オシレーターとは?暗号資産(仮想通貨)のチャート分析で必須の知識
暗号資産(仮想通貨)の価格を予想するには、テクニカル分析(チャート分析とも言います)を用いる方法があります。テクニカル分析には価格の方向感を定めるために使う「トレンド系」や売買のタイミングや相場の勢いを測る「オシレーター系」という指標があります。
この記事ではオシレーターについて解説します。
オシレーターとは「振り子」という意味で、その名の通り、「買われすぎ」や「売られすぎ」といった振り幅から相場の変化の大きさを測ります。
ボラティリティの大きいビットコインなど暗号資産では、過熱感を見極めるのによく使われる定番の指標です。しかし、定番といっても注意すべき点があります。実際に見ていきましょう。
売買のタイミングを図る!オシレーターとは
オシレーターとは、価格がどれくらい基準値から離れたら反転するのか、またはすでに反転したのかどうかを調べるために考案されました。「現在のビットコインは上昇が続いているけれど、このまま上昇するのか。それとも下落するのか」といったある基準から乖離している度合いに関する、投資家のセンチメント(心理状態)を表したものです。主に短期売買の指標として使われます。
オシレーター指標は複数ありますが、ビットコインの価格分析で使われる代表的なものに「MACD」、「ストキャスティクス」、「ストキャスティクスRSI」、「モメンタム」があります。
一般的にオシレーター指標では基準値から70〜80 %を上回れば買われ過ぎ、20〜30 %を下回れば売られ過ぎと判断します。具体的にそれぞれについて見てみましょう。
トレンドの方向を示す「MACD」とは
MACDは、トレンドの方向感を示す指標です。「Moving Average Convergence/Divergence」の略称で「移動平均収束乖離(移動平均収束発散とも呼ばれます)」という名称を略してMACD(マックディー)と呼びます。
MACDの特徴は、トレンドの発端を知ることにあります。また、MACDとMACDシグナルという2本の線が交差することで売買のタイミングがわかるというシンプルな形のため、トレード初心者にも使いやすい指標と言えるでしょう。
MACDは短期の移動平均線から中長期の移動平均線を引いた、次のような式で計算します。
MACD = 12日指数平滑移動平均線 ― 26日指数平滑移動平均線
MACDには短期の価格変動が示され、MACDがプラスの時には短期的に上昇トレンドであり、マイナスの時には下落トレンドとなります。
トレンドの方向感を示すMACDにはその平均である「シグナル(MACDの9日移動平均線)」と、MACDからシグナルを引いた「ヒストグラム」という指数が利用されます。シグナルはトレンドの平均的な方向と強さを示すもので、ヒストグラムは足元のトレンドがトレンドの平均値よりも強いか弱いかを示します。
DMM Bitcoinの取引システムのチャート分析でMACDが設定できます。
MACDがプラスの時にヒストグラムがプラスなら上昇ペースが加速。ヒストグラムがマイナスなら上昇ペースが減速していることを示しています。
一方で、MACDがマイナスの時にヒストグラムがマイナスなら下落ペースが加速。プラスなら下落ペースが減速していることを表しています。
MACDの重要なポイントとして、上昇相場のタイミングを図る「ゴールデンクロス」が他の指標よりも早く出ることが挙げられます。相場の動きが事前にわかり、底値が事前に把握できることが大きな利点です。
トレンド転換を把握するにはダイバージェンス(逆行)現象というのにも注目です。ダイバージェンス現象とは、価格が底値を打っているにも関わらず、MACDが上昇していることなど、指標が実際の相場とは逆方向に動くことを言います。主にトレンド転換の可能性を検討するために使われます。ただし、トレンド転換が必ず起こるとは限らないことは注意が必要です。
変動激しい暗号資産に最適!ストキャスティクスとは
ストキャスティクスは変動が大きなチャートに有効で、ビットコインなど暗号資産にもよく使われるオシレーター手法です。過去の高値や安値に対して、当日の終値がどれだけ「買われ過ぎ」か「売られ過ぎ」なのかを0から100%の指数で示します。
過去の高値に接近すれば買われ過ぎで、相場の天井が近いことを考えられます。反対に安値に近づけば売られ過ぎで。底値が近いと予想できます。80%以上になれば買われ過ぎ、20%以下になれば売られ過ぎを示しています。
主に次の三つの指標を使います。
- %K:短期線
- %D:中期線
- Slow%D:長期線
%Kは下記の式で表されます。
(直近の終値 − 過去n日間の最安値) / (過去n日間の最高値 − 過去n日間の最安値)×100
nには5、9、14が入ることが多くあります。%Kは短期的な動きを示しており、大きなトレンドが把握することが難しいため、%Kのm日単純移動平均をとった% Dが使われます。多く使われるのが直近3日間の平均をとったものです。Slow%Dはさらに%Kのm日単純移動平均です。こちらも直近3日間平均がよく使われます。
ストキャスティクスには、%Kと%Dの2本のラインを使った「ファーストストキャスティクス」と Slow%Kと%Dの組み合わせである「スローストキャスティクス」が用いられます。
ファーストストキャスティクスは短期売買に使われます。しかし、ダマシが多いことに注意が必要です。こうしたことから、中長期売買にはスローストキャスティクスが使われる傾向にあります。スローストキャスティクスはよりなめらかなラインで相場の過熱感が把握できます。滑らかになることで現在価格に対する反応はやや分かりにくくなるものの、ダマシが少なくなります。
スローストキャスティクスはDMM Bitcoinの取引システムで設定できます。
スローストキャスティクスでは、%DとSlow%Dが80〜100%の買われ過ぎエリアと0〜20%の売られ過ぎエリアでどのような動きをするかで、買いサインと売りサインを見極めます。
通常、買われ過ぎエリアで%DがSlow%Dを上から下に抜ける時が強い売りサイン(上図のデッドクロス)と判断します。また、売られ過ぎエリアで%DがSlow%Dを下から上に抜ける時が強い買いサイン(上図のゴールデンクロス)と見ます。
ビットコインでのトレンド把握に ストキャスティクスRSI
ストキャスティクスRSIはRSI(相対力指数)を元にストキャスティクスを計算したものです。
RSIとは一定期間の上昇の勢いが強いのか、下落の勢いが強いのか調べる指標です。ある期間で上昇した日が多ければ値は100%に近づき、下落した日が多ければ0%に近づきます。80%を上回れば買われ過ぎ、20%を下回れば売られ過ぎと判断します。RSIはDMM Bitcoinの取引システムで確認できます。
RSIは世界中で使われる定番のオシレーター指標です。しかし、ビットコインなど大きなボラティリティを持ち、非常に強いトレンドが出たりすると、上方や下方の水準値で固まってしまい、トレンドが分かりにくくなってしまう場合があります。そこでその欠点を是正したストキャスティクスRSIが使われます。RSIのサインがより明確になるなどの利点があります。
計算式はまずRSIを求めたあと、次のように計算します。
(直近のRSI ― n日間のRSI最低値) / (n日間のRSI最高値 ― n日間のRSI最低値)
m、nは任意の数字です。
チャートの見方はストキャスティクスと同様です。20%以下を売られすぎ、80%以上を買われ過ぎとみなします。
相場状況把握が可能なモメンタム
モメンタムは当日の終値からn日前の終値を引いた、非常にシンプルな手法です。通常は10日、20日、25日などが使われます。
シンプルなだけに現在が上昇基調にあるのか、下落基調にあるのかが分かりやすい指標です。売買のタイミングを計るというよりも、現在の相場の状況を測るために用いられます。
例えば相場が上昇基調であるのにモメンタムが横ばいになっているということは上昇の勢いが弱まっていると捉えられます。反対に、相場が下落基調にあるにも関わらずモメンタムが横ばいになっている場合は下落基調が弱まり、相場が転換する前兆と考えられます。
モメンタムが0より上に抜ければ、買いサインと判断します。反対に0より下に抜ければ売りサインとみることができます。ただし、0より上や下に抜けるというのは頻繁に起こります。そのためダマシが多いために買いサインや売りサインを単独では判断しません。
モメンタムは他のオシレーター指標と同様にDMM Bitcoinの取引システムで設定できます。
また、モメンタムは他のオシレーター指標のように0〜100%という上限や下限がありません。そのため、0より上にある場合にそれだけ買われ過ぎなのか、売られ過ぎなのかの判断ができないことが欠点と言えるでしょう。
ビットコインチャートでのオシレーター指標の欠点
オシレーターはビットコイン価格が買われ過ぎなのか、売られ過ぎなのかの指標がシンプルなため、使いやすいという利点がある一方で「ダマシ」が多いという欠点があります。
さらに、発表以来、長期の上昇相場であるビットコインでは、通常の株価よりも大幅に強いトレンドが出る時がありますが、そうした時には指標が100%近くで動きにくくなることで、トレンドが読みづらくなるなど、あまり有効ではありません。ダマシがあることや強すぎるトレンドに向かないという欠点から、単独では使わずに一目均衡表やボリンジャーバンド、移動平均線といったトレンド系のなど別の指標と組み合わせて使うことが重要です。
ビットコインの相場を見る際に重要なのは、大局がわかっていることです。大きな流れを見た上で、オシレーターで小さなトレンドを見るということを心がける必要があります。
まとめ
オシレーターは「買われ過ぎ」、「売られ過ぎ」といった相場の変化の大きさを測る手法です。売買のタイミングを判断するのに使いやすいことから、多くのトレーダーがテクニカル分析の一つとして取り入れています。
しかし、ダマシが多いため、一つひとつの見方をしっかり学んだからといって、単独で使うことは避けたほうがいいでしょう。
トレード手法を複合的に学び、自身の投資戦略に組み入れるのが良さそうです。
DMM Bitcoinの「マーケットレポート」では、ここで解説したようなテクニカル分析やファンダメンタルズ分析を用いて実際に分析をしていますので、お取引の参考として活用していただければ幸いです。
※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。
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