暗号資産(仮想通貨)ジパングコインとは? 特徴と将来性を解説
ジパングコイン(ZPG)は、三井物産の100%子会社である三井物産デジタルコモディティーズによって金(ゴールド)の現物価格との連動を目指して発行された暗号資産(仮想通貨)です。
この記事では、ジパングコイン(ZPG)の特徴と仕組みおよびその将来性について解説していきます。
ジパングコイン(ZPG)とはどんな暗号資産(仮想通貨)?
ジパングコイン(ZPG)は、ブロックチェーン技術により金(ゴールド)の現物価格との連動を目指す新しいタイプの暗号資産(仮想通貨)です。三井物産の100%子会社である三井物産デジタルコモディティーズが発行し、デジタルアセットマーケッツが販売しています。
ジパングコイン(ZPG)の発行価格は、1ZPGの価格が現物の金(ゴールド)1グラムの価格にほぼ連動するように設定されています。その価格の形成と価値保全の仕組みは、現物の金(ゴールド)を担保として保証していることから、金(ゴールド)と同等の資産特性、投資特性を持つため、インフレヘッジ機能など金(ゴールド)に似た特性を備えています。
また、現時点(2022年6月末)において、ジパングコイン(ZPG)の用途は購入可能な暗号資産交換業者内での売買のみに限られていますが、将来的には従来の金(ゴールド)関連商品にはないデジタル化による利便性と小口決済としての機能を持つことが可能になります。
暗号資産の利用者に対して、信頼性・利便性の高いデジタル資産を提供することを目標とするジパングコイン(ZPG)は、その価格を金(ゴールド)とほぼ連動させることで、価格変動の予測が難しい既存の暗号資産の課題を解決し、決済手段としての利用促進を図り、デジタル化社会において必要不可欠なデジタルインフラのコアとなることを目指します。
ジパングコイン(ZPG)の特徴
ジパングコイン(ZPG)は、1ZPGにつき金(ゴールド)の現物1グラムとほぼ同等の価値(円換算)を持ちます。その売買価格は、国際的な金自由市場のひとつであるロンドン金市場における受渡の相対取引市場を基準に算定し、市況に応じた取引スプレッドが反映された価格になります。
ジパングコイン(ZPG)は、一企業である三井物産デジタルコモディティーズが事業者として発行しますが、同社には万が一事業を廃止する場合、ジパングコイン(ZPG)を売買する暗号資産交換業者を通じて、ジパングコイン(ZPG)を金(ゴールド)現物の市場価格と近似した価格で買い取る義務があります。
また、ジパングコイン(ZPG)は発行時に保証金として金(ゴールド)現物を担保としていることから、取引を行った暗号資産交換業者が破綻をした場合は、交換業者に対してジパングコイン(ZPG)の時価相当額が支払われる銀行保証が付与されています。保証金は、信託銀行の信託勘定にて分別管理される仕組みのため、万が一取引所が破綻しても、保証金がジパングコイン(ZPG)保有者に支払われます。ただし、保証金額は、保証金が支払われる時点のジパングコイン(ZPG)の時価相当額であり、ジパングコイン(ZPG)購入時の価格(元本)を保証するものではありません。
ジパングコイン(ZPG)は、将来的に金(ゴールド)現物や他の暗号資産との交換ができるようになる計画もありますが、現時点ではその時期は未定となっています。現在は、日本円による売買のみの暗号資産です。
ジパングコイン(ZPG)の仕組み
販売者であるデジタルアセットマーケッツ社は、ジパングコイン(ZPG)が購入された場合、購入者にジパングコイン(ZPG)を引き渡すと同時に、購入数量と同等の現物の金(ゴールド)を発行者である三井物産デジタルコモディティーズ社から購入した上で、その購入した現物の金(ゴールド)を発行者に対して消費寄託します。
これによって、発行されたジパングコイン(ZPG)には、その価値の裏付けとなる現物の金(ゴールド)が存在するということになります。
また、発行者が当該事業を廃止する場合は、発行者は販売者を通じて、ジパングコイン(ZPG)を金現物の市場価格と近似した価格で買い取る義務があるほか、万が一、発行者が破断した場合には、販売者に対してジパングコイン(ZPG)の時価相当額が支払われる銀行保証が付与されており、その保証金は販売者からジパングコイン(ZPG)の保有者に支払われることとなっています。以上のように、必ずしも元本が保証されるわけではありませんが、一般的な他の暗号資産に比べるとリスクの低い暗号資産であると言うこともできるかもしれません。
なお、ジパングコイン(ZPG)の発行者は、発行者が寄託を受けた金(ゴールド)現物の数量および金(ゴールド)現物の時価相当額が金融機関による保証の枠内であることを3ヵ月毎に開示することになっています。
ジパングコイン(ZPG)の発行上限は、現時点(2022年6月)では390億円に相当する数量と決められていますが、将来的には利用者の利益および取引の安定性が害されないことを限度に、発行上限数を増加させることも可能になっています。追加発行条件は、利用者からの買い注文量が売り注文量を超えて、参照資産の指標値と乖離が発生した場合です。
発行主体である三井物産デジタルコモディティーズは暗号資産交換業者の登録を行なっていません。そのため、暗号資産交換業者を通じてジパングコイン(ZPG)を販売する場合、発行者(三井物産デジタルコモディティーズ)はZPGの移転と同時に同等の金(ゴールド)現物を、調達資金を用いて三井物産から購入の上、購入した金(ゴールド)現物について、暗号資産交換業者へ販売すると同時に、消費寄託を受けます。
発行者は、暗号資産交換業者から消費寄託を受けた金(ゴールド)を即時に三井物産に対してリースします。三井物産は、発行者からリースした金(ゴールド)を用いて、金市場での運用を行います。
発行者が暗号資産交換業者を通じてジパングコイン(ZPG)を買い取る場合は、ジパングコイン(ZPG)の回収と同時に取引所から寄託されたジパングコイン(ZPG)のうち、発行者が回収したジパングコイン(ZPG)の数量と同等の金(ゴールド)を暗号資産交換業者へ返還した上で自ら買い取り、買い取った金(ゴールド)を直ちに三井物産に売却します。
発行者が三井物産に対して金(ゴールド)を売却することによって、売却された金(ゴールド)に係る発行者から三井物産へのリースは終了します。
発行者は、金(ゴールド)を売却して取得した資金をもって、ジパングコイン(ZPG)の買取代金を支払います。
こうしたプロセスによってジパングコイン(ZPG)は、売買されます。
ジパングコイン(ZPG)のコンセンサスアルゴリズムは、PBFT(Practical Byzantine Fault Tolerance:ビザンチン障害耐性アルゴリズム)を使用し、記録者の全ノードの3分の2以上のノードの合意形成によって価値移転を記録、全ノードにてその合意に基づく分散台帳記録を保管します。
ジパングコイン(ZPG)の取引単位は1ZPG=1,000mZPG、1mZPG=1,000μZPGとなっており、最小単位は1μZPG(0.000001ZPG)ですが、取引可能な単位は暗号資産交換業者によって異なる場合があります。
ジパングコイン(ZPG)の今後や将来性は?
ジパングコイン(ZPG)は、決済手段の一つとして利用されることを目標とし、既存の金(ゴールド)関連商品にはない小口決済としての機能を有し、金(ゴールド)の現物よりも利便性の高いものとして利用されることを想定しています。
計画では、最終的にはジパングコイン(ZPG)と金(ゴールド)現物との等価交換を予定しています。等価交換が実現可能になることで、金(ゴールド)の現物を物理的に保有・管理せずに金(ゴールド)を保有することに等しいものとして利用が可能になることも予想されます。それに加えて、他のコモディティ商品と連動したトークンの発行を行うことも予定しています。
また、ジパングコイン(ZPG)の交換対象を日本円以外にも拡充していく予定です。現物の金(ゴールド)との交換のほかにも、他の暗号資産との交換等が想定されています。
こうしたジパングコイン(ZPG)に関する情報や発行者に関する情報は、常にジパングコイン(ZPG)公式サイトにて確認できます。
まとめ
ジパングコイン(ZPG)の何よりも大きな特徴は、実際に金(ゴールド)の現物を担保としているため、他の暗号資産(仮想通貨)には見られない暗号資産そのものの価値の裏付けとなるものがあることにつきます。金(ゴールド)が担保となることで、万が一発行者や事業者が破綻しても、その価値が保証されています。
ただし、ジパングコイン(ZPG)にもリスクがあることは理解しておきましょう。
たとえば前述の通り、万が一発行者が破綻した場合であっても、ジパングコイン(ZPG)保有者に対する権利は、対応する債務が金融機関によって保証されることが予定されていますが、該当の金融機関が発行者とともに破綻した場合はその限りではありません。その確率は低いとは考えられますが、まったくないとはいい切れません。
その場合は、発行者および金融機関の倒産手続に伴う法令上の制約等によって、保証金の全部または一部がジパングコイン(ZPG)の保有者に支払われず、結果として、保有者が不利益を被る恐れはゼロではありません。
また、ジパングコイン(ZPG)は金(ゴールド)の価値とほぼ連動することを想定していますので、金(ゴールド)現物の価値そのものの投資リスクとも連動することを忘れてはなりません。つまり、価値は保証されていますが、元本が保証された金融商品ではありません。常に投資リスクがあることは想定しておきましょう。
さらには、ジパングコイン(ZPG)はデジタル資産ですので、金(ゴールド)現物にはない予期できないシステム上の脆弱性やハッキング等による攻撃の被害などセキュリティ面におけるリスクがあることも理解しておきましょう。
対象システムに脆弱性が発見された場合等においては、発行者および暗号資産交換業者で構成されるブロックチェーンプラットフォーム運営委員会の規約に則り、ジパングコイン(ZPG)の一時的な移動制限や強制移動等の緊急対応措置が講じられる可能性があります。またブロックチェーンの処理能力を超えるトランザクションが発生した場合、移転の記録等が遅延する可能性もあります。
こうした点においては、ジパングコイン(ZPG)も他の暗号資産と同等のリスクがあります。ジパングコイン(ZPG)には、金(ゴールド)と暗号資産の両方のメリットがありますが、同時に両方のデメリットもあるものと認識しておくとよいでしょう。
※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。
関連記事
-
アメリカ政治と暗号資産(仮想通貨)、大統領選とどう関係する?
暗号資産(仮想通貨)業界の発展において影響を与えるアメリカ政治。ただ、アメリカは暗号資産に対して明確な政治的な意思を表明しているとは言えません。本コラムでは、暗号資産をめぐるアメリカ政治の現状を整理します。
-
ビットコインの時価総額の今と今後について
ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産(仮想通貨)が、世界中でどの程度の規模で流通し、どれだけの資金を集めているのか、いわば人気ぶりをうかがえる情報が時価総額です。時価総額から具体的に何が分かり、どういった視点から観察するのが有効なのか説明します。
-
ビットコインの今後を予想!2025年の価格はどうなる?
ビットコイン(BTC)は2024年3月、1BTC=73,000ドルを突破し、当時の過去最高値を更新しました。本稿では、著名人のビットコインの価格予想や、価格に与える要素、海外の動きなどを解説し、ビットコインの将来性を考えます。
-
ビットコイン高騰は「バブル」なのか?最高値更新の理由と今後
市場の人気や世界的な経済情勢などからビットコインの価値は大きく変動するようになり、ブロックチェーン技術が注目されるようになった近年は、投資や投機の対象という印象が強くなっています。当記事では、ビットコインの価格がどのように移り変わってきたか、将来はどうなるのか解説します。
-
ブロックチェーンのオラクルとは?
スマートコントラクトが現実の世界の情報を取り込むには、「オラクル」と呼ばれる技術が必要になります。この記事ではオラクルについて、その特徴や今後の将来性について解説します。
-
マウントゴックス事件とは?ビットコインが消失した事件の全貌を知る
暗号資産(仮想通貨)業界を驚愕させた「マウントゴックス事件」。この事件は、暗号資産の安全性、信頼性を考えるきっかけにもなりました。本記事では、マウントゴックス事件について紹介します。
-
ビットコインや暗号資産(仮想通貨)ニュースの見方は?
ビットコイン(BTC)等の暗号資産(仮想通貨)に関するニュースは、政治や経済、技術の各分野で日々数多く生じており、これらの報道が暗号資産の価格に影響を及ぼすことがあります。この記事では、暗号資産に関するニュースをどのように解釈し、どういった観点から分析すべきかについて、詳しく説明します。
-
アルゼンチンの新大統領の経済政策に暗号資産(仮想通貨)採用はあるか?
2023年12月10日にアルゼンチンで新大統領に就任したハビエル・ミレイ氏は、暗号資産(仮想通貨)業界から注目を集めています。この記事では、ミレイ大統領によって暗号資産にどのような影響がでるのか、エルサルバドルのようにビットコインの法定通貨採用があるのかについて考察していきます。
今、仮想通貨を始めるなら
DMMビットコイン