ついに始まったシンボル(Symbol)、これまでのネム(XEM)との違いは?

ネム
シンボル
違い
2021-09-01 更新

ネム(NEM)は2021年3月、アップデート版である「シンボル(Symbol)」を誕生させました。セキュリティの高さや処理速度が向上し、多くのプロジェクトに利用されることが期待されています。この記事では、これまでのネムとどのように異なるのかについて解説します。

アップデートしたシンボルとは

ネムのアップデート版であるシンボルは以前、カタパルトと呼ばれていましたが、2019年12月から2020年1月にかけて行われたユーザー投票で「シンボル」の名称が決定されました。

2021年3月のシンボルのローンチによって新しくジム(XYM)という暗号資産が生まれました。(既存のネム(ゼム/XEM)も稼働を続けています)

ネムは過去に日本の暗号資産交換業者の一つがハッキングを受け、大量のXEMが盗まれたというネガティブな事件もありましたが、依然多くのファンがいることで知られています。シンボルは、ネムの機能を引き継いでいますが、ネムとは異なるブロックチェーンを持ちます。

ネムはこれまで主に開発者向けに作られていましたが、シンボルは企業や公的機関向けのブロックチェーンでも活用されるように開発されました。そのため、ネムのブロックチェーンはパブリックブロックチェーンでしたが、シンボルではパブリックブロックチェーンとプライベートブロックチェーンのハイブリッド型となりました。(ハイブリッド・ブロックチェーンについては後述します)

シンボルのローンチに際して、XEM保有者には同数のXYMを受け取る意思表示である「オプトイン」が行われています。受取期間は6年間とされており、申請が行われなかった分のXYMは受け取れません。オプトインは自分で行う場合と、交換業者に対応してもらう方法があります。

スナップショットとはオプトインの対象となるXEMの数量を記録することを指します。ネムをレバレッジ取引で扱っているDMM Bitcoinでは、スナップショットに対応し、お客様が保有されているXEMのポジション数量を記録保管しています。(「ネム(XEM)大型アップデートに伴うスナップショット完了のお知らせ」参照)

DMM Bitcoinで、シンボルをレバレッジ取引の取扱銘柄として採用する時期は現在未定ですが、取り扱い開始時には最短で3週間の猶予期間をもってご案内します。

ネムとシンボル、何が違う?

ネムからアップデートしたシンボルの最大の注目点は、処理速度の向上とセキュリティ強化です。シンボルでは30秒間に最大で6000件のトランザクションが処理できるようになりました。

処理速度が速いことは、送付遅延や手数料高騰などのスケーラビリティ問題が起こりにくくなるため、決済手段などに使いやすいことが期待できます。

その他にもネムから引き継いだ機能、ネムとは異なる機能について解説します。

ネムから引き継ぐ機能

モザイクとネームスペース

モザイクとは、ブロックチェーン上でトークンを発行・流通させる機能のことです。モザイクでは暗号資産だけでなく、投票権やポイント、会員証などあらゆるものをトークンとして発行・流通できます。

ネムでは、モザイクを使ってトークンを発行する場合には「ネームスペース」というドメインをレンタルする必要がありました。シンボルではこのネームスペースをレンタルせずにモザイクが使えるようになりました。

また、ネムではネームスペースとモザイクのレンタル期限が1年と決められていました。

シンボルでは、ネームスペースは365日以内でレンタル期限を自由に設定できるようになり、有効期限のないモザイクを作ることが可能になりました。

ネム シンボル
ネームスペース モザイクを使うためにレンタル レンタルなしでモザイク使用可能
レンタル期間 1年 365日以内であれば自由に設定

アポスティーユ

ブロックチェーンを使った公証のことです。文書の改ざんを抑止したり、権利の譲渡をブロックチェーン上で安全に行ったりできる機能です。ネムではアポスティーユを作成すると管理しなければいけない秘密鍵が増え、利用者の負担が大きいことが問題でした。シンボルではこの鍵の取り扱いの利便性を向上させました。

ネムから改善・追加された機能

ハイブリッド・ブロックチェーン

パブリックブロックチェーンとプライベートブロックチェーン両方の機能が搭載されたハイブリッド型となったことがシンボルの大きな特徴の一つです。

ビットコインに代表されるようなパブリックブロックチェーンは、世界の誰でも自由に参加が可能なブロックチェーンで、取引はすべて公開されています。分散型ネットワークとしてオープンなシステムが構築できます。セキュリティが強い反面、スピードが遅いといった欠点がありました。

一方で管理者を設定するプライベートブロックチェーンでは、プライバシーや情報のコントロールが可能なほか、ある程度閉じられた環境が構築できるためスピードも速いことが特徴です。しかし、セキュリティの面でパブリックブロックチェーンよりも劣っていました。

パブリックチェーンとプライベートチェーンを繋ぐには特別なシステムを構築する必要があり、費用や時間がかかるほか、バグも起きやすい状況でした。

ハイブリッド・ブロックチェーンでは、こうした特別なシステムを構築する必要なく、簡単に両者を組み合わせることが可能になりました。そのため、高いセキュリティを保ちつつ、スピードも維持するということが可能です。

例えば、会社内の取引にはプライベートチェーンを使い、顧客と製品情報を交換する際にはパブリックチェーンを使ってやりとりをするなど使い分けることができます。

マルチレベルマルチシグ

マルチシグとは、セキュリティ技術の一つで、複数の秘密鍵署名されなければ暗号資産の送付や取引の承認ができないという方法です。ネムの大きな特徴として、このマルチシグがもともと用意されていたことが挙げられます。マルチシグの採用によって高いセキュリティ技術を実現していました。

シンボルにアップデートしたことで、このマルチシグが「マルチレベルマルチシグ」となり、セキュリティがさらに強化されました。

ネムではマルチシグは「1階層」でしか行えず、一つのマルチシグアドレスは別のマルチシグアドレスに参加ができませんでした。しかし、シンボルでは複数のマルチシグアドレスに参加を可能にしました。これによって最大で3階層のマルチシグを設定できるようになりました。

これによって、複数段階の承認や証明が必要なプロジェクトでの応用が期待できます。例えば、サプライチェーンの追跡に利用することが考えられます。

1階層目で担当者のチェックやデジタル上の確認事項をマルチシグで署名し、2層目でその署名と工場検査の署名、3層目でさらにその署名と配送業者の署名といった具合に、複数のレベルの署名が完了するまでは適正な認証が得られないなどのルールを作ることができます。

これによって、複雑な開発に対応が可能になることや、階層化されることでセキュリティが向上するとされています。

アグリゲートトランザクション

複数の取引の処理を第三者なしでひとまとめに処理できる機能です。例えばお店で商品を購入する場合に利用されることが想定されます。

暗号資産を介した取引では、

  • お客さんからお店に暗号資産を送付する。
  • お店は暗号資産の送付を確認し、お釣りを送るプログラムを作る必要がある

などの作業が別々に発生します。アグリゲートトランザクションではこれらの取引や作業を同時に実行することが可能になります。これが可能になることで、暗号資産を支払ったのに、商品が受け取れない、もしくはお店側は商品を送ったのに暗号資産を受け取れないといったトラブルを防ぐことにつながります。

PoS+

シンボルではコンセンサスアルゴリズムがプルーフ・オブ・インポータンス(Proof of Importance、「PoI」と略されます)からプルーフ・オブ・ステーク・プラス(Proof of Stake +、「PoS+」と略されます)に変更されました。参加者の活動に基づいた報酬体系とすることで、ネットワークの健全性を促進します。

PoSは暗号資産の保有量に応じて、ブロックの承認がしやすくなる仕組みです。PoS+はPoSをベースにモザイクの合計量(Stake)や、アカウントによって支払われた手数料の合計(Transactions)、アカウントがノードによってハーベスト(取引を承認して報酬を得るシンボルの仕組み)された手数料の受け取り人であった回数(Nodes)によってスコアを計算し、ハーベストできる確率を決定します。

クロスチェーンスワップ

クロスチェーンスワップは、第三者を介することなく、異なるブロックチェーン間でのトークンの交換を行うものです。

通常、異なる暗号資産を交換したい場合は交換業者を介す必要があります。しかしシンボルでは、ハイブリッド・ブロックチェーンを採用していることで、シンボルで構築したパブリックチェーンとプライベートチェーンの間の取引が可能になるほか、ビットコインといった他の暗号資産ともやりとりができます。

また、シンボルはモザイク機能によって、トークンを発行・流通できます。モザイクとクロスチェーンスワップを使うことで、異なる経済規模でのやりとりが可能になり、暗号資産プロジェクトの拡張性向上につながると期待されています。

モザイク制限

独自トークンを発行できるモザイクの安全性を保持するための機能です。モザイクは基本設定では誰とでも送受信ができます。これを任意で設定したアカウントからのトランザクションを制限する機能が加わりました。

取引において、モザイクの発行者が指定したモザイクのみを受け入れるなどの制限を、設定することができます。デジタル証券など事業用でモザイクを使われる場合に、利用者を制限することが想定されています。

なぜシンボルを使う必要があるのか

これまでに説明してきたシンボルの機能というのは、実は多くが他のブロックチェーンでも実装することは不可能ではありません。しかし、そもそも開発の手間が掛かったり、一度開発してしまうと変更が難しかったりすることが挙げられます。

シンボルでは、これまで紹介してきた機能が事前に用意されていることや、開発後にも変更が簡単なことが利点として挙げられます。こうした利点から開発コストがかからず、安全に実装することができます。

そのため、まずはプロトタイプを作りながら、検証を進めていくようなプロジェクトや、素早くサービスを作るといった小規模なプロジェクトに特に必要とされていくでしょう。

シンボルの今後は?実利用がすでに進んでいる

シンボルを利用したアプリ開発は正式なアップデート前から進められています。

例えば廃棄物のトレーサビリティ(追跡)などです。具体的な詳細は明らかになっていませんが、現在スペインで進められているプロジェクトで、来年の3月にシンボル初のアプリケーションとしてリリースされる予定です。

その他には2022年に中東のカタールで開かれるFIFAワールドカップで現地のホテル建設での利用も発表されています。建造物をデジタルの3次元で設計するBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)と呼ばれるツールにシンボルが利用されます。

プロジェクトの中で、BIMの課題である工事の透明性と監査の観点からブロックチェーンで正確性を担保することが行われています。そして、シンボルはスピードとセキュリティの面で優れているとして、採用されました。

このように、今後多くのプロジェクトに使われていくことで、シンボルで発行されるXYMの資産としての価値が高まる可能性も考えられます。

まとめ

ネムのアップデートで誕生したシンボルは処理性能の向上やセキュリティの強化によって、多くのプロジェクトに活用されることが期待されます。

マルチレベルマルチシグやアグリゲートトランザクションといった新たな機能によって、建設業や飲食のトレーサビリティなど金融以外での用途に広がりを見せています。

他のブロックチェーンと比較して、より豊富な機能が用意されていることで、小規模開発に使いやすいことも利点でしょう。実際での利活用の場面が広がれば、価格への影響も出てくることが予想されます。

今後の動きに注目です。

アップデート前のネムに関する情報については「根強いファンが多いネム!暗号資産(仮想通貨)としての将来性は?」もご参照ください。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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