ビットコインのレバレッジ取引のやり方と交換業者の選び方
現物取引よりも数倍の取引を可能にする仕組みとして、レバレッジ取引と呼ばれるものがあります。これを用いれば、限られた元手を数倍に活用することができます。ビットコインにおいても、このレバレッジ取引を行うことが可能です。DMM Bitcoinでは、ビットコイン以外にもレバレッジ取引が可能なアルトコインの暗号資産(仮想通貨)が豊富に揃っています。
ただし、レバレッジ取引はその仕組みやリスクをきちんと理解しておかなければ、大きな後悔を招くことにもなりかねません。ここでは、ビットコインのレバレッジ取引におけるメリットとともにデメリットや注意点についても解説しますので、それらを把握したうえで、実際に行うかを判断するようにしましょう。
ビットコイン(Bitcoin)のレバレッジ取引とは
レバレッジとは、重いモノを動かす際に用いるテコを意味しています。テコがあれば自分の体重よりも重い石でも動かせるように、元手(証拠金)の数倍の取引ができるのがレバレッジ取引です。
現物取引とレバレッジ取引を比較
暗号資産のもう一つの取引方法である現物取引と比較してみましょう。たとえば、仮に元手に対して20%のリターンを期待できる投資案件があったとします。通常の取引(現物取引)の場合、手元に10万円の余裕資金しかなかったとしたら、それを投入して2万円の利益を見込めるという計算になります。
では、この投資に4倍のレバレッジを効かせられる(証拠金の4倍に相当する取引を行える)としたら、結果はどのように変わってくるでしょうか?
10万円を証拠金として預けると40万円の投資が可能となるので、「40万円×20%=8万円」を得られる可能性が出てくるわけです。
ただし、利益のみならず損失にもレバレッジが効いてしまうということを念頭に置いてください。
従来、レバレッジ取引と言えば、すぐに思い浮かべるのが株式の信用取引、株価指数やコモディティ(原油や金、穀物などの商品)を対象とした先物取引、そしてFX(為替証拠金取引)の3つでした。これらにビットコインをはじめとする暗号資産が加わったことになります。
信用取引と先物取引、FX、暗号資産のレバレッジの違い
では、それぞれの違いはどういったところにあるのでしょうか? まず、投資対象が異なっている点については、特に詳しく説明する必要はなさそうです。
かけられるレバレッジの違いから見ていくと、株式の信用取引は約3倍、先物取引は十数倍、FXは25倍、ビットコインは4倍が最大倍率(2021年4月28日以降は2倍)となっています。
先物取引とビットコインは、取り扱っている暗号資産交換業者によって最大倍率が異なっており、DMM Bitcoinでは4倍のレバレッジ(2021年4月28日以降は2倍)をかけることが可能です。FXとビットコインの最大倍率が決まっているのは、法律によって上限が定められているからです。
なお、改正資金決済法によって、暗号資産のレバレッジ倍率は2倍と定められています。しかし、記事執筆時点の2020年9月現在は移行期であり、自主規制団体である日本暗号資産取引業協会(JVCEA)の「暗号資産関連デリバティブ取引に関する規則」によると、2021年4月30日まではレバレッジ倍率は4倍が上限であることが記載されています。
一方、株式の信用取引と先物取引には、いつまでに決済を行って取引を完結させるという期限が定められています。これに対し、FXやビットコインには期限がありません(ただし、先物取引型のビットコインレバレッジ取引には期限があります)。
倍率 | 期限 | |
---|---|---|
暗号資産レバレッジ | 4倍 | なし(先物取引型を除く) |
信用取引 | 約3倍 | あり |
先物取引 | 十数倍 | あり |
FX | 25倍 | なし |
なお、ビットコインのレバレッジ取引では、自分が出した注文内容に応じて、実際にビットコインの送付手続きが行われているわけではありません。その価格で買ったり売ったりする注文を執行したら発生することになる損益(差額)のみをやりとりするという形式になっています。こうしたことから、「差金決済取引」とも呼ばれています。
ビットコイン(Bitcoin)のレバレッジ取引のメリット・デメリット
メリット:下落時にも取引ができる
ビットコインのレバレッジ取引におけるメリットは、ビットコイン価格が下落傾向を続けている局面でも、収益を追求できることです。ビットコインのレバレッジ取引には、ショート(空売り)という注文方法があるからです。
これは、今後価格の下落を見込んで、「今の価格で売る」という指示から取引が開始できます。そして、価格が下落した後に「今の価格で買う」という注文を入れれば、売却価格と購入価格の差額が利益となります。例えば下落相場で1BTC=100万円で売りポジションとした場合、1BTC=50万円まで下がった際に買い戻せば50万円の利益となります。現物取引では価格が低い時に買って、高い時に売る「買い注文」でしか取引ができません。
デメリット:損失が膨らむことも
一方のデメリットでは、損失が発生した場合にもレバレッジが効いてしまうことが挙げられます。2020年3月には、英語圏で「ブラックサーズデー(暗黒の木曜日、日本では13日の金曜日)」と呼ばれるビットコインの大暴落が発生しました。当時1BTCあたり90万円付近を推移していたビットコイン価格は1日で50万円まで下落しました。このようにビットコインはボラティリティが高い(値動きが大きい)銘柄です。過去の推移を振り返る限り、ドル/円相場が1日に10円も動くことは滅多にありませんが、それとは何桁も異なる値動きをすることがビットコインにおいてはあります。大きな値動きとなった場合にビットコインには株式などとは異なり、ストップ高やストップ安と行った暴騰・暴落を防ぐ仕組みがないことにも注意しましょう。
元手の数倍のレバレッジをかけて思惑通りの展開となった場合は大きな利益を得ることもできますが、ビットコイン価格が想定とは逆方向に動くとその結果は悲惨です。損失も数倍に拡大してしまうからです。
損失を抑えるロスカットという仕組み
そこで、どこまでも損失が膨らんでしまうことを防ぐために、ロスカットという制度が設けられています。ロスカットとは、損失が所定の水準に達した時点で強制的に決済が行われるというものです。それに伴って損失が確定してしまうものの、損失が拡大することは食い止められます。
この強制的に決済が行われるタイミングは、「証拠金維持率」と呼ばれるもので決まります。
証拠金維持率とは、純資産から注文時の証拠金を引いた額を、ポジションに必要な証拠金で割った値です。DMM Bitcoinではこの証拠金維持率が50%以下になると強制的に取引が終了されるルールになっています。
追証とは
レバレッジ取引では、「追証(おいしょう)」と呼ばれる追加の証拠金が必要となる場合もあります。取引では最初に担保として証拠金を預けますが、相場変動で保有中のポジションに損失(含み損)が発生すると、その分が差し引かれるというルールです。そして、証拠金の残りが所定の割合を下回ると、追加の入金を求められます。
DMM Bitcoinでは毎営業日の午前6:59時点で証拠金維持率判定を行い、証拠金維持率が100%を下回っていた場合に、翌営業日の午前7:00時点で追加証拠金不足額が発生します。
日本円を入金、または保有するポジションの一部又は全部を決済して追加証拠金不足額に充当するなど円貨で不足額を解消しなければ、未約定注文の取り消しや保有している全ての暗号資産が売却されます。不足額が発生したら入金するか、ポジションの一部または全部を解消するのか、保有暗号資産を売却(ただし、掛目が100%の場合は除く)するのかを事前に決めておきましょう。
レバレッジ取引において特に求められてくるのは資金管理とリスクコントロールです。通常の取引なら「購入可能額=トレード口座の残高」ですが、レバレッジ取引ではその数倍もの取引が可能となります。ついつい気が大きくなって過大なリスクを取ってしまう(レバレッジの倍率を高くしすぎる)ので、気をつける必要があります。
参考コラム:
ビットコイン(Bitcoin)レバレッジ取引は取扱銘柄や最大倍率、手数料を比較
暗号資産交換業者によって、取り扱っているレバレッジ取引の仕組みやルールなどには違いがあります。その点をきちんと見比べたうえで、自分が最も重視しているポイントにおいて優位性のあるところを選ぶのが基本のスタンスとなってくるでしょう
まず交換業者間での大きな違いは取扱銘柄の種類です。暗号資産ごとに今後の技術開発や用途によって、値動きが異なってきます。また、アルトコインが豊富な交換業者の方が、投資リスクを分散させることが可能です。自身で暗号資産の今後の動向についてしっかり調べた上で、投資する銘柄を選びましょう。
DMM Bitcoinではビットコインをはじめ、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)、ベーシックアテンショントークン(BAT)、クアンタム(QTUM)、ステラルーメン(XLM)、モナコイン(MONA)、ネム(XEM)、ライトコイン(LTC)、イーサクラシック(ETC)、ビットコインキャッシュ(BCH)など、国内最多の11種類の暗号資産でレバレッジ取引を行えます。(2020年11月現在、国内暗号資産交換業者のウェブサイト調べ)
その他にも取引所ごとには「手数料」や「レバレッジの最大倍率」、「ロスカットルール」、「追証」、「注文方法の種類」などが違いになってきます。
自身の投資スタイルに合わせてどういった取引をしたいか考えましょう。
DMM Bitcoinのレバレッジ取引にかかる手数料は?
通常、暗号資産交換業者では取引を行う際には手数料が発生します。DMM Bitcoinでは、取引手数料は無料(※但しBitMatch注文を除く。また、レバレッジ取引ではポジションを翌日まで持ち越した場合、建玉金額の0.04%/日のレバレッジ手数料が発生します)です。
さらに、日本円入金時の振込入金手数料(銀行手数料はお客様負担)、クイック入金手数料、出金時の手数料がすべて無料です。また、暗号資産の入出庫でも、入庫時の手数料は無料(マイナーへの手数料はお客様負担)、出庫時の手数料も無料となっています。
※レバレッジ取引におきましては、スプレッドが広がっている場合、預託証拠金残高の多くを必要証拠金とするような取引は、新規注文が約定した直後にロスカットが発動することがあります。
まとめ
ビットコインのレバレッジ取引は、元手(証拠金)の数倍に相当する取引が可能です。ただ、ビットコインの価格変動は株式や為替などと比べて大きくなりがちで、もともとレバレッジを効かせた売買を行っているようなものです。にもかかわらず、高い倍率のレバレッジで取引を行うと、予想が的中した場合は大きなリターンが享受できる反面、逆の場合は損失が膨らみやすく、ロスカットや追証につながりかねません。
国内では2020年5月に施行された改正金融商品取引法によって、暗号資産によるレバレッジ倍率は最大で2倍とされました。(2021年4月末までは移行期のため、4倍としている交換業者が多くあります)。日本国内の交換業者であれば、以前のように大きな倍率での取引は無くなっていますが、現物取引に比べるとリスクが高いことは変わりません。
価格変動が激しくなり、スプレッド(ビットコインの売値と買値の差)が広がっている場面で、証拠金残高の大半を元手に目一杯のレバレッジを効かせるのは禁物です。新規注文が約定した途端にロスカットが発動することがあるので気をつけてください。レバレッジ取引は必ず余裕資金で、様々なリスクに十分注意を払ったうえで取り組むようにしましょう。
■レバレッジ取引におけるご注意について
レバレッジ取引におきまして、スプレッドが広がっている場合、預託証拠金残高の多くを必要証拠金とするような取引は、新規注文が約定した直後に、スプレッド分の損失によりロスカットが発動することがありますのでご注意ください。
お取引される際には十分にご注意いただき、あらかじめ余裕を持ったご資金にてお取引いただきますようお願い申し上げます。
レバレッジ取引では「買い」からだけでなく「売り」からも取引を始められます(「空売り)といいます)。空売りについて詳しく知りたい方は「暗号資産(仮想通貨)取引の空売り(ショート)とは?取引方法や注意点を紹介」もご覧ください。
※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。
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