ビットコインは海外でも取引できるってホント?
もともと、ビットコインは米国で誕生し、日本に先駆けて欧米で普及していきました。実は、日本に居ながらにして、ビットコインを海外の仮想通貨交換業者で売買することが可能です。英語表記でのやりとりが基本となりますが、日本語に対応しているところもあります。
ただし、海外の仮想通貨交換業者を利用する際にはいくつかの注意すべきポイントがありますし、特有のデメリットがあるのも確かですので、取引を行う場合は、それらを理解しておく必要があります。
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ビットコインを海外の仮想通貨交換業者で売買する際の注意点
インターネットが世界中に普及し、海外で運営しているサイトで商品を購入する「越境eコマース」が当たり前になってきた今の時代、ビットコインも国内の仮想通貨交換業者のみならず、海外の仮想通貨交換業者でも比較的簡単に売買することが可能です。もっとも、国内で取引するケースとは異なるポイントもあるので、きちんと違いを理解したうえで利用するのが賢明でしょう。
まず、何よりもしっかりと認識しておきたいのは、一口に海外の仮想通貨交換業者と言っても、手数料の設定やセキュリティに関する備えに関して、少なからず事業者間で格差があることです。セキュリティのみならず、システムの管理などへの信頼性に不安がある事業者も少なくありません。トラブルが発生して問い合わせても、なかなか対応してくれないケースも考えられます。当然ながら、なるべく手数料が割安である一方で、セキュリティ面やシステム面も万全である海外の仮想通貨交換業者を選び抜くことが肝心となってきます。
では、具体的にどうやって信頼できる海外の仮想通貨交換業者を見つけ出せばいいのでしょうか? 実際に海外でビットコインの取引を行っている人の体験談をネット上で確認するのも1つの手ですが、あくまで個人の感想にすぎません。これといった根拠のない主観的な見解であったり、意図的に広告への誘導を狙ったものであったりするケースも考えられます。1つの情報だけを鵜呑みにせず、できるだけたくさんの数を見比べたうえで、客観的に判断するが無難です。そうすると、誰もがオススメしている海外の仮想通貨交換業者が大手数社であることに自然と気づくはずです。選択の際にキーワードとなってくるのは、運営している事業者の規模と資産管理の体制、セキュリティ対策です。最低限、これら3つのポイントをしっかりと確認しておきたいところです。
ビットコインを海外で取引する場合のメリット・デメリット
安心して取引できる事業者は限られているという話を最初にしましたが、それでも海外の仮想通貨交換業者を利用するメリットはあるのでしょうか? まず、海外の仮想通貨交換業者の中には、日本国内の仮想通貨交換業者よりも割安な手数料体系になっているところがあります。
加えて、大手の海外の仮想通貨交換業者にはグローバルな規模で投資家が集まってくるので、売買が成立しやすいのも確かでしょう。それから、これはビットコインにしか関心のない人にとっては無関係なことかもしれませんが、海外の仮想通貨交換業者が取り扱っている仮想通貨の種類は国内の仮想通貨交換業者よりもはるかに豊富で、日本では購入できないものも数多く揃っています。
こうしたメリットが魅力的であるのは確かですが、その一方で海外の仮想通貨交換業者特有のデメリットがあることも気に留めておくべきでしょう。たとえば、メリットの1つの裏返しで、取り扱っている仮想通貨の数が非常に多いということは、信頼性の乏しい仮想通貨もかなり紛れ込んでいるという実態について示唆しています。また、日本語対応している海外の仮想通貨交換業者も存在しているとはいえ、けっして万全のサポート体制であるとは言いがたく、英語に自信のない人は不安を抱えながらの取引となってくるでしょう。中国で仮想通貨交換業者が閉鎖に追い込まれたように、国によっては政治的な判断で突如取引ができなくなる恐れもあります。
特に海外の仮想通貨交換業者の場合、何らかのトラブルが発生した際の対応には、事業者間でかなりの違いがあるので注意が必要でしょう。日本の常識では信じられないような不誠実な扱いを受けることもあるようです。
たとえば、2018年6月にモナコインというアルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)のネットワークが何者かに攻撃されて損害が発生したのですが、その際にとある海外の仮想通貨交換業者がとった対応はけっして誠実とは言えないものでした。
声明を要約すると、「モナコインの開発チームに問い合わせたら損失の補償は考えていないというので、同仮想通貨の入出金停止措置を継続します。モナコインの開発チームが損失の補償に向けて何らかの手続きを始めれば、入出金停止を解除します。苦情については、モナコインの開発チームへ直接伝えてください」といった内容です。その文面からは、「当方に非はない。当方も被害者である」という主張が伝わってくる気がします。そして何より、日本の常識で考えれば、「この度はお客様にご不便をおかけしまして、誠に申し訳ございません」といったお詫びの言葉が添えられているものでしょう。しかしながら、このようなお詫びの言葉もなく不誠実な対応は海外では珍しいことではありません。
また、さらなるトラブルも発生しています。とある海外の仮想通貨交換業者がシステムのアップグレードを実施し、本来なら数時間で完了する見通しでした。ところが、想定以上に手間取ったうえ、「日を改めて再開しよう」という話になって、作業を担当していたエンジニアを帰宅させてしまったのです。しかも、翌日になってもアップグレードの作業は終了せず、3日間も取引が一切不可能でした。その間に入っていた注文はすべてキャンセルとなったうえ、復旧後も入出金に規制がかかるという不手際ぶりです。
一方、多くの人がオススメしている信頼できる海外の仮想通貨交換業者を利用する際にも注意が求められてきます。著名な業者になりすまして誘い込むフィッシング詐欺が蔓延しているからです。正式な社名やURLであることをきちんと確認しないでサイトにアクセスしてしまうと、個人情報を盗み出されて預金引き出しなどの被害に遭う恐れがあります。
海外でビットコインを取引するには
国内の仮想通貨交換業者なら、銀行預金などからお金を移すだけですぐに取引を始められます。しかし、海外の仮想通貨交換業者はごく一部を除いて日本円での入金が不可能で、その点もデメリットと言えるかもしれません。まずは国内の仮想通貨交換業者でいずれかの仮想通貨を購入し、それを海外の仮想通貨交換業者へ送金することになります。その際には出金先のアドレスが必要になりますが、その入力を間違えると面倒なことになりかねないので注意しましょう。海外の仮想通貨交換業者に届かないばかりか、自分の手元にも戻ってこない恐れがあるのです。
ビットコインの取引で失敗しないためのポイント
お金が関わってくるだけに、海外の仮想通貨交換業者を利用するに当たってはそのメリットだけでなく、デメリットのこともきちんと念頭に置いた対応が求められます。つまり、リスクコントロールをしっかりと行っておくことが大切なのです。
ハッキングなどによる流出やシステム上のトラブルは海外の仮想通貨交換業者だけにとどまらず、国内の仮想通貨交換業者においても発生しうることで、すでに実例もあります。しかしながら、そういったアクシデントが起きた際に、海外ではなく国内の法律や慣習の下で処理が進められたほうが、いくらか安心ではないでしょうか? そもそもサポート体制に関して国内の仮想通貨交換業者は概してレベルが高く、海外の事業者にも同レベルのものを期待するのは酷だと言えるかもしれません。
まず大前提として、海外の仮想通貨交換業者で仮想通貨の売買にあてるのは、余裕資金のうちの一部に限定しておくのが賢明かと思われます。そして、中長期的に保有するつもりなら国内の仮想通貨交換業者で保管し、海外の仮想通貨交換業者では短期売買に的を絞るなどといった使い分けが効果的かもしれません。
いったん国内でビットコインなどの仮想通貨を入手して送金しないと取引を始められないケースが多いことからも、初心者がいきなり海外の仮想通貨交換業者からチャレンジするというのも考えものでしょう。まずは国内の仮想通貨交換業者でアカウントを開設し、それなりに取引の経験を積んで慣れてから海外の仮想通貨交換業者にも手を広げていくというのが自然な流れかと思われます。
また、海外の仮想通貨交換業者の中には新規のアカウント開設を制限しているケースも見受けられます。その点も事前にサイトで確認しておきたいところです。さらに、それまで日本語でも対応していたのに、突如として英語のみに変更されるというケースも発生しています。
まとめ
ビットコインをはじめとする仮想通貨は、国内の仮想通貨交換業者だけでなく、海外の仮想通貨交換業者を通じても売買できますし、英語表記のケースが多いとはいえ、アカウントの開設手続きも比較的簡単です。取り扱っている仮想通貨の数が豊富で、手数料がかなり割安な設定になっているところもあります。もっとも、セキュリティ体制やシステムの安定性、運営事業者の信頼性に疑問符が付くケースもあり、しっかりと取捨選択しないとトラブルに巻き込まれる恐れが出てきます。そういった意味でも、ビギナーやまだ経験の浅い投資家がいきなり手を出すのはリスクがあるでしょう。これまで国内の仮想通貨交換業者で取引してきたが、今後は海外の仮想通貨交換業者での取引にチャレンジしようと思っている人も、あくまで資金の一部にとどめたうえで、主に短期的な売買において活用するのが堅実な手法だと言えそうです。やはり、安心してビットコインをはじめとする仮想通貨の取引をするためには、国内の仮想通貨交換業者がオススメです。
ビットコインの取引について興味を持たれた方は「ビットコインの取引の始め方は?方法やリスク管理を徹底解説!」もご参照ください。
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