暗号資産のステーキングとは?PoSの仕組みと併せて解説

PoS
2021-08-11 更新

暗号資産(仮想通貨)のステーキングとは、対象となる暗号資産を保有し、ブロックチェーンP2Pネットワークに参加することで報酬を得ることができる仕組みです。ステーキングとは、ビットコインのマイニング(採掘)にあたるプロセスで、暗号資産を形成するブロックチェーン技術のコンセンサス(合意形成)アルゴリズムに関連しています。

ステーキングが可能な暗号資産には、主にプルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake:PoS)またはPoSに類似するコンセンサスアルゴリズムが採用されています。

近年は、イーサリアム(ETH)がバージョン1.xからイーサリアム2.0にアップデートされるタイミングで、コンセンサスアルゴリズムをプルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work:PoW)からPoSに変更するということで注目されるようにもなりました。

では、ステーキングとは具体的にはどのようなものか?ここでは、注目のコンセンサスアルゴリズムPoSの仕組みと併せて解説します。

暗号資産のステーキングとは?

暗号資産界隈では、ステーキングというワードをよく耳にするようになりました。ステーキングが可能な暗号資産が徐々に増えているということもありますが、その大きな理由の一つは、やはりイーサリアム2.0がコンセンサスアルゴリズムにPoSを採用することが明確になったからでしょう。

PoSを採用する暗号資産は、その暗号資産を保有しブロックチェーンのP2Pネットワークに参加することで、新たに発行された暗号資産を報酬として得ることができるステーキングに対応していることでも話題になっています。

ビットコインの誕生から始まった暗号資産は、現在、さまざまな暗号資産が発行されています。コンセンサスアルゴリズムは暗号資産の数だけありますが、そのベースとなっているものは、世界初の暗号資産かつ世界初のブロックチェーンであるビットコインに採用されているPoWです。PoSを始め、その他のコンセンサスアルゴリズムの多くは、PoWが抱えている課題を解決するために誕生したともいえます。

ビットコインのPoWは、計算機による膨大な計算量を要するマイニングという方法で、ブロックチェーンに新しいブロックを生成してつなげる承認作業が行える承認者(マイナー)を決定します。承認者に選ばれたマイナー(採掘者)は、承認作業を行うことで新たに発行されるビットコインを報酬として受け取ることができます。

この報酬の仕組みを利用し、ビットコインはマイニングをするマイナーを多数確保し、分散化された非中央集権型のエコシステムを形成しています。

しかしPoWには、マイニングで膨大な計算が必要なことから、大量の電力を消費するといった電力消費量の問題があります。マイニングに使われる電力量は小規模な国の電力消費量よりも多いともいわれています。また、マイナーを束ねるマイニングプールなど、計算処理能力を高めるさまざまな手法が誕生し、マイニングの中央集権化による企業支配の傾向が見られるようになり、ほぼ個人ではマイニングすることができない状況になってしまいました。

これらPoWの問題を解決するために誕生したのがPoSです。PoSでは、マイニングに代わってステーキングにより高度な計算をせずに承認者を決定できます。

イーサリアムもPoWを採用する暗号資産ですが、次期バージョンのイーサリアム2.0では、PoSを採用することが決定しています。

プルーフ・オブ・ステーク(PoS)とは?

PoSは、合意形成のルールにPoWのような膨大な計算をする工程がないことが大きな特徴です。

PoSでは、暗号資産の保有量や保有期間の長さによって新しいブロックを生成できる権限が与えられます。具体的には、 決められた保有量の暗号資産を、決められた期間ステーキング(預け入れ)することで、ネットワーク貢献者となり、その対価として報酬が得られるという仕組みです。暗号資産によっては、ステーキングではなく、ミンティング(鋳造)やフォージ(鋳造)と呼ぶこともありますが、いずれも仕組みは同じようなものになっています。

こうして、PoSでは、より保有量や保有期間が長いステーキング参加者の中から、合意形成ルールに則って承認作業を行うことができる承認者(バリデーター)を決定します。

PoSもまた、PoWと同様で承認者が報酬を得ることができます。その仕組みは、PoSの承認者は、株式会社における株主のような存在で、報酬は配当金に近いものと考えるとわかりやすいのではないでしょうか。ただし、PoSの承認によって得られる報酬はPoWのマイニング報酬と同様に雑所得になりますので、株式の配当金とは異なる点にご注意ください。

PoSでは、大量に電力を消費することがありません。そのため、マイニングコストも低く、手数料も安く抑えられるというメリットもあります。また、高度な計算を必要としないため承認までの時間も少なくて済みます。PoWと比べると、個人でもマイナー(バリデーター)になることができる可能性も高いのが特徴です。

参考コラム:
ビットコインマイニングに使われるプルーフ・オブ・ワーク(PoW)とは、意味や役割を解説

ステーキングの仕組み

なぜステーキングサービスは、対象となる暗号資産を保有し預けるだけで報酬を得ることができるのでしょうか?

PoSは、ステーキング報酬によってP2Pネットワーク参加者を多数確保し、PoSを採用するブロックチェーンネットワークを維持しているからです。それによって分散化された非中央集権型のエコシステムを形成しています。また、ステーキングによって対象となる暗号資産を保有する人が増えることは、暗号資産の長期保有者を増やすことにもなり、暗号資産自身の資産価値を高めることにもつながります。

PoSでは、他者の保有する暗号資産を預かり、代わりに運用するステーキングプールのような存在も誕生しています。それにより、一者がより承認者に選ばれやすくなり、有力なステーキングプールになればなるほど報酬を得やすく、他者に報酬を分配しやすくなるという手法です。

このようにステーキングは、暗号資産のエコシステムを維持することに適しているのです。

ステーキングに参加する方法

PoSにおけるステーキングは、自分でノード(ネットワークに参加するコンピューター)を立ち上げてブロックチェーンネットワークに参加することを意味します。

つまり、ステーキングに参加するには技術的な知識と対象となる暗号資産のステーキングのルールを熟知する必要があります。ルールを把握した上で、ステーキングに必要な量の暗号資産を保有し、預け入れることになります。

ノードとして参加することで、新たなブロックを生成できる権限を得て、承認作業を行うことができる承認者に選ばれることにより、晴れて報酬が得られます。

実は、ステーキングという言葉には、純粋にブロックチェーン上で暗号資産を保有(ロック、あるいは預け入れる状態)するPoSの仕組みに参加すること、またはその合意形成に自ら参加すること以外にも、もう一つ別の意味合いで使われることがあります。

それは、暗号資産を保有することで前述のステーキングプールに自動的に参加し、自動的に報酬の分配を受け取ることができるステーキングサービスがあり、ステーキングといった場合、そちらのサービスを指していっている人もいるので注意が必要です。

レンディングサービスとの違い

また、似たようなサービスでレンディングサービスというものがあります。レンディングは貸暗号資産ともいいますが、基本的には自身の保有する暗号資産を暗号資産交換所に一定期間貸し出し、利息を報酬として受け取るサービスです。レンディングは、銀行の仕組みに似ています。暗号資産を預かった暗号資産取引所は、それを第三者に貸し出すことで利益を生み出します。

レンディングとステーキングの違いは、第三者に貸し出すか、暗号資産のエコシステムの中で報酬を得るかの違いで、保有している暗号資産で利益を生み出すという意味においてはよく似たサービスといえるでしょう。

今後に注目のステーキングサービス

大きな電力を消費し環境への負荷が高いPoWに比べ、今後もPoSを採用する暗号資産が増えることが予想されます。イーサリアム2.0への注目度もますます高まっており、よりステーキングに参加しやすい環境が整うでしょう。

自らステーキングに参加するには、まだまだハードルは高いものですが、暗号資産を保有することで報酬が得られる可能性が高まれば、暗号資産のボラティリティ(価格変動率)に期待して投資・投機するよりも安定的に利益を得られる可能性が高くなります。また、それにより暗号資産の利用価値も高まります。ボラティリティを気にせずに投資ができる環境は、やがて暗号資産による決済ネットワークの本格的な実用につながることになるでしょう。

何よりも、大量の電力消費がなくなることは、暗号資産にとっても有益な環境といえるでしょう。

しかし、ステーキングにも問題はあります。

PoSは、コンセンサスアルゴリズムとしては一極集中しやすく中央集権化の恐れがあります。また、承認者に選出されなければ報酬が得られないため、報酬を安定的に取得することができません。また、ステーキングによる報酬は、ゼロからの所得ということで税金の計算も複雑化することも挙げられます。

まとめ

今回、PoSの仕組みを解説し、ステーキングの良い点を述べてきましたが、まだPoSを採用する暗号資産は少なく、それほど選択肢がないのが今後の課題ではないでしょうか。そういう意味では、人気の高い暗号資産であるイーサリアム2.0のPoSへの移行は、要注目のイベントとなりそうです。

ステーキングによってより報酬が得られ易くなるということは、暗号資産を保有したいという気運も高まり、さら暗号資産への注目も高まることにつながるでしょう。

PoSへの移行を進めているイーサリアム2.0について詳しくお知りになりたい方は「ついに始まったイーサリアム2.0とは 今後のスケジュールも解説」をご参照ください。

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