ドルコスト平均法とは?
長期的な資産形成の投資手法の一つに「ドルコスト平均法」があります。ドルコスト平均法は、元々は外貨や株式、投資信託などの金融商品に対する投資手法ですが、ビットコインを始めとする暗号資産(仮想通貨)でも実践できます。
ドルコスト平均法による投資は、市況を鑑みながら売ったり買ったりを繰り返す必要がなく、また長期的に見れば資産を増やすことができる可能性が比較的高いことから、初心者でも手軽に実践することができる投資手法として人気です。
この記事では、暗号資産投資におけるドルコスト平均法の概要や、そのメリット・デメリット、どのような人が向いているのかなどについてわかりやすく解説していきます。
ドルコスト平均法とは?
ドルコスト平均法は、定期的に一定の額だけ同じ投資対象(銘柄)の金融商品を購入して、平均購入単価を平準化していく投資手法です。一定数(口数)ではなく、一定の金額を定期的に購入していくのがポイントです。
例えば、相場変動を気にせずに毎月1回1万円分のビットコイン(BTC)を継続して購入します。そのため、価格が高いときには少ししか購入できず、逆に価格が安いときには多く購入することができるという状況になりますが、長期的に継続して購入することで、必然的に特定銘柄の購入単価を平準化することが可能になります。
このようにドルコスト平均法では、相場変動を気にせず少額から投資を始めつつ、損失リスクを抑えられることから、投資の初心者にも優しい投資法であるともいわれています。
ドルコスト平均法による投資は、毎月一定額の暗号資産(仮想通貨)を購入することから積立預金にも似ています。積立期間が長くなればなるほど価格が平準化されるため、ボラティリティ(変動率)の高い金融商品では、長期間の積み立てであればあるほど価格変動による影響を受けにくくなり、よりリスクに強い投資法となります。
ドルコスト平均法のメリット・デメリット
ドルコスト平均法では、結果的に投資対象の金融商品が安いときには多く購入することができ、高いときには少なく購入することになるため、価格の大幅な下落リスクはメリットになり、一方で価格の大幅な上昇リスクに対しては高値掴みを防ぐ効果があります。
ただし、ドルコスト平均法によるこうした効果を得るには、長期間投資し続けることが重要です。デイトレードのように短期決戦で結果を出そうという投資には向いていません。
より安心安全な投資を行うためにも、ドルコスト平均法の性質とメリット・デメリットについては、しっかりと理解しておきましょう。
メリット
メリットとしては次の3点が挙げられます。
・どのような局面でも投資できる
・高値掴みを回避できる
・少額投資が可能
ドルコスト平均法では、購入を決めた銘柄を定期的に一定額の金額で購入していくため、市況とは無関係に購入することになります。そのため、どのようなタイミングで購入するか悩む必要がなくなります。相場価格の上昇、下降、どちらの局面からも投資を開始することができます。
通常の方法で金融商品を購入する場合は、投資対象の銘柄が現在いくらで取り引きされているのか、相場によっては買うべきか買わざるべきか悩みます。しかし、ドルコスト平均法では、毎月自分のタイミングで決まった金額で購入できる分だけを取り引きするため、どのタイミングで購入するか悩む必要がなくなります。いつからでも始められる投資手法なのです。
また先述の通り、必然的に特定銘柄の購入単価を平準化することが可能になります。特にボラティリティの大きな銘柄では、一括購入するよりも取得単価が下がり、高値掴みを回避できる可能性が大きくなります。
自分の家計、ふところ事情に応じた予算で毎月少しずつ投資できるのも大きなメリットです。ドルコスト平均法は、一括購入のように投資開始時にまとった自己資金がなくても、誰でも気軽に始められるのがポイントです。
デメリット
デメリットとしては次の3点が挙げられます。
・短期間での利益が難しい
・手数料が都度発生する
・やめ時を見極めるのが難しい
ドルコスト平均法のデメリットは、短期間での投資効果が見えにくいことが挙げられます。資産を投資によって増やすためには、相場価格が低いときに購入し、相場価格が高いときに売却することが鉄則です。
投資対象銘柄の一括購入では、購入と売却のタイミングがうまく合えば、大きく資産を増やすことも可能になります。しかし、相場価格をまったく気にせずに定期的に購入するドルコスト平均法では、それは不可能です。つまり、短期間で資産を増やすような投資には向いていません。
また、定期的に継続して購入する方法は、暗号資産交換業者によってはその都度手数料が発生するため、一括購入よりも手数料が余計にかかる場合があります。手数料の高い交換業者ではドルコスト平均法はデメリットにもなりかねません。こうしたことにも注意が必要です。なお、DMM Bitcoinでは現物取引手数料は無料です(※)。
※ただし、BitMatch取引手数料は別途発生します。またレバレッジ取引に関しては建玉を翌営業日に持ち越すと、「建玉金額の0.04% / 日」のレバレッジ手数料が発生します。
ドルコスト平均法は長期間投資を続けることでメリットが発揮できる投資手法であるため、いつ利益を確定するかといったタイミングが分かりにくいことがあります。ドルコスト平均法はやめ時を見極めるのが難しい投資手法ともいえます。
1年程度の期間では最終収支はマイナスになるかもしれません。株式など他の金融商品では5年、10年保持し続けることはよくありますが、日進月歩、日々進化し続ける暗号資産(仮想通貨)においては、5年や10年という期間は人気を継続していくことが難しい銘柄もあるでしょう。少なくとも1年に1回は最終収支について見直す必要があります。日々の相場変動に敏感になる必要はありませんが、投資対象となる暗号資産の人気や流動性など、その状況については、定期的な確認が必要となるでしょう。
ドルコスト平均法は暗号資産(仮想通貨)取引に向いているか?
ドルコスト平均法による投資は、相場の展開によっては損をすることももちろんあります。特に銘柄を長期間で見たときに、相場価格の変動がずっと右肩下がりの銘柄は、購入価格の平準化ができません。この場合は、ドルコスト平均法本来のメリットが機能せず、銘柄の購入数だけが増え続け、結果、損をしてしまうことになってしまうでしょう。
一方、常に右肩上がりの銘柄や一定の範囲内で相場が上下するボックス圏相場(レンジ相場)と呼ばれる銘柄においては、ドルコスト平均法は有効です。購入価格の平準化は、銘柄を高掴みすることなく平均的な価格で購入し続けることができるため、銘柄の相場が上がっているときに売却することで、利益を確定できます。
ビットコインを始めとする暗号資産(仮想通貨)の多くは、ボラティリティが高く、ボックス圏相場銘柄といえます。また、少額から購入できる暗号資産の特徴も、無理のない範囲で投資することができるため、暗号資産はドルコスト平均法に向いているといえるでしょう。
ドルコスト平均法が向いている人
ドルコスト平均法は、長期間に渡って活用することで購入単価を平準化し、リスクを回避できます。今日明日の利益が得るような、すぐに結果を求めるようなタイプの人ではなく、長期的な視野で資産形成を考えている人に向いている投資手法です。
ドルコスト平均法は、一度に数百万円、数千万円の自己資金を用意できない人にも向いています。数千円でも数万円でもいいので、毎月コツコツと定期的に決まった金額の投資がではきる人こそドルコスト平均法は向いています。
一攫千金を狙っているような人や相場の変動に一喜一憂するような人でなければ、誰でもドルコスト平均法による長期投資は有効といえます。コツコツと定期的に購入するとはいえ、購入は強制や義務ではなく、利益にこだわらなければいつでも自分の意思でやめることもできるので、気楽に長く投資したいと考えている人なら問題ないでしょう。
まとめ
金融商品への投資は基本的に元本保証がないため、長期投資に強いドルコスト平均法とはいえ、結果として損をしてしまうこともあります。つまり、リスクはゼロではありません。投資は、無理のない範囲かつ自己責任で行う必要があります。投資で資産を増やしたい人は、リスクを分散しながら投資をしていくことも念頭に置かなければなりません。
リスク分散は、投資のリスクを極力小さくするためには必要不可欠な考え方です。投資家の多くはリスクを回避するために分散投資を行います。
分散投資というと、複数の金融商品に分散して投資する方法であると思われがちですが、必ずしもそうではありません。ドルコスト平均法のように、投資対象銘柄を一度に購入せずに、購入時期をずらして複数回に渡って時間軸を分散させる方法も分散投資の一つです。ドルコスト平均法による投資手法もまた、リスク分散に有効です。
ドルコスト平均法は、長期投資でこそ威力を発揮できる投資手法ですが、すぐにでも始められることが最大のメリットです。長く暗号資産(仮想通貨)と付き合う覚悟があるならば、わずかな金額からでも始められるので、まずは定期的に買うタイミングと購入金額を決めて、早速、気になっている暗号資産を購入してみるのも良いかもしれません。
※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。
関連記事
-
暗号資産(仮想通貨)投資のポイントは?株式市場との関連も含めて解説
ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)は、比較的新しいアセットクラス(資産クラス)です。今回はビットコインや暗号資産への投資において、知っておきたいポイントを株式市場との関連も整理しながら解説していきます。
-
暗号資産(仮想通貨)取引の空売り(ショート)とは?取引方法や注意点を紹介
暗号資産交換業者を介した暗号資産(仮想通貨)取引では、「レバレッジ取引」という取引方法を利用できます。レバレッジ取引や空売りがどのようなものなのか、解説します。
-
暗号資産(仮想通貨)はいくらから買える?ビットコインの最小単位についても紹介
暗号資産(仮想通貨)取引の初心者の方向けに、ビットコインを始めとした仮想通貨がいくらで購入できるのか、またどこで購入すればいいのかなどを紹介していきます。
-
セキュリティトークンとは?新たな資金調達方法のSTOも解説
株式や債券などの有価証券をブロックチェーン技術によってデジタル化したセキュリティトークンは、「デジタル証券」と呼ばれています。この記事では、セキュリティトークンの特徴を詳しく解説し、そのメリットや将来性についても紹介していきます。
-
暗号資産(仮想通貨)に保証はあるか?知っておきたい日本の法律
2023年に入り、アメリカで比較的大規模な銀行が3行立て続けに経営破綻をしたことを受けて、暗号資産業界にも不安が広がりました。この記事では、そんな不安を解消するために暗号資産の取引における顧客保護について詳しく解説します。
-
「流動性」とは?暗号資産(仮想通貨)銘柄選びの重要なポイント
暗号資産(仮想通貨)の銘柄を選ぶ際の重要なポイントの一つとして、取引できる相手がいるかどうかがあります。この取引の相手がいるかどうかに関係するのが「流動性」です。この記事では暗号資産の流動性について詳しく解説します。
-
暗号資産(仮想通貨)における長期保有(ガチホ)のメリットとデメリット
短期的な価格の浮き沈みには翻弄されず、大幅な価格上昇を期待してじっくりと時間をかけて臨むのが長期保有(ガチホ)です。当記事では、暗号資産(仮想通貨)における長期保有について説明します。
-
暗号資産(仮想通貨)のアノマリーとは?投資の経験則を紹介
投資では、具体的な根拠の説明が難しい経験則や仮説が用いられる「アノマリー」という言葉があります。この記事では、そもそもアノマリーとはどういうものか、そして暗号資産に特有のアノマリーについて紹介します。
今、仮想通貨を始めるなら
DMMビットコイン