暗号資産(仮想通貨)ソラナ(SOL)とは?将来性や今後を解説

ソラナ
将来性
2024-03-13 更新

暗号資産(仮想通貨)ソラナ(SOL)は、DApps(分散型アプリケーション)開発ができる数あるパブリックブロックチェーンの中でも、超高速・低コストで利用できるブロックチェーンプラットフォームとして、高い注目を集めています。

ソラナは2020年に登場したばかりのブロックチェーンにも関わらず、ソラナのネイティブトークンであるSOLは、時価総額ランキングでも常に上位にランクインしており、話題に事欠かない暗号資産の一つになりました。

この記事では、常に注目度の高いソラナについて、その仕組みを始め今後の見通しや将来性について詳しく解説します。

ソラナ(SOL)とはどんな暗号資産(仮想通貨)?

ソラナ(Solana)は2020年3月に誕生し、高い性能によってDApps(分散型アプリケーション)の開発を支えることを目的として開発されたパブリックブロックチェーンプラットフォームです。DeFi(分散型金融)、NFT、決済、ゲームなど様々な分野で利用されることを目指しており、ネイティブトークンにSOLという暗号資産(仮想通貨)があります。

ソラナは、DApps開発が可能な他のプラットフォームとの差別化が図るために、超高速かつ低コストを実現しました。レイヤー1ブロックチェーンであるソラナは、安価な取引手数料、強化されたスケーラビリティ、高速なトランザクションなどから「イーサリアムキラー」の代表格として注目されています。

ソラナは、通信技術や半導体の開発設計を行っている米国クアルコム社に勤務していたソフトウェアエンジニアのアナトリー・ヤコベンコ(Anatoly Yakovenko)氏と、グレッグ・フィッツジェラルド(Greg Fitzgerald)氏が共同で立ち上げたSolana Labsによって開発されたオープンソースプロジェクトです。

アナトリー・ヤコベンコ氏は、イーサリアム(ETH)を参考にしながらも分散性を実現しつつ、処理速度や取引コストを犠牲にしないブロックチェーンの開発を目指しました。

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ソラナ(SOL)の特徴

ソラナの大きな特徴は、1秒間に最大65,000件のトランザクション(取引)を処理できる高いスケーリング性能と、取引手数料の低さです。ソラナの公式サイトによると、1回の平均取引手数料は0.00025ドル程度とされています。

このような性能は、独自のコンセンサスアルゴリズムであるプルーフ・オブ・ヒストリー(Proof of History:PoH)により、レイヤー2技術に依存せずに高いスケーリング性能を実現しているからです。加えて、ソラナのブロックチェーンでは約0.4秒ごとに新しいブロックが生成され、全てのトランザクションがオンチェーンで処理されます。これはビットコイン(BTC)が約10分、イーサリアムが約15秒という現状と比較すると非常に高速な処理速度といえます。

また、イーサリアムなどはスケーラビリティ問題の解決策としてレイヤー2技術を採用し試みていますが、レイヤー2には脆弱性や透明性の課題があるといわれています。一方でソラナはレイヤー1のみで処理が完結することからも、セキュリティ面での安心感や透明性あると評価されています。

ソラナは、コンセンサスアルゴリズムとしてPoHのほかに、ネットワークのセキュリティ性能を高めるために、暗号資産SOLによるステーキングの仕組みとしてプルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake:PoS)を実装しています。

ソラナはそのほかにも、元々Certus Oneによって開発されたイーサリアムとソラナのブリッジ機能Wormhole(現在はWormhole Labsが開発)と接続するなど、イーサリアムを始めとする他のブロックチェーンとの相互運用性(インターオペラビリティ)を高め、クロスチェーン環境の提供にも力を入れています。

ソラナ(SOL)の仕組み

一般的に、パブリックブロックチェーンには「スケーラビリティ」「セキュリティ」「非中央集権・分散性」の「ブロックチェーンのトリレンマ」が存在するといわれています。

トリレンマとは、3つの要素を同時には実現できない事象を表すものです。

パブリックブロックチェーンにとって、スケーラビリティ、セキュリティ、非中央集権・分散化の3つの要素は欠かせないものですが、これらの要素はどれか2つを満足させると残りの1つはその犠牲となり、すべての要素を同時に満たすのは難しいとされてきました。

たとえば、セキュリティとスケーラビリティを優先するブロックチェーンでは、分散性が犠牲になり中央集権的なネットワークになりやすくなるという課題が生じます。こうした状況を、イーサリアムの創設者の一人であるヴィタリック・ブテリン氏は「ブロックチェーンのトリレンマ」と指摘し、ブロックチェーンの課題として認識されてきました。

しかし、ソラナは8つのコアイノベーションを採用し、一般的に「ブロックチェーンのトリレンマ」と言われる問題を解決しています。これにより、高いスケーリング性能を持つ一方で、スケーラビリティ、セキュリティ、非中央集権性・分散性の全てを同時に維持しています。このため、トリレンマを克服した数少ないブロックチェーンとされています。

トリレンマを解決したソラナ8つのコアイノベーションとは以下の項目です。

・ プルーフ・オブ・ヒストリー(PoH):独自のコンセンサスアルゴリズム

・ Tower BFT:PBFT(Practical Byzantine Fault Tolerance、ビザンチン将軍問題への耐性)をPoHに最適化

・ Turbine:ソラナブロックチェーンへのデータ伝播プロトコル

・ Gulf Stream:Mempool(メモリプール)不要のトランザクション転送プロトコル

・ Sealevel:世界初のスマートコントラクト並列処理

・ Pipeline:トランザクションを検証するためのプロセッサのユニット化

・ Cloudbreak:水平スケーリングアカウント型データベース

・ Archivers:分散型台帳ストレージ

PoHを中心にそれぞれについて、簡単に解説します。

プルーフ・オブ・ヒストリー

8つのコアイノベーションの中で、ソラナ最大の特徴が独自のコンセンサスアルゴリズムであるPoHです。

ソラナは、データベースレベルの処理速度を担保したまま分散型ネットワークを構築できていいます。ノード(ネットワークを支えるコンピューター)のマシンスペックが高いこともトランザクション処理の速さの理由の一つでもありますが、最大の理由はPoHでは世界中に広がっているノード同士が非同期であることにあります。通常のブロックチェーンは、トランザクションの承認にはノード間で常に同期が必要ですが、PoHではそれを非同期にできるため、同期を取るための時間が不要になります。

ブロックチェーンのような分散型システムは、ネットワーク内のノード、外部の時刻ソースやメッセージに現れるタイムスタンプを信用することができません。そこで、通常のブロックチェーンはノード間で同期を取りながら「中央値」タイムスタンプによってこの問題を解決しています。

具体的にはネットワークに表示される各メッセージは、ノード間で同期を取りながらネットワーク全体に情報が伝搬されることによって得ることができるスーパーマジョリティ(議決権の3分の2超)によってタイムスタンプを決定しています。これがトランザクション処理の遅延の一因となる場合があります。

では、タイムスタンプを信用する代わりに、ある出来事の前後でメッセージが起こったことを証明できるとしたらどうでしょうか? それがPoHというコンセンサスアルゴリズムです。

PoHでは、非同期でタイムスタンプの代わりになる、特定の時点でイベントが発生したことを証明する履歴レコード(ヒストリーである所以)を作成できます。イメージとしては、日付がわかる新聞や雑誌などの表紙と一緒に写真を撮ると、その写真がその新聞が発行されたあとに撮られたことを証明できるようなものです。PoHの履歴レコードが、まさにそれにあたる仕組みです。

また、ソラナはビットコインに似たブロック構造において、直前のブロックの出力値を次のブロックのハッシュ値の入力値として使用し、次のブロックが生成されたことを直前のブロックが生成された直後であることの証明として使用しており、ブロック構造自身が取引の時系列を表しています。

その他のコアイノベーション

非同期のPoHにより、ソラナの各ノードは互いにタイミングを合わせる必要がないため、高速にトランザクションを処理できます。

実は、PoHは厳密にはコンセンサスアルゴリズムではありません。PoHはその他のコアイノベーションや、もう一つのコンセンサスアルゴリズムであるPoSとの組み合わせによって、ソラナ全体のコンセンサスアルゴリズムを形成しています。

例えば、Tower BFT(タワーBFT)は、悪質なプレイヤーの攻撃からネットワークを保護することを目的とするPoHに最適化されたPBFT(Practical Byzantine Fault Tolerance、ビザンチン将軍問題への耐性)の仕組みです。

また、PoHの非同期の仕組みがTurbine(タービン)であり、ガス代(取引手数料)高騰を回避する仕組みがGulf Stream(ガルフストリーム)です。

ちなみに、イーサリアムのように取引手数料(ガス代)が固定されておらず、手数料を多く支払う取引が優先的に承認されるブロックチェーンでは、取引が増えれば増えるほどユーザーはより早く取引を処理してもらおうと競争するため手数料を多く支払う力学が働き、ガス代が高騰するという大きな問題を抱えています。

また、ガルフストリームは未確認トランザクションを事前に処理する機能で、バリデーターは自分がブロックを生成する順番が来る前に、トランザクションを受け取ることができます。その結果、トランザクションの待ち時間が削減され、システム全体のパフォーマンスが向上します。

Sealevel(シーレベル)は、スマートコントラクトを並列処理できる世界初の仕組みです。これによってトランザクションの処理を高速に行うことが可能になります。

そして、そうしたトランザクションを検証するためのプロセッサのユニット化がPipeline(パイプライン)です。パイプラインはソラナネットワーク上でトランザクションを検証する際に、異なるハードウェアであっても効率的に処理が可能になります。

水平スケーリングアカウント型データベースであるCloudbreak(クラウドブレイク)はプログラム実行時の同時読み取りと同時書き込みの数を増やすことでパフォーマンスを向上させます。

ソラナは、Archivers(アーカイバーズ)という分散型台帳ストレージを利用します。ネットワークバリデーターは、このアーカイバーズというノードネットワークにデータを転送して検証します。

こうしたコアイノベーションの組み合わせによって、ソラナの高速トランザクション処理と低コストは実現されています。

ソラナにおけるPoSの役割

ソラナはPoHのほかにも、コンセンサスアルゴリズムとしてタワー BFTによって強化されたPoSを採用しています。

PoHはトランザクションの順序を確認する時間を改善する方法であり、2つのトランザクション間の時間の経過を暗号で検証できる方法を提供しますが、最終的にトランザクション処理(承認)を行うのがPoSです。

ソラナでは、SOLのステーク量によってトランザクションのバリデーター(承認者)を決定します。バリデーターには、取引の検証・承認のインセンティブとしてステーキング報酬が付与されます。

こうした二重コンセンサスメカニズムにより、ソラナは高速トランザクション処理の迅速なブロック生成時間を実現しています。

ちなみにソラナのSOLの新規発行に伴うインフレ率は、1年目の8%を基準に毎年15%下落する仕組みを持ち、ステーキング報酬として使用することやネットワークへの攻撃コストを高めることを目的に、最終的には1.5%に固定される決まりになっています。

SOLは取引手数料の支払い、報酬の分配に使用される他にも、保有量によってガバナンスの決定にも参加できるネイティブトークンです。

ソラナ(SOL)の今後や将来性は

高速トランザクション処理、低コストで利用できるソラナは、DAppsの開発プラットフォームとしてすでに人気が高く、これまでイーサリアムのDAppsとして人気を博していたDeFiやブロックチェーンゲームの多くが、その基盤をソラナに切り替えているほどです。

またMove to Earnで一世を風靡したブロックチェーンゲーム「STEPN」や、NFTマーケットプレイス「Magic Eden」などが、ソラナを基盤にリリースされています。

ソラナでは、2021年からEVM(イーサリアム仮想マシン)の「Neon EVM」の開発が進められ、2023年7月に正式リリースされました。EVMが利用できることで、イーサリアム上にある既存のDAppsは、容易にソラナへ移行することが可能となりました。

イーサリアムと同等のサービスが、ソラナで高速トランザクション処理、低コストで運用可能になれば、まさにイーサリアムキラーにもなりかねません。

そうした期待も寄せられていることから、ソラナ登場当初から話題となっており、ソラナを利用した様々なユースケースもまた注目されるようになりました。

まとめ

ソラナはこれまで何度か突然のネットワーク停止を経験しており、ネットワークの安定性に疑問が投げかけられていました。また、高い計算能力を要求するソラナのノード要件は、中央集権化につながる可能性があるという意見も聞かれます。

ソラナは、他のブロックチェーンプラットフォームとの厳しい競争にも直面しており、イーサリアム自身もまたスケーラビリティ問題等に取り組んでいることから、ソラナだけが優れているということでもありません。

しかし、こうした課題がある中でも、ソラナは着実に支持者を増やしています。

今後の展望として、ソラナはさらなるスケーラビリティの向上、分散化の促進、セキュリティ対策の強化を掲げています。ソラナの発展は、すでに計画されている数多くのユースケースが実現されることにかかってくるのではないでしょうか。ソラナの動向は今後も要注目です。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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