暗号資産(仮想通貨)アルゴランド(ALGO)とは?将来性や特徴を解説

アルゴランド
将来性
2023-09-13 更新

暗号資産(仮想通貨)ALGO(アルゴ/アルゴランド)は、従来のブロックチェーンが持つ課題を解消する暗号資産プロジェクトとして注目されているブロックチェーンの一つです。

分散型金融(DeFi)に必要なトランザクション量を扱うことができる相互運用性と容量を提供するアルゴランドは、国家や政府、金融機関が未来型の金融にスムーズに移行できる環境の提供を目指しており、実際に国家や大企業がアルゴランドを採用するユースケースも出てきたことで、その動向が世界で注目され話題になっています。

この記事では、アルゴランドはどのような暗号資産なのかその特徴や将来性について詳しく解説します。

ALGO(アルゴ/アルゴランド)とはどんな暗号資産(仮想通貨)?

ALGO(アルゴ/アルゴランド)は、ブロックチェーンプラットフォームのアルゴランド(Algorand)が独自発行する暗号資産(仮想通貨)です。

米国マサチューセッツ工科大学(MIT)発のアルゴランドは、世界でも有数の暗号資産作成者であり、計算機科学分野で顕著な業績を上げた人物を表彰するチューリング賞(コンピューターサイエンス部門)や、ゲーデル賞(理論コンピューターサイエンス部門)、RSA賞(暗号化部門)など権威ある賞の受賞経験、暗号資産研究の有識者として幅広く活躍するMITのコンピューター科学の教授であるシルビオ・ミカリ(Silvio Micali)氏が開発しました。

アルゴランドは、公平かつ真のボーダーレス経済の潜在的な能力を誰もが利用できるパブリックブロックチェーンを基盤とし、包括的なエコシステムを目的とする、従来のCeFi(中央集権型金融)と、DeFi(分散型金融)を統合した未来の金融「FutureFi」を目指すプロジェクトであり、IT業界での経験豊富なマネジメント・チームに、暗号学や量子耐性の世界的リーダーを加え、アドバイザーに2020年ノーベル経済学賞を受賞したスタンフォード大学教授のポール・ミルグロム氏が参加していることでも注目を浴びています。

アルゴランドの特徴

アルゴランドは、パブリックブロックチェーンにおいて、一つも欠かすべきではない3つの要素であるスケーラビリティ、セキュリティ、非中央集権・分散化をすべて同時に実現し、いわゆる「ブロックチェーンのトリレンマ」を解決します。

これらの3つの要素はブロックチェーンには欠かせない要素ですが、たとえば、セキュリティとスケーラビリティを優先すると、分散性が犠牲になり中央集権的なネットワークになりやすくなるなど、どれか2つを満足させると残りの1つはその犠牲となるため、すべての要素を同時に満たすのは難しいとされてきました。こうした状況をイーサリアムの創設者の1人ヴィタリック・ブテリン氏はブロックチェーンのトリレンマと呼び、これらをブロックチェーンの課題であると述べてきました。

アルゴランドは、ブロックチェーンのトリレンマを解決するためにコンセンサスアルゴリズムにスマートコントラクトに対応した最先端の独自コンセンサス・プロトコル「ピュア・プルーフ・オブ・ステーク(Pure Proof of Stake:PPoS)」を採用しました。

PPoSはビザンチン合意の下で構築されているのが特徴で、合意形成を行う際に中央的な主体が必要なく、一般ユーザーが合意に加わることができます。PPoSは、わずかなALGOでも一般ユーザーがステーキングする限り、どのようなユーザーでも提案や投票ができる可能性があり、分散型ネットワークにおける完全な参加、保護、および速度を保証しています。

アルゴランドは、1秒間に6,000トランザクションを処理することができ(2022年9月に1,200から6,000に増加)、手数料は0.001ALGO(0.1円相当)とほぼ無視できるレベルを実現しました。迅速なブロック作成時間は4秒以下(2.5秒まで短縮予定)と高速です。

さらにアルゴランドには、「フォークが発生しない」という大きな特徴も持ち合わせています。

アルゴランドの仕組み

アルゴランドのブロックチェーンでは、2つのブロックが存在するケースにおいて、2つが同時に繋がることができない仕組みがあり、1つのブロックだけがコミュニティ投票によって要件に適うように設定されています。

ブロックチェーンのトリレンマを解決するには、ブロックチェーンのブロック生成時には、同時にスケーラブル、安全でかつ分散化されている必要があります。

一般的なプルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake:PoS)では、不正を行った場合は保有するトークンが没収されるという原則のもとで、大量のトークンを保有しているネットワーク参加者が自ら不正を行う可能性は低いという考え方により、大量のトークンを保有している参加者だけしかバリデータとしてブロックの承認・提案・投票などのガバナンスに参加できないことが多いです。

しかしアルゴランドでは、1ALGOから参加可能でALGOを保有するすべてのユーザーとコミュニティ全体で提案や投票、決定ができる可能性があります。

つまり、PPoSではトークンを保有している全員にブロックの生成や承認に参加する権利があります。ブロック生成においては、2つのフェーズで新しいブロックが構築されます。

まず、第1フェーズでは、単一のトークンがランダムに選択され、その所有者は次のブロックを提案できるユーザーとなります。

第2フェーズでは、現在システムにあるすべてのトークンの中から1,000個のトークンがランダムに選択されます。これら1,000個のトークンの所有者は、第1フェーズのユーザーが提案したブロックを承認する第2フェーズの「コンセンサス委員会」として選択されます。

これは暗号化くじ引きと呼ばれる仕組みで秘密裏に行われ、選択されたトークン所有者は宝くじに当選するようなもので、誰が提案者で誰が委員なのかは委員自身も解散後(承認後)に知ることになります。このようにPPoSでは、トークンの保有量に関係なくネットワークに参加できるため、分散化が高まります。また、ブロックチェーンが分岐しないため、セキュリティも向上します。

ちなみに宝くじの実行にかかる時間はトークンの数に関係なく、おおよそ1マイクロ秒です。さらに、すべての宝くじは互いに独立して実行されるため、他のユーザーが宝くじの実行を完了するのを待つ必要がありません。これがスケーラブルな環境を実現します。

万が一、第1フェーズのユーザーが悪意あるユーザーだとしても、その後のランダムで選ばれる1,000人の委員全員が悪意ある確率は低くなります。悪意あるユーザーは10%かもしれませんし、または20%かもしれません。しかし、どのような社会でも悪役が大多数になることはないという仮定が前提にあります。

どんな社会でも、またブロックチェーンも例外ではなく、悪役の割合は1%か、2%程度、仮に10%としても10回に1回程度の悪役が第1フェーズに登場する程度で、それも第2フェーズで、この問題を解消します。トークンの最大10%が悪人の手にあるときにランダムに1,000個のトークンを選択した場合、選択したコインの過半数が悪人に属する確率は低く、委員会の投票の過半数が悪人によって投じられる確率は無視できるほど低いものになるという数学的な根拠でPPoSは成り立っています。

トークン発行機能ASA

アルゴランドは、ブロックチェーン上に作成できるカスタムトークンの仕組みとして「アルゴランド標準資産(ASA:Algorand Standard Asset)」という仕組みを持ちます。ASAは、ユーザーが自分のニーズに合わせて、ステーブルコイン、ユーティリティ・トークン、セキュリティ・トークン、NFTなど、様々な種類の資産を発行できるようにする仕組みです。

ASAは、アルゴランドのネイティブ・トークンであるALGOと同じレイヤーに存在し、同じ高速性、安全性、分散化を享受することができます。ASAは、アルゴランドのPPoSによって保護され、約4秒でファイナリティが確定し、手数料も0.001ALGOと安価です。またASAは、アルゴランドのウォレットや取引状況が確認できるエクスプローラーなどのツールと完全に統合されており、簡単に作成、送受信、管理ができます。

ASAは、発行者が自由に設定できるオプショナルな機能を持ち、たとえば「凍結」機能では、発行者が特定のアカウントに対してASAの送受信を一時的に停止できます。「回収」機能では、発行者が特定のアカウントからASAを強制的に回収できます。また「委任」機能では、発行者が他のアカウントにASAの管理権限を委任することができ、「分割」機能で、発行者がASAの単位を変更できるなど、ASAの用途や規制に応じて有効化したり無効化したりすることが可能です。

アルゴランドのユースケース

アルゴランドは、ブロックチェーン開発者を強力に支援し、Java、Go、Python、 JavaScriptなど複数言語に対応したSDKを提供します。また、アプリケーション、ユーティリティ、監視や実装など多くの分野においてオープンソース化され、開発者がアルゴランド上で開発・構築することを容易にします。

金融システムのブロックチェーンインフラ分野では、既に世界中の企業、国家レベルで支持を得ており、2020年3月、マーシャル諸島共和国の世界初の国家デジタル通貨であるMarshallese sovereign(SOV)のブロックチェーンがアルゴランド・テクノロジーを使用して構築することを発表したことや、2021年8月31日、ビットコインを法定通貨に定めたエルサルバトルが、ブロックチェーンインフラとしてアルゴランドを採用することを発表したことにより、世界的にも注目が集まっています。

2023年4月現在、世界で2,000超の企業・組織・団体がアルゴランド上に多種多様なアプリケーションを構築中であり、アルゴランド公式サイトにも常にユースケースが報告されています。

アルゴランドの将来性は?

アルゴランドは新しい金融ツールとサービスを構築し、資産をチェーンに組み込み、責任あるプライバシーモデルを提供することでDeFiの進化を促進していきます。こうした中で、2021年第4四半期より、ガバナンスをアルゴランド財団からコミュニティへ移行し、すべての意思決定がコミュニティ(ALGO保有者)の投票によって決められる世界へと移行しました。

サステナブルなブロックチェーン

アルゴランドは持続可能なブロックチェーンへの取り組みも行っており、開発当初から環境への影響を重視したグリーン・ブロックチェーンとして構築されてきました。

創業者のシルビオ・ミカリ氏は、2018年の時点で、次世代技術による地球の持続可能性への注力を強調してきました。アルゴランドのPPoSは、他のブロックチェーンよりもはるかにエネルギー効率が高く、現在も将来もカーボン・マイナスのネットワークで最もグリーンなブロックチェーンになることを誓い続けています。

また、世界は量子コンピューターの脅威に直面しており、ブロックチェーン等で広く展開されているすべての公開鍵暗号システムは、量子コンピューター上で実行されるShor(ショア)のアルゴリズムによって破壊されてしまう可能性があるといわれています。

これらはブロックチェーンコミュニティだけでなく、インターネット・インフラ全体のセキュリティにも壊滅的な影響を及ぼすといわれていますが、アルゴランドはこうした量子耐性にも取り組んでいる先進的なブロックチェーンとなっています。

そうした意味においても、かなり先進的な取り組みを取り入れてきた最先端を走るブロックチェーンといっても過言ではないでしょう。

まとめ

アルゴランドは、従来のCeFi(中央集権型金融)と、DeFi(分散型金融)を統合した未来の金融「FutureFi」を目指しており、従来のブロックチェーンの課題である「ブロックチェーンのトリレンマ」を解消する暗号資産プロジェクトとして注目されています。

マーシャル諸島共和国やエルサルバドルといった国家レベルで採用されているほか、世界で2,000超の企業・組織・団体がアルゴランド上に多種多様なアプリケーションを構築中であり、ユースケースの広がりが期待されています。

スマートコントラクトに対応したPPoSという独自のコンセンサス・プロトコルを備えるなど、DeFiの注目度が高まれば、ますます注目を浴びるプロジェクトとなるかもしれません。

さらには、ガバナンスをアルゴランド財団からコミュニティへ移行し、すべての意思決定がコミュニティ(ALGO保有者)の投票によって決められることや量子耐性に取り組んでいます。暗号資産業界で先端を走る先進的なブロックチェーンとして、今後の展開に注目です。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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