2023年の暗号資産(仮想通貨)はどうなる?2022年のクリプト業界もおさらい

暗号資産
2023
2023-02-08 更新

2022年はアメリカで急激に進んだインフレーションを引き締めるために、アメリカ政府が大幅な利上げといった金融引き締めを行いました。さらにはロシアによるウクライナ侵攻が続き、原油高も加わりインフレは収まらずリスク資産が売られ、それまで好調だった株式が一気に下落しました。ビットコイン(BTC)はリスク資産の影響が及んだ上、アルゴリズム型ステーブルコインのテラUSD(UST:現テラクラシックUSD)のドルペッグが崩壊したことや大手暗号資産(仮想通貨)ヘッジファンドの倒産を受けて低迷するなど「暗号資産(仮想通貨)冬の時代」との声が聞かれた年でした。一方で、Web3という用語が一般に周知され、イーサリアム(ETH)がプルーフ・オブ・ステーク(PoS:Proof of Stake)に移行するなどクリプト(暗号資産含めたブロックチェーンに関連するユースケース)業界では様々な動きが見られました。

本記事では、上記のような2022年の出来事を振り返りつつ、2023年に起こるとされる話題について解説していきます。

ビットコインについて

2022年の年が明けた1月には、同月に新たに就任した米ニューヨーク市のエリック・アダムス市長が初めての給与をビットコインとイーサリアムで受け取るなど、ユースケースの広がりをみせたことで一年が始まりました。アダムス市長は当選時「市長になったら最初の3回の給与をビットコインで受け取る」と宣言していました。アメリカではマイアミ市長もビットコインで給与を受け取っています。

ユースケースの広がりとしては、中央アフリカ共和国が4月、ビットコインを法定通貨として採用したことを発表しました。ビットコインの法定通貨化は2021年に中米のエルサルバドルが世界で初めて採用しており、これに続く2例目として注目されています。

一方で、2022年はビットコインにとって厳しい状況が続いた年でした。

3月には、ビットコインATM設置台数が史上初めて前年同期比で減速しました。Coin ATM Radarによると、2022年1月と2月には世界中で合計1,817台のビットコインATMが設置されました。しかし昨年の同時期には2,435台のビットコインATMが設置されており、それまで増加傾向だった設置台数が初めて減少しました。要因としてはヨーロッパでの設置台数が減速したことが挙げられています。

一方で、米国の利上げでコロナバブルが反転し、株式といったリスク資産全般が下落。ビットコインにも影響が波及し、市場が大きく低迷する「暗号資産冬の時代」が到来しました。5月には、アルゴリズム型ステーブルコインのテラUSDのドルペッグ崩壊が引き金となり、ビットコインが急落。市場低迷の煽りを受けて、7月に暗号資産レンディング企業や大手ヘッジファンドが軒並み倒産したことで、ビットコイン相場は下落が進みました。

そのため、6月には前回半減期の最高値を下回り、1BTC=2万ドル割れとなりました。4年に一度訪れる半減期では、前半減期中に記録したビットコインの最高値を下回ることはそれまでにありませんでした。さらに、暗号資産市場が低迷したことで、海外の暗号資産企業ではリストラが加速しました。

2022年は2月にロシアのウクライナ侵攻が始まったことも暗号資産市場に大きな影響を与えました。資源国家であるロシアが経済制裁対象となり、資源高と米国経済の影響で世界的にインフレが起こりました。過去にはインフレヘッジになるとされたビットコインも今回はインフレヘッジとしては機能せず、リスク資産同様に売られる時代となり、2022年10月末時点でも史上最高値から3分の1ほど下落した2万ドル付近を推移しています。

ビットコインの出来事
1月 ニューヨーク市長が給与をビットコインとイーサリアムで受け取る
2月 ロシアのウクライナ侵攻始まる
3月 ビットコインATMの設置台数が史上初めて減速
4月 中央アフリカ共和国がビットコインを法定通貨化
5月 テラUSDのドルペッグが崩壊
6月 前回半減期の最高値を下回る
7月 暗号資産レンディング企業やヘッジファンドが軒並み倒産

テラUSDの崩壊と相次ぐ倒産

2022年に暗号資産(仮想通貨)市場で最も話題になったことの一つとして、前述したアルゴリズム型ステーブルコインのテラUSDのドルペッグ崩壊が挙げられるでしょう。

テラUSDは崩壊前の4月時点で約175億ドル供給され、過去6ヶ月で500%以上も供給量が増加していました。暗号資産全体の時価総額ランキングでは当時、10位まで上昇したこともあるほど人気が過熱していました。

ステーブルコインであるテラUSDは、1UST=1ドルの価値を保つよう設計されていました。ただ、ほかのステーブルコインが1トークンあたりの裏付け資産として法定通貨のドルを保有しているのとは異なり、自社で発行するLUNAというドル相当のトークンで裏付けされているというものでした。ユーザーは、1ドル相当のLUNAと1USTを取引できる状態となります。このLUNAとUSTの供給量を調整することでドルペッグを保つという仕組みでした。

例えば1USTが1ドルを超えた価値で取引されている際はLUNAをバーン(焼却)します。そしてその代わりにUSTをユーザーに発行して価値を希釈化します。反対に、USTが1ドルを下回る場合には投資家は1ドル相当のLUNAと交換ができます。交換されたUSTがバーンされ、供給量を減らして価格を上昇させる一方で、LUNAを発行することでユーザーにインセンティブを与えます。

しかし、2022年5月にドルペッグを失って一気に下落。少数の大口投資家が大量のUSTを出金したことでペッグが失われ、さらに海外の大手暗号資産交換業者などでの大口出金が拍車をかけたとみられています。また、投資家のリスク選好がステーブルコインや暗号資産に移っていたものが、マクロ市場や世界経済の悪化などから逆流したことも要因だとする声もあります。

その後も、相場急落を受けて、6〜7月に大手レンディング企業のセルシウス・ネットワークやヘッジファンドのスリー・アローズ・キャピタル(3AC)、ボイジャーデジタルが相次いで倒産しました。

セルシウスは売却と買戻のタイミングを失敗するなど、相場が低迷する中で投資戦略が機能しなかったことが要因だと報じられています。3ACは相場が回復すると見込んで取引を続けていましたが、ビットコインの値下がりがつづき、ついに追証に対応できなくなり、1 BTCあたり2万ドルを割り込んでいた7月に破綻しました。さらに3ACが破産したことで、カナダ上場のボイジャーデジタルが巨額融資を回収できなくなり、連鎖的に経営破綻しました。

「ウェブ(Web)3」が注目される

2022年は、「ウェブ3(Web3)」という言葉が注目を浴びた年でした。暗号資産(仮想通貨)業界で以前から話題になっていた分散型金融(DeFi)やノンファンジブルトークン(NFT)が一般にも周知が広がり、多くのメディアで報道されました。

中でも火付け役となったのは、NFTゲームのジャンルの一つである「Move to Earn(動いて稼ぐ)」のSTEPNです。NFTスニーカーを購入してランニングやウォーキングをすることで報酬として独自トークンを獲得できるというものです。NFTスニーカーを複数用意するなどして、トークンを多く獲得するプレイヤーも現れるなどブームになるも、5月には運営側が中国ユーザーの規制を発表したことでバブルが崩壊。数日でピーク時の10分の1に下落しました。6月にはNFTの取り組み自体がピークを過ぎたとの調査も出ました。

ウェブ3で話題となったのは新たなコミュニティの形となると期待されているDAO(自律分散型組織)です。DAOとは名前が示すように、特定の所有者や管理者がいなくても「自律的」に運営される組織やプロジェクトとされます。2022年はウクライナの支援を表明してDAOが設立されたり、フリーランスと雇用主をつなぐDAOが設立されるなど、スマートコントラクトによって、仲介者を必要とせずに自動的に処理が行われる仕組みが注目されました。6月に発表された調査によると、DAOの設立数が12ヶ月で約9倍になったというものがあります。

ウェブ3に関しては、アップルや日本の大手広告代理店のほか、DMM.comもウェブ3の新会社を立ち上げました。こうしたことからある暗号資産交換業者が、ブロックチェーン業界での勤務経験のない3608名を対象に7月に実施した調査によると、回答者の3分の2がWeb3業界での勤務に前向きであることがわかりました。

ウェブ3は国内外の政府も注力していくことが明らかになっています。中国の上海市では7月に、今後のデジタル技術に関する5ヵ年計画にウェブ3を盛り込みました。さらに日本でも岸田総理がWeb3サービスの利用拡大に向けた取り組みに言及したほか、日本のデジタル庁が10月に「Web3研究会」の初めて開催するなど、国を挙げた動きがあります。

実際に事業環境を整えるため、日本の税制改正要望では、8月にWeb3系企業の事業環境に向けた税制の改善盛り込まれました。

ウェブ3の出来事
2月 ウクライナ支援など、DAOに注目集まる
5月 STEPN運営が中国ユーザーの規制を発表し、バブル崩壊
6月 NFT市場がピーク過ぎた一方で、DAOの設立数が9倍成長
7月 DMM.comなどのWeb3の新会社設立が相次ぐ
10月 岸田首相がWeb3関連の取り組み進めると発言
10月 日本デジタル庁がWeb3研究会を初めて開催

関連リンク:
web3(ウェブ3)とは?
DAO(自律分散型組織)とは?

イーサリアムがPoSに移行

そして2022年に暗号資産(仮想通貨)業界に起こった変化として忘れてはいけないのが、9月にイーサリアムのコンセンサスアルゴリズムがプルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work:PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake:PoS)に移行したことです。

イーサリアムはこれまで、人気が高まるに連れて、トランザクションの処理が遅れ、手数料が高騰する「スケーラビリティ問題」や、PoWのコンピューター処理に伴う過大な電力消費が問題になっていました。PoSに移行したことで、エネルギー消費で問題となっていた「マイニング(採掘)」が不要になり、代わりにイーサ(ETH)を預け入れる(ステーク)ことによってブロックチェーンネットワークを運用するようになりました。

ただし、スケーラビリティを改善する「シャーディング」は2023年後半に完了する予定です(2022年10月現在)。手数料高騰への対処やエネルギー問題への本格的な解決はシャーディングを待つ必要があります。

関連コラム:
PoSに移行したイーサリアム、今後の動向は?

2023年の暗号資産(仮想通貨)・クリプト業界はどうなる?

それでは2023年の暗号資産(仮想通貨)業界はどうなるのでしょうか。

相場に関しては様々な意見があります。楽観論としては、2022年後半にはビットコインがリスクオフ資産にシフトするとの声があります。ブルームバーグ・インテリジェンスのシニアコモディティストラテジストを務めるマイク・マクグローン氏は2022年10月、需要と供給の法則を考えれば、ビットコインの価格は「時間をかけて上昇し続けるはず」と述べ、ビットコインは2022年第4四半期に「底打ち」の兆しが見えると指摘しました。このため、2022年10月時点でリスクオン資産と連動しているとされるビットコインが、リスクオフ資産に移行すると指摘しています。その上で同氏は「ほとんどの資産を凌駕する」とコメントしています。

一方で、ビットコインは2024年の「半減期」まで低調な相場が続くとの意見もあります。2021年11月にあった69,000ドル付近で記録した最高値が現在のサイクルでの天井であるとの考えから、次の半減期が訪れるまでは最高値を更新することはないという考えです。ビットコインは半減期のサイクルごとに最高値を更新してきた歴史があるためです。

こうした価格に影響を与えるのは、アメリカの利上げです。利上げについてはFRB理事が2022年10月に「2023年初めまで追加利上げを予想する」と発言。金融引き締めが続いている間は、リスク資産が売られる傾向が予想されます。

2022年9月にあったFOMCでのドットチャートでは、予想を上回る大幅な利上げが見込まれました。2022年9月のFOMCでは政策金利であるFFレートは3.0〜3.25%となっていますが、2023年末には4.125%と予想されています。

今後、2022年9月に提出された新経済連盟の税制改正要望が成立することがあれば、トークンを発行する際の税制が整えられ、暗号資産企業の事業環境が改善することもあるでしょう。これまで、日本の税制では現金収入を得られていないにもかかわらず、利益を出していると判断されることで重税を課せられる仕組みになっているため、シンガポールといった海外への人材流出が問題視されてきました。税制改正要望が成立することで、これらの人材流出に歯止めがかかる一助になるのではないかと期待されています。

アルトコインについてはリップルに関する裁判の進展に注目です。リップル社が2020年に13億ドル相当のXRPを販売したのは未登録証券の販売にあたるとして、アメリカの証券取引委員会(SEC)がリップル社を訴えているものです。

SECの主張に対しては、証券法のどの部分が法的根拠になっているのかを明確に伝えるのではなく、執行行為によって規制しているとの批判があります。今回の法的根拠が明確になることで、XRP以外のプロジェクトにも適用できる前例となるかもしれません。

リップルのブラッド・ガーリングハウスCEOは2022年10月、裁判は2023年前半にも判決が出されるとの見解を明らかにしています。

関連リンク:
暗号資産(仮想通貨)市場に影響を与えるFOMCとは?

まとめ

2022年は、テラUSDのドルペッグ崩壊によってビットコイン市場に「暗号資産(仮想通貨)冬の時代」が訪れた年となりました。さらにアメリカのコロナバブルが逆流し、ロシアによるウクライナ侵攻による原油高とも相まって、世界全体でインフレが進みました。

一方でウェブ3という新しい概念が広く一般に周知されたことは、今後の暗号資産業界にとっても光明と言えそうです。

2023年は税制改正を含めた法規制への期待やリップル裁判の終結が見込まれる一方で、アメリカの利上げはまだまだ続くために暗号資産相場への影響が懸念されます。日頃から情報収集を続けることが、投資の上でも重要になりそうです。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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