コンセンサスアルゴリズムとは?ブロックチェーンで使われる代表的な種類を解説

コンセンサスアルゴリズム
2024-08-31 更新

コンセンサスアルゴリズム(コンセンサスメカニズム、コンセンサスプロトコル)とは、暗号資産(仮想通貨)の基盤技術となるブロックチェーンブロックを追加する際のルールとなるコンセンサス(合意)形成を行うアルゴリズム(方法)のことを指します。

ここでは、代表的なコンセンサスアルゴリズムの種類や仕組みについて詳しく解説します。

ブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムとは?

ビットコインを始めとする多くの暗号資産は、ブロックチェーン技術を活用した分散型・非中央集権型のP2P(ピアツーピア)ネットワークにより取引を行います。暗号資産には、ブロックチェーン上の取引情報を管理する特定の中央管理者は存在せず、取引(暗号資産の送付)については、その取引が正しいかどうかを多数のネットワーク参加者(ノード)同士が検証して合意を行い、生成したブロックをブロックチェーンに連結する仕組みを採用しています。この仕組みをコンセンサスアルゴリズムといいます。

コンセンサスアルゴリズムはトランザクションがネットワークにブロードキャストされるところから始まり、ブロックが生成・検証されブロックチェーンに追加されるまでの一連の手順を包含しています。

また、ネットワーク全体の安全性を維持するための「シビル耐性メカニズム」がこのアルゴリズムの重要な役割を担っており、各ノードが不正行為者を特定し排除できる仕組みを提供します。このようにして、信頼できる合意形成が達成されるのです。

PoWの仕組みとセキュリティ

ビットコインでは、ユーザーが取引を行ってからその処理を行い、ブロックとしてチェーンに連結するために通称「ナカモトコンセンサス」という一連の仕組みを総称したコンセンサスアルゴリズムが用いられています。このプロセスで核心をなすのがPoW(プルーフ・オブ・ワーク)です。

PoWを用いるブロックチェーンネットワークでは、取引を承認するためには膨大な計算によって合意形成を行います。計算に成功すると、取引データがブロックチェーンに追加されますが、この計算を最初に成功した人には、成功報酬として新たに発行された暗号資産が与えられます。このプロセスはマイニングと呼ばれます。

わざわざ複雑な計算をしないと承認できない仕組みにすることで、PoWは不正を働くものを排除することに成功しています。仮にブロックチェーン内の取引データを改ざんしたいマイナーがいたとして、計算能力が他のマイナーよりも優れているコンピュータで計算し取引情報を改ざんしようとしても、約10分という短時間でブロックチェーン全体の半分以上を書き換えなければなりません。また、ブロックチェーンの各ブロックには次のブロックにも直前のブロックのデータの情報が組み込まれていることから、一つのブロックを改ざんしたければ、その後ないしそれ以前のデータについても改ざんしなければなりません。

加えて、ネットワークに参加するマイナーはブロックチェーンの同一のコピーを持っており、互いにデータの正確さを確認できるため、改ざんされたデータはすぐに見抜かれます。もしノードが故障しても、他の正常なノードがデータを保持しており、ネットワークの安定稼働を継続させることができます。

このようにPoWは、マイニングを通じて正当に報酬を獲得することが不正を働くよりも経済的に合理的である環境を提供し、ビザンチン将軍問題のような信頼性の課題を克服しています。

PoWの課題

ビットコインのPoWは、約10分に1回の間隔でブロックが承認されるように自動で調整されています。そのため取引を処理する件数に限界があるため、送付遅延などの「スケーラビリティ問題」が起こります。現在のビットコインでは1秒間に5~10件程度の処理件数といわれています。この件数は、標準的なクレジットカードの1700件の処理件数と比べるとかなり少なく、長らくビットコインの課題とされています。

さらにPoWは、マイニングにて膨大な計算が必要なことから、大量の電力を消費するといった電力消費量の問題があります。大量の電力を消費するということは二酸化炭素の排出にもつながり、環境負荷も懸念されています。

また、PoWは「51%攻撃」という問題も抱えています。PoWは、ネットワークに参加するすべての計算力の半数以上、すなわち51%の計算力を持つことでネットワークを乗っ取ることができてしまいます。ビットコインのように大勢のユーザー(ノード)が参加するネットワークでは過半数の計算力を持つことは事実上難しいとされていますが、PoWを採用する参加者の少ない暗号資産では、悪意あるユーザーが51%以上の計算力を持つことで、過去のブロックを書き換えて、別のブロックチェーンを作ることが可能になってしまうというリスクが常にあります。

PoSの仕組みとセキュリティ

プルーフ・オブ・ステーク(PoS)は、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)に代わるものとして注目され、新たな主流のコンセンサスアルゴリズムのコンポーネントとして広く採用されつつあります。

PoWでは、マイナーのGPUやASICによる計算力で競い、ブロックを生成する方式ですが、PoSでは、そのブロックチェーンのネイティブトークン(例えばイーサリアムブロックチェーンであればETH)を保有する量によってブロック生成権を競い合います。

PoSの特徴は複数ありますが、ブロックの生成過程においてPoWと同様のセキュリティレベルを達成しつつも消費電力を99%以上抑えることに成功しています。これにより、維持コストが大幅に抑えられ、より多くのノードが参加しやすくなります。

また、 PoSでは計算能力競争がなくなるため、ネットワークの処理速度を向上させることが比較的容易になり、これによって全体のトランザクション処理量を増やすことができます。

PoS方式のコンセンサスアルゴリズムは非常に柔軟性が高く、様々なブロックチェーンで取り入れられています。

イーサリアムのGasper

イーサリアムは、かつてPoWベースのコンセンサスアルゴリズムを使用していましたが、現在はPoSベースのコンセンサスアルゴリズム「Gasper」を採用しています。

Gasperは「Casper-FFG proof-of-stake」と「LMD GHOST fork-choice rule」アルゴリズムの組み合わせで構成され、イーサリアムの安全性を支えています。Casper-FFGは一定のブロックを「ファイナリティ」とすることで、ノードが正しいチェーンを同期していることを保証します。LMD-GHOSTは、分岐が発生した際にノードが適切なチェーンを選択できるように支援します。

Gasperでは、3分の2以上のステークされたETHがブロックを正規チェーンとして承認することでファイナリティ状態になります。ファイナリティとなったブロックは原則変更不可能となっており、ビットコインブロックチェーンと比較して安定した取引が可能になります。

他にも「スラッシング」や「インアクティビティリーク」というメカニズムを提供しており、チェーンの持続性が保証されています。

カルダノ(ADA)のOuroboros

カルダノのコンセンサスアルゴリズム「Ouroboros」は、PoS方式に基づいた世界初の安全なプロトコルで、数学的に検証されたメカニズムを使用して、ブロックチェーンのセキュリティと持続可能性を保証しています。

また、カルダノに備わっている「ハードフォークコンビネーター」という技術により、システムの中断や再起動なしでコンセンサスアルゴリズムの変更ができることも特徴です。

黎明期の「Ouroboros Classic」以降は、「Ouroboros BFT」、「Ouroboros Praos」という順でアップグレードされており、最新の「Ouroboros Genesis」を控えています。

カルダノは独自性ある様々なOuroborosのバージョンにより、高度に安全で持続可能なブロックチェーンとなっていますが、この技術はPoSという仕組みによって成り立っているといえます。

まとめ

ビットコインやイーサリアムを始めとしたブロックチェーンは、PoWやPoSといった仕組みによってセキュリティを確保しています。また、かつてはPoW方式のコンセンサスアルゴリズムが主流でしたが、環境問題や拡張性から、現在はPoS方式のコンセンサスアルゴリズムが主流となっています。

とはいえ、これらの仕組みは長所もあれば、改善によってまた新たな課題が発生してしまうなど短所もあります。すべてにいえるのは、完璧なコンセンサスアルゴリズムは存在しないということです。

暗号資産がより信頼性の高いものになり、安心安全に利用できるものになるためには、コンセンサスアルゴリズムの発展は必要不可欠な要素です。今後も、コンセンサスアルゴリズムの発展に注視していきましょう。

コンセンサスアルゴリズムのPoWについてより詳しくお知りになりたい方は「マイニングに使われるプルーフ・オブ・ワーク(PoW)とは?意味や役割を解説」をご参照ください。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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