暗号資産(仮想通貨)ビットコインの窓とは?
暗号資産(仮想通貨)の市場で、最近、「窓」という言葉が使われるようになりました。暗号資産取引において、窓開けや窓埋めという現象が注目されています。
この窓、窓開け、窓埋めという言葉は、暗号資産取引におけるトレード手法の一つとして特に機関投資家たちの間で大きな話題になっています。この記事では、ビットコインの窓、窓開け、窓埋めについて解説していきます。
チャートにおける「窓」とは?
株式取引やFX取引では「窓」というワードは、かなりポピュラーな言葉として浸透しています。また、それに付随する「窓開け」「窓埋め」というワードも日常的に使われています。本来、窓というワードは株式・証券関連用語の一つなのですが、近頃は暗号資産(仮想通貨)取引においても聞かれるワードになりました。
窓は、価格の急激な値動きにより形成されるチャート(相場)における空間を示す言葉です。
ここでいうチャートとは、価格(ある期間の始値、終値、高値、安値の4つの価格)をひとつの線で表すローソク足を使い、過去の値動きを1分、1時間、1日と、時間や日毎にグラフ化して見やすくしたものです。
このローソク足のチャートで、市場が休場中に起きる相場の急騰、急落による急激な値動きが理由で、前日の終値を示すローソク足と当日の始値を示すローソク足の間に空白ができることがあります。このチャートに現れる空白の隙間を、「窓」と呼びます。
たとえば株価の場合、東京証券取引所の市場は15時にクローズしてから翌朝9時にオープンするまで、さらに週末から週明けに休場します。その休場の間、重大なニュースが発生することで、休み明けにそのニュースの影響を鑑みた注文が入るため、寄り付きの株価に大きな差が生まれることがあり、ここで窓が発生します。
窓開け、窓埋めとは?
一般的には窓ができると、相場はさらにその方向に傾くとされていて、時にはこの窓が市場において相場の転換点になってしまうことも少なくありません。窓が発生することを「窓開け」といい、相場は窓開けのあとには元の水準の株価に戻ってしまうことも多く、この現象を「窓埋め」といっています。
そのため、投資家は相場の動きとして窓開け、窓埋めの動きは読みやすいため(確実性はありません)特に窓の発生には注目しているというわけです。
ちなみに相場が上昇方向に差が生じることをギャップアップといい、下落方向に差が生じることをギャップダウンといいます。
チャートにおける窓、窓開けは、前述の通り市場の休場中に大きな値動きがあった場合に発生します。発生のメカニズムは、世界情勢や経済の景気、株価であれば企業の業績等その理由はまちまちです。具体的には、企業の業績の上方修正や下方修正が発表されたり、新商品がリリースされたり、他社との業務提携が発表されたり、あるいは企業の不祥事が発覚した場合なども、相場は大きく変動します。
また、暗号資産においては常にボラティリティ(価格変動率)が大きく、理由がわからないまま大きな値動きを起こすこともあります。
こうした場合に、チャートを分析するとそこに窓が開いているという動きを見ることができます。「窓開け」のあと、相場はごくごく自然に元の水準の価格に戻る「窓埋め」という動きが起こりますが、この窓開け後に窓埋めの現象が起きるというのはあくまでも経験則による知識の一つです。
特に株式投資には「埋めない窓はない」という相場格言があります。「開いた窓はいつか必ず埋まるという意味の格言として投資家の間では周知の事実になっています。
窓埋めの現象は、相場が元の水準の価格に戻るまで2、3日で完了することもあれば、数週間かかることもあります。窓埋めのメカニズムは実は解明されていませんが、だいたいがそうした傾向にあるということが、後々チャートを見ると「ああ、これが窓埋めの動きだったのか」ということがわかります。そもそもチャートというのは、過去の値動きを表したものですから、未来を確実に推測できるものではありません。
窓、窓開け、窓埋めという現象も、あとからチャートを分析したことで、相場の値動きにはそうした傾向にあるといえるものであり、我々は経験則としてそれを理解しているというだけにすぎません。投資家は、こうしたこれまでの結果をもとに、窓開け、窓埋めを応用しに自らの投資方法に活用しているのです。
ビットコインで生じる窓とは?
一方、暗号資産の市場は24時間365日相場が動いています。そのため、これまでの暗号資産市場では当然ですが窓が発生することはあり得ませんでした。
しかし、2017年12月18日に米大手デリバティブ取引所CME(シカゴ・マーカンタイル・エクスチェンジ)にてスタートしたビットコインによる先物取引、いわゆるビットコインCME先物では、毎週末、米国中央時間(CST)の金曜日16時から日曜日17時(日本時間土曜日8時から月曜日7時)までが休場になります。そのため、ビットコインCME先物市場では、世界市場のビットコイン価格の値動きを反映して、この間に窓が発生することがあります。
暗号資産市場においても、ビットコインCME先物取引に注目が集まるようになってからは、この窓というワードが頻繁に使われるようになりました。
ビットコインの窓開け、窓埋め
投資家が窓開け、窓埋めを利用した投資を行う場合、それが窓であるのか、また窓埋めであるのかを判断するために、窓開け、窓埋めに対してある程度の定義が必要です。
しかし、窓に関しての定義はありません。これもすべて経験則ですから、過去のチャートを見てそれが窓開けであったか、あるいは窓埋めが起きていたかを判断するのは、それぞれの投資家の判断、ルールによるものです。
ひとつの例を挙げるならば、休み前の安値と休み明け高値、またはその逆の休み前の高値と休み明けの安値のいずれかが100ドル以上乖離しているときを窓、窓開けとするといったものになります。この乖離幅は、500ドルの人もいれば1000ドル、2000ドルの人もいるでしょう。窓の発生頻度は、こうした価格乖離の幅により発生回数は異なります。
こうした定義のもとで、これまでのビットコインCME先物のチャートを分析し、窓の発生を発見することができたら、今度は窓が開いた直前に形成されたローソク足の高値または安値のいずれかと同等の価格に戻った箇所を探します。そしてその時点を窓が埋まった地点と判断します。
窓開けから窓埋めまでの期間はどれほどでしょう。これは窓と定義した価格乖離の幅によって異なるのではないでしょうか。この窓開けから窓埋めまでの期間の平均を取った期間を自分なりの窓開け、窓埋めの期間として判断材料に利用してもよいのではないでしょうか。
しかし、あくまでも経験則からの平均値ですから、それが毎回確実に起きる現象として捉えるのは危険であることも理解しておいてください。また、窓開け、窓埋めの定義によっても分析結果は変わりますから、より慎重に行うようにしてください。
ビットコインの窓開け、窓埋め、トレードの注意点
ビットコインCME先物では、窓における平均乖離幅は数千ドルにも及ぶことが少なくありません。そうした場合は、これまでの我々の経験則からは、本当に窓埋めが起きるのか、また起きても数カ月かかることもあれば1年以上かかることもあるのではないかということも理解できるでしょう。
これほどの期間がかかってしまっては、先物取引においてはそこまで辛抱できる資金力があるのかという問題も生じます。あくまでも窓開け、窓埋めの現象は経験則ですから、どのぐらいの乖離幅でどのぐらいの窓埋めまでの期間が必要なのかはトレードをする上では非常に重要です。
窓が発生したからといって窓埋めを期待して大きな金額でトレードをして、運悪く逆方向に価格が動いてロスカットの水準まで到達して、窓埋めが完了する前に撤退を余儀なくされる結果になってしまうことも考えられます。
窓開け、窓埋めを利用したトレードの方法は、暗号資産(仮想通貨)取引のみならず株式取引やFX取引などでも利用される手法です。毎週末、多くの投資家が窓の発生や窓埋めについてはモニターしていますので、まずはそうした先人の知識から学ぶことも重要ではないでしょうか。
いずれも窓開け、窓埋めを利用したトレードでは、窓埋めまでの期間が不確定要素ですので資金の徹底管理が必要です。窓埋め期間が長引けば、ポジションを保有する資金力が必要ですから、無理のないポジション量での取引が重要になります。
ビットコインCME先物を始め、こうした先物取引において窓が開くタイミングは不確定要素であり、かつ一度開いた窓がなぜ埋まる方向に相場が動くのか、そのメカニズムは解明されていません。くどいようですがあくまでも経験上、そうなることが多いという事実だけが取り沙汰されており、それに則してトレードを行うとうまくいくことが多いという経験則にすぎません。投資家同士の会話で「埋めない窓はない」という相場格言の話もよく聞かれますが、それについては、自分なりにチャートを分析してみて自分の目で確かめてみるとよいでしょう。
まとめ
結論として、ビットコインCME先物での窓開け、窓埋めによるトレードには、窓埋めの期間、窓を埋めるまでの平均乖離幅など、過去の統計データの分析が重要です。暗号資産(仮想通貨)でのトレードは、他の金融商品と比べて歴史も浅く、分析するための情報量もまだまだ少なく、それらと同等の判断を行うことは危険です。
暗号資産の場合は、それが確実である根拠はどこにもありません。いずれにしても自己の責任のもとで取引をすることが大前提です。トレードのリスク管理を徹底することを、常に意識しておきましょう。
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