ブロックチェーンのハードフォークとは何か

ブロックチェーン
ハードフォーク
2018-09-26 更新

ビットコインをはじめとする仮想通貨のブロックチェーンにおいてハードフォークが実施されると、さまざまな影響が及ぼされると言われています。いったい、ハードフォークとはどのようなことを意味する言葉で、仮想通貨のユーザーはどういったことに気をつけておくべきなのでしょうか?

また、ハードフォークとともにソフトフォークという言葉も仮想通貨の世界ではよく用いられているようです。両者の間には、どのような違いがあるのでしょうか?ここでは、ハードフォークについて解説します。

ブロックチェーンのハードフォークとは

一般的にはビットコインをはじめとする仮想通貨の普及に伴って、ハードフォークやソフトフォークといった言葉を見聞きするようになったという感覚があるでしょう。しかしながら、ソフトウェアの開発現場では、かねてからこれらの言葉をよく用いられていました。ソフトウェアの世界では、旧仕様のものとはまったく互換性のないアップデートをハードフォーク、互換性を保ったかたちでのアップデートをソフトフォークと呼んできました。

それでは、ビットコインをはじめとする仮想通貨のブロックチェーンにおけるハードフォークとソフトフォークは、どのようなことを意味しているのでしょうか。大まかには、ソフトウェアの世界で用いられているそれらと共通している部分があると言えるでしょう。

まず、フォーク(Fork)とはブロックチェーンが枝分かれ(分岐)する現象を意味しています。そして、旧仕様では有効だったルールを新仕様においては無効とする(あるいは、旧仕様で無効だったルールを新仕様においては有効とする)ことで、分岐が永久に続いていくケースをハードフォークと呼んでいます。

これに対し、同じく分岐は発生するものの、一時的な現象にとどまるのがソフトフォークです。ソフトウェアのケースと同様、こちらは新旧の仕様に互換性があるからです。仕様変更時にいったんはブロックチェーンが分岐しますが、やがて合流して一本化されます。

ハードフォークやソフトフォークは、なぜ実施されるのでしょうか? 要は、仕様を変更する必要が生じたからであって、個々のケースでその理由は異なってきますが、ビットコインの場合にはスケーラビリティ問題が深く関わっています。

スケーラビリティ問題とは、ビットコインのブロックチェーンにおいて、1つのブロックの中に書き込めるトランザクション(取引)の数が限られていることが引き起こす障害のことです。ブロックの容量がフルに達するまでデータが書き込まれるとトランザクションの処理速度が急低下し、送金遅延が発生してしまうのです。

ビットコインのブロックサイズは1MBに制限されており、アルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)と比べて容量が小さいのが実情です。このため、すぐに容量がフルとなって処理速度が低下しがちです。ブロックに入りきらないデータが溢れかえるとトランザクションの処理速度はいっそう低下し、送金の遅延にとどまらず、送金要求が承認されないというアクシデントまで発生しかねません。しかも、繁忙期にホテルの宿泊料が跳ね上がるように、データが溢れかえってしまうとトランザクションの認証を手掛けているマイナー(採掘者)に支払う取引手数料も割高になります。

そこで、ビットコインにおいてはもっぱらスケーラビリティ問題の解決を図るために、ハードフォークやソフトフォークの実施が検討されてきました。では、それぞれの解決方法とは、いったいどのようなものなのでしょうか。

ソフトフォークでは、ブロックに書き込むデータの縮小化(圧縮)を図ることによって、1つのブロックに書き込めるトランザクションの量を増やします。そのために仮想通貨の仕様を変更し、それに伴ってブロックチェーンがいったん分岐します。しかし、前述したように旧仕様に基づいてつながっているチェーンと新仕様に沿って生じ始めたチェーンとの間には互換性があり、それぞれが一本化されるため完全な分裂とはなりません。

一方、ハードフォークではブロックの容量を増やすことで、スケーラビリティ問題の解決を目指します。そのためにはブロックチェーン自体の仕様を変更する必要があり、旧方式と新方式との間には互換性がありません。こうしたことから、ハードフォークが実施されるとブロックチェーンが枝分かれした状態が続き、その仮想通貨は分裂することになります。

ハードフォークによるリスクや問題点とは

ハードフォークに成功すれば、ビットコインが抱えるスケーラビリティ問題のような課題解決に向けて、大きく前進することになります。しかし、ビットコインをはじめとする仮想通貨の分裂を伴う“荒療治”であるだけに、大なり小なり混乱も発生しうるでしょう。

また、ビットコインなどの仮想通貨の分裂を巡っては投資家の間でさまざま思惑が錯綜しがちで、それが価格の変動にもインパクトをもたらすことが考えられます。詳しくは後述しますが、ビットコインにおいてハードフォークが実施される直前には、アルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)や法定通貨に乗り換えて様子を見る動きが活発化し、それに伴って価格が急落しました。

その一方で、ビットコインやイーサリアムというアルトコインがそうだったように、ハードフォークの実施前にその仮想通貨を保有していると、分裂して新たに誕生した仮想通貨が無償で付与されるケースがあります。そのことを期待した投資家の動きが急激な価格上昇を引き起こす可能性も考えられるわけです。

分裂前後の急激な価格変動以外にも、気をつけておくべきポイントはいくつか存在しています。ハードフォークによるブロックチェーンの分岐は新旧において互換性が保たれないだけに、送金遅延やビットコインなどの仮想通貨の消失といったトラブルを引き起こす可能性も考えられます。

そういった障害の発生を警戒して、仮想通貨交換業者はハードフォークの前後にその仮想通貨の取引を停止します。当然、その間は送金や受け取り、決済での利用が不可能となってしまいます。

では、過去にはどのようなハードフォークが実施されたのでしょうか。その一例として挙げられるのがイーサリアムです。2016年7月にハードフォークに踏み切り、イーサリアムからイーサリアムクラシックが分裂・誕生しています。

このハードフォークのキッカケとなったのは、The DAO事件と呼ばれる大掛かりなハッキングです。2016年6月にDAOというトークン(代替仮想通貨)が標的となり、当時の価格で43億円相当がハッカーによる不正送金で盗難にあいました。

DAOはイーサリアムのブロックチェーン上に成り立っているトークンで、ドイツのベンチャー企業・Slock.itが運営するThe Daoというプロジェクトで使用されていました。自律分散型の投資ファンドを構築するというもので、DAOを購入すれば誰でも参加が可能でした。

購入によって手に入れたDAOは、The DAO本体でプールされていき、その保有者たちは投票で投資先を選んで運用を行います。その成果が配当としてDAOの保有者に還元されていく仕組みになっていました。

ハッカーはDAOの脆弱性や特有のスキームに着目し、2016年6月当時の価格で43億円相当を、密かに作成した別のアドレスに移しました。ただ、28日間はそのDAOをThe DAO本体の外へは動かせないというルールになっていたので、ハッカーはその期限を待つしか術がありません。

その間にDAOの保有者たちは議論を重ね、ハードフォークを実施して不正な取引事実を抹消する(ブロックチェーン上に記載されている犯行後の記録を削除する)ことを決断しました。イーサリアムコミュニティにおける過半数の賛成も得られ、事件発生から約3週間後にハードフォークが実施されたわけです。

ハードフォークによって、現行のイーサリアムはそれ以前の仕様よりもブロックサイズが拡大しています。これに対し、ハードフォークに反対して従来の仕様を引き継いだのがイーサリアムクラシックで、イーサリアムよりも規模が小さくなっています。

その後もイーサリアムは、DDoS攻撃を受けてハードフォークを繰り返しました。DDoS攻撃(Distributed Denial of Service attack)とは、「トロイの木馬」などのマルウェア(悪意のあるソフトウェア・コード)を使って複数のマシンを乗っ取ったうえで、DoS攻撃を仕掛けるというものです。DoS攻撃(Denial of Service attack)は攻撃目標であるサイトやサーバに大量のデータを送り付けて麻痺させるというサイバーテロ行為です。

こうして何度もハードフォークを繰り返してきたイーサリアムに対し、仮想通貨の先駆者であるビットコインは2017年を迎えるまで一度もハードフォークを実施したことがありませんでした。しかし、2017年の8月1日に初のハードフォークが敢行されています。

新聞などでも「ビットコイン分裂」と大々的に報道されたように、ハードフォークによってビットコインキャッシュが分裂・誕生したのです。この新たな仮想通貨はブロックの容量をビットコインの8倍に当たる8MBに拡大し、マイニング(採掘)も活発化するとともに、価格も上昇して瞬く間に第3位の時価総額を誇る規模まで勢力を広げました。

ハードフォークに伴う障害なども特に発生しなかったことから、ビットコインも価格の上昇が顕著となりました。また、その年の10月24日にもハードフォークが実施され、今度はビットコインゴールドが分裂・誕生しました。もっとも、こちらはブロックの容量がビッコインと同じで、スケーラビリティ問題の解消には結びついていません。

さらに、その年の11月24日にも、ビットコインにおいて3度目となるハードフォークがあり、ビットコインダイヤモンドが派生しています。ただ、こちらはさほど話題にも上らず、特に日本国内においてはほとんど取り扱いがない状態です。

ハードフォークの実施で保有中のコインはどうなる?

自分が保有していたビットコインなどの仮想通貨がハードフォークを実施することになった場合は、いったいどうなってしまうのでしょうか? たとえば、2017年の8月1日を迎える前にビットコインを持っていた人には、ハードフォーク後にそれと同数のビットコインキャッシュが配布されました。ハードフォーク前から保有していた人は、ハードフォーク後は自動的に2つのコインを保有しているとみなされたのです。

特に手続きを行う必要もなく、無償で新たな仮想通貨が手に入ったということです。ただし、ハードフォークが実施されると必ずこうした配布が行われることが約束されているわけではありません。

ハードフォークで何らかのトラブルが発生するのが不安で、手元のウォレットに移しておきたいと考える人は、実施の直前ではなく早めに行動を起こす方が良いでしょう。前述したように、仮想通貨交換業者はハードフォークの前後にその仮想通貨の取引を停止するからです。

今後のハードフォークの予定と対策

2018年5月、ビットコインから枝分かれして生まれたビットコインキャッシュは、ブロックの容量を32MBに拡大するためにハードフォークを行いました。そして、今後もさまざまな仮想通貨においてハードフォークが実施される見込みだと言われています。

米国大手総合情報サービス会社であるブルームバーグは2018年初めに、「昨年は19程度のビットコインのフォーク(派生した仮想通貨)が誕生したが、今年はさらに50も発生する可能性がある」というレックス・ソコリン氏(オートノマス・リサーチのフィンテック戦略担当世界ディレクター)の見解を報じました。

ちなみに2017年の19という実績値は、本来のハードフォークかどうかに疑問符が付き、ビットコインキャッシュなどと対等に扱うのはためらわれるケースも含めた数です。そういった割引材料があるにせよ、2017年にビットコインで連発されたのが刺激となって、今後はハードフォークが増えていくのは必然的な流れなのかもしれません。

だとすれば、日頃から保有しているビットコインなどの仮想通貨は自分のウォレットに移しておくように心掛けるのが賢明だと言えそうです。ハードフォークが引き起こした障害で保有しているビットコインなどの仮想通貨が消失する可能性もゼロではありませんし、そのタイミングを狙ってサイバー攻撃を仕掛けられる恐れもあるでしょう。

そういったリスクを踏まえて、ハードフォークの実施が決まったら、保有中のビットコインなどの仮想通貨は「秘密鍵」を自分でコントロールできるウォレットに保管しておくのが万全です。DMM Bitcoinはお客様からお預かりしている資産の90%以上をオフライン上(コールド・ウォレット)で分別管理しているので、前述したようなサイバー攻撃が発生しても問題ありません。

まとめ

日頃から仮想通貨は「秘密鍵」付きのウォレットで管理

フォークはブロックチェーンが枝分かれ(分岐)する現象を意味し、仮想通貨やそのブロックチェーンの仕様を変更することで発生します。ハードフォークは旧仕様と新仕様との間に互換性を持たせない変更となるため、チェーンの分岐がずっと続くことになり、それは新たな仮想通貨への分裂を意味します。これからは今まで以上にハードフォークが増えていく見通しのため、万一のトラブルも念頭に置いて、オフライン上での分別管理を徹底している仮想通貨交換業者で取引を行うのが賢明だと言えるでしょう。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

今、仮想通貨を始めるなら
DMMビットコイン

ページTOPへ