暗号資産(仮想通貨)ビルドアンドビルド(BNB)とは?将来性や今後を解説
暗号資産(仮想通貨)ビルドアンドビルド(BNB)は、BNB Chain Innovationが開発する独自ブロックチェーンのBNBチェーン上で発行されています。低コストで高速なトランザクションを実現できるBNBチェーンは、分散型アプリケーション(DApps)やノンファンジブルトークン(NFT)などWeb3時代をサポートする技術としても注目されています。
この記事では、ビルドアンドビルドの基本情報や特徴、将来性などについて詳しく解説していきます。
ビルドアンドビルド (BNB)とは?
ビルドアンドビルド(BNB)は、BNB Chain Innovationが開発する独自ブロックチェーン上で発行される暗号資産(仮想通貨)です。
暗号資産交換業、暗号資産関連デリバティブ取引業の自主規制団体であるJVCEA(日本暗号資産取引業協会)は2023年8月1日、ビルドアンドビルド(BNB)の新規取り扱いを発表しました。
バイナンスコインからビルドアンドビルドへ
ビルドアンドビルド(BNB)は、2017年の発行当初はバイナンスコインと呼ばれていました。
暗号資産交換業者のバイナンス(Binance)は、これまでに複数の独自ブロックチェーンを開発しています。
2019年4月にはバイナンスチェーン(Binance Chain)をリリースし、続いてDeFi(分散型金融)が話題になると2020年9月にはBinance Smart Chain(BSC)をリリースしました。
バイナンスチェーンはCosmos SDKを使って作られたチェーンであり、BSCはバイナンスチェーンと同期を取りつつもEVM(イーサリアム仮想マシン)と互換性のある、スマートコントラクトを実行できるブロックチェーンです。BSCはイーサリアム(ETH)向けに開発されたDAppsを容易に移植できます。
そして、バイナンスチェーンとBinance Smart Chainの両方のブロックチェーンのネイティブトークンがバイナンスコイン(BNB/現:ビルドアンドビルド)です。
イーサリアムブロックチェーンで初期発行されたバイナンスコインは当初、バイナンスの取引手数料の割引を受けるために利用されるなど用途が限定的でした。
BNBチェーンエコシステムの開始
暗号資産交換業者のバイナンスは、2022年2月15日、BNBチェーンエコシステムという枠組みを発表し、それにともない、既存エコシステムの名称も大きく変更されました。
具体的には、稼働中のブロックチェーンのひとつである「Binance Chain」は「BNB Beacon Chain」に、一方のブロックチェーンは「Binance Smart Chain」から「BNB Smart Chain」に変更し、さらにエコシステム全体で稼働するブロックチェーンの総称を「BNB Chain」としました。また同時に、トークン名もバイナンスコイン(BNB)からビルドアンドビルド(BNB)に改名されています。
バイナンスは改名理由について、BNBチェーンと暗号資産であるビルドアンドビルドが構築するエコシステムが、すでにバイナンスという暗号資産交換業者の枠を超えているため、名称からバイナンスを取り除くことにしたと説明しています。
同時にBNBチェーンは、MetaFiという新たなコンセプトを導入し、メタバース、GameFi、SocialFi、Web3、NFTといった異なるタイプのプロジェクトにDeFiインフラを提供し、MetaFiという概念のもとでブロックチェーンを展開していくとしています。
ちなみにMetaFiはMetadataとDeFiを組み合わせた造語とのことです。様々なデジタルデータを使い開発されたブロックチェーン上で取引可能なブロックチェーンベースのコンテンツやプロダクトを、DeFiにて活用していこうというイノベーティブな概念です。
ビルドアンドビルド、BNBチェーンの仕組みと特徴
ビルドアンドビルドの前身のバイナンスコインは、2017年6月26日から7月3日までの期間に行われたICO(Initial Coin Offering)によって発行された暗号資産(仮想通貨)です。発行価格は2700BNBの場合は1ETH、2万BNBの場合は1BTCでした。
バイナンスコインはもともとERC-20規格トークンとして、イーサリアムブロックチェーン上で発行されていました。
発行上限数は2億枚であり、うち1億枚がICOを通じて提供されています。
BNBチェーンは定期的なバーニング(焼却)イベントとリアルタイムのバーニングメカニズムにより、総供給量はこれより少ない枚数に調整されており、これらのメカニズムは総供給量が1億BNBに減少するまで継続されます。
また、当初ERC-20規格によりイーサリアム上で発行されていたバイナンスコインは、後に1対1の比率でBEP-2というバイナンスチェーンの規格によるバイナンスチェーン上で発行されたネイティブトークンと交換されています。
ちなみにBEPとは、Binance Smart Chain Evolution Proposalの略で、イーサリアムにおけるERCにあたるバイナンスチェーンのプログラミングについて概説する技術文書に記されたトークン規格です。BEPに準拠し発行されたトークンは、規格によりバイナンスチェーン上での互換性を保ちます。
BEP-2は、Trust Wallet、Ledger、Trezor Model T ウォレット等々、多くの一般的なウォレットでサポートされているのが特徴です。分散型取引所(DEX)などでの異なる暗号資産間の取引において利便性が高まることがBEP-2の利点です。
さらに、BEP-2規格のバイナンスコインは2020年9月にリリースされたBinance Smart ChainにてBEP-20規格のバイナンスコインとのクロスチェーンスワップ機能により、保有者は1対1の比率で相互に交換できるようになりました。
BNBは現在、BNB Beacon Chainではステーキングやガバナンス投票に、BSCではスマートコントラクトの実行やコンセンサスに使われています。
BSC のコンセンサスアルゴリズムは、PoSA(Proof of Staked Authority)という仕組みで行われます。
PoSAは、ビルドアンドビルド保有者から投票を委任されたバリデータがブロックを作成するDPoS(Delegated Proof of Stake)と承認された機関がブロックを作成するPoA(Proof of Authority)を組み合わせた合意形成方法です。
ブロックの生成は29のバリデータによって行われ、トランザクションは高速に処理されます。
BNBチェーンではブロック作成時に新しくトークンが発行されることはなく、バリデータやバリデータに投票したビルドアンドビルド保有者はトランザクション手数料を報酬として受け取ることができます。
ブロック生成報酬としての新規トークンの発行が行われないため、他のブロックチェーンとは異なり新規トークン発行によるインフレがありません。
このようにビルドアンドビルドは、BNBチェーンエコシステムを支える暗号資産となっています。
ビルドアンドビルドは他の暗号資産と同様に取引が行えるだけでなく、ユーティリティトークンの1つとして、幅広いアプリケーションやユースケースで使用することができます。
ビルドアンドビルドを使用して、商品やサービスの支払い、BNBチェーンでの取引手数料の決済、限定トークンセールへの参加などが可能です。
ビルドアンドビルドの今後や将来性は
BNBチェーンエコシステムの根幹であるBNB Smart Chain(BSC)ではイーサリアムとの互換性を保ちながら高速処理が行えることから、BSC のリリース後すぐにイーサリアムキラーとして注目を集め、多くのDAppsプロジェクトがイーサリアムブロックチェーンからBSC で開発を行ってきた経緯があります。
以来、BSCはイーサリアムブロックチェーンに続くDAppsプラットフォームとして人気を保っています。
ちなみにBSC を採用するDAppsサービスとしては、PancakeSwap、1inchが採用するほか、2022年11月にはOpenSeaがBNBチェーンに対応し、2023年3月にはUniswap V3がBNBチェーンでローンチされるといった動きが見られました。
BNBチェーンエコシステムは今後、zkロールアップやOptimisticロールアップを導入するなどして、高速にトランザクションを処理できるように拡張される計画となっています。
すでにBNBチェーンの開発チームは、2023年8月17日にイーサリアムのレイヤー2であるOptimismの技術を活用した独自のレイヤー2ネットワーク「opBNB」のメインネットを(一般向けではない)インフラサービスプロバイダー向けに公開しています。opBNBは、イーサリアムのOptimismが提供する「OP Stack」を使用し構築されており、EVMとの互換性があるため、EVM用に開発されたアプリケーションの移植が容易になります。opBNBは1秒間に4,000トランザクション以上を処理し、トランザクションの平均コストを0.005ドル以下に下げることができるといいます。
また、MetaFiという概念のもとで展開されるメタバース、GameFi、SocialFi、Web3、NFTといったプロジェクトが、BNBチェーンのコミュニティによってどのように展開されていくのかが期待されています
まとめ
名称変更後のBNBチェーンは、MetaFiという新しい概念のもとで、さまざまな関連プロジェクトのインフラを構築していく新たな方向性を示しました。
リリースでは、BNBチェーンはサイドチェーンやオンチェーンガバナンスメカニズムの導入、バリデータ数を21から41に増やすことも予定しているといいます。
BNBチェーンの目指すMetaFiは、メタバース開発者とプロジェクトをGameFiやSocialFiと結び付けることを目的としています。BNBチェーンは、高速で低コストなトランザクションを実現するとともに、Web3.0時代にふさわしいサービスをサポートしていくでしょう。
しかし、一方ではバイナンスの影響力が強いことから、分散化の度合いが低いという批判も少なからずあります。
また、イーサリアムはアップグレードによってスケーラビリティやコストの問題を解決しようとしており、その他の新興ブロックチェーンも高速で低コストなトランザクションを提供していることから、他のブロックチェーンと競合する可能性もあります。BNBチェーンは、これらのブロックチェーンとの差別化や優位性を維持する必要があるでしょう。
ビルドアンドビルドを購入する際には、こうした将来性を踏まえた上で、自己責任で十分な情報収集やリサーチを行うことが重要でしょう。
※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。
関連記事
-
ユーティリティトークンとは?特徴や機能、事例を解説
暗号資産(仮想通貨)に関連して、「〇〇トークン」という用語を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?本記事では、トークンの概要を紹介した上で、ユーティリティトークンについて解説していきます。
-
ライトコイン(LTC)とは?初心者向けにわかりやすく解説!
ライトコイン(LTC)は、ベースとなったビットコインよりも決済が行いやすくなるように様々な工夫がなされています。本記事では、これまでのライトコインの開発や価格推移などを含め、特徴を解説していきます。
-
暗号資産(仮想通貨)のハードフォークとは?基礎知識や過去の事例を紹介
暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン界隈では時々、「ハードフォーク」という事象がニュースになることがあります。本記事では、過去に起きた事例と共にハードフォークの実態について解説します。
-
初心者でも簡単にパソコンやスマホで取引できる!ビットコインの買い方
ビットコイン(BTC)など暗号資産(仮想通貨)の取引を行うためには「暗号資産交換業者」を選ばなければいけません。今回は、暗号資産交換業者を通じたビットコインの購入方法や、手数料・取引単位について見ていきましょう。
-
ステラルーメン(XLM)とはどんな暗号資産(仮想通貨)?特徴を解説
2019年以降、日本の暗号資産(仮想通貨)交換業者でもステラルーメン(XLM)の取り扱いが始まりました。本記事では、ステラルーメンがどのような暗号資産なのか解説します。
-
DAppsとは何か?その仕組みや特徴を解説
DApps(ダップス)とは、ブロックチェーン上でスマートコントラクトを利用することで実現できるアプリケーションです。本稿ではそのDAppsについての概要を解説します。
-
アルトコイン(オルトコイン)とは?知名度の高いコインの特徴や価格を紹介!
ビットコイン(BTC)以外の仮想通貨のことをアルトコインと呼び、2021年11月現在で、世界に約6,800種類以上も存在しています。アルトコインがどんなもので、どんなメリットやデメリットがあるのかを見ていきましょう。
-
イーサリアム現物ETFとは?ETH価格への影響は?
「イーサリアム現物ETF」は、イーサリアム(ETH)の現物資産を基にした上場投資信託(ETF)です。この記事ではイーサリアム現物ETFとは何か、ETH価格への影響について検討していきます。
今、仮想通貨を始めるなら
DMMビットコイン