暗号資産(仮想通貨)ポルカドット(DOT)とは?将来性や今後を解説
ポルカドット(DOT)は、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)といった異なるブロックチェーン同士を接続するオープンソースプロジェクトです。ユーザー自身がデータをコントロールできるような分散型のウェブ世界を実現することを目的としています。2022年4月現在では時価総額トップ10付近を推移するなど、今後の将来性にも注目が集まっています。本記事ではポルカドットの特性や将来性について解説します。
ポルカドットとは
イーサリアムの共同創立者であるギャビン・ウッド氏が中心となっている「ウェブ3財団」がポルカドットを開発しています。
前述したように、ポルカドットは、異なるブロックチェーン間の相互運用が可能な点が最大の特徴です。例えばビットコインブロックチェーンでは、イーサリアムは使用できないように、異なるブロックチェーン間は接続できないようになっています。ポルカドットはこうした異なるブロックチェーン間を接続するプロジェクトであり、プロトコルです。
相互運用を可能にするのが、後述する「リレーチェーン」と「パラチェーン」という独自の仕組みです。複数ある「パラチェーン」がメインのブロックチェーンである「リレーチェーン」の処理を軽減させ、スケーラビリティ問題を解決します。
ビットコインやイーサリアムといったブロックチェーンと異なり、ポルカドットはハードフォークなしでアップデートやバージョンアップが可能です。ブロックチェーンをハードフォークする場合、数ヶ月に及ぶ準備が必要で、場合によっては、コミュニティが分裂することで、暗号資産価格に悪影響が出ることもありますが、ポルカドットはそうした不安要因が取り除かれています。
DOTについて
ポルカドットのネットワークを管理するためのネイティブトークンがDOTです。DOT保有者には「ガバナンス」、「ステーキング」、「ボンディング」の3種類の役割が与えられます。
「ガバナンス」とは、ポルカドットがアップグレードなどを行う際の投票権、ネットワーク手数料の決定、パラチェーンの導入や削除などの役割を果たします。
「ステーキング」とは、預け入れることでネットワークの安定性に貢献する見返りに報酬が与えられる行為です。ポルカドットではDOTを保管し、後述するバリデーターやノミネーターといった役割を果たすことで、報酬としてDOTを受け取ることができます。また、悪意ある保有者には預け入れる権利が失われるようになっています。
「ボンディング」とは、新たにパラチェーンを追加する際にDOTをロック(一定期間預け入れること)することです。不必要なパラチェーンを削除する際にはロックを解除します。
コンセンサスアルゴリズムについて
ポルカドットは、ノミネーテッド・プルーフ・オブ・ステーク(Nominated Proof of Stake:NPoS)というコンセンサスアルゴリズムを採用しています。コンセンサスアルゴリズムとは、ブロックチェーンでブロックを追加する際のルールとなる合意形成を行う方法のことです。
コンセンサスアルゴリズムの一つにプルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake:PoS)があります。NPoSはPoSの変化形です。PoSでは、暗号資産の保有量に応じて、ブロックの承認率が決定します。しかし、資産を多く持つ人(バリデーター)がブロックを承認しやすくなるために、中央集権化の課題が指摘されています。NPoSでは、暗号資産を保有するバリデーターを「ノミネート(指名)」することで、中央集権化を防ぐ意図があります。
ポルカドットの仕組み
ポルカドットは、「リレーチェーン」、「パラチェーン」、「パラスレッド」、「ブリッジ」という4つの仕組みで成り立っています。メインチェーンであるリレーチェーンにパラチェーンやパラスレッドがブリッジを使うことで接続されます。
「リレーチェーンやパラチェーン、ブリッジの仕組み」
出典:https://medium.com/polkadot-network/parathreads-pay-as-you-go-parachains-7440d23dde06
リレーチェーン
リレーチェーンはポルカドットの中心となるブロックチェーンです。リレーチェーンの役割は、パラチェーン同士を接続することと、パラチェーンのセキュリティを担保することです。例えばイーサリアムは、イーサリアムブロックチェーン上にアプリケーションを構築します。しかしポルカドットでは、メインチェーンであるリレーチェーン上ではアプリなどを構築しません。そうした役割はパラチェーンが担います。
リレーチェーンがセキュリティを担保することで、パラチェーンはセキュリティリスクを気にすることなく、開発を行う事ができ、ブロックチェーン間の相互運用性の恩恵が受けられるという利点があります。
リレーチェーンとパラチェーンの役割が明確に分かれることはスケーラビリティにも貢献します。複数のブロックチェーンがつながると処理が膨大になりますが、ポルカドットでは、パラチェーンがリレーチェーンに代わって処理を分散化するため、スケーラビリティ問題を解決できます。
パラチェーン
パラチェーンは、リレーチェーンと「パラレル(並行)」につながるブロックチェーンです。パラチェーン上に独自のアプリケーションやトークンをもつブロックチェーンが構築されます。例えば分散型金融(DeFi)のブロックチェーンやNFTのブロックチェーンといった独自のロジックやトークンで動くものを構築できます。
パラチェーンに選ばれるには、「パラチェーンオークション」に競り勝ち、「スロット」という枠を得る必要があります。ポルカドットは、パラチェーンを迅速に構築するためのソフトウェアである「Substrate(サブストレート)」を提供しています。
パラチェーンオークション
パラチェーンの枠は「スロット」と呼ばれており、2022年4月現在は上限が100枠です。どのブロックチェーンプロジェクトがスロットに選ばれるかについては、オークションが行われており、ポルカドットのエコシステム拡大という意味でニュースに取り上げられることもあります。2022年4月末現在は、14個のスロットが割り当てられています。
パラチェーンオークションで選ばれるにはDOTを多く集めてスロットにロックすることが必要です。パラチェーン枠は1期3ヶ月、最大96週間までリースできます。パラチェーンに継続して選ばれるには再度オークションに競り勝つ必要があります。ロックしたDOTは、パラチェーンの期間が終われば返却されます。
パラスレッド
パラチェーンと同様に、リレーチェーンにつながることでセキュリティを担保されながらアプリケーションを構築できる「パラスレッド」という仕組みがあります。
パラチェーンとの違いは手数料と接続期間です。パラチェーンはオークションで競り勝つために一定額のDOTを約2年間ステークする必要があります。パラスレッドではこの代わりにブロックごとに手数料を支払うことで、短期的にリレーチェーンにつながることができます。手数料はパラチェーンのステーク量よりはるかに低くなります。パラチェーンと比べると安価にリレーチェーンにつながることができます。
短期的にリレーチェーンに接続したり、パラチェーンを目指すプロジェクトなどが利用したりするとされます。
ブリッジ
ビットコインやイーサリアムといった異なる外部ブロックチェーンに、パラチェーンやパラスレッドを接続するための仕組みです。ブリッジによってパラチェーンでビットコインを裏付け資産としたトークンを使用できるようになります。
ポルカドット参加者の4つの役割
ポルカドットのネットワークを管理するため、ユーザーは4つの役割があります。それが「バリデーター」、「ノミネーター」、「コレーター」と「フィッシャーメン」です。それぞれの役割を果たすと、ユーザーはDOTを報酬として受け取れる可能性があります。
バリデーター
バリデーターは、ポルカドットネットワーク上でブロックを検証し、生成してリレーチェーンに送るという最も重要な役割を持っています。
一方で、バリデーターに選ばれると、ノードとしてポルカドットのデータを同期し続けなければなりません。これを失敗したり悪意ある行動をしたりするなどして、バリデーターの役割を果たさない場合は、ステーキングしたDOTの一部、もしくは全額が没収されることがあります。
ノミネーター
ノミネーターの役割は、信頼できるバリデーターを選出することです。ノミネーターにはDOTをステークするだけでなることができます。ネットワークにステークされたDOTと、それによって得られる投票権をバリデーターに分配します。
ノミネーターは、選んだバリデーターがペナルティを受けると、ノミネーター自身がステークしていたDOTも没収されてしまいます。そのために、ノミネーターには信頼できるバリデーターを選ぶインセンティブが働きます。また、ノミネーターが受け取れる報酬は、選出したバリデーターを選んだ人数で分配されるために、報酬を得るためにバリデーターを分散して選出するようになっています。
コレーター
コレーターは、パラチェーンの取引記録など全ての情報を保持しています。そしてバリデーターがブロックを生成するために、その情報をバリデーターに渡します。バリデーターがコレーターの記録が入ったブロックを承認すると報酬が得られます。コレーターになるにはいくらかのステークが必要です。
フィッシャーメン
フィッシャーメンはネットワーク上の悪意ある行為を報告する役割を持ちます。悪意ある行為を見つけると、フィッシャーメンは「賞金稼ぎ」のように大きな報酬が得られます。ただし、むやみやたらに悪意ある行為を見つけるわけではありません。フィッシャーメンもDOTをステークしており、誤った報告をした場合はDOTが没収されてしまいます。
ポルカドットの将来性
ポルカドットは2020年5月のメインチェーンのローンチ以来、2022年4月現在ではパラチェーンのスロットへの割り当てを進めています。
2016年 | ギャビン・ウッド氏らが考案 |
---|---|
2020年5月 | メインネットをローンチ |
2021年12月 | パラチェーンがローンチ |
未定 | XCMP実装 |
スロット割り当て以外で、現在進められているのが、ポルカドットと実験用ネットワークであるクサマをつなぐパリティ(Parity)ブリッジ、ポルカドットとイーサリアムをつなぐプロジェクトであるスノーブリッジ(Snowbridge)があります。
さらにXCMP(クロスチェーン・メッセージ・パッシング)と呼ばれる機能の完全な実装が進められています。XCMPとは、それぞれのパラチェーン同士が接続できるようになります。複数あるパラチェーンはそれぞれに異なったアプリケーションを持ちます。XCMPはこの異なったアプリケーションをつなぐことを可能にします。
現在はリレーチェーンの下にリレーチェーンを入れ子状にするといった「ポルカドット2.0」の議論も始められており、今後はポルカドットネットワークのプロジェクトの相互運用性がさらに高まることが期待できそうです。
期待できる点と課題
ポルカドットに期待できる点は、開発陣が経験豊富であることでしょう。イーサリアムの共同創業者であるウッド氏は、イーサリアムのコードについては週末に短い時間で書き上げたと述べています。しかし、ポルカドットは2016年に構想を明らかにしてから、2020年にようやくメインネットがローンチされたように、十分な時間をかけて始まっています。2020年5月に開始してから、2022年4月時点で、暗号資産銘柄の時価総額ランキングで一時トップ10に入るなど、急速に注目が高まっていることがわかります。
しかし、ガバナンス投票にインセンティブが少ないため、DeFiやゲーム、NFTに強い競合の暗号資産にユーザーが流れているとの指摘も出ています。また、イーサリアムと接続するブリッジが未だリリースされてないことが価格を押し下げる要因との声もあります。ただし、イーサリアムとのブリッジについては開発が進められていることなどから、今後に期待できるといえるでしょう。
まとめ
ポルカドットは異なるブロックチェーン間の相互運用を可能にするプロジェクトです。リレーチェーンとパラチェーンという仕組みを使うことで、多くのアプリケーションを実装でき、さらにそれらをつなぐことで、さまざまなサービスを開発することが可能になります。
ポルカドットエコシステムの中に入るプロジェクトによって、ユーザーの参加も増え、価格に影響することもあるでしょう。今後の展開に期待できる注目の暗号資産です。
※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。
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