MASK(マスクネットワーク)とは?将来性や特徴を解説
「情報」の提供媒体は、これまで新聞やラジオ放送、テレビ放送といったように、時代と共に変遷してきました。そして2010年代、スマートフォンの普及と共に急速に発展したSNSは、それまで数十年続いてきた媒体とは比較にならないほど広範囲に、素早く、取捨選択されながら情報を提供することが可能になりました。
一方、Web2時代が進むにつれ、それまでは起こり得なかったプライバシー問題や、ほんの一部の企業による情報の独占化が顕在化していきます。
この課題に取り組むマスクネットワークは、従来のWeb2.0型SNSを基盤としながら、暗号化技術とWeb 3.0の新しいテクノロジーを用いて、プライバシーを重視しつつ、セキュリティの高いインターネット空間を普及するために開発されました。
この記事では、マスクネットワークやそのネイティブトークンMASKについて、特徴やその将来性を含めて詳しく解説します。
マスクネットワークの特徴
マスクネットワークは、米国、日本、シンガポールに拠点を置くDimension(Sujitech LLC/スジテク合同会社)によって推進されているプロジェクトです。元々はマスクブック(Maskbook)というプロジェクト名でしたが、2020年に現在のマスクネットワークという名称にリブランドされています。
マスクネットワークは、一般的なソーシャルネットワーク上でセキュリティやプライバシーを高めた通信ができるようにする目的で、DApps(分散型アプリケーション)プラットフォームを構築しています。
ユーザーはマスクネットワークのブラウザ拡張機能またはモバイルアプリを通じて、X上で安全に暗号資産を送受信したり、DeFiサービスでアート作品やデジタルコレクタブルを直接購入・売却したりすることができます。
このように、マスクネットワークプラットフォームを利用することで、ユーザーは既存のSNSという慣れ親しんだWeb2サービスを利用しながら、気軽にWeb3の探索や体験を行うことができます。
プロジェクト推進者のDimensionとは?
Dimensionは、2023年12月には「Seamoon Protocol(SMP)」の推進企業である株式会社DM2C Studioに出資を行うなど、Web3.0テクノロジーの拡大にも貢献しているほか、情報の自由とプライバシー保護をコアバリューとして、ユーザーがSNS上での情報共有に暗号技術を組み込むことができるようにするための、Web3.0テクノロジーとアプリケーションを提供しています。
Dimensionが提供する製品は、マスクネットワークの他に、Web3プロトコルの「NEXT.ID」やモバイルアプリの「Firefly」といったアプリケーションがあります。
Web3プロトコルのNEXT.IDは、分散型ID(DID)を活用した新しいサービスです。普段SNSを使うとき、利用するSNSごとに別々のアカウントが必要であり、異なるユーザー名やパスワードを覚えたり入力したりする必要があります。また、個人情報がそれぞれの会社によって異なる方法で管理されていて、自分でコントロールすることが難しくなりつつあります。
NEXT.IDを利用すると、これら全てのアカウントやデータを「分散型ID」として1つにまとめることができるようになります。これにより、たくさんのIDやパスワードを覚える必要がなくなり、安全に自分の個人情報を管理することができるようになります。2024年5月現在は対応しているSNSは限られているものの、今後開発が進めば、より多くのSNSにも対応していくでしょう。
モバイルアプリのFireflyは、スマートフォンアプリで、XをはじめとしたWeb2.0のSNSや、LensというWeb3.0のSNS、他にもNFTのマーケットプレイスをひとつのアプリで同時に利用することができる「アグリゲーターアプリ」となっています。また、前述したDimensionが提供するNEXT.IDと組み合わせて使用することもできます。
MASKとはどんな暗号資産(仮想通貨)?
MASKは、2021年2月19日に発行されたマスクネットワークのネイティブトークン(基軸通貨)となる暗号資産(仮想通貨)です。
MASKのユースケース
MASK保有者はsnapshotというガバナンスプラットフォームにて、MaskDAOのガバナンス提案に参加できます。MaskDAOにて決議された提案は、マスクネットワーク発展のために実行されます。ただし、2024年4月時点ではsnapshotにおいて1年以上新しい提案が更新されていません。今後、MASKのユースケースが拡大すれば、より注目が高まるかもしれません。
MASKの価格推移
MASKが発行された2021年は、4月に2,700円を記録しながらも、その3か月後の7月には330円前後まで落ち込みました。このように、総じて高いボラティリティの中、年末まで約1,000円~2,000円前後で推移しました。
2022年に入ると米国の政策金利上昇によって暗号資産市場全体が冷え込みます。MASKも他の暗号資産と同様に価格は大きく下落し、4月には約500円まで落ち込みます。さらに5月には、追い打ちをかけるように発生した「テラ事件」による影響を受け、MASKの価格は200円台まで下落しました。その後、約半年後の10月末まで150~200円前後で推移することとなります。
一方、同年11月に発生したFTXの破綻によって転機が訪れます。それまで約150円台であったマスクはこの事件により価格は急上昇し、たった1週間ほどで約800円にまで達しました。この急上昇はさすがに過熱感がありすぎたのか、その後は約350円まで調整が入るものの、MASK史上最も低い価格帯(2024年3月時点)であった150円台から抜け出すことに成功しました。そして、2022年は結果的に約270円で幕を閉じます。
2023年1月~3月の間は、暗号資産市場が好調であったこともあり、MASKも同様に価格を上昇させていきました。とりわけ、同年3月に発生したシリコンバレー銀行(SVB)の破綻は、MASKにとって大きな好材料となり、一時900円まで近づくほど価格が上昇しました。
しかし、この勢いは長くは続かず、同年6月中旬まで価格はゆるやかに下落し続け、約500円の水準で価格が安定しました。その後は同年8月、米国の経済動向により暗号資産市場が一時的に下落したことで、MASKも300円台後半まで下落したものの、11月には再び500円の水準に復帰しています。
2024年1月~3月は、BTCが日本円建てで1,000万円、米ドル建てでも史上初の7万ドルに達したことにより、暗号資産市場は大きく活気づきました。これに連れられてMASKも760円にまで上昇するも、翌4月には500円水準まで値を戻しています。
MASKの将来性と今後の展開
MASKの将来性は、マスクネットワークエコシステムの発展が鍵を握るでしょう。
マスクネットワークの運営団体であるDimensionは2023年4月、ソーシャルキュレーションプロトコルである「RARA」の開発チームを買収しました。
RARAはアプリケーション、NFT(Non-Fungible Tokens)、または個々のユーザー向けに、NFTに対するコメントやリアクション(反応)を通じてキュレーション(選定・編集)するプラットフォームです。
ソーシャルネットワークおよび他のNFTアプリケーションのビルダーは、RARAを用いることで、NFTにリアクションやコメントを追加できるようになります。これにより、マスクネットワークが目指す「分散型ソーシャルネットワークエコシステム」の構築に一歩近づきました。
MASKの将来性においては、既にエコシステム上に展開されたマスクネットワークや、Web3プロトコルの「NEXT.ID」やモバイルアプリの「Firefly」、そして今回の「RARA」などのソリューションの拡大が重要な要素でしょう。
また、エコシステムで展開されているDApps(分散型アプリケーション)の開発や、他のプロジェクトへの投資戦略は活発な一方で、ネイティブトークンであるMASKの用途が限られているという課題があります。
現在、Dimensionが提供しているサービスのうちMASKトークンを利用できるものは限られていますが、拡大しつつあるエコシステムの中にMASKを組み込むことができれば、結果的にMASKの価格にも好影響を与えることになるでしょう。
今後、マスクネットワークエコシステムの広がりに対してMASKの用途がより拡大すれば、さらなる可能性も見えてくるかもしれません。
まとめ
マスクネットワークはWeb2.0からWeb3.0への橋渡しをすることを目指すプロジェクトです。
プロジェクト推進者のDimensionは2023年12月、「Seamoon Protocol(SMP)」の推進企業である株式会社DM2C Studioに出資を行ったように、Web3.0の推進をリードしています。
エコシステムにはマスクネットワークの他に、Web3プロトコルの「NEXT.ID」やモバイルアプリの「Firefly」といったアプリケーション、そして2024年2月に買収した「RARA」など、様々なWeb3.0ソリューションを提供しています。
エコシステム全体のガバナンストークンであるMASKトークンは、2024年5月現在は目立った使い道は用意されていないものの、プロジェクトは日々進んでいるため、今後のユースケース拡大に注目が集まります。
※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。
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