暗号資産(仮想通貨)と銀行の関係は?価格への影響も解説

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2023-07-12 更新

2023年3月から5月にかけて、相次いでアメリカで銀行が破綻しました。こうした銀行の破綻が暗号資産(仮想通貨)の価格に影響を与えたという指摘もあるなど、従来の金融機関である銀行の影響は暗号資産にも及んでいるようです。

この記事では銀行と暗号資産の関係性や、価格の影響について解説します。

世界で相次ぐ銀行破綻

2023年に入り、暗号資産(仮想通貨)関連の取引を行っていたアメリカの銀行が相次いで破綻しました。

銀行が破綻した元々のきっかけは2022年11月の大手暗号資産交換業者FTX(FTX Trading Ltd.)の破綻にもあるといえそうです。FTX破綻によって暗号資産関連の取引が多かったシルバーゲート銀行で預金の引き上げの動きが加速しました。預金が急減したことで、損失が膨らみ、3月8日に破綻しました。

さらにアメリカのインフレ対策として金利が引き上げられていた影響を受けて、スタートアップ向けに急成長していたシリコンバレー銀行が経営破綻しました。アメリカでは長期金利の上昇によって債券価格が下落し、含み損が拡大しました。債券の運用損失と資本増強計画を突然発表した信用不安から、取り付け騒ぎにつながり倒産しました。

その後、3月12日には顧客に多数の暗号資産企業を抱えるシグネチャー銀行も経営破綻しています。シルバーゲート銀行の精算発表やシリコンバレー銀行の破綻を受けて、信用不安が高まったことも影響したとされています。

シリコンバレー銀行破綻後には、アメリカの金融当局は預金の全額保護を表明しました。しかし、こうした策もうまくいかず、5月1日にはファースト・リパブリック銀行での預金流出が続き、株価が急落、同行は経営破綻しました。

欧州にも銀行危機は飛び火し、金融大手のクレディ・スイスではわずか一日で1兆5000億円規模の預金流出が起きました。2023年3月19日には、競合であるUBSがクレディ・スイスを救済合併すると発表しています。

2022年11月11日 海外の大手暗号資産交換業者FTXが経営破綻
2023年3月8日 シルバーゲート銀行が精算する方針を発表
2023年3月10日 シリコンバレー銀行が経営破綻
2023年3月12日 シグネチャー銀行が経営破綻
2023年3月19日 クレディ・スイス買収合意
2023年5月1日 ファースト・リパブリック銀行が経営破綻

こうして銀行が相次いで破綻すると、資産を守る動きからビットコイン(BTC)への注目が高まります。しかし、銀行破綻と暗号資産価格はどのように関係しているのでしょうか。

暗号資産(仮想通貨)と銀行の関係

銀行が破綻するニュースが暗号資産価格に影響を与えるのは、既存の金融機関利用への不安感によるものと想定されます。銀行の経営不振によって、銀行とは異なる性格を持つ暗号資産に注目が集まります。

銀行は資産を中央サーバーで集中管理しており、預金や取引の承認、セキュリティといった分野に莫大な資金を投じてデータを管理しています。一方で暗号資産の多くは、ブロックチェーン上に資産が置かれており、ノードという全世界に散らばるコンピュターでブロックチェーンでの取引を分散的に承認しています。

そのため、中央管理型ではない暗号資産は銀行のように中央サーバーが止まる心配はなく、莫大な資産を投下してデータを管理する必要がありません。

さらに、政府や中央銀行によって強制的に取引を停止される心配がないという利点もあります。

過去にキプロスで起こった金融危機においても、政府に規制されていないビットコインに資産を逃すという動きがありました。金融危機で取り付け騒ぎが起きると、規制当局が介入して口座を管理します。キプロス危機では、ユーロ圏がキプロス支援の条件として、キプロスの全預金に課税を行うこととしたのが金融危機の発端でした。

暗号資産は法定通貨とは異なり、政府が独断で管理することや、口座を凍結することができないため、自分自身の資産をビットコインに逃すことで守ろうとする動きが加速しました。

違いは送金手数料にもあらわれます。従来の銀行で国際送金する際には国際送金のインフラであるSWIFT(国際銀行間通信協会)を利用するなど時間や手間がかかることと、資産を中央サーバーで管理していることによって、手数料が高くつきます。暗号資産ではそうした中継機関を必要としないため、従来の国際送金と比べると手数料が安価にすみ、送金速度も速いことが特徴です。こうした特徴から暗号資産が選ばれている側面も否定できないでしょう。

ただし、暗号資産は従来の銀行と敵対しているわけではなく、銀行は暗号資産やブロックチェーンの可能性を感じて出資や提携を進めています。2023年4月現在では、暗号資産は暗号資産交換業者を通じて取引するのが主流で、受け付ける従来の銀行はわずかしかありませんが、暗号資産が普及するためには従来の銀行システムとつながることは不可欠と言えるでしょう。

銀行との提携を進めるリップル

実際に国際送金を強みとするリップル(XRP)は、銀行との提携を進めています。2019年11月時点で300以上の金融機関と提携を進めていることを明らかにしています。今後もさらに提携する金融機関数は増加すると期待されるでしょう。

リップルは、通貨と通貨をつなげる「ブリッジ通貨」としての役割を持っており、異なる国での法定通貨の取引を円滑にします。送金時間が短く、手数料も安価になることが強みです。

暗号資産(仮想通貨)の中でもビットコインに注目

銀行破綻によって特に注目が集まる暗号資産がビットコインです。

2022年11月には、一時1万5000ドルほどまで落ち込んでいたビットコインですが、2023年3月末には2万ドル後半まで上昇し、同年4月には2022年6月以来の3万ドルを回復するまで上昇しました。

特に3月10日にシリコンバレー銀行が破綻すると、株式などのリスク資産が売られ、債券や金といった安全資産が買われました。暗号資産銘柄では「デジタルゴールド」と呼ばれるビットコインに避難資金が集まった結果、2023年3月10日から14日にかけて、ビットコインは15%以上上昇しました。

資金がビットコインに集まった理由は、破綻したシリコンバレー銀行やシグネチャー銀行にステーブルコインの裏付け資産が預けられていたことにもあります。ステーブルコインは流通時に価値の裏付けとなる資産が必要となりますが、こうした破綻した銀行は、資産の預託を受けていました。

しかし、銀行破綻によってステーブルコインや小規模な暗号資産の価値に悪影響が出ると市場は判断し、ビットコインに資本が流れたとみられます。

銀行破綻は不安材料?

銀行破綻によって価格上昇の恩恵を受けた形になった暗号資産(仮想通貨)ですが、長期的には、暗号資産にとって銀行破綻は不安材料になるとの声も上がっています。

シルバーゲート銀行とシグネチャー銀行は、ブロックチェーンを利用した独自の決済プラットフォームを構築したことが他行には無い強みでした。同銀行の利用者間であれば、国境をまたぐ資金移動でも短時間・低コストで暗号資産と米ドルを同じように決済ができるシステムです。

両行は暗号資産への対応で他行に先行し、新たな資金を呼び込んでいたことで成長していました。特に暗号資産では24時間365日決済できる特徴が有利に働いていたといえるでしょう。

しかし、今回の破綻が暗号資産市場のボラティリティの大きさからくるものと仮定した場合、金融機関は暗号資産取引を不安視するでしょう。そのために法定通貨や従来の銀行からの資金流入が細れば、今後の暗号資産市場拡大の重石になるかもしれません。

政府機関による銀行と暗号資産(仮想通貨)の規制

暗号資産と銀行を巡る今後の動きとして注目すべき点として、規制の強化が挙げられます。

FTXの破綻を受けて、銀行監督当局と中央銀行で構成されるバーゼル銀行監督委員会(BCBS)は2022年12月、各国銀行の暗号資産保有比率を制限する国際規制をまとめました。裏付け資産がないビットコインやイーサリアム(ETH)などの暗号資産については、保有額と同等の資本を積むことを義務付けました。

2023年4月には、アメリカで相次ぐ銀行破綻を受けて米当局が「ノンバンク」への規制・監督も強化すると公表しました。ノンバンクにはファンドや保険会社のほか暗号資産関連企業も含まれます。経営が悪化したノンバンクによって金融不安が引き起こされると判断された場合、FRBがその企業を監督することができるようになりました。

ノンバンクだけでなく、銀行への規制も強化されています。2023年4月末に米連邦準備制度理事会は資産規模1,000億ドル以上の中堅銀行への規制を見直す報告書を公表しました。報告書の中では、手元資金を確保しやすくするため、換金性の高い流動資産を一定割合持たせることや景気悪化などの事態をシミュレーションする「ストレステスト」の頻度を増やすことを提案しています。暗号資産に関しても連邦準備銀行がリスク要因として挙げていることが示されました。

こうした規制強化は短期的には市場にネガティブな影響をもたらすこともありますが、長期的にみると投資環境の安全性や信頼性向上につながります。特に金融機関が健全に運営されることにつながるためにポジティブに捉えることもできるでしょう。

CBDCと銀行

銀行とデジタル資産との関係として中央銀行デジタル通貨(CBDC)の話題にも触れておきましょう。

CBDCとは、世界中の中央銀行が調査や研究を進めている、法定通貨のデジタル版です。現金とは異なり、電子的に発行されます。現金と比べると、CBDCは発行コストを抑えられる上、運搬や使用、保管にかかるコストも少なくなります。

国際決済銀行(BIS)が2022年5月に発表した調査では、過去1年間で何らかの形でCBDCに取り組んでいる中央銀行の割合は90%に達し、世界中で調査・検討が進んでいます。

日本でも、2023年春から概念実証の第3段階を始めました。実際にCBDCを発行するかどうかは2026年までに決定するとしています。2023年4月には制度設計に向けた有識者会議を立ち上げるなど、着々と環境整備を始めています。

発行や保管コストが安いCBDCが流通し始めれば、暗号資産の利点が薄まるかもしれません。もしそうなれば、暗号資産価格やユースケースにも影響が出そうです。

関連コラム:
世界中で本格化!中央銀行デジタル通貨(CBDC)とは?

まとめ

2023年は長期金利の上昇によって銀行が破綻するなど、世界経済に大きな影響を与えました。銀行の破綻によって従来の金融機関への信用が薄れれば、利用者は暗号資産(仮想通貨)に目を向けるかもしれません。

一方で、長期的には暗号資産にとって、今回の銀行破綻は不安材料にもなるという指摘も出ています。

銀行破綻後に暗号資産価格が上昇している可能性はありますが、銀行の信用不安は短期的に利益となっても、長期目線ではどのような影響があるのかは今後の動きを待つ必要があるでしょう。

さらには各国中央銀行が進めるCBDCの動向や規制強化の動きも注視する必要があります。ニュースを確認し、今後の動向に注目しましょう。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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