ビットコインと金(ゴールド)の関係性
発行総量に上限のあるビットコイン(BTC)は希少性が高く、また証券等の金融資産のように世界情勢や景気・経済動向にあまり左右されない価値変動があることから、金融市場においては埋蔵量の限られた金(ゴールド)と同じカテゴリーの金融資産に分類されることも少なくありません。
数ある暗号資産(仮想通貨)の中で、最も時価総額が高いビットコインは、実際の金(ゴールド)の資産・機能価値になぞらえて「デジタルゴールド」と呼ばれることがあります。
経済動向の影響を受けにくいとされるビットコインは、金(ゴールド)と同様に市場が不安定なときの資産の逃避先として、投資家に注目されています。
この記事では、ビットコインが金(ゴールド)のような金融資産となる「デジタルゴールド」になり得るのか、ビットコインの特性と実際の金(ゴールド)を比べながら、その関係性について考察します。
ビットコインと金(ゴールド)の類似点
ビットコインには発行総量が2100万BTCという上限があり、元々希少性が高くなるように設計されている点が金(ゴールド)の希少価値と似ているといわれています。
これまで人類が採掘してきた金(ゴールド)の総量は約18万トンといわれています。また、採掘されていない地中の埋蔵量は約5万トンといわれており、再生不可能な資源である枯渇性資源であることから、市場供給量が限られています。
ビットコインは、デジタルな手段ではありますが、マイニング(採掘)という方法で手に入れられる点も、金(ゴールド)の採掘を模して作られているといっていいでしょう。
ビットコインと金(ゴールド)は機能面でも共通
ビットコインと金(ゴールド)は、以下のような機能面においても共通点が多くあります。
● 経済的価値
● 偽造不可能
● 劣化しない
● 採掘コストが高額
まず1点目として、ビットコインも金(ゴールド)同様に経済的な価値があり、法定通貨との交換が可能です。どちらも経済的な交換手段(流通手段)として機能します。
金(ゴールド)は世界中に取引市場があり、世界各国の法定通貨と交換ができます。ビットコインも、暗号資産交換業者を介し、世界中で現地の法定通貨と交換することができます。
2点目は、ビットコインと金(ゴールド)はほぼ偽造不可能なことです。偽物の金製品もありますが、本物の金(ゴールド)を作り出すことはできません。この点もビットコインと金(ゴールド)の共通点といえます。
3点目は、どちらも劣化しないことです。ビットコインはデジタルデータなので、法定通貨の紙幣等のように劣化したり欠損したりすることがありません。金(ゴールド)もまた経年劣化がありません。
最後に、新規入手する際の採掘コストが高いのも共通点です。現在、新規発行されるビットコインをマイニングによって手に入れるには、計算能力の高いコンピュータと膨大な電力を必要とするため、高コストになっています。金(ゴールド)も、少ない鉱脈から新たに採掘するにはコストがかかります。
デジタルゴールドという安全資産
上記のような理由の他に、金(ゴールド)と似た「安全資産」であるといわれる資産的価値などから、ビットコインはデジタル版の金(ゴールド)として、「デジタルゴールド」と呼ばれることがあります。
世界の金融情勢や経済状況の影響を受けにくい価値を持つビットコインは、機関投資家らが金(ゴールド)と同様にビットコインをインフレヘッジとして資産ポートフォリオに組み込むようになってきました。
特に、経済的に不安定な国家における不況や法定通貨の価値低下への逃避先としてビットコインが注目を集めているようです。ビットコインのこうした「安全資産」として機能する点は金(ゴールド)と似ている要素であるとして、デジタルゴールドと呼ばれるようになったゆえんでもあります。
昨今の新型コロナウイルスによる感染症の拡大や、ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻などから世界経済全体が不安定になっており、証券や外為市況など一般的な金融市場はしばらく乱高下が続いています。しかし、そうした金融市場とは異なる値動きをするビットコインや金(ゴールド)は、安全資産としてますます注目が集まっています。
ビットコインと金の価格の関係
2021年頃までは、金(ゴールド)の価格が上がればビットコインの価格が下がるような逆相関関係にあるとされていました。
しかし、2022年は年間を通してビットコインの価格が下落していましたが、金(ゴールド)の価格は上昇というよりは横ばい気味で推移し続け、2023年以降、ビットコインも金(ゴールド)も上昇基調にあります。
このことから、近年はビットコインと金(ゴールド)の価格については相関関係が高まりつつあるといえるかもしれません。
関連コラム:
「ビットコインはインフレヘッジになるのか 株や金とも比較」
金(ゴールド)連動型の暗号資産の登場
金(ゴールド)と暗号資産の関係性においては、ステーブルコインというカテゴリーにも注目が集まっています。
ステーブルコインは、価格変動が少なくなるように設計された暗号資産(仮想通貨)の一種です。ブロックチェーンという強固な仕組みを運用しながら、ボラティリティに悩まされない決済手段としてのニーズからステーブルコインという考え方が生まれました。
金(ゴールド)と連動する金連動型ステーブルコインは、金(ゴールド)の価値にペッグします。価格連動の仕組みは、発行されるステーブルコインの量と同等の金(ゴールド)を発行体もしくは第三者が保管し、ステーブルコインの価値を担保します。つまり、ステーブルコインは多くの暗号資産とは異なり、担保が価値を保証する裏付けになっているのが大きな特徴です。
国内では、ジパングコイン(ZPG)が金連動型ステーブルコインの代表格として位置づけられています。金連動型ステーブルコインは、実際に金(ゴールド)を購入するよりも簡単で、かつ金(ゴールド)を物理的に保有する必要がないことから、金(ゴールド)の新しい投資方法の一つであるという意見もあります。
関連情報:
「ジパングコインについて」
まとめ
不安定な世界情勢が続く2024年6月現在、ビットコインはデジタルゴールドであるという意見は今も根強く残っています。ビットコインの価格は1000万を超え、一時、時価総額で世界8番目に価値ある資産となりました。
このまま成長が続けば、2025年には金(ゴールド)に次いで、時価総額トップ2位になると期待されています。金融市場全体も乱高下を繰り返していることから、ビットコインの価格変動が一時的に株式と類似し、その相関性が高まっているのではないかという意見もあります。
また、金の価格と連動したステーブルコインなど、間接的に金投資を行うことができる環境が整いつつあります。今後、地政学リスクが高まる状況化で分散投資を行う場合、ビットコインだけでなく、金投資にも着目してみると良いでしょう。
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