暗号資産(仮想通貨)Polygon(MATIC)とは?将来性や今後を解説

ポリゴン
将来性
2023-02-08 更新

Polygonは、より高速なトランザクション処理の実現と高騰する取引手数料(ガス代)の低減を目指す、イーサリアム(ETH)との互換性を実現するセカンドレイヤー(レイヤー2)ソリューションです。

近年のDeFi(分散型金融)の急成長やNFT(ノンファンジブルトークン)ブームによるイーサリアムのスケーラビリティ問題や取引手数料高騰の問題を解決するためのソリューションとして注目されるブロックチェーン技術の一つとして話題です。

本記事ではPolygonの特徴やその将来性や今後の展開について解説します。

Polygon(MATIC)とはどんな暗号資産(仮想通貨)?

Polygonは、イーサリアムのスケーラビリティ問題や取引手数料高騰の問題を解決することを目的に開発されたプロトコルおよびフレームワークです。

Polygonはイーサリアムとの互換性を保ちつつ、セカンドレイヤー技術により、イーサリアムのスケーラビリティ問題や高騰するガス代の問題を解決することが可能です。また、イーサリアムに接続することでマルチチェーンイーサリアムエコシステムをサポートし、イーサリアムやその他のブロックチェーンとの相互運用(インターオペラビリティ)を可能にします。

Polygonは、元々はMATICというプロジェクト名で、2017年にインドのブロックチェーンコミュニティで活動をしていたジャインティ・カナニ氏とサンディープ・ネイルワル氏、アヌラグ・アルジュン氏の3名が共同で創業しました。のちにセルビアのミハイロ・ビェリック氏が運営チームに加わっています。

MATICは、この4名をコアメンバーに世界中の協力者からなる分散型チームによって構築されました。MATICは2020年5月にメインネットをローンチ後、2021年2月にリブランディングを行い、MATICからPolygonに改名しました。

Polygonの特徴

当初Polygonは、イーサリアムのセカンドレイヤー技術として、スケーラビリティ問題を解決するために開発を進めてきました。しかし、Polygonは独自のコンセンサスアルゴリズムとネイティブトークンMATICを持つため、機能的には独立したブロックチェーンとして動作します。そのためPolygonは、レイヤー1のブロックチェーンと見なすこともできるユニークなプロジェクトになりました。

その結果、Polygonはリブランディングを行い、単にイーサリアムに接続されるセカンドレイヤー技術に留まることなく、ブロックチェーンとしてさらに進化する方向を目指すことになりました。

MATICの発行上限は100億MATICです。その用途として、主にPolygon上のサービスの利用手数料やマルチチェーンイーサリアムへのゲートウェイであるPolygonのステーキング用の報酬に使用されます。ちなみにMATICは、イーサリアムの共通規格であるERC-20に準拠して発行されるトークンです。

イーサリアムのセカンドレイヤー技術に相当するPolygonは、イーサリアムのブロックチェーンに変更を加えることなく、イーサリアムをサポートするソリューションとして機能します。そのため、イーサリアムの高いセキュリティを犠牲にすることなく、高騰するガス代や遅延するトランザクション処理の問題を解決します。また、その互換性からイーサリアムブロックチェーン上で開発されたサービスをほぼそのままPolygon上でも使用することが可能です。

Polygonの仕組み

Polygonは、イーサリアムとイーサリアムのサイドチェーン技術Plasma(プラズマ)およびプルーフオブステーク(PoS)を応用したコンセンサスアルゴリズムを持つ独立チェーンによる、マルチチェーンシステムという構造になっています。

このサイドチェーン技術とマルチチェーンシステムによって、イーサリアムのネットワークサイズやセキュリティ、効率性、有用性などを拡大し、開発者がイーサリアムを使用するかのごとく、そのままで安心安全に大規模なDAppsの構築を行えるプラットフォームを提供しています。Polygonを使うことで、魅力的なDAppsをより早く市場に投入できるようになります。

PolygonのネイティブトークンであるMATICは、Polygon上に構築されるDAppsでの手数料の他に、ステーキングされることでPolygonネットワークの維持・開発に携わる開発者への報酬として使用される目的で発行されています。また、MATIC保有者がPolygonプロジェクトの方向性や仕様の変更に投票できるガバナンストークンにも利用されます。

イーサリアム上のサービスをPolygonで利用する場合、短時間でのブロック承認が可能で、ガス代も高騰しにくくなる利点があります。Polygonで処理可能な1秒間の最大トランザクション数は6000~7000になるといわれています。

さらにPolygonはブリッジ機能により、異なるブロックチェーン同士を相互に接続するクロスチェーンブリッジを可能にし、レイヤー1とレイヤー2の橋渡しとしての役割を担うことができます。

Polygonのユースケース

Polygonのように、イーサリアムとの互換性を持ちながらスケーラビリティ問題やガス代高騰の問題を解決するセカンドレイヤー技術を打ち出すプロジェクトは少なくありません。たとえばポルカドット(DOT)などもその一例ですが、そういったプロジェクトの多くは、異なるブロックチェーンの相互運用性(インターオペラビリティ)に焦点をあてて開発が進められているプロジェクトがほとんどで、異なるブロックチェーン、異なる暗号資産(仮想通貨)の取引を主体とするプロジェクトが目立ちます。

しかし、Polygonはすでにイーサリアム上でサービスを提供しているDAppsが抱えている問題を解決することに焦点をあてて開発されてきたことから、従来のDApps開発者がプラットフォームをイーサリアムからPolygonに置き換えたり、拡張したりするケースに利用されることが多いのが特徴です。中には、Polygonで一からDAppsを開発するケースも見られますが、いずれも明確にイーサリアムの代替的なプラットフォームとして利用されるケースがほとんどです。

そうしたPolygonの利用背景としては、イーサリアムのスケーラビリティ問題によるガス代の高騰が大きな理由の一つでした。イーサリアムによるDAppsサービス自体がいかに優れたものだとしても、手数料が高すぎては利用されず、また取引がいつまでも確定しない状況は、サービスを利用するユーザーにとっては不快であり、かつ状況はサービスの存続すら不可能な状態になりつつありました。

2020年から2021年にかけては、いわゆるDeFiのような金融領域におけるブロックチェーンの活用が加速しました。そのような中でイーサリアムは、まさにスケーラビリティの問題が悪化し、手数料の高騰も無視できないほど大きなものとなり、市場が拡大しづらい状況になりました。金融サービスにおいては、取引の遅延や手数料の高騰は致命的です。そうした状況を打破するために主要DeFiプロジェクトはこぞってPolygonへの移行を進めるようになりました。

2021年3月には、DEX(分散型取引所)として世界トップ3の規模を誇るスシスワップ(SushiSwap)がいち早くPolygonへの対応を発表しました。そのほか、著名なDeFiサービスもまた次々とPolygon対応を表明しています。

またDeFiレンディングプロトコル(分散型融資システム)のアーベ(Aave)は、MATICの総供給量のうち1%にあたる4000万ドル相当のMATICを、Polygon上のアーベネットワークで流動性マイニングに割り当てるプログラムを提供しています。

さらにはNFTを利用したブロックチェーンゲームやマーケットプレイスなどにも、Polygonが使われています。

海外のNFTマーケットプレイスでは、ガス代の削減に向けて複数のブロックチェーンに対応することを表明し、そのうちの一つとしてPolygonに対応しているところもあります。NFTとVR(仮想現実)を組み合わせたメタバース関連のプロジェクトでも、Polygonへの対応が進められています。

日本国内でも人気のブロックチェーンゲームやNFTマーケットプレイスのいくつかも、すでにPolygonによる決済に対応するなど、エンタメやゲーム分野でもPolygon対応への盛り上がりを見せている状況です。

こうした一連の対応について、Polygonの運営は自らPolygonに対応しているプロジェクトの一覧としてウェブサイトで公表しています。一覧では、DeFiやNFT+ゲーム、DAO(自律分散型組織)、B2Bといった領域のユースケースが多数掲載されており、人気プロジェクトがPolygonに対応していることが一目瞭然です。一覧からは、いかにイーサリアムのスケーラビリティ問題が深刻であるかについても見て取ることができます。

Polygonの将来性は?

Polygonは、2021年に入ってからNFTブームやブロックチェーンゲームの人気の影響を受けて、NFTの利用を加速させるためにPolygonスタジオ(Polygon Studios)を立ち上げました。Polygonスタジオは、世界の大手IPやNFTアーティスト、ゲーム業界をサポートすることで、NFT市場に参入しやすい環境を構築し、NFTの発展を目指します。

また、PolygonはプラズマやPoSの他にも、セカンドレイヤー技術としてZK-RollupsやOptimistic Rollupsのサポートを予定しています。選択肢として、より多くのセカンドレイヤー技術の対応を考えています。

その他にも、ポルカドットなど異なるブロックチェーンとの相互運用性を強化し、開発者が大規模なDAppsを開発できるように安心して開発ができる環境整備を進める計画です。

ロードマップ

Polygonは、より優れたイーサリアムスケーリングソリューションの提供を継続するために、ロードマップとして今後予定している機能や新たなスケーリングソリューションの提供予定を発表しています。

たとえば、プライバシーに焦点を当てた開発プロジェクトの一つであるPolygon Nightfallは、2022年5月にメインネットのベータ版がローンチされました。Polygon Nightfallはロールアップおよびゼロ知識証明を活用したスケーリングソリューションです。

Polygon Nightfallと同様にプライバシーに特化した機能としてPolygon Midenの開発も進めています。Polygon Midenは、ゼロ知識証明の関連技術であるzk-STARKsを活用したスケーリングソリューションです。ロールアップ技術の課題となっている問題をサポートする技術として注目されています。

カスタムネットワークを各自で作成可能にするPolygon Edgeでは、カスタマイズ可能なPolygonの機能を使用してイーサリアムと互換性のある独自のブロックチェーンネットワークの構築と実行が可能になります。

テストネットを公開中のPolygon zkEVMは、ZKロールアップに特化した新たなレイヤー2ソリューションです。Polygon zkEVMはゼロ知識証明技術とイーサリアムと同等のセキュリティを提供することができる仮想マシンです。イーサリアムのスマートコントラクトにも実装可能なPolygon zkEVMは、ゼロ知識技術による分散化とセキュリティを保ちながらイーサリアムよりも高速処理が可能かつ安価な手数料で取引ができる環境を提供します。メインネットは2023年初頭のローンチを予定しています。

その他にもスケーラビリティを向上させる方法として、データ可用性(Data Availability)に特化したブロックチェーンであるPolygon Availの開発や、Polygonが開発を行う世界最速のzkスケーリング技術のPlonky2を応用して10億人規模のユーザーをイーサリアムで処理可能にするPolygon Zeroなど、多くのスケーリングソリューションの開発が進められています。

まとめ

Polygonは、イーサリアムとの互換性を徹底して保ちながらスケーリングソリューションを提供するフレームワークです。前述の通り、イーサリアムの代替的なプラットフォームとして利用されるケースを想定した開発が進められています。そのため、今後もイーサリアムの進化に追従しながらも、開発者に対してはより多くのスケーラビリティソリューションを提供することを目指して、さまざまな機能を開発し続けるでしょう。Polygonによって、イーサリアムのレイヤー2エコシステムはより活性化し、また、異なるブロックチェーン間の相互接続の環境は、より活発になるのではないでしょうか。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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