ビットコインのハッシュレートとは?チャートや価格との関係について解説
ビットコインのハッシュレートとは、ビットコインをマイニング(採掘)する際の採掘速度を指す言葉です。マイニング時に必要な演算速度を表します。ハッシュレートは、ビットコインに限らずコンセンサスアルゴリズムにPoW(Proof of Work、プルーフ・オブ・ワーク)を採用する暗号資産(仮想通貨)に共通する用語です。ハッシュレートは変動し、大幅な変動は暗号資産の市場価格にも影響するといわれています。
ここでは、ビットコインのハッシュレートについて詳しく解説します。
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ビットコインのハッシュレートとは?
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ハッシュレートとは、ビットコインをマイニングする際の1秒間に行う演算回数、採掘速度を示す数値を指します。その単位を「hash/s(H/s)」で表し、1秒間に1回の演算を行う場合を「1H/s」と表現します。
ビットコインは、新しいブロックを生成して取引データをブロックチェーンにつなぎこむために、ハッシュ関数という複雑な演算を解き、適切なハッシュ値を計算し求めるマイニングという作業を行う必要があります。
マイニングの過程では、新しいブロックに何件かの取引データの格納と同時に前のブロック末尾にあるハッシュ値と、ナンス(Nonce)と呼ばれる32ビットの任意のパラメータの3種類をハッシュ関数に入力し、新たな256桁のハッシュ値を算出します。
新たなハッシュ値は、冒頭の複数桁が決められた数のゼロが並ぶハッシュ値だけが、ブロックチェーンにブロックをつなぎこむのに適した値であるというルールになっており、マイニング作業に取り組むマイナー(miner)たちは、この適したハッシュ値を算出するために計算作業を行います。その計算作業は、冒頭に決められた数のゼロが並ぶハッシュ値が得られるまでナンスを変更し、総当たりで計算を繰り返します。
マイナーはナンスを変更し、そのたびにハッシュ値を計算するという試行錯誤を繰り返しながら、適切なハッシュ値となるナンスの発見に努めます。ここでいち早く適切なハッシュ値となるナンスの算出に成功したマイナーだけがブロックチェーンに新しいブロックをつなぎこむ権利が得られ、成功者はマイニング報酬として新たな暗号資産(仮想通貨)が付与されます。ビットコインのこの仕組みをPoWといい、マイニング時に繰り返し計算が行われる1秒間の演算回数をハッシュレートといいます。
ハッシュレートの単位
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ビットコインのハッシュレートは、2020年以降は常に100EH/sを超えています。E(エクサ)は、K(キロ)、M(メガ)、G(ギガ)、T(テラ)、P(ペタ)と続く単位の1つ上の単位で、1EH/sは1秒間に100京回の演算ができる能力を示し、100EH/sは1万京回になります。2021年に入ってからのビットコインは、150EH/sをしばしば超えることもあります。
単位 | 演算速度 |
---|---|
KH/s(キロハッシュ) | 1秒間に1000回 |
MH/s(メガハッシュ) | 1秒間に100万回 |
GH/s(ギガハッシュ) | 1秒間に10億回 |
TH/s(テラハッシュ) | 1秒間に1兆回 |
PH/s(ペタハッシュ) | 1秒間に1000兆回 |
EH/s(エクサハッシュ) | 1秒間に100京回 |
また、ハッシュレートの表記は、マイニングマシンやコンピューターの演算処理能力を表す場合にも使用されます。
ハッシュレートとディフィカルティー(採掘難易度)
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ビットコインのブロックチェーンは、マイニングによって約10分に1回ブロックが生成されるようになっていますが、マイナーのマイニングマシンの性能向上やマイナーの数が増えることで、そのハッシュレートは上昇し続けるため、予定よりも早く計算が終了してしまい、ブロックが生成される時間も10分よりも短くなってしまいます。
そこでビットコインには、マイニングの採掘難易度(ディフィカルティー)を自動的に調整する仕組みがあります。その仕組みは2016ブロックに1回(2週間程度に1回)の頻度でハッシュレートを確認し、ハッシュレートが上昇している場合はマイニングのディフィカルティーディフィカルティーを上げ、逆に下降している場合はマイニングのディフィカルティーを下げて、ブロック生成時間が約10分に1回になるように難易度を調整します。ディフィカルティーは、前述の適したハッシュ値の冒頭複数桁の決められたゼロの桁数を増減させることで難易度を調整することができます。ちなみにゼロの桁が多いほど、その難易度は上がります。
ハッシュレートとビットコイン価格の関係性
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ハッシュレートとビットコインの価格の関係性においては、ハッシュレートが上昇することでビットコインの価格も上昇する傾向にあるとの指摘があります。実際に、2017年ごろまではハッシュレートの上昇と価格の上昇が相関関係にありました。
そのように指摘される理由は、ハッシュレートの上昇はマイニングに参加するマイナーの数が増えていることを意味すると捉えられるためです。マイニングには、高性能なマイニングマシンやコンピューターが多数必要なうえに、大量の電力を消費します。またマシンを設置する場所の確保も必要なことから、その必要経費は多額になります。マイニング報酬として受け取ることができるビットコインの価格と必要経費との兼ね合いから、ビットコインの価格が上昇しない限りは、利益が出なくなってしまいます。マイナーは、ビットコインの価格が上昇すると予測し、必要経費よりも利益が生じると判断できる場合に限りマイニングに参加すると決断をします。それが、ハッシュレートの上昇につながり、結果、ビットコインの価格上昇に連動します。逆に、ビットコインの価格が下がってしまい必要経費のほうが大きくなってしまった場合は、参加していたマイナーはマイニングをやめてしまうため、おのずとハッシュレートも下がります。
一方で、ビットコインのハッシュレートは長期的には常に右肩上がりで上昇方向に推移していますが、2018年以降はハッシュレートが上昇傾向にあるにも関わらず、ビットコイン価格が下落することが起こっています。
2018年12月中旬にはハッシュレートは上昇傾向となりながらも、ビットコインの価格は下落したまま低迷。その後もハッシュレートは、理由は定かではありませんが上昇を続けています。2019年からハッシュレートが軒並み過去最高値を更新するようになりましたが、ビットコイン価格は比例して上昇するという関係性は捉えづらくなりました。
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前述したように、ハッシュレートの上昇はマイナー数の上昇と見ることができるため、価格との関係においては中期的な需給バランスを図る一つの指標としてみるのがいいでしょう。
まとめ
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2021年になってからはビットコインの価格が過去最高値を更新するようになり、またそれに合わせてハッシュレートも150EH/sを超えることがしばしばあります。ハッシュレートの上昇はより多くのマイナーがビットコインのマイニングに参加していることを意味し、マイニングのディフィカルティーも正常に調整されています。ハッシュレートの変動は、ビットコイン価格の中長期的な予測ができる判断材料のひとつといえるでしょう。
ハッシュレートの上昇は、マイナーの数が増えるということでビットコインネットワークのセキュリティ向上にもつながりますが、上昇しすぎるとマイニングの際の消費電力量が大幅に上昇することになり、マイナーの収益性が低下することにもつながります。また同時に、個人マイナーや小規模なマイニング事業者が参加しにくくなることにつながり、結果、有力マイニングプールが有利になり、中央集権的な状況を生み出す恐れにもつながります。ビットコインのハッシュレートを観察することは、価格変動のみならず、ビットコインネットワークの信頼性の判断にもつながりますので、注視していきたい要素です。
ハッシュレートとともに、マイニングについてもお知りになりたい方は「ビットコインのマイニング(採掘)とは? 個人でのやり方や仕組みを解説」をご参照ください。
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