ビットコインATMとは、その仕組みについて解説
ビットコインATMは、文字通りビットコイン(BTC)の現金自動預払機(ATM)です。主にビットコインの購入や売却ができます。ただし、ビットコインATMは銀行ATMのように、いつでもどこでも誰でも気軽に自分のお金を引き出すというものとは少しだけ異なります。ですが、その仕組みや使い方がわかれば、暗号資産(仮想通貨)をより身近に感じられ、その存在を知っておくだけでも知識になるでしょう。
この記事では、ビットコインATMについて、その仕組みと、どこに設置されていて、どのように利用されているのかについて紹介します。
ビットコインATMとは
ビットコインATMは、ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産(仮想通貨)専用の現金自動預払機です。BATM、BTMと表記されることもあります。
ビットコインATMは、いくつか種類があります。機種によって、利用できる機能が異なりますが、最もポピュラーな自動預払機は、ビットコインの購入と売却ができるものです。この仕組みは、銀行というよりは暗号資産交換業者に近いものです。なお、2023年8月現在では日本で設置されているビットコインATMは自動預払機としての機能ではなく、日本円のみを引き出す「両替機」として稼働しています。
機種によっては、購入はできますが売却ができないものもあります。また、取り扱うことができる暗号資産も機種によって異なり、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)などに対応するものもあります。
ビットコインATMでは、現金またはクレジットカードやデビットカードでの購入ができますが、これも機種によって異なります。
また売却が可能なビットコインATMでは、画面に表示されたウォレットアドレスに適切な金額の暗号資産を送金する必要があります。
購入と売却、いずれも自身のウォレットが必要になります。特に購入の際には、暗号資産を受け取るウォレットアドレスが必須です。あらかじめ、ウォレットを用意する必要がありますが、ビットコインATMによってはペーパーウォレットを発行してくれるものもあります。
このようにビットコインATMは、その機種によってできることが異なります。正確には機種というよりも、ビットコインATMを設置するサービス事業者により異なるものですが、いずれにしても、銀行ATMのようにどこの現金自動預払機でも同様のサービスが受けられるものではありません。まずはビットコインATMがどのようなサービスに対応しているか、あらかじめ知っておく必要があるでしょう。
ビットコインATMの使い方
ビットコインATMを利用するには、ビットコインATMの設置場所を知る必要があります。ただし、日本より設置台数が多い海外であっても、ビットコインATMは銀行ATMのようにそこかしこで見かけるものではありません。
また、実際にビットコインATMを利用する際には、ウォレットが必要になります。ウォレットの準備、ウォレットアドレスの用意はあらかじめ行っておくとよいでしょう。
さらに、売買をする際にはマネーロンダリング・テロ資金供与対策(AML/CFT)として、KYC(本人確認)が必要な場合があります。これもまた、ビットコインATMによって異なりますが、KYCの準備もしておきましょう。KYCは、スマートフォンのSMSや国際的に通用するIDが必要になります。少なくとも、ビットコインATMを利用するにはSMSが受信できるスマートフォンは必須と考えておきましょう。
実際に購入するには
ビットコインATMの操作を開始する際、SMSや電子メールに送られてくるワンタイムパスワードで本人確認を行います(機種によって異なります)。
その後に、購入したい暗号資産(仮想通貨)を選択し、受け取り用のウォレットアドレスを入力します。アドレスの入力方法にQRコードが利用できるものもあります。
自身のウォレットがない場合は、ペーパーウォレットが発行できる機種も存在します。そうしたビットコインATMでは、ペーパーウォレットのアドレス、秘密鍵等がレシートや電子メール等で受け取れます。
その後、現金またはクレジットカードで購入金額を指定し、入金します。
なお、2023年8月現在では日本に設置されているビットコインATMでは暗号資産を購入することはできません。可能なのは、次に説明するような「暗号資産を売却」する方法のみとなっています。
売却する方法
ビットコインATMで暗号資産を売却するには、自身の暗号資産を指定されたアドレスに送金する必要があります。
つまりビットコインATMを操作中に、自身のウォレット等から送金する手段が必要になります。スマートフォンのウォレットアプリからでも、ノートパソコンからでも、どのような方法でもかまいませんが、リアルタイムで送金できる環境が必要です。
ビットコインATMでは、指定されたアドレスがQRコード等でも表示されますので、スマートフォンでの利用が最も便利です。中には、直接USB接続可能なハードウェアウォレットをつなげることができる機種もありますが、セキュリティの関係上、あまりおすすめできません。
いずれの方法でも、指定されたアドレスに売却したい暗号資産を入金することにより、ビットコインATMにて法定通貨を受け取ることができます。
以上、簡単にビットコインATMによる暗号資産の購入と売却について解説しました。
これらのサービスは提供事業者と機種によって異なりますが、売買に必要なものは、根本的には変わりません。
ビットコインATMのメリット、デメリット
ビットコインATMのメリット、デメリットについても確認しておきましょう。
メリット
メリットとしては、次のような点があります。
- 現地法定通貨と交換が可能
- ATM間の送金が可能
ビットコインATMの大きなメリットは、ビットコインATMが設置されている国の法定通貨と暗号資産(仮想通貨)が交換可能なことです。旅行や出張先で、法定通貨同士を両替することなく現地通貨を入手できます。外貨の両替は、それだけで手数料が発生し、また為替レートの影響を受けますので、そうした手間を省くことができます。
また、逆に余った現地通貨を暗号資産に換えることもできます。銀行ATMのような使い勝手はありませんが、いつでもどこでも現地の法定通貨で暗号資産取引が可能であると考えると、銀行ATMとは異なるメリットを感じることもできるのではないでしょうか。
さらに、同一のサービス提供事業者であれば、ビットコインATM間で送金ができるものもあります。
デメリット
デメリットとしては次の点があります。
- 種類によって機能が違う
- 手数料が不透明
- ウォレットを用意する手間
これまで解説してきたように、ビットコインATMの種類によって機能が違うということは、操作方法がそれぞれで異なることにより誤った操作をしてしまう等、利用する際のデメリットにもつながります。ビットコインATMは、ソフトウェアがアップデートされることもありますので、使用方法等が変更されることも少なくありません。そのため慣れ親しむというよりも、都度、画面を見て、その流れを確認しながら操作しなければなりません。よって、機械が苦手な方等にとって優しいとはいえません。
加えて、暗号資産交換業者と比べると、交換手数料が不透明なうえ割高な場合も多いことがデメリットでしょう。機種によって手数料が異なるため、利用してみなければ手数料の額がわかりません。旅行先、出張先で、急遽現地の通貨が欲しいといったシチュエーション以外は、使う場面は少ないかもしれません。
暗号資産交換者を利用する場合は、自分自身でウォレットを意識することはほとんどありませんが、ビットコインATMでは自分自身でウォレットを用意する必要があるなど手間がかかります。
ビットコインATMの設置状況
2022年3月現在、ビットコインやイーサリアム、エックスアールピーなど暗号資産(仮想通貨)に対応したATMは、アメリカや日本、イギリスを始め世界71の国と地域に設置され、数にして世界に3万6000台以上(Coin ATM Radar 調べ)になります。参考までに、日本国内における銀行ATMの数は、コンビニに設置されているATM台数を含めると約18万台です(2023年現在)。
ビットコインATMは日本では東京や福岡等に数台設置されていましたが、2017年の資金決済法改正により、日本国内において暗号資産(仮想通貨)の取引を提供するには、ライセンスが必要になりました。それによりビットコインATMの機能はまさに暗号資産交換業者と同等のため、一時日本からはビットコインATMがなくなっていました。
しかし、2023年8月現在は、暗号資産交換業者として登録した企業が東京や大阪でビットコインATMを設置しているようです。
まとめ
これまで解説をしてきたように、ひと言でビットコインATMといっても様々なものが存在します。海外で使用する際には、現地にどのようなビットコインATMがあるかを調べておかなければなりません。
運よく渡航先にビットコインATMがあったとしても、主要なビットコインATMでビットコインを売買する場合、平均的には8~10%程度の手数料がかかります。コストも機種ごとに異なることが多いということを覚えておきましょう。手数料や扱い方が煩雑になる場合に備えて、暗号資産(仮想通貨)の取引を安心安全に利用するために、暗号資産交換業者を利用することも検討するといいでしょう。
※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。
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