暗号資産(仮想通貨)のミームコインとは?変動が大きい理由も解説

暗号資産(仮想通貨)というと、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの有名な銘柄が思い浮かびますが、それ以外にも様々な種類の暗号資産が存在します。
その中でも、最近特に話題になっているものの一つに「ミームコイン」と呼ばれる暗号資産があります。ミームコインは、SNS上のコミュニティやインフルエンサーの影響で人気が高まりました。ミームコインは、楽しさやユーモア、コミュニティを重視している暗号資産ともいわれています。では、ミームコインとは具体的にどのような暗号資産なのでしょうか。
この記事では、ミームコインの現状と将来性について詳しく解説します。
ミームコインとはどんな暗号資産(仮想通貨)?

ミームコインとは、インターネット上で広く愛されているミーム(ジョーク)に影響を受け開発された暗号資産(仮想通貨)のことを指します。
ミームという言葉は、インターネットを通じて人から人へと、通常は模倣として拡がっていく行動・コンセプト・メディアのこと指すインターネット・ミーム(Internet meme)という言葉に由来しています。
世間では、スペースXやテスラなどのCEOであるイーロン・マスク氏が、ドージコイン(DOGE)を始めとするミームコインに対して関心が強いことでも有名です。
日本においては、日本の巨大掲示板サイト2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)発祥のアスキーアート「モナー」をモチーフに誕生したモナコイン(MONA)がミームコインの一つとして有名です。
ミームコインが2023年に入って脚光を浴びたのは、ミームコインの一つである暗号資産ぺぺ(PEPE)が、2023年4月16日に発行されてからわずか17日間で価格が70倍近くも高騰し、時価総額が18億ドルに膨らんだことが要因です。
ぺぺは、マット・フュリーの漫画シリーズ『ボーイズ・クラブ』に登場するカエルのキャラクター「Pepe the Frog」です。このキャラクターはインターネット上でいわゆるミームとして扱われ、この「Pepe(ペペ)」をモチーフに発行された暗号資産が「Pepe(PEPE)」です。
これまでにもドージコインやシバイヌコイン(SHIB)といったミームコインが市場を賑わせて話題になったこともあり、ぺぺの突然の人気上昇によって、これを機にミームコイン全般への投資熱が復活しているようです。
ミームコインの特徴
ミームコインは、特徴として暗号資産としての機能性よりもコミュニティを重視している傾向にあることで有名です。多くのミームコインには、独自のコミュニティが設立されており、そうした中から暗号資産として誕生しています。
たとえばドージコインやシバイヌコインなどは、犬をモチーフにしており、キャラクターとしての「可愛さ」や「愛嬌」によってファンを獲得している傾向にあるミームコインです。
またモナコインは、巨大掲示板サイトのコミュニティが発祥です。
ただし、ミームコインもれっきとした暗号資産であることには変わりはありません。
一般的に、ミームコインは特徴として他の暗号資産に比べてややボラティリティが高い傾向にあるといわれています。
ボラティリティが高い要因は、話題性・トレンド性が強いこととコミュニティ性が高いことから、何かのタイミングで突然話題になっていきなり人気が高まり価格が暴騰したり、また話題性の熱量が下がると突然暴落したりするためです。このように、一時的に価格の変動が激しくなることがあります。
ドージコイン好きで有名なイーロン・マスク氏はミームコインに関する発言が多く、X(Twitter)等でイーロン・マスク氏が発言することにより、ミームコインの価格が変動することもしばしば観測されています。
ミームコインは、話題性や人気によって価値が決まる傾向があると言っても過言ではありません。
技術的な革新や実用性はあまり重視されず、投機的な取引や楽しみのために購入されることも多いため価格の安定は望めず、むしろそれを魅力に感じている人も少なくありません。
ミームコインは、将来性や安全性は不透明であり、高いリスクを伴う投資対象であることを理解しておく必要があります。
代表的なミームコインとその特徴

代表的なミームコインであるドージコインやシバイヌコイン、モナコインについて解説します。
ドージコイン(DOGE)
世界で最初に誕生したミームコインが、2013年に生まれたドージコイン(DOGE/Dogecoin)です。ドージコインはインターネットミームである柴犬の顔をロゴにした「ドージ(Doge)」をモチーフにした暗号資産(仮想通貨)です。
2013年12月6日に「ジョーク通貨」としてソフトウェアエンジニアのビリー・マーカス氏がその開発を行いましたが、ジョーク通貨として誕生後、ドージコインは専用のオンラインコミュニティが作られるなど急速に発展しました。
ドージコインは、ソーシャルメディアやインフルエンサーの影響力によって価格が大きく変動することがあり、特にイーロン・マスク氏がドージコインを支持していることで知られているため、彼の発言にも注意が必要です。
ドージコインには主流の商用アプリケーションは殆ど存在しませんが、インターネットにおけるチップシステムとしてのけん引力を持っており、ソーシャルメディアユーザーは、興味深いまたは注目に値するコンテンツに対してドージコインをチップ(投げ銭)として他のユーザーに与えたりする等のユースケースが見られます。
シバイヌ(SHIB)
シバイヌ(SHIB/Shiba Inu)は、2020年8月にドージコインを模倣し「ジョーク通貨のジョーク通貨」として作られたERC-20規格の暗号資産です。匿名の人物またはグループである「Ryoshi(リョーシ)」によって開発されました。
しかし、シバイヌはジョーク通貨でありながら、ミームコインには珍しくコンセプトや機能が本格的なものであることが認知されていくと、その人気は高まり、価格も高騰するなど徐々に注目を集めるようになりました。
リョーシはWhite Paper(ホワイトペーパー)をもじった「Woof Paper」にて、シバイヌコインは「分散型の自発的なコミュニティ構築の実験」であると記し、これが「プロジェクトが100%コミュニティによって運営されたらどうなるのか」という実験であることを述べています。
シバイヌコインは、ネイティブトークン「SHIB」、ドージコインのキラートークンである「LEASH」、ガバナンストークン「BONE」の3種類のトークンが同時に発行されています。
LEASHはドージコインキラーとして、ドージコインと価格が連動するトークンとして作成されました。しかし、その機能は解除され、現在はシバイヌコインが運用するDEX「ShibaSwap」にて流動性を提供したユーザーへの報酬用トークンとして利用されています。
発行当初のシバイヌコインはほとんど無価値の状態でした。2021年にイーロン・マスク氏がドージコインに言及したツイートをTwitterに投稿したことでドージコインが高騰し、ミームコイン自体が話題となり需要が拡大しました。この動きはシバイヌコインにも波及しました。
モナコイン(Monacoin)
モナコインは、巨大掲示板「2ちゃんねる」で有名なアスキーアート「モナー」をモチーフにした日本初の暗号資産です。
モナコインはライトコイン(LTC)をベースに、非中央集権によるクライアントプログラムによって維持される完全分散型決済システムを基盤とした暗号資産です。
コミュニティ主体で発展を続けたモナコインは、ユーザーによってモナコインを利用できる様々なサービスが開発されており、一定の実用性があります。モナコインで投げ銭ができるサービスもあり、シチュエーションにあわせた語呂合わせの数量で投げ銭する文化があるようです。モナコインで売買された土地に、「モナコイン神社」が建立されたこともありました。
モナコインは、ビットコインなどのスケーラビリティ問題解決のために考案された「Segwit」という技術が導入された初の暗号資産でもあります。
Segwitは取引データから電子署名を削除し、ブロックチェーンの外で管理することでデータ量を圧縮するシステムです。
このシステムにより、モナコインの取引時間は1分30秒程度となり、ベースとなったライトコインよりも1分ほど短く、取引時間を改善させることができたことから実際の決済にも使われています。
ミームコインの将来性は?

今回紹介した代表的なミームコインは、実用性や拡張性が伴うまれな例ですが、「実用性」もしくは「価値を支えるメカニズム」がないケースがほとんどです。たとえばペペの公式サイトには、べべは「娯楽目的限定で実用性は全くない」とハッキリと記されています。
そういう意味においても、あくまでもコミュニティのノリを楽しむものであるため、将来性を見込んで投資・投機することはせず、さまざまなリスクがあることを念頭において取引を行うことが大切な暗号資産(仮想通貨)であることを知っておいてください。
ミームコインを知る有識者も、ミームコインのボラティリティの大幅な変動に関しては常に注意喚起を促しており、取引で生じた損失には誰も責任が持てないものであることを明確にしています。
まとめ

ミームコインは、インターネット上のパロディやコミュニティから発生するユーモアに基づいて作られた暗号資産(仮想通貨)です。一部のミームコインは社会的な意義や慈善活動にも取り組んでいますが、多くの場合は楽しさやコミュニティのノリを重視しています。
また、ミームコインは非常に価格の変動が激しく、投資・投機的な対象として見られがちですが、ほとんどのミームコインは、SNSやインフルエンサーの影響によって大きく左右されます。
ミームコインの将来性は不確実ですが、コミュニティなどから発生あるいは話題になることから、広く一般の人にも暗号資産への興味や参加を促進するなど、暗号資産の普及や発展にも貢献するという、重要な役割もはたしています。
しかし、実用性や価値を支える機能が存在しない場合が多々あります。それでも話題になるミームコインには、必ず人気や話題のきっかけとなるメカニズムが存在します。ミームコインを購入する際には、そうしたメカニズムやコミュニティのノリを理解した上で、自己責任で慎重に取引することを忘れてはなりません。
※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。
関連記事
-
ビットコインETFとは?その仕組みは?実現されると何が変わる?
ビットコインETFの実現は、ビットコインの価格に好影響を与えるといわれており、長らく投資家から期待されています。今回はその概要や過去に申請を行った団体と否認された理由について解説していきます。
-
暗号資産(仮想通貨)アルゴランド(ALGO)とは?将来性や特徴を解説
ALGO(アルゴ/アルゴランド)は、従来のブロックチェーンが持つ課題を解消する暗号資産プロジェクトとして注目されているブロックチェーンの一つです。この記事では、アルゴランドはどのような暗号資産なのかその特徴や将来性について詳しく解説します。
-
暗号資産(仮想通貨)サンドボックス(SAND)とは?The Sandboxの特徴や将来性も解説
仮想空間であるメタバースが話題になるにつれて、注目が高まっているのが暗号資産(仮想通貨) SAND(サンド/サンドボックス)です。この記事では暗号資産SANDとともにThe Sandboxの特徴や将来性について解説します。
-
暗号資産(仮想通貨)アクシーインフィニティ(AXS)とは?将来性や特徴を解説
「Axie Infinity(アクシーインフィニティ)」は、遊ぶことで収益が得られるPlay-to-Earnというジャンルを確立したブロックチェーンゲームです。この記事では、暗号資産AXSやアクシーインフィニティについて、ゲームの内容やその将来性も含めて詳しく解説します。
-
暗号資産(仮想通貨)のホワイトペーパーとは?書かれている内容について解説
暗号資産(仮想通貨)を買ってみたい、投資してみたいと思ったときに、どの暗号資産を選べばよいかわからないということはないでしょうか。そのようなときに参考になるのが、プロジェクトの事業計画書的な役割をはたす「ホワイトペーパー」の存在です。この記事では、ホワイトペーパーとはどういうものなのか、投資家にとってどのような役に立つのかを詳しく解説します。
-
暗号資産(仮想通貨)エンジンコイン(ENJ)とは?将来性や今後を解説
エンジンコイン(Enjin Coin/ENJ)は、シンガポールのブロックチェーンエコシステムを開発するEnjin社により、イーサリアムブロックチェーンで発行された、ERC-20規格の暗号資産(仮想通貨)です。本記事ではENJの特徴やその将来性、今後の展開について解説します。
-
暗号資産(仮想通貨)ニッポンアイドルトークン(NIDT)とは?将来性や今後を解説
ニッポンアイドルトークン(Nippon Idol Token /NIDT)は、『IDOL3.0 PROJECT』を推進するオーバース社主導のもと、イーサリアムブロックチェーンで発行された、ERC-20規格の暗号資産(仮想通貨)です。本記事ではNIDTの特徴やその将来性、今後の展開について解説します。
-
ビットコインのウォレットとは?暗号資産(仮想通貨)の仕組みを通して理解する
ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)をやり取りする場合に欠かせないツールが「ウォレット」です。本稿ではビットコインのウォレットに関する基礎知識とともに、ビットコインとウォレットの関係性について解説していきます。
今、仮想通貨を始めるなら
DMMビットコイン