ビットコインの時価総額の今と今後について

ビットコイン
時価総額
2022-12-14 更新

ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産(仮想通貨)が、世界中でどの程度の規模で流通し、どれだけの資金を集めているのか、いわば人気ぶりをうかがえる情報が時価総額です。時価総額から具体的に何が分かり、どういった視点から観察するのが有効なのか説明しましょう。

ビットコインの時価総額とは

株式や債券、為替など、市場で取引されているものの時価は日々刻々と変動しています。その価値を評価する指標の1つが、時価総額です。ビットコインのような暗号資産(仮想通貨)も例外ではなく、時価総額という尺度をもとにその価値を評価できます。時価総額で評価することによって、いったいどのようなことが分かるのか?順を追って見ていきましょう。

時価総額は価値を相対比較できる

ビットコインをはじめ多数の暗号資産は、それぞれで価格や発行数量は異なっています。つまり、単純に価格の違いだけに目を向けても、同じ条件のもとでの公平な比較を行えないということです。その点、時価総額は暗号資産の価格とともに、発行数量も踏まえた総合的な比較が可能となります。

時価総額の計算式

時価総額の計算式は単純明快で、次の式によって算出できます。

時価総額 = 暗号資産の市場価格(時価)× 発行数量

市場で取引されている暗号資産の価格は常に変動していますし、マイニング(採掘)が進めば発行数量も増えていきます。したがって、時価総額もそれらの変化に応じて更新され続けています。

ただし、発行数量が増加すれば、単純に時価総額が上昇するわけではありません。数量が増えると価値が希薄化され、単位あたりの暗号資産の市場価格が下落することもあります。

ビットコインは最初から2,100万BTCという発行数量の上限が定められており、多くのアルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)においてもそれぞれ独自に上限が設けられているものもあります。発行数量に上限があって、すでにそれなりの量が流通している暗号資産は希少性という観点で価格が上昇しやすくなる可能性が考えられます。一方で、アルトコインの中には発行数量が無制限となっているものも存在します。また、アルトコインの中には「バーン(焼却)」という仕組みによって、わざと流通量を減らして価値を高める手法を採用しているものもあります。

時価総額から分かること

価格・発行数量の両方がともに右肩上がりを描けば、価格と発行数量との掛け算である時価総額はどんどん増えていくことになります。そして、時価総額が大きければ大きいほど、市場価値が高く、取引もしやすいと判断できます。反対に時価総額が低い銘柄は価格が低く、発行数量も少ないために、わずかな取引で価格が乱高下してしまい、価格が不安定です。

暗号資産投資を始める場合は、ビットコインやイーサリアム(ETH)といった時価総額が上位の銘柄を選んだ方が安心かもしれません。

時価総額以外で重要な指標

暗号資産(仮想通貨)同士でその規模や勢いを比較する方法としては、時価総額という指標は基本中の基本といえます。規模や勢いを比較するために時価総額以外で特に注目しておきたいのは、①価格上昇率、②24時間取引ボリューム、③BTCドミナンスといった3つのポイントです。それぞれが何を意味しているのかについて見ていきましょう。

ビットコインの足元の勢いが分かる「価格上昇率」

その名の通り、「価格上昇率」は一定期間内に価格がどれだけ上がったのかを示した数値で、「値上がり率」ともいわれます。仮に100円だった価格が150円になれば+50%、180円になれば+80%の上昇率です。価格上昇率が高い暗号資産ほど、投資家の間で人気が高まって買いが殺到している状況であると推測できます。

ただ、過熱しすぎた人気はやがてピークアウトし、上昇が急であればあるほど、その反動で急落に転じるケースが多いのも確かでしょう。単に上昇率の数値だけを見るのではなく、現在に至るまでの変化もきちんと観察しておくのが無難です。

取引の盛況ぶりが分かる「24時間取引ボリューム」

「ボリューム」とは、日本の投資用語に置き換えれば「出来高」となり、売買が成立した暗号資産の総額を意味します。ボリュームが多いほど取引が活発で、売買も成立しやすいと考えられています。暗号資産の場合は、24時間ごとのボリュームの推移を見て判断するのが一般的です。

ボリュームが目立って増えれば、暗号資産の価格も大きく動きやすくなります。その意味では、価格を動かすエネルギーのような存在ともいえるでしょう。

また、暗号資産のボリュームには独特の現象が生じることもあります。アルトコインを買うために、いったんビットコインを買ったり、あるアルトコインで別のアルトコインを買ったりする投資家の行動もボリュームに影響を及ぼすことがあります。

24時間の取引ボリューム(取引高)は、DMM Bitcoinのスマートフォン版取引システムアプリの「STモード」でも確認できます。各暗号資産の銘柄をタップすることで取引ボリューム以外にも、以下に示すような時価総額といった市場統計が表示されます。

(出典:当社スマートフォン版取引システムアプリ「STモード」)

ビットコインのシェアを把握できる「BTCドミナンス」

「BTCドミナンス」とは、暗号資産市場全体におけるビットコインのシェアがどの程度に達しているのかを示す指標です。

BTCドミナンスは単にビットコインのシェアが分かるだけではなく、その推移を観察していると、投資のヒントが見つかることがあります。BTCドミナンスの動きにはトレンドが生じることがあるからです。

もし、足元でBTCドミナンスに低下傾向がうかがえたとしたら、他の暗号資産への資金流出が顕著になっている可能性が考えられます。つまり、ビットコインの価格が下落し、代わって他の暗号資産のいずれかが上昇するという展開を想定できるわけです。

もちろん、その正反対のパターンも考えられます。BTCドミナンスの拡大が続いていたら、逆にビットコインが買われて、他の暗号資産のいずれかが売られることになりそうだと推察できます。

BTCドミナンスの注意点

BTCドミナンスについては、本当は90%を超えているという見方もあります。米メディアの報道によると、シェア計算方法には、流動性が加味されていないことが指摘されています。

流動性を考慮しない計算方法では、事前発行数の多い暗号資産がわずかな取引で市場価格を決定し、時価総額を上げられるため、時価総額の低い暗号資産が一部の暗号資産交換業者を使い意図的にシェアを確保できることを指摘しています。報道では、市場の流動性を加味すると、現在最も流動性の高いビットコインのシェアは、90%を超えるという研究成果があることを紹介されています。

ランキングデータから分かること

暗号資産(仮想通貨)の時価総額は複数のWEBサイトで公表されており、そのランキングデータも簡単に閲覧できるようになっています。ランキングデータでは、それぞれの暗号資産の時価総額とともに、価格や発行数量、前述した価格上昇率、24時間ボリュームなどをチェックできます。したがって、純粋に時価総額で上位に入っている暗号資産の顔ぶれとそれらの足元の売買状況を確認するのはもちろん、その時点で際立って上昇しているものに注目する際にも役立つことでしょう。

基本的に日本国内で公表されているランキングデータの価格や時価総額は円建ての金額になっており、海外のものはドル建てになっています。円建てにはドル/円相場の動きが影響を及ぼすので、ドル建てとは多少異なる推移となります。

ビットコインの時価総額のこれまでの推移

今日に至るまでビットコインの時価総額はどのように推移してきたのでしょうか?さらに、特に気になるのは今後の行方でしょう。ビットコインの時価総額に関する過去と未来について見ていきます。

誕生〜2016年

ビットコインと法定通貨の交換レートが初めて提示されたのは2009年10月のことで、1ドル=1,309.03BTC(1BTC=0.00076392ドル)でした。以来、数年間はあまり目立った動きが見られなかったのですが、2011年6月に初めて著しい価格上昇を示し、一時31.91ドルまで急騰しました。そして、2013年3月16日にはキプロスで金融危機が表面化し、同国の法定通貨・ユーロの信認が揺らいでビットコインへと資金を避難させる動きが広がったことなどから、3月末に一時1BTC=90ドル以上まで上昇しました。さらに4月には一時1BTC=228.54ドルとなり、当時としての史上最高価格を記録し、時価総額は10億ドルを突破したとされています。

その後、2015年前半までは下落に転じていたビットコイン価格ですが、じわじわと上昇傾向を示していくようになり、2016年後半からそのピッチが急加速しました。

2017年~2018年の動向

2017年に入ると2013年の最高価格を次々と更新し、特に12月に入ってからは約80%も急伸して価格1BTC=1万9,500ドルにあと1歩まで迫りました。

特に2017年は、ビットコインからビットコインキャッシュ(BCH)とビットコインゴールド(BTG)が相次ぎ分裂し時価総額が一進一退となる局面があったものの、目覚ましい価格上昇によって、同年12月半ばには史上最高額である3,260億ドル台に到達しています。これは、世界石油メジャーであるロイヤル・ダッチ・シェルの時価総額約2,813億ドル(2017年末時点)をしのぐ規模でした。

しかし、2018年を迎えてからはビットコイン価格の下落基調が鮮明になり、2018年6月には時価総額が1,300億ドル台まで減少しています。その後も下落傾向は続き、12月末には1BTC=3,800ドル前後、時価総額670億ドル前後となりました。

2019年の動向

2018年年末から2019年年初は、暗号資産市場全体が取引低迷を迎えるも、ビットコイン価格は1BTC=3,000ドル台後半をかろうじてキープしたため、時価総額も小康状態が続きました。その後、3月頃より1BTC=4,000ドル台へと上昇、4月には一気に4,000ドルから5,000ドルを超え、ビットコイン価格は上昇基調へと転じました。同年6月下旬には、2018年3月上旬以来1年3ヵ月ぶりに価格が1BTC=1万ドルを突破しました。同様にこの6月下旬は、1BTC=1万3,000ドルを超える2019年の最高値を記録しており、時価総額も2,000億ドルを突破するまでに回復しました。

2020年の動向

2020年は「コロナショック」の影響で2020年3月に急落し、1BTC=3,400ドル台の最安値を付けました。しかし、その後すぐに価格は1BTC=7,000ドル台まで復帰。2020年5月に半減期を迎えると徐々に上昇基調にのり、12月には史上最高値を更新し、時価総額も5000億ドルを突破しました。

2021年〜2022年の動向

2021年に入ってもビットコインの上昇は続き、同年11月には6万7000ドルの史上最高値を更新しました。時価総額も同様に1兆2700億ドルの最高値を更新。しかし、その後、アメリカの金融引き締めなどの影響で世界的に株安となり、ビットコインも連れられて下落しました。

アルゴリズム型ステーブルコイン「テラUSD」の米ドルペッグが崩壊したことや大手ヘッジファンド、レンディングサービス企業などが相次いで破綻したことで市場が急速に冷え込み「クリプトウィンター(暗号資産冬の時代)」が訪れたとされました。2022年9月時点で1BTC=2万ドル付近を推移しており、時価総額も4000億ドルを割り込むなど、最高値の3分の1ほどまで急落しています。

将来的にビットコインの時価総額はどうなる?

肝心なのは今後の動きです。数多くの専門家がビットコインの価格予測について独自の見解を示し、その見方が対立しているケースも見受けられます。

ここでは、その中でも話題になっている識者・アナリストらによるビットコインに関する将来予測をいくつか紹介しておきます。ビットコインに関する将来的予測・評価はまちまちといえる状態のため、そのまま鵜呑みにしたりせず、賛否両論の意見があることを理解しておきましょう。

楽観派

著名ベンチャー投資家のティム・ドレイパー氏は2018年9月、次の15年で暗号資産(仮想通貨)市場全体の時価総額が80兆ドルに到達するとの見方を示しました。この15年で、米国の株式市場を上回る規模に成長すると予想しています。同年の暗号資産相場の下落要因は、暗号資産(仮想通貨)を新たな資産クラスとして見なしていない投資家にあると指摘しています。多くの投資家がこれらの技術に慣れてくれば、暗号資産(ブロックチェーン)が世界中の重要な産業を変えるだろうと主張しました。

楽観派の主張としては、ビットコインの時価総額が金(ゴールド)の時価総額と同じレベルに到達するというものがあります。「デジタルゴールド」と目されるビットコインは、いずれ安全資産とされる金の立場に君臨するために、時価総額同水準に達するだろうという予想です。金は企業株価などを合わせた資産別ランキングで1位を維持しています。2022年9月時点ではビットコインの時価総額の30倍である11兆ドルを超えて推移しています。

中間派

ソーシャルキャピタルCEOで、初期のFacebook(現メタ)で幹部を務めたことのあるチャマス・パリハピティア氏は、将来、ビットコインの価格は数百万ドルになる可能性もある一方、ゼロになる可能性もあると予測しています。パリハピティア氏は、ビットコイン強気派として知られるアンソニー・ポンプリアーノ氏のとの対談で、ビットコインの成功は現行の金融システムが崩壊への道を辿り続けることによって決まると主張しました。金融システムが崩壊し信用を失うことで、資産の逃避先としてビットコインは機能し、その価格が100倍になる可能性があるとしています。

パリハピティア氏は、世界経済が2030年までに経済危機から脱出する方法を見つけることができない可能性があると見ているものの、ビットコインのボラティリティ(価格変動)が高すぎることを理由に、すぐにビットコインが法定通貨に取ってかわることはないと述べています。

悲観派

スイス最大手の銀行UBSは、ビットコインが米ドルの供給量を超えるためには、1BTC=21万3,000ドルの値を付けるか、ビットコインの決済能力を大幅に改善しなければならないというレポートを2018年6月に発表しました。

UBSの報告は、ビットコインはVISAなどのクレジットカードと比べて極端に決済能力が低いため、取引量が少なすぎることを指摘しています。決済能力の限界がビットコインの決済利用機会が増えない要因になっていると分析しており、現状のビットコインは不安定で、海外送金に用いることや主流な資産クラスになることは難しいという見解を示しています。
著名投資家のウォーレン・バフェット氏は、海外メディアによる2020年2月24日のインタビューにて、暗号資産は基本的に価値がないと述べ、他の人に売る以外は何もできないという主張を繰り返しています。ただし、バフェット氏は暗号資産を形成するブロックチェーン技術については、高く評価しているとされます。

まとめ

暗号資産(仮想通貨)の価値を相対比較するうえで、重要な指標の1つとなるのが時価総額です。2009年1月に誕生してから2022年9月現在まで、ビットコインの時価総額は上下しながらも拡大傾向を続け、他の暗号資産を圧倒する規模を誇っています。2018年に入ってから価格が急落したことで今後の行方について悲観的な見方も出ていましたが、一定の価格帯、時価総額を堅持しています。今なおビットコインの時価総額は他の暗号資産を大きく上回っている状況が続いているのです。

ビットコインのリアルタイムの価格については「ビットコイン/円(BTC/JPY)のリアルタイムチャート・レート(相場・価格)」をご参照ください。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

関連記事

今、仮想通貨を始めるなら
DMMビットコイン