暗号資産(仮想通貨)におけるカストディ(資産管理・保全)とは

仮想通貨
カストディ
2022-10-26 更新

「カストディ」という用語は、以前から銀行などで使われてきた、資産管理を意味する言葉です。ブロックチェーンを用いる暗号資産(仮想通貨)でも同様に資産管理の意味合いを持ちますが、実際に資産を管理するのとは異なります。

本稿では、暗号資産における「カストディ」について解説し、最近の動きについても説明します。

暗号資産(仮想通貨)のカストディとは

前述したように、「カストディ」は暗号資産(仮想通貨)に限らず、銀行における資産の保全や管理などに広く使われる言葉です。資産を管理する第三者や企業のことを「カストディアン」と呼びます。

一般的には投資家やユーザーの代わりに有価証券を保有・管理する意味で使われます。ただし、有価証券の保管・管理だけでなく、元利金・配当金の代理受領や運用成績の管理、議決権行使など広範囲に渡ることもあります。

カストディの定義

暗号資産業界でも暗号資産交換業者が「他人のための暗号資産の管理をすること」がカストディ業務と呼ばれます。ただし、ブロックチェーンでデータとして管理される暗号資産の場合は、現金などのように物理的に資産そのものを保管する訳ではありません。代わりに保管しているのは「秘密鍵」です。そのため、「他人のために暗号資産の管理をすること」は、秘密鍵を保有する場合など、事業者が主体的に移転を行い得る状態などのことを指しています。

「他人のために暗号資産の管理をすること」というのは改正資金決済法で定められている内容です。日本では、2020年5月に施行された改正資金決済法で、カストディ業務も暗号資産交換業に含まれるようになりました。それまでは暗号資産交換業の定義には含まれていませんでしたが、国際的に強調して、マネーロンダリングやテロ資金供与対策を行う動きが強まり、規制が強化されていることを受けて盛り込まれました。

カストディ業務が暗号資産交換業となったことで、金融庁への登録が必要になり、事業を行うには厳しい審査が課されるようになりました。規制以前は、売買などを行なっていないカストディ業務だけの企業は規制の対象外だったため、対応できずに廃業した企業も出たとされています。

一方で、ウォレットアプリなどで移転機能を提供するとしても、事業者側が秘密鍵を保有していない場合は「他人のために暗号資産の管理をすること」には該当しないとされます。アプリを提供していても、ユーザー側が秘密鍵を管理しており、事業者側が主体的に移転できない場合はカストディ業務には当たりません。

同様に、セキュリティ技術の一つで、複数の電子署名を用いるマルチシグを使った取引の場合、取引を実行するのに十分な秘密鍵を保有していない場合には「他人のために暗号資産の管理をすること」に該当せず、カストディ業務に当たりません。

カストディの重要性

ハッキングやパスワードの紛失など、暗号資産(仮想通貨)を保有する際にはリスクがつきものです。そのため、暗号資産が普及するためには、カストディ業務は重要とされています。

特に、機関投資家は暗号資産のセキュリティ面を危惧して、参入を躊躇っているというニュースも報道されています。アメリカではヘッジファンドや年金基金、投資銀行といった多額の資金を安全に保管するために、カストディアンによる管理が義務付けられているほどです。

セルフカストディと第三者によるカストディ

暗号資産(仮想通貨)におけるカストディでは、「セルフカストディ」と呼ばれる概念があります。従来のカストディは金融機関等が行うものですが、セルフカストディとはその名の通り、ユーザー自身が秘密鍵を管理することです。ノンカストディアルとも呼ばれます。

セルフカストディ

セルフカストディを行うには、ハードウェアウォレットやペーパーウォレットなどのコールド・ウォレットを利用するほか、ウェブウォレットといったホットウォレットを使う、また両者を組み合わせるなどいくつかの方法があります。セルフカストディでは、資産にアクセスできるのが自分自身のみのため、適切な利用方法を確認する必要があります。さらにパスワード管理や、秘密鍵へのアクセスを失ったり、火事や停電などによって、機材が壊れてしまったりするリスクもあります。

責任とリスクを自分自身で管理する必要がありますが、資産にアクセスできるのが、自分自身のみであるというのは大きな特徴です。セルフカストディで扱うウォレットはノンカストディアルウォレットと呼ばれます。ハッキングなどの事態が起こると、ノンカストディアルの重要性が取り沙汰されます。そしてノンカストディアルウォレットは、特にコールド・ウォレットを使うことでセキュリティ侵害などによって、秘密鍵が漏洩して資産が盗まれる危険性が低いと考えられています。ただし自分で鍵を安全に管理しなければなりません。

第三者によるカストディ

一方で、暗号資産交換業者といった第三者によるカストディにもメリットがあります。保有者自身は秘密鍵を使って署名する必要がないなど、技術的な課題を自分自身で対処しなくてもよいために利便性が高いことが長所といえます。ただ、そのためには信頼できるカストディアンを選ぶ必要があります。もし、資産を預けている企業が倒産してしまった場合には資産を失ってしまう可能性があるからです。

DMM Bitcoinでは、お客様から預託を受けた日本円は、自己資金とは別口座で管理しているほか、暗号資産に関しては、当社保有分とお客様保有分で物理的に分離して管理しています。さらに法令に基づき、お客様から預託された金銭は『日証金信託銀行株式会社』、『SBIクリアリング信託株式会社』へ信託保全を行う方法により当社の財産とは区分して管理しています。信託保全されたお客様の金銭は、万が一当社が破綻した場合であっても保全されます。なお、信託先銀行が破綻した場合も信託法により信託先銀行固有の財産から切り離して取扱われるため、信託財産として保全されます。

そのほか、お客様資産の95%以上をコールド・ウォレットで保管しています。ホットウォレットの保管分につきましても、同種・同量の暗号資産を当社の自己暗号資産としてコールド・ウォレットに保有しているため、ホットウォレット保管分の暗号資産が滅失することがあっても、充当可能となっています。

関連リンク:「DMM Bitcoinのセキュリティ体制について

日本国内の信託銀行でカストディが可能に

日本では、内閣府令が2022年秋に改正され、規制緩和によって日本国内の信託銀行による暗号資産(仮想通貨)のカストディが可能になると報道されました。投資家保護の強化につながるとして期待されています。

これまで、カストディ業務は、暗号資産交換業者か、信託業法が適用される信託会社のみしか対応できませんでした。改正後は信託銀行が個別の手続きを行い、管理体制を当局が確認した上で、信託銀行によるカストディ業務が可能になります。

海外の状況

海外ではアメリカの金融大手フィデリティやバンク・オブ・ニューヨーク・メロンなどの大手信託銀行が暗号資産のカストディ業務を開始しています。アメリカでは、信用力や資本力の高い信託銀行がカストディを行うようになったことで暗号資産への安全性が高まり、個人売買から機関投資家の保有が増えたとの報道もあります。大規模な取引が行う機関投資家の参入が増えれば、暗号資産の相場にも影響が出てくることが期待されます。

海外では、暗号資産だけでなく、NFTのカストディについても動きが出てきています。NF Tは、セルフカストディとして、ホットウォレットを専用のマーケットプレイスに接続して取引することや、マーケットプレイスがカストディ機能を実装していることもあります。

こうした動きの中で暗号資産カストディ業務を行なってきた企業が、NFTにも対応することで、機関投資家のNFTへの参入をサポートしています。

あるブロックチェーン調査企業によると、NFTを狙ったハッキングは2022年に増加傾向にあり、1ヶ月で2200万ドル(約30億円)の被害が出たとされます。こうしたことからもデジタル資産に関するカストディへの関心が今後高まっていくことが想定されます。

2022年に入ってからはNFT(ノンファンジブルトークン)と行ったデジタル資産のカストディにも日系各社がサービス検討を開始するなど、カストディ業務への注目が高まっています。

まとめ

暗号資産(仮想通貨)のカストディとは、資産管理や保全という意味で用いられます。しかし実際には暗号資産そのものを管理するのではなく、秘密鍵を管理するものです。

NFTの人気の高まりによって、暗号資産に限らない、デジタル資産全般にもカストディは広がってきています。ハッキングや盗難が起きている暗号資産業界で安全に保管できることは重要です。信用や資本力が高い信託銀行によるカストディが可能になることで機関投資家の参入も期待できそうです。

暗号資産交換業者が行うカストディの他に、個人で管理するセルフカストディもあり、特徴を把握して、使い分けることが重要でしょう。DMM Bitcoinでは分別管理やお客様資産の95%以上をコールド・ウォレットで保管するなど、徹底したセキュリティ管理を行なっています。

カストディに関連して、暗号資産のウォレットにご関心を持たれた方は「コールドウォレットとは?暗号資産(仮想通貨)の管理方法を解説」をご参照ください。

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