暗号資産(仮想通貨)FLR(フレアトークン)とは?将来性や今後を解説

フレアトークン
将来性
2022-12-14 更新

暗号資産(仮想通貨)FLR(フレアトークン)(旧スパークトークン)を発行するブロックチェーンベースのプラットフォームFlare Networksは、独自のコンセンサスアルゴリズムを採用するスマートコントラクトプラットフォームです。提携するXRPに対してスマートコントラクト機能を実装することが可能です。また、XRPのみならず、その他のスマートコントラクト機能を持たないブロックチェーンに対してもスマートコントラクト機能を実装することができます。

はたしてFlare Networksとはどんなブロックチェーンなのか、またブロックチェーン上で発行されるFLRとはどんな暗号資産なのか。この記事では詳しくFLRとその将来性について解説していきます。

FLR(フレアトークン)とはどんな暗号資産?

暗号資産(仮想通貨)FLR(フレアトークン)は、スマートコントラクト・ネットワークの構築を可能にするブロックチェーンベースのプラットフォームFlare Networksのネイティブトークンです。

リップル社の投資部門Xpringが出資するFlare Networksプロジェクトは、XRPの分散台帳XRP Ledger上にスマートコントラクト機能の実装を目指して開発が進められています。当初は、XRPを対象にプロジェクトを開始しましたが、現在はLTC(ライトコイン)XLM(ステラルーメン)等への統合が発表されています。

ネイティブトークンのFLRは、Flare Networks上のガバナンス投票やステーキング報酬に利用されます。FlareトークンやSparkトークン(旧名)と呼ばれることもありますが、いずれも同じものであり、正式な名称がFLRです。

FLRの特徴

Flare Networksは、FBA(Federated Byzantine Agreement)という独自のコンセンサスアルゴリズムを採用しています。

プルーフ・オブ・ワーク(PoW:Proof of Work)プルーフ・オブ・ステーク(PoS:Proof of Stake)のようなコンセンサスアルゴリズムは、トランザクションの承認に報酬という経済的インセンティブが必要ですが、FBAは経済的インセンティブが不要のため、取引手数料が低額に抑えられます。また、アバランチ(Avalanche)プロトコルによる高速処理能力を備えているため、Flare Networksはスケーラブルで安心安全なスマートコントラクト環境を提供することができます。

Flare Networksは、イーサリアム仮想マシン(EVM)を統合した、イーサリアム(ETH)と互換性のあるスマートコントラクト機能の実装を実現します。それによってXRPは、Flare Networks上でDeFi(分散型金融)等の構築が行えるなど、DApps(分散型アプリケーション)の開発が可能になります。EVM互換のFlare Networksは、イーサリアムのスマートコントラクト開発言語であるSolidityによるDAppsの開発が可能なほか、イーサリアム上のプロジェクトをFlare Networksに移行することも容易になります。Flare Networksは、すでに2020年5月より試験的なネットワークが始動しています。

Flare Networksでは、ネットワークの円滑な運用のために、ネイティブトークンFLRを発行します。Flare Networksは2020年8月10日に、FLRをXRPと同量発行してXRPの保有者に1:1の割合でエアドロップ(付与)することを発表しました。

最初のFLRはXRP保有者に付与される予定ですが、Flare Networksは2020年12月12日グリニッジ標準時0時(日本時間午前9時)時点におけるXRP保有量に対するスナップショット(権利確定日)を完了しており、それに基づいてXRP保有者を決定しています。

当初FLRは、スナップショット時点でのXRP保有者に対して、2022年6月12日までに配布されることが決まっていましたが、Flare Networksのメインネットのローンチが遅れており、配布の予定期間は1年延期されて2023年6月12日までとなりました。

ちなみにFLRの実際の付与は、対象となるXRP保有者に対してFlare Networksのメインネットローンチ後に、まずXRP保有量の15%相当のFLRが付与され、その後は段階的に残りの85%が最短25ヵ月、最長34ヵ月の期間にわたって毎月平均3%のFLRが付与される予定です。

日本国内では、FLRの付与については顧客資産保護、顧客メリット最大化を目的としてDMM Bitcoinを始め国内事業者12社(オブザーバー1社)が協調し、Flare Networksとの協議を行いました。この結果、2023年6月12日までに一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)の取扱承認及び金融庁(FSA)での必要な手続きが完了した場合、当該国内事業者12社はFLRを請求しXRP保持者に分配することを発表しました。

FLRの仕組み

Flare NetworksのコンセンサスアルゴリズムFBA(Federated Byzantine Agreement)は、スタンフォード大学のデイビット・マジャーズ教授が考案した数学的論文のアルゴリズムがベースになっています。日本語では、連合ビザンチン協定と訳されます。Flare Networksは、FBAを実装することで独自の合意形成を可能にします。

簡単に説明すると、FABはクォーラムスライス(Quorum Slice)という仕組みを通して、グループ化したノード同士の連合を形成します。クォーラムスライスは、ノード全体を適切な規模のコンセンサス単位に分割できます。形成された連合は、ノードが重複する複数のグループによって構成されています。

連合は相互にリンクされていて、複数の連合に属しているノートが連合間のゲートウェイの役割を持つことでコンセンサスをネットワーク全体に波及させる構造になっています。

Flare Networksの取引に関する検証は、各ノードが参加する連合内の投票による圧倒的多数の決定を持って行われます。それに併せて、各連合の決定をもとにネットワークレベルでの決定を導き出します。それによりFlare Networksは、経済的インセンティブやPoWのマイニング(採掘)のような大量の電力消費を必要とせずに、ブロックチェーンのトランザクションを承認するバリデータを選定できます。

ノードは複数の連合に参加できるため、仮に連合内のノードに障害が発生した場合でも、他の連合にも参加していることで障害の影響を回避できます。

加えてFlare Networksは、FBAとともにアバランチプロトコルを採用することで、安全性を確保しつつ迅速なファイナリティと高速処理能力の実現に成功しました。

Flare Networksの相互運用性

Flare Networksは、コアとなる「F-Assets」「LayerCake」「Relay」という3つの相互運用性プロダクトを構築しています。

Flare NetworksはEVM互換のスマートコントラクトが構築できるプラットフォームであることを説明してきましたが、それはF-Assetsによって実現します。

Flare Networksは、スマートコントラクト機能を持たないXRPやライトコイン、XLMなど任意のトークンをF-Assetsとして統合することで、Flare Networks上でスマートコントラクト機能を提供します。

F-Assetsは、FLRの価値に裏付けされた暗号資産(仮想通貨)連動型のステーブルコインとして発行されます。F-Assetsは現在、XRP、LTC、XLM、DOGEと4つの暗号資産のステーブルコインが予定されており、それぞれFXRP、FLTC、FXLM、FDOGEという名前で発行される予定になっています。

F-Assetsは、他のブロックチェーンに存在するデジタルアセットのトラストレスなトークンとして機能します。仲介者を必要としないF-Assetsは、トークンを利用したいユーザーとその発行(ミント)を支援するエージェント間における賃借契約を拡張した仕組みによって発行されます。

F-Assetsは、FXRPなど連動対象となる暗号資産のプールに応じてその発行量が決定し、発行時はプールされている暗号資産の量に応じてFLRの担保量が決定され、賃借する形で発行されます。つまり、利用者は手数料を支払いF-Assetsを入手し、エージェントは手数料をインセンティブとして受け取りF-Assetsを発行します。

発行されたF-Assetsは、Flare Networks上に構築されたDeFiやDAppsといったサービスで利用することが可能です。

また、F-Assetsによって統合された他のブロックチェーンは、Flare Networksのスマートコントラクト機能が利用できるのみならず、ユーザーはF-Assetsの保有量の価値比率に基づいて報酬プールからガバナンストークンであるFLRを報酬として獲得できます。

二つ目のLayerCakeは、F-Assetsとは異なり、スマートコントラクト機能を持つプラットフォーム間における安全で純粋な分散型ブリッジを実現するクロスチェーンプロトコルです。

LayerCakeは、LayerCakeブリッジを介してFlare Networksと統合された任意のチェーンの利用を可能にします。また、Flare Networks上のF-Assetsを他のスマートコントラクトチェーンに流すことも可能です。

三つ目のRelayは、オフチェーンデータを含むあらゆる情報を、任意のチェーン間で安全にリレーできる機能です。エンジニアは、Flare Networksによって保護された完全な分散型DAppsコンポーザビリティ環境を利用できます。

こうした仕組みによってFlare Networksは、インターオペラビリティの実現が容易です。それによって他のチェーンのユーザーを、Flare Networksへ参加させることが可能になり、併せてFLRの流動性向上が期待できます。

FLRの今後や将来性は?

2020年5月よりテストネットワークCostonが始動したFlare Networksは、2020年8月にはFLRをXRPと同量発行してエアドロップすることを発表、2020年12月にはスナップショットを完了しています。

Flare Networksは、その流れからメインネットのローンチを当初、2021年第2四半期を目処に開発を進めてきました。しかし、その後延長が決まり、2021年7月にFlare NetworksのカナリアネットワークとなるSongbird(ソングバード)を発表し、9月にメインネットに先行してSongbirdをローンチすることを表明しました。ちなみにカナリアネットワークとは、メインネットの環境と同等なテスト運用が可能なネットワークの総称です。メインネットの機能をテストすることを目的として公開される本番環境に近いテストネットを意味します。

Songbirdは、2021年9月17日に無事にローンチされました。カナリアネットワークではメインネット同様に、テストネット用の独立したトークンが発行されます。SongbirdではメインネットのFLRにあたるSGBというトークンが発行されます。

ちなみにSGBは、FLRの配布先と同じXRP保有者に同じ比率で一度だけ配布されます。日本国内のSGBの付与については、FLRの付与と同様、国内事業者12社とFlare Networksとの間で協議が行われています。SGBの付与についてもFLRと同様の扱いになりますが、国内事業者それぞれの対応方針や具体的なスケジュールなどは未定です。

カナリアネットワークのSongbirdは、最初に純粋なEVMスマートコントラクト・ネットワークとして立ち上げられました。その後、Flare NetworksのコアとなるF-Assetsなどの相互運用性プロダクトのテストほか、コンセンサスアルゴリズムやネットワークアーキテクチャーの継続的なテストに役立てられてきました。その他にもFlare Networks上で展開されるDAppsやDeFiプロダクトのテスト運用にも利用されています。Songbirdはローンチからすでに1年が経過し、いよいよメインネットへの移行がようやく目の前に見えてきたという印象です。

Flare Networksのメインネットは、ローンチ前に第三者のサイバーセキュリティベンダー数社からセキュリティ監査を受ける予定になっています。最終監査を経たのちに晴れてメインネットはローンチされます。

ローンチ後Flare Networksは、XRPなどさまざまなブロックチェーンにスマートコントラクト機能を実装することが可能になり、さらに安全でスケーラビリティの高いネットワークが構築できるようになります。また、これまでイーサリアム上で築き上げられたDeFi等があらゆるブロックチェーンで構築することが可能になります。

Flare Networksは、すでにメインネットのローンチ前から、FLR Finance(旧名Flare Finance)、Gala Games、888などいくつかの提携プロジェクトの開発が進んでいます。

特にFLR Financeは、テストネットCostonの頃から開発が行われており、Songbirdではベータ版としてExFi(Experimental Finance)を公開するなど積極的な展開を見せ、ベータ版ではFlareX(分散型取引所)、FlareLoans(レンディング)、FlareFarm(イールドファーミング)の3つのプロダクトを提供しています。FLR Financeは、機関投資家向けの金融プラットフォームで、メインネットローンチ後はFlare Networks上で展開される初のDeFiとして正式なサービスが公開される予定です。FLR Financeは、従来の金融ビジネスに対してトラストレスなオールインワンのソリューションとして、DEX、ローン、イールドファーミング、クロスチェーンブリッジ、保険、イールドマイニング、NFTサービスの7つのプロダクトを公開予定であることを発表しています。

また、XRPの分散台帳XRP Ledger上にスマートコントラクト機能が実装されることで、本家のリップル社の動向についても期待が寄せられています。XRPによるDeFiの構築は、これまで以上にXRPの利便性が高まることは想像に難くありません。XRPとFlare Networksの相乗効果によるさらなる進化が期待されます。

まとめ

当初はXRPの分散台帳XRP Ledger上にスマートコントラクト機能の実装を目指して開発が進められたFlare Networksですが、そのアーキテクトはXRPのみならずスマートコントラクト機能を持たないその他のブロックチェーンへと波及することがわかり、従来のブロックチェーンにも大きな変革をもたらす技術として期待されるようになりました。

また、コアとなるF-Assetsなど3つの相互運用性プロダクトは、各種ブロックチェーン間における安心安全なインターオペラビリティの世界の構築を実現することが可能であることがわかってきました。

Flare Networksに対する期待値はますます高まるばかりですが、最も重要なのはFLRの流動性ではないでしょうか。これから登場するDAppsやDeFiサービスが、どこまでニーズを高めることができるかにかかっているともいえるでしょう。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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