ビットコインのスプレッドとは?変動する要因を解説
FX(外国為替証拠金取引)で取引をしたことがある方にとってはスプレッドという言葉は馴染みのある言葉ですが、株式投資から暗号資産(仮想通貨)投資を始めた方や、暗号資産で初めて投資に取り組むという方にとってはよく分からないものかもしれません。
スプレッドは、ビットコインなどの暗号資産の取引において、最終的な投資の利益に影響を与えます。本記事ではスプレッドの概要について説明します。

スプレッドとは?

スプレッドとは売値(=Bid)と買値(=Ask)の差額のことを指します。
海外旅行をする際、円を旅行先の通貨に換金するかと思いますが、両替窓口ではBUY:100円/SELL:102円などと書かれています。
これは101円を基準レートとして、買う場合と売る場合のそれぞれに1円の為替手数料の負担がかかるということを意味しています。そのため、BUYのレートとSELLのレートに差額が生じており、この2円の差額のことをスプレッドと呼んでいます。
ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)におけるスプレッドとは
ビットコインなどの暗号資産におけるスプレッドも海外旅行時に円と外貨を交換する時のレートと仕組みは同じです。暗号資産では暗号資産交換業者を相手に取引をする「販売所」で提示される価格差のことを指します。

例えば、1BTCを購入する時の販売所での価格が502万円、売却する時の価格が500万円だった場合、スプレッドは2万円となります。
暗号資産を購入する時と売却する時の差額(=スプレッド)は売買手数料のような側面を持っていると考えられています。販売所では取引手数料が無料でも、実質的にスプレッドが手数料のような役割を果たしています。
上記の例のように、1BTCを購入する時の価格が仮に502万円、売却する時の価格が500万円である場合、購入してからすぐに売却すると差額で2万円のマイナスとなってしまいます。そのため、できるだけスプレッドが小さい方が利益を得やすくなります。
スプレッドは変動する
FX(外国為替証拠金取引)だとスプレッドは原則固定とされていますが、暗号資産のスプレッドは日々変動します。
例えば、あるタイミングでは1BTCの売値が500万円、買値が502万円だったものが、翌日には売値が499万円、買値が503万円と、スプレッドが大きくなることもあれば、売値が500.5万円、買値が501.5万円と小さくなることもあります。
暗号資産の売買ではスプレッドが今どの位広がっていて、どのタイミングで購入するのが得か損かをしっかり判断する必要があります。
スプレッドは暗号資産交換業者によって異なる
スプレッドは全く同じタイミングで購入する場合でも、暗号資産交換業者によって異なります。
しかし、どこの暗号資産交換業者のスプレッドが一律で大きい・小さいと断定することはできません。スプレッドの大きさは状況によって変化しやすく、さまざまな要因が絡むからです。あるタイミングではDMM Bitcoinのスプレッドが一番小さく、また別のタイミングでは他の暗号資産交換業者のスプレッドが一番小さいということもあります。
スプレッドが変動する要因

ビットコインなどの暗号資産のスプレッドはさまざまな要因で大きく、もしくは小さくなりますが、変動要因として挙げられる主なものに流動性の変化と価格変動があります。
流動性の変化
スプレッドに影響を与える1つ目のものとして挙げられるのが、市場における流動性の変化です。
流動性とは市場に出回る資産の交換のしやすさを示すものです。ビットコインのように取引をする人が多ければ流動性は高いとされます。
一般的に、流動性が高いとスプレッドは安定しているのに対して、流動性が低くなるとスプレッドが広がる傾向にあります。流動性が高いという状況は買い注文や売り注文が多くあるためです。
また、ビットコインだけでなくアルトコインにもスプレッドがありますが、アルトコインはビットコインよりもスプレッドが開いている傾向にあります。これは、ビットコインよりもアルトコインの方の取引量が少ないことが要因の一つだからです。
さらに、アルトコインの中でもイーサリアムやリップルのように取引量が多いアルトコインほどスプレッドが小さく、取引量の少ないアルトコインほどスプレッドが大きい傾向にあります。

市場における急激な価格変動
スプレッドに影響を与える2つ目のものとして挙げられるのが、市場における価格変動です。
暗号資産の価格が急激に上下するとスプレッドは大きくなる傾向にあり、逆に価格が安定していればスプレッドは小さくなる傾向にあります。
購入する方が、売却する方よりも圧倒的に多い場合、売却がなかなか成立せずに価格が吊りあがります。これにより、スプレッドも広がると考えられます。
スプレッドは取引量が大きいと安定しやすいとご説明しましたが、価格が急騰、もしくは急落している場合には、例え取引量が大きくてもスプレッドは広がりやすくなります。
スプレッドに着目した取引の注意点

DMM Bitcoinは売買手数料など全て無料(※BitMatch取引手数料を除く)で利用できますが、スプレッドに関しては他の暗号資産交換業者と同様に負担する必要があります。
スプレッドに着目した場合の取引では、いくつかの注意点があります。以下の項目について確認しましょう。

余剰資金で投資する
購入するにあたり、生活費用の一部まで投資に回してしまうと、いざ実生活でお金が必要になった時に、その時の価格に関わらず売却せざるを得なくなります。
スプレッドのある取引では取引回数はできるだけ少ない方が良いため、少しの価格変動に敏感に反応して頻繁に売買を繰り返すとそれだけでスプレッド分の損失が膨らみます。
損失が出たらすぐに売却することは必ずしも悪いことではありませんが、投資において、感情で取引の判断をしてしまうことは損失の発生につながりやすいと言えます。
逆に、資金にゆとりを持って暗号資産投資に取り組むことで、感情で売買の判断をしたり、実生活でお金が必要だからと、強制的に取引をしたりする必要がなくなります。
余剰資金で投資に取り組むことにより、短期的な視野に陥ることなく、ゆとりを持った取引ができるので、スプレッドによる損失を抑えることにつながります。
価格が急変している時は取引を控える
スプレッドに大きな影響を与える要因に挙げられるのが、流通量の変化と市場における価格の変動です。流通が多く安定しているほどスプレッドは小さく、また市場における価格が急騰、急落していない時ほどスプレッドは同様に小さくなる傾向にあります。
ビットコインは2021年4月現在、暗号資産の中で最も流通量が多いと言えます。ビットコインを取引する際にできるだけスプレッドを小さくするためには、市場の価格変動が緩やかで安定している時に取引すると良いでしょう。
各暗号資産交換業者のスプレッドを比較する
前述したように、スプレッドは各暗号資産交換業者によって異なります。そのため、取引する際には暗号資産交換業者が提示するスプレッドを事前に確認し、比較することが大切です。
スプレッドのコストを抑えるには、売買の差額が小さい、条件の良い交換所を利用すると良いでしょう。
まとめ

スプレッドは利用する暗号資産交換業者によって異なり、またその日の取引量や価格変動によっても異なります。
スプレッドは最終的な利益に影響を与える要素となりますが、その仕組みをしっかりと理解できれば、スプレッドによる損失を抑えることは難しいことではありません。
これらの内容をよく理解した上で取引に取り組めば、スプレッドが原因で大きな損失を受けるという事態を避けられるでしょう。
ビットコインの取引に関わる手数料について詳しく知りたい方は「ビットコインの手数料は高い?取引所や販売所で安く抑えるには」もご参照ください。
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