ビットコインのドミナンスとは? 価格との関係を読み解く

ビットコイン
ドミナンス
2021-08-11 更新

ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、リップル(XRP)など、各暗号資産(仮想通貨)の時価総額が市場全体に占める割合である「ドミナンス(Dominance:市場占有率)」と呼ばれる指標があります。ドミナンスは、暗号資産への投資をする上で一つの判断基準として使われています。

この記事では主にビットコインにおけるドミナンスの意味や価格との関係、過去の推移について解説します。

ビットコインのドミナンスとは

暗号資産では、発行数量と市場価格の積である「時価総額」が算出されています。ビットコインであれば、2021年6月末現在で時価総額は70〜80兆円ほどで推移しています。

ドミナンスとは市場全体に占める、各暗号資産における時価総額のシェア(占有率)を意味します。単位は「%」です。

暗号資産の時価総額は、金(ゴールド)や株式など異なる資産クラスと比較されるのに用いられますが、ドミナンスは暗号資産市場の中で、どの暗号資産に人気や投資が集まっているかを示す指標になります。パーセンテージが高ければ、他の暗号資産に比べて投資が集まっていると判断できます。

例えば、暗号資産市場全体の時価総額が100兆円で、ビットコインの時価総額が50兆円であれば、ドミナンスは50%となります。

アルトコインに対しビットコインの価格が相対的に上昇すれば、市場全体におけるビットコインの時価総額の割合が大きくなるため、ビットコインのドミナンスも上昇します。

反対に、相対的にビットコインの価格が下がればドミナンスは低下し、ビットコインから資金が流出している、もしくはアルトコインに投資が集まっていると判断できる目安になります。

暗号資産のドミナンスでは、時価総額トップのビットコインが常に最も大きなシェアを維持しており、市場ではビットコインのドミナンスの上下が話題になります。どれかのアルトコイン単独でドミナンスが話題になることはあまりありません。

ただし、2020年からイーサリアムの価格が上昇していることから、いずれはイーサリアムがビットコインの時価総額を抜く「フリッペニング」が起こるのではないかとの指摘が出るようになっています。しかし、イーサリアムとビットコインの時価総額はまだ50兆円ほど離れているため、すぐに追い抜くということはないでしょう。

ドミナンスは買い時を見極める参考情報

暗号資産はビットコインやイーサリアムを含め、数多くあります。一つひとつの価格変動が大きいため、「ビットコインが上がっているけれど、イーサリアムやリップルも同様に上がっている」といったときに、どの暗号資産が買い時なのかの判断が必要になります。

ドミナンスはそうした際に、市場全体の中でビットコインが単独で上昇(または下落)しているのかどうかを見極め、買い時を判断するのに役立ちます。

さらにトレンド転換の参考にもなります。過去の傾向では、一定水準までビットコインのドミナンスが上がり、ピークを迎えると、アルトコインに投資資金が流れる傾向があるとされます。

そしてアルトコインのドミナンスが一定額まで上昇すると、次はビットコインに資金が戻る傾向があるために、トレードの判断基準の一つとされるのです。

暗号資産ではビットコインを使ってイーサリアムを買うなど、法定通貨以外での取引が可能です。このため、相対的に価格が上昇すると予想されるアルトコインを、ビットコインを使って購入したり、反対にイーサリアムなどのアルトコインを使って価格が低迷している時期のビットコインを購入したりすることができます。

このように、投資家はテクニカル指標などとともに、暗号資産市場全体の流れを読んでトレードをする参考材料としてドミナンスを活用しています。

それでは過去、実際にドミナンスはどのように推移してきたのでしょうか。まずは過去の値動きと価格との関係を見てみましょう。

ドミナンスの過去の推移

2017年以前の暗号資産市場はビットコインが圧倒的に人気を集め、ドミナンスは常に70〜80%を超える水準で推移していました。しかしその後、新しい暗号資産が開発されたり、ICOが流行したりしたことで2017年2月ごろからビットコインのドミナンスは低下。80%以上あった数値は50〜60%まで下落しました。

そして、ビットコイン価格が暴落した2018年1月に急激に低下し、過去最低の33%となりました。ドミナンスの数値から、アルトコインに比べてビットコインが単独で急落したことが分かります。

ドミナンスのサポートライン

2018年年初に急落したドミナンスは2019年にかけて回復し、現在は主に50〜70%の間で推移するようになりました。2021年5月ごろまでは、2017年のような急激なドミナンスの変化は起こらず、動きも比較的なだらかでした。これはICOのような過度な投機的な熱狂が落ち着いてきたことが要因といえるでしょう。

こうした動きから、最近のビットコインのドミナンスは50%付近と60%付近をサポートラインとしています。実際、2019年の4月にはビットコインが低迷した際に52%から反発し、それまで弱気相場だったトレンドが変化しました。

2020年9月に下落基調にあったドミナンスは、60%付近で反発し上昇基調に転じました。これはその後、2020年12月にビットコインの過去最高値を更新につながっています。

しかし、2021年5月〜6月にかけては、このサポートラインを割り込み、ビットコインのドミナンスが急落しました。

2021年は年初から、ビットコインが急騰し、アルトコインも連れ高となっていました。しかし、5月末に米大手電気自動車メーカーがビットコイン決済を中止すると発表したことや、中国のマイニング規制など不安材料が次々と重なり、ビットコインが大きく下落しました。一方で2020年から分散型金融(DeFi)やNFT(ノンファンジブル・トークン)に関連する複数のアルトコインが上昇した「アルト・シーズン」を迎えたことで、ビットコインのドミナンスは50%のサポートラインを割り込み、2018年以来の40%を記録しました。その後、ドミナンスは50%付近まで反発しています。

これまでの経緯からドミナンスの底は30〜40%にあるといえそうです。

アルト・シーズンとは

ドミナンスの流れを読む際に、よく話題に上るキーワードが「アルト・シーズン」または「アルトコインの季節」です。これは前述のように、アルトコインの価格パフォーマンスが相対的にビットコインを凌駕し、ビットコインのドミナンスが低下傾向にあるときに使われます。具体的に何%までドミナンスが変化したらアルト・シーズンと呼ぶかという明確な指標があるわけではありません。

ただ、過去の傾向から毎年第一四半期(1〜3月)に起こることが多いとされています。

アルト・シーズンは、ビットコインの価格上昇時に起こることもあります。暗号資産市場全体に資金が流れ込むときに、ビットコインよりもアルトコインの方が買い時だと投資家が判断することで、アルトコインに資金に流入するためです。

2020年7月〜8月にかけておきた「DeFi(分散型金融)の夏」と呼ばれたアルト・シーズンでは、イーサリアム基盤の分散型金融トークンに投資が集中し、ビットコインも価格は上昇傾向にあったにも関わらず、ビットコインのドミナンスが低下しました。

アルトコインが強気となる際には、主にイーサリアムが相場をけん引する状況となってきました。

ただし、こうした「アルト・シーズン」は急速にピークに達し、その後に冷却期間が続くことでも知られています。2020年7月〜8月のアルト・シーズンも同年9月にはビットコインのドミナンスは反発しています。

今後のドミナンスはどうなる?

ドミナンスを中・長期的な視野で見ると、2019年1月から、現在にかけては、ビットコインのドミナンスは「拡大」→「循環」→「拡大」→「循環」と言ったサイクルを繰り返しています。現在は「循環」期にあると言えるでしょう。

関連コラム:
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「拡大」期は、ビットコインのドミナンスが下落から上昇へ転換すると同時に、ビットコイン価格が上昇する時期のことです。

一方の「循環」期は、ビットコインのドミナンスが上昇から下落へ転換し、ビットコイン価格が上昇と下落を繰り返す事により、暗号資産市場内における資金循環が発生する調整期間です。

過去の傾向から、拡大期は期間の始まりから、終わりまでで価格が約3倍に上昇しています。2019年1月から2019年9月の「拡大」期には40万円から120万円に上昇。その後循環し、2020年10月に「拡大」期に再び入り、120万円から360万円まで上昇しました。

この流れを踏襲するとなれば、年末までに再び上昇することが予想されます。

ただし、ドミナンスだけが価格上昇の要因となるわけではないため、一つの参考情報として捉えて、そのほかの情報収拾も怠らないようにしましょう。

まとめ

ビットコインのドミナンスは暗号資産市場で、どの資産に投資が集まっているかを計る際の参考情報になります。

ビットコインのドミナンスが上昇している時はビットコインに資金が集まっており、反対に低下している時はアルトコインへの投資が人気を集めている時期と読み解くことができます。

ただし、ドミナンスだけで判断基準とはならないことに注意が必要です。実際にはテクニカル分析やファンダメンタルズなど様々な要因と合わせて投資判断をする必要があることは覚えておきましょう。

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