「流動性」とは?暗号資産(仮想通貨)銘柄選びの重要なポイント
暗号資産(仮想通貨)の銘柄を選ぶ際の重要なポイントの一つとして、取引できる相手がいるかどうかがあります。どんなに価値があるものでも取引してくれる相手がいなければ、取引は成立しません。
この取引の相手がいるかどうかに関係するのが「流動性(Liquidity/リクイディティ)」です。
この記事では暗号資産の流動性について詳しく解説します。
流動性とは何か?
一般的に流動性とは、市場において物の取引が容易に行えるかどうかを表す言葉です。
株式や債券など金融商品市場における流動性は、安定した価格で売買する容易さを表し、流動性が高い金融商品であればあるほど、より簡単に売買ができます。
また、流動性は金融商品のみならず、物の中古市場やオークション、最近話題のトレーディングカードなども含め、あらゆる取引においてそれが容易であるかどうかを示します。
流動性が高い市場では資産の売買が容易であり、売買の頻度が多くなるため価格変動が少なくなります。対して流動性が低い市場では資産の売買が困難であり、売買の頻度が少なくなるため、1回の売買が価格に与える影響が大きくなる、つまり価格変動が大きくなる傾向にあります。
暗号資産(仮想通貨)における流動性とは
暗号資産(仮想通貨)において「流動性が高い」とは、売りたいときに買いたい人を簡単に見つけることができ、買いたいときに売りたい人を簡単に見つけることができることを意味します。たとえ暗号資産を保有していて含み益がある状態でも、流動性が低い場合は売ることができない場合もあり、利益の確定が難しくなります。人気が高い暗号資産ほど流動性は高く、人気が低い暗号資産ほど流動性が低いと評価することもできるかもしれません。
また、株や債券市場などと比べて暗号資産は歴史が浅く、銘柄の種類も多いことから、知名度や時価総額の低い暗号資産は流動性の低さにより、売買する相手を見つけるのが難しい傾向にあります。
流動性リスクとは
売買が極端に少なくなることで取引が成立せず、売りたいときに売れない可能性があるという状況を「流動性リスク」があるといいます。
一般的に流動性リスクは、金融商品や銘柄そのものの市場規模や取引量が小さい場合のほか、会社の倒産やプロジェクトの破綻など、市場混乱時などで買い手が少なくなった場合に発生します。市場の混乱時等で急に買い手が減少したような場合は、流動性リスクが高まります。特に元々市場規模が小さく、取引量が少ない金融市場や個別銘柄は、より注意が必要です。
流動性が重要な理由
流動性は通常、取引の量または現在マーケットに出ている未決取引の量から計算されます。取引において市場流動性が重要な理由はいくつかありますが、主に、ポジションの取得と約定までの時間に影響することが挙げられます。
流動的が高い市場では、売り手側は資産の価格を引き下げなくてもすぐに買い手を見つけられ、買い手側も欲しい資産を確保するために追加の金額を支払う必要がないことから、注文の実行が迅速に行われます。注文が即座に約定することで、投資家は市場の変動に迅速に対応でき、理想的な取引価格で売買できます。
また、流動性の高い市場は、投機家や投資家をより市場に呼び込む可能性が高まり、さらに有利な市場環境へとつながります。それが市場にとって流動性が重要な理由です。
流動性は暗号資産(仮想通貨)取引におけるスプレッドにも影響する
暗号資産交換業者を相手に取引をする「販売所」で提示される買値と売値には価格差がありますが、この価格差を「スプレッド」と呼び、暗号資産(仮想通貨)の市場価格や流動性の変動によって、日々刻々と変動します。
一般的に、流動性が高い状況は買い注文や売り注文が多くあり、価格変動が小さい傾向があるため、スプレッドは狭くなり、対して流動性が低い場合は買い注文や売り注文が少なくなり、価格変動が大きい傾向にあるため、スプレッドが広がる傾向にあります。
暗号資産(仮想通貨)の銘柄によって流動性は大きく異なる
暗号資産(仮想通貨)は、銘柄により流動性が高いものや低いものなどさまざまです。暗号資産取引所で取扱われている銘柄であっても、すべて流動性が高いわけではありません。たとえば、時価総額で上位にあるビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などは人気が高く流動性も高いですが、人気の低い暗号資産の場合は流動性が低いこともあります。
暗号資産交換業者における暗号資産の取引は、始めから暗号資産が確保されている販売所形式の場合、取引が成立しないということは稀ですが、取引所形式の場合は、流動性が低く買い手がいない銘柄は取引がなかなか成立しなかったり、思った価格で取引ができなかったりすることもあります。
流動性の高い市場は取引量が多いですが、取引量だけが必ずしも流動性を意味するわけではありません。
取引における流動性の見方
暗号資産の取引を行う際には、ポジションを建てる前、または決済する前に流動性を考慮する必要があります。
これは流動性の欠如がリスクの増大と関連していることが多いためです。極端に流動性の低い銘柄は、ボラティリティがあっても、売り手よりも買い手が少ない場合はポジションの決済がより難しくなる可能性があり、このようなケースにおいては、負けポジションを保有したまま、取引が成立しないことあります。
取引においては、市場価格のみならず、まずは流動性を確認することに努めることも大切です。特に流動性の低い銘柄は、1回の取引だけで市場価格が変動することもあるため、価格だけを見ていると取引に失敗しやすいリスクがあるので注意が必要です。
暗号資産(仮想通貨)は信用度の高い銘柄を選ぶ
流動性が高ければ高いほど取引所で売買がしやすくなったり、販売所でスプレッドが縮小しやすくなったりする特徴を挙げてきましたが、例えば、プロジェクトや出所のはっきりしない無名のミームコインが暴騰した結果、流動性が一時的に高まるといったケースもあります。
このように、流動性が高いからといって信用できる暗号資産というわけではないことは常に注意すべきで、詐欺的プロジェクトの被害に遭うことを避けるためにも、信用度の高い銘柄を選ぶことが大切です。
日本では、暗号資産交換業者は金融庁の登録が必要であり、金融庁は暗号資産を利用する消費者の保護を目的に、暗号資産の取り扱いには厳しい審査を課しています。そのため、日本の暗号資産交換業者が取扱う暗号資産は、一定の審査を経ているため他の暗号資産に比べて信用度は高いといえます。
何千と数多くある暗号資産の中には、実現性や信頼性の低いプロジェクトが発行する暗号資産や、海外においては知名度が低い暗号資産も多数あり、詐欺なども少なくありません。ホワイトリストとも呼ばれる日本の暗号資産交換業者が取扱う暗号資産は、信用度の高い銘柄を選ぶための1つの指針になるでしょう。一度、ホワイトリストについても確認してみてください。
参考記事:暗号資産(仮想通貨)のホワイトリストとは?登録銘柄の安全性と認定条件
まとめ
暗号資産(仮想通貨)の取引において、流動性は市場での取引を円滑に行う指標として非常に重要です。
また、流動性の高い市場では大量の取引が行われるため、資産の値動きが比較的小さくなります。これにより、価格の急激な変動や価格操作のリスクが低減され、投資家はより予測可能な状況で取引を行うことができます。
多くの参加者が活発に取引を行っている流動性の高い市場では、市場の価格が透明になり、投資家は公正で信頼できる市場価格で資産を売買できます。対して、透明性の低い市場では、取引の情報が限られているため、価格の不公正な変動や操作が容易になり、一部の参加者による価格操作や不正な行為のリスクが高まります。
流動性が市場にどのような影響を及ぼし、どのような意味を持つかをよく理解し、取引に役立てるようにしていきたいものです。また、特定の暗号資産銘柄の1つを見ていく上でも、常に流動性をチェックすることで、その時々の人気の度合いをはかることもできるでしょう。
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