暗号資産(仮想通貨)サンドボックス(SAND)とは?The Sandboxの特徴や将来性も解説
インターネット上の仮想空間であるメタバースが話題になるにつれて、注目が高まっているのが暗号資産(仮想通貨) SAND(サンド/サンドボックス)です。イーサリアム(ETH)基盤のブロックチェーンゲームであるThe Sandbox(ザ・サンドボックス)で使われるSANDは、ゲーム内のNFT(ノンファンジブルトークン)の取引に使われます。
NFT の取引によってThe Sandboxでのゲーム体験を収益化に繋げることができることもSANDの人気が高まっている要因でしょう。
この記事では暗号資産SANDとともにThe Sandboxの特徴や将来性について解説します。
暗号資産(仮想通貨)SANDとは?
SANDは、ブロックチェーンゲームであるThe Sandboxで利用される暗号資産(仮想通貨)で、発行上限は30億SANDです。
イーサリアムのERC-20規格で作成されており、ゲーム内通貨として使われる他にステーキングやガバナンストークンの役割も持っています。
2022年6月には、イーサリアムからポリゴンチェーンに転送可能な「ブリッジ機能」の提供を開始しました。イーサリアムは取引が混雑すると「スケーラビリティ問題」が発生し、取引手数料が高騰しますが、ポリゴンチェーンを使うことでこの問題を解決でき、安価な手数料で取引できるようになります。
SANDを理解するために、ブロックチェーンゲームであるThe Sandboxでどのように使われているのかを把握しておきましょう。
The Sandbox(サンドボックス)とは
The Sandboxは、イーサリアムブロックチェーンを基盤に作成されたブロックチェーンゲームです。3Dボクセルを使って、オリジナルのアイテムやキャラクター、サービスを作成し、それらをNFTとして自由に売買できます。なおボクセルとは、画像を表現する2次元のピクセルを3次元にした要素のことで、小さなボクセルの集まりを「ボクセルモデル」といいます。
ゲーム内のアイテムを売買するという形はこれまでのゲームでもありました。しかし、アイテムの所有権はあくまでもゲームを開発した企業側が持っていました。ブロックチェーンゲームは、NFTを使うことでアイテムやキャラクターの所有権をユーザー側に渡したことが新しい点といえます。The Sandboxはユーザーが自分自身でNFTを作成し、売買することでブロックチェーンゲームの中に経済圏を作り、収益も狙えるのです。ゲームとしてただ遊ぶだけでなく、クリエイターとして参加することでもゲームの中で収益が狙える点に注目が集まっています。
元々、The Sandboxは2012年に米国とアルゼンチンを拠点とするゲームスタジオが開発したものでした。その開発企業が2018年8月に香港のゲーム会社に買収されたことで、現在のようなブロックチェーンゲームとして開発されるようになりました。
LANDとは
ユーザーはThe Sandboxのメタバース上に「LAND」と呼ばれる土地を購入、またはレンタルしてゲームやアイテム、キャラクターを配置できます。
1LANDのサイズは、「96メートル(縦)× 96メートル(横)× 128メール(高さ)」で、複数のLANDが集まるエリアは「ESTATE」と呼ばれます。
LANDでイベントを開催したり、レンタルしたりすることで賃貸料を得ることができるほか、LAND上に自らコンテンツを構築することでLANDの価値を高めて売却するなど、LANDはメタバースでの不動産投資ともいえるものです。実際に、有名企業のLAND周辺ではユーザーの行動が活発になることで。LAND価値が上がる可能性が高くなる現象が起きています。
LANDは希少性を持たせるために16万6,464LANDと有限で、プレセールのたびにすぐに完売するほどの人気を見せています。
The Sandboxの構成要素
The Sandbox内にはNFTマーケットプレイスの他にVoxEditというNFTアイテム作成ツール、仮想空間上の3Dゲームを構築できる「Game Maker」、「アバター」の作成機能があります。
VoxEdit
3Dボクセルのアイテムを作成できる機能です。アイテムだけでなく人間や動物、乗り物などオリジナルのボクセルモデル(ASSETと呼ばれます)を作成できるほかにアニメーションを使って動きをつけることもできます。
マーケットプレイス
VoxEditを使って作成したNFTアイテムをマーケットプレイスに出品し、売買が行われます。ここの売買でSANDが使われます。
Game Maker
ボクセルモデルを使って、誰でも無料で3Dゲームが構築できる機能です。プログラミングに関する知識なしで3Dゲームが作成できます。また、他のユーザーが制作したゲームで遊ぶことも可能です。
アバター
ボクセルモデルを使ったアバターを作成できます。VoxEditのように一からアイテムを作成するのではなく、事前にThe Sandbox内に用意してあるアバターモデルを組み合わせてオリジナルのアバターを作成します。洋服や肌の色などを自分の好みに応じて変更できます。
暗号資産(仮想通貨)SANDの特徴や用途
SANDの特徴は大きく3点あります。
最初の特徴は、SANDはThe Sandbox内の「LAND」や「ASSET」と呼ばれるNFTコンテンツの取引に使われることです。また、アバターやキャラクターを着飾るためのカスタムアイテムの購入にも使用されます。そのほかにもボクセルアートを作成する際に、The Sandboxのマーケットプレイスに作品をアップロードするためにSANDが必要になります。
2つ目の特徴は、ステーキングが可能なことです。SANDをThe Sandboxに預けることでより多くのSANDを受け取ることができます。また、The SandboxではNFTのレアリティなど希少性を定義するためにGemsやCatalystsといったERC-20トークンが必要になりますが、これらは基本的にステーキングを利用することで入手できます。
3つ目の特徴はガバナンストークンとして利用されることです。The SandboxはDAO(自律分散型組織)となることを目指しており、DAOでゲーム運営に関する意思決定のためにガバナンストークンとしてSANDが使われる予定です。ゲームクリエイターに対する助成金の決定や、開発ロードマップにおける機能の優先順位に関して投票する権利などが得られます。
公式サイトによると、そのほかにSANDを利用してゲームデザイナーやアーティストを雇い、共同してプロジェクトを運営したり、アセットのデザインを依頼したりすることができるとされています。
上記のように、SANDを通じた経済圏を構築することで、ゲームをしながら収益を狙える「Play to Earn」というジャンルを確立しようとしているのがSANDとThe Sandboxです。
SANDはどのように管理されているか
The Sandboxでは、SANDを使った経済圏が形成されています。収益はLANDやプレミアムNFTの販売、サブスクリプション収入やマーケットプレイスでの取引手数料で構成されています。なお、マーケットプレイスでの取引では、SANDが取引手数料として5%引かれます。
これら収益の50%が財団基金に、残りの50%が一定期間ロックされます。財団基金はアーティストやデザイナーがゲームやアセットを構築するための助成金にも使われるなど、ゲームを中心としたエコシステムに利用されます。
ロックされたSANDは一定期間後に市場に売り戻され、運営資金にされます。
(The Sandboxのホワイトペーパーを参考に作成)
暗号資産(仮想通貨)SANDの将来性
メタバース市場については、2030年までに年間で50%の成長を続けるとの調査レポートがあります。メタバース市場の中でも特にゲームといった消費者向け市場の伸びが予想されているため、メタバース自体の人気や市場が高まればThe Sandboxへの注目が集まり、SANDの需要にも影響するかもしれません。
同様にブロックチェーンゲーム市場も2022年から2028年までに年平均で68%成長するとの調査があります。このように市場全体の伸びが期待されていることは大きな要因でしょう。
また、The Sandboxでは有名企業との取り組みや出資が度々報じられています。2022年2月には高級ブランドのグッチがLANDを購入したことが話題となりました。グッチは「Vault」と呼ばれるLANDを構築し、没入型のイベントを開催。限定コレクションの販売などを行いました。
日本国内でも、スクエア・エニックスやソフトバンクといった大手企業から出資を受けていることから、注目度の高さがうかがえます。
協力しているのは企業だけではありません。2023年2月にはサウジアラビア政府がメタバース開発に向けてThe Sandboxと提携しました。メタバース開発において互いに「調査、アドバイス、サポート」を行うとされています。
一方で、SANDについては不安要素もあります。2023年6月には米証券取引委員会(SEC)が海外の大手暗号資産交換業者が未登録証券を提供していると提訴した際に、未登録証券の銘柄の中にSANDが含まれ、それまで80円台後半を推移し順調に価格が上昇していたところ、発表された際には一気に60円台まで価格が下落しました。
今後のSECの動きがSAND価格の重石になれば、The Sandboxのユーザー数にも影響が出てくるかもしれません。
まとめ
暗号資産(仮想通貨)SANDはブロックチェーンゲーム「The Sandbox」内の経済圏で使われます。ゲーム内で作成するNFTアイテムの取引やステーキング、ガバナンストークンとしての機能を持っており、分散型のブロックチェーンゲームに使われる暗号資産として今後ますます注目が高まりそうです。
メタバース市場の成長が見込まれていることもThe Sandboxの伸びにも貢献するでしょう。The Sandboxが成長することによってプラットフォーム上で利用されるSANDの需要にも影響するためです。
また、市場や著名企業の参入だけでなく、国家との協力関係が構築されていることも見逃せません。
The Sandboxはイーサリアム基盤で開発が行われてきましたが、2023年6月現在は、徐々にポリゴンネットワークに移行しており、安価な取引手数料や取引スピードの高速化が期待されています。
一方で、米証券取引委員会から未登録証券として指摘されていることは一時的に不安要素ともなりそうです。今後の報道をチェックしておきましょう。
※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。
関連記事
-
ユーティリティトークンとは?特徴や機能、事例を解説
暗号資産(仮想通貨)に関連して、「〇〇トークン」という用語を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?本記事では、トークンの概要を紹介した上で、ユーティリティトークンについて解説していきます。
-
ライトコイン(LTC)とは?初心者向けにわかりやすく解説!
ライトコイン(LTC)は、ベースとなったビットコインよりも決済が行いやすくなるように様々な工夫がなされています。本記事では、これまでのライトコインの開発や価格推移などを含め、特徴を解説していきます。
-
暗号資産(仮想通貨)のハードフォークとは?基礎知識や過去の事例を紹介
暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン界隈では時々、「ハードフォーク」という事象がニュースになることがあります。本記事では、過去に起きた事例と共にハードフォークの実態について解説します。
-
初心者でも簡単にパソコンやスマホで取引できる!ビットコインの買い方
ビットコイン(BTC)など暗号資産(仮想通貨)の取引を行うためには「暗号資産交換業者」を選ばなければいけません。今回は、暗号資産交換業者を通じたビットコインの購入方法や、手数料・取引単位について見ていきましょう。
-
ステラルーメン(XLM)とはどんな暗号資産(仮想通貨)?特徴を解説
2019年以降、日本の暗号資産(仮想通貨)交換業者でもステラルーメン(XLM)の取り扱いが始まりました。本記事では、ステラルーメンがどのような暗号資産なのか解説します。
-
DAppsとは何か?その仕組みや特徴を解説
DApps(ダップス)とは、ブロックチェーン上でスマートコントラクトを利用することで実現できるアプリケーションです。本稿ではそのDAppsについての概要を解説します。
-
アルトコイン(オルトコイン)とは?知名度の高いコインの特徴や価格を紹介!
ビットコイン(BTC)以外の仮想通貨のことをアルトコインと呼び、2021年11月現在で、世界に約6,800種類以上も存在しています。アルトコインがどんなもので、どんなメリットやデメリットがあるのかを見ていきましょう。
-
イーサリアム現物ETFとは?ETH価格への影響は?
「イーサリアム現物ETF」は、イーサリアム(ETH)の現物資産を基にした上場投資信託(ETF)です。この記事ではイーサリアム現物ETFとは何か、ETH価格への影響について検討していきます。
今、仮想通貨を始めるなら
DMMビットコイン