暗号資産(仮想通貨)チェーンリンク(LINK)とは?将来性や今後を解説

暗号資産(仮想通貨)チェーンリンク(LINK)は、ブロックチェーン上のスマートコントラクトとオフチェーン(ブロックチェーン外)の外部システムを安心・安全につなぐことができるイーサリアムブロックチェーン上で動作する分散型ブロックチェーンオラクルネットワークです。
チェーンリンクは、ブロックチェーンの課題であったオラクル問題を解決する唯一のブロックチェーンプロジェクトであると話題です。
ブロックチェーンにおけるオラクル問題とはどのようなものなのか、またそれをチェーンリンクはどのように解決しているのか、この記事では詳しくチェーンリンクとその将来性について解説していきます。
チェーンリンク(LINK)とはどんな暗号資産(仮想通貨)?

チェーンリンク(LINK)は、ブロックチェーン上のスマートコントラクトとオフチェーンの外部システムとをつなぐミドルウェア機能を持つ、分散型ブロックチェーンオラクルネットワークです。イーサリアムブロックチェーン上で動作し、ブロックチェーン外部のデータとスマートコントラクトの出力データを認証する分散型ソリューションを提供します。
チェーンリンクは、米国・サンフランシスコを拠点とするSmartContract社のセルゲイ・ナザロフ氏によって開発が進められたオープンソースソフトウェアです。ネイティブトークンとしてLINKを持ちます。
2017年9月にホワイトペーパーを発行し、ハードキャップ(上限調達額)3200万ドル相当のLINKトークンによるICOで資金調達が行われました。ICOでは1ETH=2600LINKのレートでイーサリアムが使用され、1ETHから参加することが可能でした。
チェーンリンクは、各種ブロックチェーンが常に抱えているオラクル問題を解決するために開発されたブロックチェーンという、少し特殊な役割を担っています。
オラクル問題とは
ブロックチェーンにおけるオラクルとは、スマートコントラクトに外部データや情報を提供する第三者システムまたはサービスを指します。
ただ、ブロックチェーン自身の取引情報はブロックチェーンによって真正性が担保されていますが、スマートコントラクトが参照する先の外部情報の真正性は誰にも担保することができません。特に単独のオラクルを利用し、そのデータが間違っていると単一障害点になってしまいます。これをブロックチェーンの「オラクル問題」といいます。たとえば、証券取引所の株価を外部情報から参照するスマートコントラクトがあった場合、その外部情報のデータの真正性は担保できません。
チェーンリンクが登場する以前のスマートコントラクトの構造は、ブロックチェーン上のセキュリティで保護されていました。そのため、スマートコントラクトはデータフィードやAPIなどの外部リソースと接続ができない仕組みになっています。そこでオラクルが必要になります。
スマートコントラクトは一定の条件に基づいて自己実行されるため、オラクルが正確で信頼できる情報を提供していることが必須になります。
これまでのオラクルには、データを検証するために公証に頼っているものもあれば、人間が手入力することに頼っているものもありました。しかし、前者は検証の必要性があり、後者はコストやリソースがかかるため、リアルタイムのデータを提供することが難しいという問題も抱えています。
チェーンリンクによるブロックチェーンオラクルネットワークは、ブロックチェーン固有のセキュリティと信頼性を担保しつつ、ブロックチェーン外部のデータへのアクセスやオフチェーンでの計算を行います。そして、アルゴリズムに基づいて正しいとされるデータがスマートコントラクトで利用されます。
開発当初は、イーサリアム上のスマートコントラクトをターゲットとしていましたが、チェーンリンクのオラクルネットワークは、主要スマートコントラクトネットワークを対象に、オフチェーンとクロスチェーンの相互作用を支援することも目的の一つに拡大しています。
チェーンリンク(LINK)の仕組み

チェーンリンクはイーサリアム上で開発されたため、コンセンサスアルゴリズムにはイーサリアムと同様にプルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake:PoS)を採用しています。
チェーンリンクのネットワークは、オンチェーンおよびオフチェーンの独立した要素で構成されていて、サービスを提供するために相互に作用しています。ネットワークはアップグレードが可能なように構築されており、より優れた技術やテクノロジーが誕生すれば、それらをコンポーネントとして交換することができるようにも設計されています。
チェーンリンクでは、データフィードやその他のAPIを持っている人は、チェーンリンクのLINKトークンと引き換えに、それらをスマートコントラクトに直接提供することができます。この提供者をチェーンリンクではノードオペレーターと呼んでいます。
ノードオペレーターの役割
ノードオペレーターとしてデータを提供するデータプロバイダやサービスプロバイダーは、LINKトークンと引き換えにAPIベースのサービスをスマートコントラクトに直接販売できるようになります。
チェーンリンクネットワークは、チェーンリンクノードによって構成される分散型ネットワークです。チェーンリンクノードは、中央集権的なオラクルのフィードが単一障害点であるという問題を特定し、特定のデータフィード、API、様々なオフチェーンの決済機能の利用をスマートコントラクトに直接販売する仕組みを持っています。
チェーンリンクネットワークは、オンチェーンとオフチェーンの独立した要素で構成されていますが、そのオンチェーンコンポーネント部分は、「レピュテーションコントラクト」「オーダーマッチングコントラクト」「アグリゲーションコントラクト」の3つの要素で構成されています。
これら3つのコンポーネントにより、複数のソースから提供されたオラクルデータを集約することで、提供されたデータをより正確に把握することが可能になっています。これらのコンポーネントによって、単一オラクルへの依存度を低減することもできるほか、オラクルの精度をレピュテーションコントラクトにフィードバックするなど、報酬駆動型のレピュテーションシステムを通じて、その精度を管理しています。
また、チェーンリンクは様々な業界のオラクルノードを一要素としてネットワークを構成しています。チェーンリンクは、オラクルノードから受け取った情報が正確であることを保証します。
一方、データ、決済などのAPIを提供可能な企業や個人の開発者は、従来のAPIをチェーンリンクネットワークに接続することで、簡単にオラクルネットワークに参加することが可能です。APIがチェーンリンクに接続されると、そのユーザーはオラクルノードオペレーターとなり、そのAPIがチェーンリンクネットワークに接続された状態を維持する責任を負うことになります。
API情報を提供するオラクルノードオペレーターは、オンチェーンリクエスト(情報提供)を成功させるとLINKトークンを報酬として受け取ることができます。チェーンリンクは、正確な情報を供給するオラクルへの報酬にLINKを使用しているのです。
また、スマートコントラクト開発者などのサービスプロバイダーは、オラクルから外部データを参照する際には手数料としてLINKトークンをオラクルノードへと支払う必要があります。
ここでチェーンリンクは、前述のレピュテーションコントラクトによって、正しい情報を提供したオラクルノードの評価スコアを上げていく評価システムによって、オラクルノードを評価していきます。評価は、ノード稼働時間や応答までの平均時間、完了ジョブの成功率などまでも対象としています。
オラクルノードは、評価スコアが高いほどスマートコントラクト開発者から選択されやすくなり、より多くのLINKを報酬として得ることができます。
また、スマートコントラクト開発者は、オラクルノードに対して情報提供の条件として、正確性を担保するために任意のLINKを保証金としてデポジットすることを要求します。オラクルノードは、LINKトークンをデポジットしなければ情報提供することができない仕組みになっています。
この保証金は、オラクルノードが不正行為や誤ったデータを提供した際、またはタスクが完了する前にオフラインになった場合などに、ペナルティとして没収されるようになっています。
チェーンリンク(LINK)のユースケース

チェーンリンクは、ビットコインやイーサリアム、ハイパーレッジャーにも対応し、完全に分散化されたオラクルのネットワークを提供しています。
様々な外部データを参照できるようになったチェーンリンクは、Webアプリケーションをはじめ、銀行決済やクレジットカード情報との連携も可能です。それにより、金融・証券・保険・貿易などあらゆる分野のデータをスマートコントラクトに接続できます。
チェーンリンクは2020年11月にオフィシャルブログにて、実際に77のユースケースを詳細に報告しました。
その分野は、DeFi(分散型金融)、外部での決済、NFTゲーム、保険、サプライチェーン、公益事業、政府機関など、あらゆるジャンルにおよんでいます。
たとえば分散型価格フィードでは、多くの暗号資産交換業者がオラクルノードとして参加し、主要暗号資産(仮想通貨)の各種ペアの市場価格データを提供しています。それにより、分散型価格フィードはあらゆるDeFiアプリケーションに統合することができ、リアルタイムで暗号資産の市場価格の変動に対応したアプリを構築できるようになりました。
暗号資産以外にも、金融市場に関するたとえば為替レートや金利、資産価格、指数などの市場データに基づいて実行されるスマートコントラクトを構築することも可能です。
伝統的な株式市場では、株価が歴史的な暴落を記録することで一時的に売買を自動停止するサーキットブレーカー機能が備わっている場合がありますが、暗号資産市場はボラティリティが高いにも関わらず、ほとんどの場合サーキットブレーカーに類する機能が存在していません。
しかし、チェーンリンクのオラクルを利用することでリアルタイムに暗号資産の市場価格をモニタリングでき、スマートコントラクトはサーキットブレーカー機能を実装できます。この仕組みは、将来的に多くのDEXやその他DeFiプロトコルにも採用される可能性があります。
チェーンリンクが提供するチェーンリンク VRFは、検証可能なランダム関数(VRF)を利用することで、公正で安全な乱数発生器(RNG)に接続することができます。
チェーンリンク VRFは、安全で公正な乱数生成の仕組みです。ランダム性が改ざんされていないことをユーザーに証明することができるため、公正なランダム性は、ブロックチェーンゲームなどのアイテムの希少性に信頼性をもたらし、トークン化されたアイテム(NFT)の希少性を担保することが可能になります。
チェーンリンク(LINK)の今後や将来性は?

チェーンリンクは、分散型オラクルネットワークを構築するためのフレームワークとして、現実社会のデータやイベントに接続するために必要なツールを開発者に向けて引き続き提供していくとしています。また、前述のユースケースはオフィシャルブログに紹介されている例のほんの一部に過ぎません。今後もアイデア次第、新たなオラクル提供者の登場次第で、その拡張性は計り知れません。
ロードマップ
2021年4月、チェーンリンクはオフチェーン計算やステーキング、プライバシー保護機能など、チェーンリンクネットワークの新機能を記載したホワイトペーパー「Chainlink 2.0: Next Steps in the Evolution of Decentralized Oracle Networks」をリリースしました。
チェーンリンク2.0では、Decentralized Oracle Networks(DON)を軸に現在の分散型オラクルネットワークを進化させ、より広いユースケースに対応すると同時に、効率性、セキュリティの向上等を図ることを表明しています。
DONは、オラクルノードの委員会によって形成され、特定の仕事を遂行するために協力し合い、または長期的な関係を築いていく仕組みです。今後は、ハイブリッド・スマートコントラクトという概念を推進していきます。ハイブリッド・スマートコントラクトは従来のスマートコントラクトを超えた幅広いユースケースに対応するオンチェーンとオフチェーンのハイブリッドの世界を構築することが可能になります。非常に楽しみな取り組みの一つではないでしょうか。
まとめ

前述のロードマップやチェーンリンクのユースケースを見れば、幅広い可能性が理解できるのではないでしょうか。スマートコントラクトと現実の外部データとのつなぎ込みは、オラクル問題を解決したことで、可能性が広がるのは間違いなさそうです。
チェーンリンクの発展は、ブロックチェーンおよび暗号資産(仮想通貨)の成功にも関係してくるでしょう。
※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。
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