ビットコインのような仮想通貨への各国政府の見解は?

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2018-09-26 更新

初めて登場してから10年も経たないうちに急激なピッチで台頭してきたビットコインのような仮想通貨に対し、世界各国の政府はどういった見解を示し、どのような扱い方をしているのでしょうか?

実は、国によって仮想通貨に対するスタンスに少なからず違いがあるのが現実です。日本をはじめとする主要国の実情を紹介しましょう。

日本政府のビットコインに対する見解は?

2016年3月4日、日本政府はビットコインなどの仮想通貨全般に対する規制案を決定しました。規制と言えば、厳しく制限を設けて取り締まりを強化するようなイメージを抱くかもしれませんが、国として仮想通貨に対する認識を見直し、今後はどのように取り扱っていくのかについて明確な姿勢を打ち出したのです。

実態に照らし合わせ、ビットコインなどの仮想通貨は「貨幣の機能を持っている」と認めたうえで、決済や法定通貨との交換に使えるものであると正式に位置づけました。そして、 仮想通貨の定義として、①物品購入などに使用できる「交換の媒介」としての機能、②不特定の相手との購入や売買を通じ、法定通貨と交換できることの2つを挙げました。どちらも貨幣の機能であり、それに準じるものであるとの見解を示したわけです。

こうした認識のもとでビットコインなどの仮想通貨に対する規制を盛り込んだ資金決済法の改正案を閣議決定し、やがてそれが2017年4月施行のいわゆる仮想通貨法に反映されていきます。改正案では仮想通貨交換業者を金融庁の検査対象とし、最低限必要な資本金などの規制も課し、財務書類は公認会計士による外部監査を受けるように定めています。仮想通貨法にもその内容が反映されており、要は仮想通貨交換業者に対する規制を強化することで業界の健全化を図り、利用者が安心して売買できる環境を整備しようとしたのです。

規制案の決定に至る約2年前には、当時として世界最大で東京に拠点を構えていた仮想通貨交換業者・Mt.Goxが経営破綻したものの、金融庁の監視下には入っておらず、利用者保護の体制作りが喫緊の課題として浮上していました。

また、規制案には仮想通貨交換業者に対して口座開設時の本人確認や取引記録の作成・保存などを義務づけることも盛り込まれており、こちらはマネーロンダリング(資金洗浄)などに対する防止策としての位置づけでした。当時の主要7カ国(G7)は「仮想通貨がテロ資金などに使われかねない」との懸念を共有しており、いち早く米国やドイツ、フランスが規制を導入していたのに対し、日本は少々後手に回っていたのが実情です。

規制案決定前まで日本政府はビットコインをどう捉えていた?

では、2016年3月に規制案を決定するまで、日本政府はビットコインのような仮想通貨のことをどのように認識していたのでしょうか? 率直に言えば、かつての日本は仮想通貨を決済手段や法定通貨(日本円)との交換対象とはあまり意識していなかったようです。

そのことを裏付けるのは、仮想通貨の売買がずっと消費税課税の対象となってきたことでしょう。日本政府は仮想通貨を決済手段だとは捉えず、所定の代金を支払ったら手に入る商品(モノ)の類だと認識していました。こうしたことから、ビットコインを購入した際に消費税を徴収された人の多くは首を傾げていたのではないでしょうか?

日本政府は、2016年3月に仮想通貨に対する大きく見解を修正したものの、仮想通貨を購入する際にかかる消費税については、従来通りに課税するという方針を継続していました。仮想通貨を購入した時点で消費税を徴収され、それを何か商品やサービスの決済手段に用いた際にも課税されるのは二重課税ではないかとの指摘も出ていたのですが、将来に向けた検討課題と位置づけられました。結局、仮想通貨法施行後の2017年7月から仮想通貨は消費税の対象から外れることとなりました。

政府のビットコインなどの規制案による功罪は?

2016年3月の規制案(資金決済法の改正)は協議が重ねられたうえで、いわゆる仮想通貨法が2017年4月に施行されました。規制は世の中の秩序を保つ役割を果たす反面、自由な活動に一定の束縛を及ぼすものです。日本政府が実施した仮想通貨に対する規制にも、やはりプラスの側面とマイナスの側面があったようです。

まず、規制に踏み切る前は誰でも仮想通貨交換業に参入できましたが、内閣総理大臣の登録を受けることが義務づけられたうえ、このハードルを乗り越えるためには厳しい要件をクリアする必要が生じました。簡単に言えば、それなりの資本力があって財務も比較的健全であり、万全のセキュリティ対策を講じられる事業者に対象を絞ったのです。そして、自らの財産と顧客の財産を分別して管理する義務も求められるようになりました。これらの要件を満たせなければ、撤退を余儀なくされることになります。

もちろん、こうして仮想通貨交換業者が絞り込まれていったことは、仮想通貨の取引を行う側にとって好ましい状況だと言えるでしょう。資金繰りに余裕がなかったり、営業姿勢が悪質であったりする業者が排除されれば、より安心して仮想通貨を取引できることになります。また、仮想通貨においては特に気掛かりなセキュリティ面の強化も切望しているものでしょう。しかしながら、仮想通貨交換業というサービスを提供する側はそういった対応のために、かなりのコスト負担を強いられることになります。

加えて、日本の規制は他国と比べても厳しい内容となっており、そのことはサービスを利用する側にもデメリットをもたらす側面があると言えそうです。仮想通貨の世界では、分裂という現象が発生します。たとえば、ビットコインからは2017年の8月にビットコインキャッシュ、同年10月にビットコインゴールドが分裂しました。その際、分裂前にビットコインを保有していた人は無償で分裂した仮想通貨をもらえることがあります。ところが、日本ではすでに市場に上場している(公開取引が行われている)仮想通貨しか取り扱えないという規制が設けられているため、国内の仮想通貨交換業者を通じて取引を行っている人はそういった恩恵を受けられません。

また、これはプラスとマイナスの両面があることですが、厳格な規制の下で日本において取り扱える仮想通貨はかなり限られているのに対し、海外ではバラエティに富むラインナップになっています。つまり、利用者に多彩な選択肢が提供されているわけです。ただ、マイナーな仮想通貨の中には胡散臭いものも多数混じっており、国内の仮想通貨交換業で取引している限りはそういったものに手を出さなくて済むとも言えます。

他国政府のビットコイン規制や見解は?

テロ組織による仮想通貨の悪用などへの対策が遅れ気味だったと前述したように、ビットコインのような仮想通貨を世界で初めて貨幣と認めたのは日本ではありません。それは、EU(欧州連合)でした。2015年10月に、EU最高裁判所が「ビットコインは通貨に類する」との判決を下していたのです。

2014年の時点で、まだ欧州内での見解は入り乱れていました。ECB(欧州中央銀行)がビットコインなどの仮想通貨の取引を付加価値税(日本の消費税に類似)の対象にすべきだと提言していたのに対し、スウェーデンの財務省やフィンランドの税務当局は仮装通貨の取引を非課税とする方針を打ち出していました。

EUの付加価値税に関する規定では、「支払手段」の交換に対しては課税しないとの見解が示されています。ビットコインも欧州の統一通貨であるユーロなどと同様に、「支払手段」に当たると判断したわけです。

EU最高裁判所の判決から1年半程後に日本も同様の見解を表明したことになりますが、法整備において日本は迅速であったと言えるでしょう。この記事で何度か触れた通り、2017年4月に世界で初めて仮想通貨法という法律を施行しています。

また、ビットコインの祖国とも言える米国も、仮想通貨に対して肯定的なスタンスを示してきました。ビットコインの取引を認可している州では、原則として売上税(日本の消費税に類似)の免除対象とし、2015年1月には全米50州中24州の承認(当時)を得たCoinbaseが世界初の政府認可の仮想通貨交換業者としてオープンしています。州ごとに仮想通貨に対するスタンスは異なっていますが、SEC(米国証券取引委員会)は統一基準を設けることを検討しており、取引に対する締めつけではなく投資家保護の目的で、国としての規制が設けられる可能性は考えられます。

こうした動きと対照的なのが中国で、仮想通貨に対する規制が世界で最も厳格であると言えます。しかも、規制は日増しに強化されており、2017年にはICO(仮想通貨の新規上場)の全面禁止、中国本土における仮想通貨交換業者の閉鎖などが実施されました。さらに、今後は中国本土在住の投資家に対して仮想通貨の取引を禁じるという徹底的な規制が実施される見通しです。

こうした中国から逃げ出してきたマイナー(採掘者)たちが終結しているのがロシアです。同国は寒冷で、マイニングによって発熱したコンピュータを冷却するのが容易いからです。このような動きに対し、ロシア政府は犯罪に悪用されることを懸念して、仮想通貨を全面的に禁止する意思を表明してきました。しかし、世界的に仮想通貨を受容するムードを踏まえて次第に姿勢を軟化し、一定の法的基準を設けたうえで取引やICOを認める方向で議論が進められているようです。ただし、政府関係者の間でも矛盾した見解が入り乱れており、方向性が明確になってくるのはまだ先のこととなるかもしれません。

韓国も仮想通貨には懐疑的な姿勢で、同国の法相は仮想通貨取引禁止法案を準備するとの意向を示しました。ところが、国民がいっせいにブーイングを発したことから、方針の見直しを余儀なくされおり、現状では禁止しているICOに関してもその見直しを検討していると言われています。

仮想通貨を禁じる方向性が明確なのはイスラム教の国々で、カタールやアフガニスタンがその典型例と言えるでしょう。やはりイスラム教徒の多いカザフスタンでも、同国の中央銀行が法定通貨(テンゲ)と仮想通貨の交換やマイニングを禁止することを検討していると報じられています。また、イスラム国家ではありませんが、フィリピンでは詐欺まがいの資金調達が横行していることから、ICOに対する規制を実施する模様です。

ユニークなのはインド政府のスタンスで、仮想通貨を法定通貨として認めない一方で、決済システムにおけるブロックチェーン技術の活用は推奨していくという方針を明らかにしています。

まとめ

2016年3月、EUに続いて世界で2番目に「仮想通貨は貨幣の機能を有している」との見解を示した日本。同時に利用者保護とマネーロンダリングやハッキングといった不正防止のために、日本政府は法改正による規制の実施を決断しました。仮想通貨の存在を肯定しつつ、テロ組織などによる悪用や不正な取引を防ぐための規制を整備していくというのが米国をはじめとする多くの国々におけるコンセンサスだと言えるでしょう。しかし、その一方で、中国を筆頭に仮想通貨に対して否定的なスタンスを取る国も存在しています。マネーロンダリングやハッキングを徹底的に防ぐためにはグローバルに統一された規制の枠組みが必要だという意見も出ていますが、それが現実となるまでにはまだ時間がかかりそうです。

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