日本発のファントークンFCRコインとは?特徴や今後の将来性も解説

FCRコイン
将来性
2023-12-13 更新

ファントークンとは、欧米のプロチームを中心に発行されており、お気に入りのスポーツチームや選手を応援したり、運営に関わったりできる仕組みを持ちます。そして、沖縄のプロサッカーチームであるFC琉球(運営企業:琉球フットボールクラブ株式会社)も「FCRコイン」というファントークンを発行しました。FCRコインは投資対象であるだけでなく、沖縄という地域との連携を目指した他の暗号資産にはない特徴を持っています。この記事ではFCRコインについて特徴や今後の将来性についても解説します。

FC琉球が発行するFCRコイン

FCRコイン(FC Ryukyu Coin)は日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に所属する沖縄のサッカークラブFC琉球が発行するファントークンの一種です。
イーサリアム(ETH)のトークン規格ERC-20を採用しており、発行枚数は10億FCRで追加発行の予定はありません。

2022年4月から5月にかけて、日本のプロスポーツクラブとしては初となるIEO(Initial Exchange Offering)を実施したことで話題となりました。IEOとは、暗号資産交換業者がプロジェクトと投資家の間に入って管理する資金調達方法です。暗号資産交換業者が介在することで、ICO(Initial Coin Offering)に伴うリスクを軽減させ、よりユーザーが資金調達イベントに参加しやすくするものと考えられています。

FCRコインが発行された背景には、FC琉球に代表されるような地域サッカークラブの課題があります。以下の3つが課題としてホワイトペーパーに挙げられています。

  • ・運営資金の確保
  • ・ファン・サポーターによる支援方法
  • ・根本的な構造

運営資金の確保

2022年2月にはクラブの株式上場がようやく解禁されましたが、2023年9月現在でも、Jリーグは競技成績や人気、経営力で優れた上位10クラブ程度を新規株式公開(IPO)の「候補」として支援する方針であることが報道されたばかりです。しかし、こうした「候補」に選ばれるための基準を地域クラブやJ2やJ3のチームがクリアするのは非常に難しいのが実態でしょう。IPOが難しいとなると、資金調達方法はスポンサー企業からの支援やクラウドファンディングといった方法に限られてしまいます。そしてスポンサーを集めるとしても、都市部のチームと比べると資本力が劣ることが現状です。

ファン・サポーターによる支援方法

多くのファンや資金力をもつファンを獲得できたとしても、IPOが難しければファンによる支援方法も制限を受けてしまいます。資金援助ができるファンがいたとしてもその仕組みがなければ需要と供給のミスマッチが起きてしまうでしょう。

グッズの購入や試合観戦などの支援はすでに行われていますが、ファン・サポーターと選 手及びサッカークラブがより深くつながる関係構築が必要とされています。

また、ファンやサポーターからの支援がより強くなることでスポンサー企業だけに頼らない運営方法にもつながるかもしれません。

根本的な構造

上記2つの課題は地域密着型のサッカークラブ運営を行うJリーグが持つ根本的な構造であるといいます。しかし、1991年の設立当初からスマートフォンやソーシャルメディアの普及によって情報配信方法も大きく変わりました。

ブロックチェーンの普及によって信頼を担保する方法も構築され、ファン・サポーターとの信頼関係を「アップデートしていく必要性」に迫られているということです。

上記のような課題解決の方法として、FCRコインを通じたサッカークラブを支援する仕組みである「FC RYUKYU SOCIO」というコミュニティプラットフォームが開発されました。

FC RYUKYU SOCIOとは

FC RYUKYU SOCIOはファンやサポーター、選手及びサッカークラブの関係性の向上を目的としたサービスや機能があるコミュニティプラットフォームです。暗号資産(仮想通貨)であるFCRコインを通じてファンとチーム、そして選手の新しい関係を構築するために運用されています。将来的にはFCRコインを地域通貨として利用する決済機能を導入するなど、様々なサービスの提供が計画されています。

FCRコインのホワイトペーパーには「アジアのサッカーは、市場規模、競技レベルにおいて、欧州や南米に及ばない」と書かれています。こうした意識のもと、FC RYUKYU SOCIOによって日本がアジアとより深く繋がり、強化、普及、教育を推進していく仕組みを作り出すことで、 アジアのサッカーを欧州や南米に近いポジションまで押し上げていくことをビジョンに見据えています。

FC RYUKYU SOCIO では、FCRコインの売買や投票、投げ銭、企画運営や特典の付与といったファンとサポーターとの交流やチーム・選手の支援を担います。例えば応援する選手や活躍した選手にFCRコインやコメントをプレゼントすることができる応援機能やチーム運営に関する投票イベントなどが行われます。

FC RYUKYU SOCIOでは独自の指標を基にFCRコイン保有者を評価し、そのアクティブ率に応じて新たに一定数のFCRコインが無償で付与されます。

アクティブ率は「投票」「試合観戦」「グッズ購入」「FCRコイン送付(投げ銭)」「FCRコイン保有数」が指標として挙げられています。

FCRコインの5つの特徴

FCRコインは暗号資産(仮想通貨)として売買ができるほかに、FC琉球のファントークンとして、投票や投げ銭、企画運営や保有者向けの特典など、以下のような5つの特徴や用途があります。

  • ・トークンパートナーとしての権利獲得
  • ・選手・チームに対するFCRコインの送付機能
  • ・サッカークラブ運営における投票決議への参加権利
  • ・沖縄経済の活性化
  • ・NFTを活用したデジタルコンテンツの購入

トークンパートナーとしての権利獲得

トークンパートナーとは一定数のFCRコインを保有しているユーザーのことです。500万FCR以上を「プラチナトークンパートナー」、50万FCR以上を「ゴールドトークンパートナー」と定義しています。

トークンパートナーになると、「トークンパートナー」として試合時の紹介、公式サイトでのロゴ掲載、インタビューボードへのロゴ掲載、ファンミーティングへの招待など、 保有数量に応じて様々な特典があります。

選手・チームに対するFCRコインの送付機能

FC RYUKYU SOCIO にはFCRコインの送付機能があります。ファンやサポーターがお気に入りの選手へコインを送付できる機能です。

観戦した試合で見事なゴールを決めた選手や今後活躍することに期待を込めるなど、さまざまな送付理由が考えられるでしょう。いわゆる「投げ銭」のように使うことでファンの醸成とともに選手のモチベーション向上にも繋がります。

サッカークラブ運営における投票決議への参加権利

FCRコインの保有者はサッカークラブの運営に意見を伝える権利が得られます。例えばユニフォームデザインや公式グッズの企画、ファン向けイベントの内容など、投票の際にFCRコインを送付し、運営側に自身の意思を伝えることができます。

投票も透明性を確保し、運営をオープンにすることでファンやサポーターとの関係性を構築していくことにつながります。

沖縄経済の活性化

企業がトークンパートナーとなるとFC RYUKYU SOCIO加盟店となります。加盟店になると、その企業のサービスをFCRコインによって受けられるようになる予定です。企業にとって、顧客を増やすことにつながり、沖縄経済の活性化につながるとのことです。

加盟店での決済手段として使うことで「地域通貨」として機能する役割を持たせることができます。

NFTを活用したデジタルコンテンツの購入

FC琉球は2022年5月に公式マスコットであるジンベーニョのNFTを1000名に無償配布しました。NFT保有者に対し、毎シーズン1試合無料でホームゲームを観戦できる権利を提供しています。そのほかにもホワイトペーパーでは、FC RYUKYU SOCIO内の限定コンテンツへのアクセス、そしてFCRコインのエアドロップ(無償配布)を予定しているとのことです。

NFTを活用することでチケットを発行し購入できる仕組みだけでなく、FC RYUKYU SOCIO内でのみ購入できる画像や動画などのデジタルコンテンツ配信を計画しています。

地域サービスと連携するFCRコインの今後と将来性

FCRコインは、地域通貨としての決済機能など様々なサービスに運用され始めています。

FC琉球は沖縄県内の飲食店や商店などで使えるプレミアムギフトチケットを発行しており、実際に、2022年12月には、そのプレミアムギフトチケットをFCRコインで購入することができました。このチケットは1FCRコイン=1円換算で沖縄県内の加盟店で利用でき、2023年6月には第2弾のチケット販売が実施されるなど、継続的に地域貢献に運用されています。今後も地域サービスとの連携の拡大が期待されるかもしれません。

FC琉球はこれまでのプラットフォームの運用実績をもとに、他国へも展開する計画を持っています。沖縄を中心に、アジア中のサッカークラブへ門戸を開く等、他のサッカークラブによる FC RYUKYU SOCIOと同様のプラットフォームの導入をサポートする計画です。トークンパートナーをアジア全体から募集する仕組みも検討していることも明らかになっています。

より課題レベルの高いアジアのチームから順にプラットフォームの導入をサポートし、 2021年から5年以内に5チーム以上の活用を目指すとしています。

プラットフォームの導入サポートについてはFCRコインとの関連は特に明示されていませんが、FC RYUKYU SOCIOの加盟店を広げる計画が示されており、加盟店が増えることでFCRコインの需要にも繋がることが想定されるでしょう。

まとめ

FCRコインは沖縄のプロサッカーチームであるFC琉球が発行するファントークンです。運営資金の確保や地域のサッカークラブが抱える課題やファン・サポーターとの新しい関係を構築するため、FC琉球独自のプラットフォームである「FC RYUKYU SOCIO」内で利用できます。

FCRコインの保有量によって「トークンパートナー」としてさまざまな特典が与えられるほかに、選手に投げ銭として送付したり、試合でどのようなユニフォームを着用するかを投票したりする権利が得られます。2023年5月には前年までチームで活躍した選手の生解説で試合が楽しめる「特別解説シート」が5万FCRコイン(約15,000円)で販売されるなど、ファンが楽しめる仕組みに取り込まれています。

将来的にはアジア展開も見据えており、資金面で苦慮するチームへの助けとなる仕組みづくりに取り組んでいます。投資目的の暗号資産というだけでなく、地域やスポーツ業界への貢献にもつながるものとして今後の展開が予定されています。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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