ビットコインは流通量でもトップ?

ビットコイン
流通量
2018-09-26 更新

仮想通貨の中でも突出して高い知名度を誇るビットコインは、時価総額(仮想通貨の価格×発行数量)においても圧倒的な規模を誇っています。しかしながら、流通量に的を絞って比べてみると、必ずしもそうではありません。

こうした指摘を目にして、意外に感じた人もいるかもしれません。ここではビットコインの流通量の実態や、あまり知られていない「消失」の問題などについて解説します。

ビットコインの流通量とは

流通量とは、すでに発行されて実際に市場に出回って売買されたり、投資家が保有したりしている仮想通貨の数量を意味します。つまり、世の中に存在している仮想通貨の数量です。ビットコインの場合は、2017年12月時点で流通量が約1,677万BTCに達しています。

これに対し、発行総量(総発行数量)は発行数量の上限であり、その仮想通貨の開発者が独自に定めています。そして、上限がきちんと決まっていたり、あるいは無制限であったりと、仮想通貨の種類によってそれぞれ異なっています。

流通量の変化についても、仮想通貨によってもともとの方向性が大きく異なるケースがあります。ビットコインは最初から発行総量の上限が2,100万BTCと定められており、マイニング(採掘)が進むにつれて流通量が増えていきます。ただし、実際には半減期と呼ばれる措置を設けて、一気に採掘され尽くさないようにコントロールしているのですが、そのことについては後述します。これに対し、リップルというアルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨の1つ)は最初の段階から上限数量のすべてが発行されていて、送金ごとにその手数料分に相当するXRPが消滅していくという仕組みになっています。

また、発行総量とは別に発行量という言葉もあり、世間では混同されているケースもあります。「発行量=これまでに発行済みの仮想通貨の量」と定義した場合、前述の説明の通り、発行総量とはまったく異なるものとなってくるでしょう。

一方、「発行量=流通量」は成り立つように思えてきますが、厳密に言えば、後述する仮想通貨の「消失」といった事態も発生していますから、「≒」程度であって、決して「=」の関係にはならないでしょう。

ビットコインと流通量の関係性

ランキングデータを見れば一目瞭然ですが、ビットコインの時価総額(仮想通貨の価格×発行数量)は数ある仮想通貨の中で最も巨額です。ところが、流通量に着目したランキングに目を転じてみると、ビットコインはベスト10内に入ってきません。

「時価総額で随一なのになぜ?」と思った人もいるでしょうが、その計算式に改めて注目してみると、理由が浮かび上がってきます。そう、ビットコインは数量1当たりの価格が相対的に高くなっているのです。そもそも、仮想通貨ごとに最初の時点から数量1当たりの価格は異なる設定になっています。流通量でビットコインをはるかに上回っていたとしても、数量1当たりの価格が安ければ時価総額もそれなりの規模となってしまいます。

また、流通量が多ければ多いほど、それだけ希少性という点では魅力が薄れてしまうのも確かです。ビットコインには、その点を考慮した設計が成されています。マイニングを通じて発行量が増えていく仕組みになっているものの、半減期というスキームを用いて意図的にそのペースをコントロールしているのです。

半減期とは、4年ごとに採掘報酬を半減する(半額に引き下げる)という措置です。2009年にビットコインが誕生した時点で、その採掘報酬は50BTCでした。しかし、それから2度(2012年と2016年)にわたって半減期を迎えており、2018年7月時点の採掘報酬は12.5BTCとなっています。

採掘報酬が半額になると、マイナー(採掘者)のモチベーションは当然低下し、発行量の伸びは鈍化します。その結果、すぐに発行総量の上限まで達してしまったり、悪戯に流通量が増えたりして仮想通貨としての価値が大きく下がってしまうことを防げるわけです。

今後も半減期は4年ごとに設けられており、次は2020年の予定です。採掘報酬がビットコインの最小取引単位である1satoshi以下になるまで半減期は続けられ、2140年頃には総発行量の上限である2,100万BTCに到達する見通しです。

このようにビットコインは、半減期を迎えるたびに新規発行と流通量の拡大が抑制されます。もともと発行総量に上限があるうえ、このようにして希少性が確保されることから、半減期に差しかかるとビットコインの価値がさらに上昇する可能性が考えられます。

つまり、市場における価値(仮想通貨の価格)は、足元の流通量やその今後の見通しと密接な関係にあると言えるわけです。

国別の流通量で世界一は日本

2017年はビットコインの価格上昇が際立った1年となりましたが、国別に見た流通量の変化にも特徴的な動きが見られました。この年の1月までは中国における流通量が他国を圧倒しており、9割以上に達する局面もありました。ところが、以降は急減して上位5ヵ国どころか、ベスト10ヵ国にさえ入らない位置までランクダウンしてしまったのです。

その原因は、中国政府による厳しい措置にありました。というのは、従来、中国ではビットコインの売買において取引手数料が発生せず、そういった有利さが人気を呼ぶ理由の1つにもなっていました。また、中国はビットコインのマイニングにおいても非常に大きなシェアを占めていました。全体の約8割にも及ぶ量が同国内でマイニングされていたのです。

しかし、2017年1月に中国政府が手数料なしでの取引を認めない方針を打ち出し、同年9月には同国の中央銀行に当たる中国人民銀行がICO(仮想通貨を通じた資金調達手法)を禁じました。それに伴ってビットコインの取引所も閉鎖を余儀なくされ、取引が劇的に縮小して流通量の低下を招いたわけです。

さらに中国政府は、マイニングに対しても締め付けを行いました。同国においてマイニングが盛んだったのは主に四川省や雲南省、内モンゴル自治区といったエリアで、電気代の安さとともに税制面の優遇に目をつけたマイナー(採掘者)たちが集結していました。そこで、中国政府は電力消費量の制限と税制上の優遇廃止という手のひらを返すような策を打つことで、マイニングの動きを抑え込んだのです。

こうして国が強引に流通量を激減させた中国に代わり、流通量世界最大となったのは日本でした。日本は世界全体の6割前後のシェアを占めており、それに次ぐ米国が2割前後にとどまっていますから、2位以下に大差をつけていると言えるでしょう。ちなみに3位は韓国ですが、そのシェアは1桁にすぎません。(2018年7月現在)

米国の占めるウエートが意外に低いことに驚いた人がいるかもしれません。もともとビットコインは同国で誕生したもので、確かに2013年頃までは他の国々と比べても群を抜く流通量を誇っていました。しかし、ちょうどその頃にキプロスの経済危機が発生してビットコインに対する関心がグローバルに高まり、価格上昇も顕著となったことから、米国以外での流通量が急拡大していったのです。

一方、日本における流通量が世界一になったことについては、すでにFX(外国為替証拠金取引)が投資家の間で浸透していたという背景が大きく影響しているようです。FXではドルやユーロをはじめとする海外の通貨を投資対象としていますが、その選択肢の1つにビットコインが加えられたのです。FXは預けた証拠金の十数倍に相当する資金を動かした取引が可能で、本来ならその元手では得られないハイリターンを追求できます。話題を集めているビットコインに対してもそういった積極的な投資が可能となったことから、にわかにFXを通じた資金流入が発生したものと推察されます。

これら一連の現象を別の角度から見れば、ビットコインを取り巻く環境の変化に関するニュースが報道されると投資家たちが敏感に反応している様子が浮き彫りになってくるとも言えそうです。そして、その動きが流通量にも大きな変化を及ぼすわけです。流通量の推移はニュースと密接な結び付きがあることも念頭に置いておいたほうがよいでしょう。

また、流通量に少なからず影響を及ぼす、仮想通貨の「消失」についても記憶に留めておいたほうがよさそうです。

「消失」とは、ビットコインのデータがインターネット上から消えてしまうことです。ビットコインにはセキュリティのために設定されている「秘密鍵」が不明になってしまうケースが世界のあちこちで発生しています。また、自分のウォレット(財布のような感覚で仮想通貨を保管する場所)のパスワードを忘れてしまったり、ハードウェアの故障などによって物理的にデータを取り出せなくなった場合も、「消失」した状態です。さらに、ビットコインが消失すると、代わりにトークンを得られることに着目した意図的な操作も見受けられるようです。トークンとは、既存の仮想通貨のブロックチェーンシステムを用いて作成された「代替版仮想通貨」です。

では、こうした「消失」は、どの程度の規模に達するのでしょうか? ビットコイン調査会社のChainalysisは、長期保有者によるものが256万BTC、考案者のサトシ・ナカモト保有によるものが104万BTC、トランザクション時に発生したものが12万BTC、短期的な取引に伴うものが7万BTCに上ると推測しています。(2017年11月時点)

もっとも、長期保有者による256万BTCのすべてが「消失」していると考えるのは乱暴かもしれません。この長期保有者とは、もっぱら2009〜2010年の黎明期に発行されたビットコインを保有し続けている人たちを意味し、単に売却していないだけであって、手元にデータが保管されている可能性も考えられるからです。

同じくサトシ・ナカモト保有によるものについても、すべて「消失」しているとは限りません。2010年までビットコインは一般的にほとんど知られておらず、サトシ・ナカモト自らが一人でマイニングを手がけてきました。その際に得たのが104万BTCなのですが、そのまま保有し続けていて「消失」していないのかもしれません。そもそも、彼が実在しているのかもよくわかっておらず、この保有分については完全に闇の中にあります。

こうしたことから、トランザクション(取引)時に発生した12万BTC、短期的な取引に伴う7万BTCは「消失」した可能性が高いとみなせそうですが、その他についてはなかなか実態を解明しづらいと言えそうです。

まとめ

ビットコインは、仮想通貨の中で世界大の時価総額に達していますが、世間に出回っている数を示す流通量ではベスト10にも入っていません。仮想通貨ごとに数量1当たりの価格が異なることから、必ずしも流通量の規模がその価値の裏付けとなるとは限りません。一方、流通量にはその仮想通貨に関連するニュースが影響を与えがちです。現に、ビットコインにおける国別流通量の推移からも、そのことが裏付けられています。さらに、仮想通貨には「消失」という現象が発生することにも留意しておきましょう。

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