暗号資産(仮想通貨)のスキャルピングとは? 特徴や注意点を解説

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スキャルピング
2023-04-26 更新

暗号資産(仮想通貨)の取引方法の一つとして、最近、「スキャルピング」という投資手法がトレーダーの間で話題になっています。

スキャルピングとは、数秒から数分単位で取引を繰り返しながら、小さな利益を積み上げていく投資方法です。元々はFX取引(外国為替証拠金取引)などで用いられてきた投資手法ですが、暗号資産取引においても有効な方法であることがわかり、注目されるようになりました。

この記事では、暗号資産の取引におけるスキャルピングについて解説していきます。

暗号資産(仮想通貨)のスキャルピングとは?

スキャルピングは、数秒から数分単位という非常に短い期間の売買で利益を出す投資手法であることから、日本語では「超短期取引」とも呼ばれています。

スキャルピングの語源となる英語のスカルプには「頭皮を剥ぐ」という意味もあり、スキャルピングは薄い皮を何枚も剥ぐように、細かい取引によってわずかな利益を狙いながら利益を蓄積していく手法から、そう呼ばれるようになった証券用語の一つです。

元々は相場が数分単位で変わる外国為替のFX取引などで話題になった取引の手法ですが、暗号資産(仮想通貨)取引においてもスキャルピングは可能であり、むしろボラティリティ(価格変動率)が大きい暗号資産のほうがよりスキャルピングに向いているともいわれています。

スキャルピングの手法

スキャルピングでは、ボラティリティの大きな銘柄をターゲットに常に市場で相場を監視しながら、わずかな相場の変動を狙い取引を実行します。実際の取引はデイトレードよりも短く、日足よりも短い1分足~5分足等の時間軸チャートを基本に取引していきます。つまり、市場におけるボラティリティが大きいほどスキャルピングに適した市場といえるわけです。暗号資産の取引では、短時間で何度も相場が変動することが珍しくないことから、取引が可能なタイミングも多くなります。

スキャルピングにおける取引では、取引を開始してから数秒から数分間という短時間のうちに決済をして、小さな利益を確定していきます。1回あたりの利益は小さいものの、相場が変動するたびに取引を行うことができるので、うまくいけばその回数を重ねることで比較的短期間のうちに利益を上げることが可能になります。

ただし、スキャルピングでは取引のタイミングを瞬間的に判断しなければならないため、経験と瞬時の決断力が必要不可欠です。初心者には、少し難易度が高い投資手法でもあります。

また、スキャルピングでより大きな利益を上げるには、高いレバレッジをかけたり短時間で取引を繰り返したりすることが重要ポイントになります。そのため暗号資産の取引では、現物取引よりもレバレッジ取引のほうが向いているといってもよいでしょう。

スキャルピングのメリット・デメリット

どんなに優れた投資手法でも、確実に利益が得られるという保証は一切ありません。もちろんスキャルピングによる取引にも、メリットもあればデメリットもあります。優れた投資手法をうまく活用するには、メリットやデメリットをしっかり把握しておくことが大切です。

メリット

スキャルピングにおける最大のメリットは、一回の取引時間がわずか数秒から数分という短い時間で完結する点です。取引する際には集中力と決断力は必要ですが、数分程度で一回の取引が終わるため、ちょっとした空き時間、隙間時間を活用して投資を行うことができます。

スキャルピングは一度の取引で得られる利益は少ないのですが、逆に一度の取引で発生する損失も小さいといえます。また、日をまたいでポジションを保有するような取引を行わないため、レバレッジ取引との相性も高いうえに、大きなレバレッジをかけても、短期間で終了するため巨額の損失を出す可能性は低く、効率よく利益を狙えます。

スキャルピングでは、短い時間足を見ながら日に何度も取引チャンスを掴むことができます。特に暗号資産(仮想通貨)の激しいボラティリティとの相性が良く、取引をしている間は常に相場を監視しているので、急激な相場変動にも対応できる可能性が高まります。相場がちょっと不穏な動きをしていると感じたときは逆に取引を控えるなど、価格の変動に合わせて柔軟に対応することができるのもスキャルピングの大きなメリットです。

さらに、取引時間が短いスキャルピングは、ファンダメンタルズ(経済活動の状況を示す基礎的な要因)の影響をあまり受けずに済むというのもメリットの一つです。

デメリット

スキャルピングを行う際は、正確に相場の価格変動を読み解くためにテクニカル分析を活用する必要があるため、中上級者向けの投資手法ともいわれています。取引中は常に集中して値動きを監視し続ける必要があり、投資初心者にはやや難しく誰でも実行できる投資手法ではないという点はデメリットといえるでしょう。

また、スキャルピングは取引を日に何度も繰り返すため、手数料等の取引コストが他の投資手法よりも余計にかかることも一つのデメリットです。

取引を行う際には、常にチャートを見ていないと取引タイミングを逃してしまう可能性があり、取引中は常に集中して値動きを監視し続ける必要があります。他の取引方法とは異なり、ほかの作業をしながら取引を行うことができないのはデメリットともいえるでしょう。

スキャルピングの注意点

スキャルピングには、ボラティリティが大きくかつ取引量が多い暗号資産(仮想通貨)銘柄が向いています。逆にいえば、あまり値動きなく取引量が少ない銘柄は取引チャンスが少なくなるため、スキャルピングという取引手法は向いていないかもしれません。取引を行う銘柄の特徴を第一に知っておくことは、最優先の知識になるでしょう。

スキャルピングを行う際に注意すべきは一瞬の見極めです。短期間の取引を繰り返すにはある程度の判断力が必須かつ暗号資産取引に関する知識や経験も大切です。暗号資産がどのような値動きをするかは、まさに経験則が重要といえるでしょう。

スキャルピングは一回の取引で発生する利益が少ないため、万が一取引に失敗した際はなるべく大きな損失は避けるべきです。大きな損失を出してしまうと利益を取り戻すのに時間がかかります。利益が上がらず損失が膨らみそうな場合は、素早く損切りを判断し、ただちに取引を終了させるように心がけましょう。

また、必然的に取引回数が多くなるスキャルピングでは、取引回数に比例して暗号資産交換業者が各社設定しているスプレッド(購入時売買時の価格差)や取引手数料の影響が大きく出てしまいます。スキャルピングを行うには、なるべくスプレッドが小さく手数料の安い暗号資産交換業者をあらかじめ選択しておくことが重要になります。

数秒から数分が勝負のスキャルピングは、迅速な取引を必要とするため、取引を行う際の通信環境にも注意が必要です。Wi-Fi環境や通信回線の不具合は取引チャンスを逃してしまうなど大きな損失につながります。通信環境が悪いと約定や損切りがうまくできない可能性もあります。いつでもどこでも取引ができてしまう暗号資産ですが、スキャルピングに関しては移動しながら取引を行うような状況や無料Wi-Fiを使っての取引は避けたほうが無難でしょう。

スキャルピングに向いている人

スキャルピングを行うには、短期間ではありますがその期間は集中して取引が行える人でなければ取引の実行は難しいといってもいいでしょう。

スキャルピングは少ない利益を少しずつ積み上げていくことで、初めて大きな利益へとつなげることができる投資方法です。スキャルピングによる取引においては、あらかじめ利確・損切りのルールを作り、ルールを徹底的に遂行できる計画性と忍耐力が必要になります。間違っても一攫千金といった状況にはなりません。そのため、辛抱強く・計画的な投資方法を好む人に向いている手法といえるでしょう。もう少し儲かるかもしれないからここは続けてみようといった、その場の雰囲気に流されてしまう人は、特に向いていません。

余裕のある手持ちの資金だけで、できるだけ多くの取引で小刻みに利益を上げていく投資手法なので、相場を監視しながら市況の変動一つひとつを楽しむことができる人向きです。急な相場の変動にも臨機応変に対応できる余裕があるといいでしょう。

まとめ

スキャルピングは集中力が続く人や気持ちの切り替えが上手い人が向いているといわれています。実際の取引において瞬時の判断がなかなかうまくできない人は、まずは取引を行わずに日々1分足や5分足など短い時間足のチャートを眺めながら、集中して取引のタイミングを見極める練習を行うといいかもしれません。

スキャルピングは1分足や5分足という短い時間足で取引をしますが、だからといって短い時間足だけのチャートを見て取引するものでもありません。暗号資産(仮想通貨)の1分足や5分足の相場は、日足、週足、月足など中長期の相場変動に沿って動く要素も多々あります。取引を行う際には、必ず月足や週足などの長期足を分析してから、現在の相場は順張りなのか逆張りなのかなど、銘柄の相場観全体を把握しながら取引をすることも重要になります。

また、これは投資すべてにいえることですが、どんな投資手法にも絶対はありません。損失が発生するリスクも理解した上で、自己責任において取引を行いましょう。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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