暗号資産(仮想通貨)は追跡できる?追跡方法や匿名性について解説!

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2024-01-20 更新

暗号資産(仮想通貨)は、相手のウォレットのアドレスさえわかれば、国や銀行などの第三者を介さずに誰でもインターネットを通してグローバルに資産を送付できます。そうしたことから、暗号資産は匿名性が高く、秘密裏に決済が可能という印象があります。

一方で、パブリックブロックチェーンに記録される取引情報は、未来永劫消えることなく、改ざんされる恐れもほとんどありません。取引情報については誰でも閲覧することができます。パブリックブロックチェーンを採用するビットコイン取引は常にオープンであることから、ビットコインにはプライバシーがないともいわれます。

はたしてビットコインに匿名性はあるのでしょうか?取引がすべてオープンということは、ビットコインによる取引とその資産の流れは追跡可能なのでしょうか?ここでは、暗号資産の追跡可能性と匿名性について解説します。

暗号資産(仮想通貨)は追跡できるのか?

暗号資産(仮想通貨)は種類ごとに異なるブロックチェーンを用いています。代表的な暗号資産であるビットコインについて説明していきます。

暗号資産についてあまり詳しくない人には、ビットコインは匿名で決済できるアンダーグラウンドなものであると勘違いしている人も少なくありません。しかし、それは大きな間違いです。実際には、ビットコインは世界で最も透明性の高い決済ネットワークともいえます。

通常、クレジットカードや電子マネー等の決済ネットワークでは、その取引情報を第三者が閲覧するようなことはありえません。しかし、ビットコインによる取引は、その取引情報すべてがブロックチェーン上に記録されていることから、誰でも閲覧可能です。そのため、ビットコインは透明性の高い決済ネットワークといわれています。

ただし、ビットコインの取引情報には、誰がどこでいくら使ったかというような取引情報が記載されているわけではありません。

ビットコインアドレスの仕組み

ビットコインアドレスは、例えるならば銀行の口座番号のようなものです。ビットコインの送付先を特定するためのものであり、暗号資産の口座にあたるウォレットを指定するものと考えるとわかりやすいでしょう。

アドレスというと、電子メールアドレスのように任意の文字列を使って自分で命名するようなものを想像する人もいるかもしれません。しかし、ビットコインアドレスはそれとは異なります。ビットコインアドレスは英数字の組み合わせで、一般的な電子メールやアカウントなどと違って、判読が難しい文字列でできています。

ビットコインアドレスは、プログラミングの知識があれば自分自身で一から作ることもできますが、通常は暗号資産交換業者に口座を開設したり、ウォレットアプリを利用したりすることで自動的に生成されるため、特に専門知識がなくても誰でも取得することができます。

ビットコインアドレスについてより詳しく知りたい方は「ビットコインアドレス利用時に注意すべきポイント」もご参照ください。

ビットコインの追跡方法

ビットコインアドレスによって取引が行われるビットコインは、ブロックチェーンから特定のビットコインアドレスのデータを抽出することで、そのビットコインアドレスによるビットコインの移動履歴を調べることができます。また、移動履歴を整理することでそのビットコインアドレスの現在の残高を確認することが可能です。

ブロックチェーンの全ブロックを調査するのは大変ですが、現在はビットコインアドレスを入力するだけで、ビットコインアドレスの移動履歴や残高を瞬時に調べることができるツールも登場しています。

ビットコインは取引を行う際に、トランザクションID(TXID)が割り振られます。トランザクションIDを調べることによって、送付されたビットコインの状況を知ることができます。簡単にいうと送付履歴のようなものです。

たとえば送付されたはずのビットコインがまだ届いていない状況の場合、ビットコインを送付した相手にトランザクションIDを教えてもらうことで、送付されたビットコインは現在どのような状況かを把握できます。実はまだ処理の途中で、ブロックチェーン上で承認待ちの状態というようなことがわかります。

トランザクションIDによるビットコインの追跡にもまた、専用のツールが多数存在しています。

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ビットコインの追跡可能性

ビットコインを送付するには、相手のビットコインアドレスを知る必要があります。送付先のビットコインアドレスは、先方のウォレットアプリの場合もあれば、暗号資産取引所の口座の場合もあるでしょう。しかし、送付先がどのような形態であれ、相手のビットコインアドレスさえわかれば、誰でもインターネットを介して国内はもちろん海外にも簡単に送付できます。

この送付に関する取引情報が記録されているのがブロックチェーン上のトランザクション(取引)データです。ブロックチェーンには、ビットコインの誕生以降に行われた取引情報がすべて記録されています。トランザクションデータは、データを見てすぐに取引内容がわかるような形式ではありませんが、データを解析することで送付人受取人双方のビットコインアドレスとその送付量がわかります。

整理をすると、ビットコインはブロックチェーン上にすべての取引の情報が記録されていて、誰でも閲覧可能な状態のため、取引当事者でなくても取引の流れを追跡できます。しかし、その情報はビットコインアドレスと送付量のみであるため、取引情報からは取引当事者である実際の個人や組織を特定することはできない仕様になっています。つまり、ビットコインの取引は、ビットコインアドレスによって完全に追跡可能ですが、取引情報だけではプライベートな情報まではわかりません。

送金者と受金者の情報を通知する「トラベル・ルール」

前述したように基本的には送金者の氏名は公開されません。ただし、日本では2023年6月1日から「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)」が施行され、暗号資産交換業者に対して「トラベル・ルール」の遵守が義務付けられました。

トラベル・ルールとは、送金元の暗号資産交換業者が暗号資産の出金時においてお客様及び受取人に関する情報(以下、「通知事項」といいます)を取得し、出金先の暗号資産交換業者に通知事項を通知すること等が求められる規制のことです。

前述したように暗号資産はアドレスさえ分かれば誰でも送金が可能です。しかしその特性を利用してマネーロンダリングやテロリストへの送金に利用される恐れがあります。そのため、マネーロンダリング対策(AML)とテロ資金供与対策(CFT)の国際基準であるFATF勧告を策定するFATF(Financial Action Task Force:金融活動作業部会)が、2019年6月21日に新たな規制基準として「トラベル・ルール」を発表しました。 不正資金の移動を防ぎ、犯罪に関わるような動きを追跡できるようにするためです。これによって日本以外でもトラベル・ルールに準拠し、顧客情報を把握する動きが広がっています。

なお、通知対象国・地域以外の暗号資産交換業者や、暗号資産交換業者を介さない個人間のウォレットでのやり取りではトラベル・ルールは適用されません。詳しくは「暗号資産入出金時のトラベル・ルールについて」をご参照ください。

ビットコインの匿名性

ビットコインはビットコインアドレスをベースに、永久的にブロックチェーン上に取引履歴が残され、誰でも追跡できるという点においては公共性がありますが、前述の通り、それらは個人情報とは紐付いていません。そういう意味では、匿名性があるともいえるでしょう。

しかし、これが買い物の決済に使われたビットコインアドレスである場合は、それ以降の自分の全トランザクション履歴と関連付けられ、一部の人にはそのビットコインアドレスが誰のものか理解できることになります。しかも、ビットコインの性質上、誰もがこのビットコインアドレスの残高と全トランザクション履歴を見ることができるのです。

ビットコインアドレスは、これまでハッキングや不正なものの売買の決済に使われることもありました。このような怪しい取引に使われているアドレスの中には、怪しいビットコインアドレスであるという情報が集まり、把握されているものも少なくありません。現在は、これらの怪しいビットコインアドレスをデータベース化し、セキュリティ向上のために利用するという技術も見られるようになりました。

たとえばサイバー犯罪などハッキングによって流出した暗号資産がどう流れたかを追跡し、それらに使われたビットコインアドレスを洗い出すといったことも行われています。現在、すべてを把握することが難しくても、ブロックチェーン上に残っている情報は永遠に残りますから、将来的にはより強力なツールになり得るでしょう。

ビットコインアドレスが完全に匿名であり続けることはできないことの例として、ビットコインの取引を匿名化できると謳った10年以上の歴史がある資金洗浄サイトの管理者とみられる男が、2021年になって逮捕・起訴された事例があります。逮捕のきっかけは、米国の内国歳入庁(IRS)が犯人とみられる男の10年にわたる取引履歴を長きにわたり調査した結果だったといいます。

こうした一例は、ブロックチェーンならではといえるでしょう。

ビットコイン以外の暗号資産(仮想通貨)の追跡可能性

ビットコイン以外の暗号資産(仮想通貨)もウォレットのアドレスやトランザクションを追跡できます。ビットコイン同様にアドレスがわかれば、いつ、どの番号から番号へ送られたかが把握できます。ただし、ここでも分かるのは番号のみで送金者の氏名などは公開されません。

取引を追跡するには「ブロックチェーンエクスプローラー」と呼ばれるサービスを利用します。ビットコインでは「BTC.com」や「BLOCKCHAIR」があり、イーサリアムでは「Etherscan」が有名です。

ブロックチェーンエクスプローラーのサービスによってはハッキングといった犯罪行為に関連するアドレスに送金する可能性がある場合に警告文が表示されるものもあります。

暗号資産(仮想通貨)取引における注意点

個人間で暗号資産(仮想通貨)に関するなんらかの取引を行う場合、アドレスをSNSなど公共の場で公開するのは避けるべきです。

暗号資産による寄付金を募るなど社会に貢献するような目的で、アドレス公開によって透明性を示すことが望ましい場合ではない限り、アドレスの公表はふさわしくありません。公表してしまうことで、その履歴から他のアドレスとの関係性も公になってしまうことを忘れてはなりません。

アドレスが把握できないよう取引情報を匿名化する、ミキシングサービスと呼ばれるオンラインサービスがあります。こうしたサービスは、複数のアドレスを使用して、決済額と同じ金額を分割し、ランダムにアドレスをごちゃ混ぜにして複数の暗号資産で送付することで追跡しづらい状況を作り出します。一見、プライバシーを保護できるサービスにも聞こえますが、送付した暗号資産を盗むことが可能なことに注意しましょう。こうしたサービスは便利な部分もありますが、サービス自体に保証はなく、悪質な業者がいないとも限りません。

まとめ

ビットコインをはじめとした暗号資産(仮想通貨)にはある程度の匿名性はありつつも、その透明性は高いものです。ブロックチェーンには、個人情報が紐付くようなプライベートな情報は記録されていないものの、暗号資産の使い方や将来の技術によっては、プライベートな情報が把握されてしまう可能性があるということが理解できたのではないでしょうか。

暗号資産については、マネーロンダリング対策(AML)とテロ資金供与対策(CFT)を目的として「トラベル・ルール」が導入されています。トラベル・ルールとは、暗号資産交換業者における暗号資産の送付について、送受金者の個人情報を記録するというルールです。

日本においても2023年6月1日から改正犯収法が施行され、暗号資産交換業者が規制に準拠しています。

このように社会ルールの変更によっても、暗号資産の匿名性は影響を受けるといっても過言ではありません。

ブロックチェーンは未来永劫に存在する取引データですから、現在はプライベートな情報とは紐付いていないものであっても、技術の進化や社会のルール変更と共に将来的にはプライベートな情報を特定できる可能性があることも、留意すべきことでしょう。

ウォレットやアドレスなどについて詳しくお知りになりたい方は「ビットコインのウォレットとは?暗号資産(仮想通貨)の仕組みを通して理解する」をご参照ください。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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