイトペーパーがなかったり、開発チームの透明性や実績がなかったりするようなプロジェクトには注意しましょう。

日本の暗号資産交換業者で取引されている銘柄は一定の審査を受けているため、このような事例による直接的な影響を受けたことはありませんが、常に注意しておくべきでしょう。

まとめ

「アルトコインの季節」はビットコインよりもアルトコインのパフォーマンスが高い時を表す言葉です。「アルトコインの季節」に注目することで、ビットコインの価格が停滞していたり、変動が少なくなったりした後に投資家が循環物色として投資先を探す動きであり、この動きを追うことは、新しい技術やサービスのトレンドを知ることにも繋がります。

しかし、アルトコインはビットコインに比べてボラティリティが高い上、「アルトコインの季節」でニュースやSNSで話題になる銘柄は、日本国内で取り扱いがないトークンであることもあります。アルトコインの中には詐欺まがいのプロジェクトや、コードが精査されておらずバグが見つかって暴落するような銘柄が含まれていることもあります。

話題になっているからといって安易に飛び付かず、ホワイトペーパーや開発チームについて自身で調べるなど、慎重に調査する必要があることを気に留めておきましょう。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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