ビットコインキャッシュの今後は?価格は上がる?

ビットコインキャッシュ
今後
2021-11-24 更新

ビットコインキャッシュ(BCH)は2017年8月にビットコインからハードフォークして誕生した暗号資産(仮想通貨)です。今までの歴史を振り返り、ビットコインキャッシュの今後はどうなるのか。この記事では今後を予想する糸口をいくつか解説します。

2017年末〜2018年初頭に発生した暗号資産バブル時と暴落時、現在のそれぞれの価格の比較も行なっています。

じっくり読んでビットコインキャッシュへの投資の参考にしてください。

ビットコインキャッシュとはそもそも何なのか?

ビットコインキャッシュとはそもそもどんな暗号資産なのでしょうか?

「ビットコイン」という名前を冠しているため、ビットコインと深い関わりがあるとは想像できますが、どんな経緯で誕生し、現在に至るまでどのように展開してきたのかを解説します。

ビットコインから分裂

ビットコインキャッシュは、2017年8月にビットコインのハードフォークによって誕生しました。

ある暗号資産をアップグレードする場合に、これまでのブロックチェーンとの互換性がないアップグレードを行うことをハードフォークといいます。暗号資産がハードフォークすると、古いブロックチェーンとハードフォーク後の新しいブロックチェーンとの二つに分かれます。その暗号資産の推進者たちのコミュニティ内でアップグレードに対して意見が統一できている場合は、ハードフォーク後、古いブロックチェーンは利用されなくなり、新しいブロックチェーンのみが存続しますが、コミュニティ内で意見が分かれた場合には、古いブロックチェーンと新しいブロックチェーンのそれぞれが存続、つまり分岐して別々の暗号資産になります。

ビットコインキャッシュ誕生の背景には、ビットコインのブロックサイズが1MBと処理能力が小さいことから、送金に時間がかかってしまうスケーラビリティ問題が発端となっています。

コミュニティではこのスケーラビリティ問題の解決方法として、ブロックサイズを大きくする「Big Block」(ビッグブロック)という技術の導入を推進する意見と、送金情報の容量を小さくする「Segwit(セグウィット)」という技術の導入を推進する意見とに分かれました。

その結果、ビットコインは二つに分岐し、ブロックサイズを8MBに増やしたビッグブロックを導入したチェーンがビットコインキャッシュとして誕生しました。

ビットコインキャッシュは更に2018年5月のハードフォークにてブロックサイズが8MBから32MBへと拡大されました。また、このハードフォークの際にスマートコントラクトの実装が行われています。

この時のハードフォークではコミュニティ内での合意形成があり、新たな暗号資産に分岐することは有りませんでした。

ハッシュウォー

ビットコインキャッシュの歴史を語る上で避けて通れないのが、2018年11月に勃発した「ハッシュウォー」です。

暗号資産のコミュニティにおいて、アップグレードの意見が出て合意形成されなかった場合はチェーンが分岐して新たな暗号資産が誕生することは前述の通りですが、この時は大きな2大派閥の対立が過熱しました。

主に中国の大手マイニング会社BitmainのCEOジハン・ウー氏とBitcoin.comのCEOロジャー・バー氏の両名が推進するビットコインABC派と、サトシ・ナカモトの開発理念を最重要視するクレイグ・ライト氏が推進するビットコインSV(Satoshi's Vision)派で互いにハードフォークを行い、ハードフォーク後に生成するブロックチェーンの長さが競われました。

これは、生成するチェーンが長い方に正当性が与えられ、短い方は消滅するというブロックチェーンの意思決定ルールがあるためです。

両者はチェーンをより長く生成するために、ビットコインのマイニングに利用されるハッシュパワー(ハッシュレート)をビットコインキャッシュのマイニングに使用するなどの競争を行いましたが、最終的にはこの「ハッシュウォー」の決着がつくことなく2つのチェーンはそれぞれ独自の開発を行うことになり、異なる暗号資産となりました。

ビットコインキャッシュという名前は、現在ビットコインABC派が中心となって開発する暗号資産が継承しています。一方でビットコインSV派はビットコインSV(BSV)という新たな暗号資産を生みました。

ビットコインキャッシュの今後を左右する半減期、アップデート(ハードフォーク)

ビットコインの概念を持ち、スケーラビリティ問題を解決するために分岐したビットコインキャッシュはその後も現実世界でのマイクロペイメント対応や、スマートコントラクト機能を実装するなど、実用化に向けてアップデートを繰り返しています。

ビットコインやビットコインキャッシュなど暗号資産はアップグレードの際に、実用化につながるニュースが報道されます。投資家にとって今後の価格上昇を期待できるニュースとなりやすいため、予定されているビットコインキャッシュにまつわるアップデートなどの基本情報を見ていきましょう。

半減期

暗号資産市場では「半減期後は価格が上昇する」とされています。

マイニングで新規発行される暗号資産の数量が半分に減るため、マイナーが市場で売却する数量が減り、需要に対して供給が縮小することが理由とされています。

これはビットコインキャッシュにも当てはまるのでしょうか。ビットコインの過去の半減期を振り返り、検証してみます。

ビットコインの場合

ビットコインは2012年11月28日に初めて半減期を迎え、11月1日時点に約850円で取引されていたビットコインは、半減期当日に1,000円に高騰。その後12月31日には、1,150円の値をつけました。

2回目の半減期は2016年7月9日でした。当日の価格は6万4,000円ほど。直前半年間の最高値は6月16日につけた8万円でした。このときは前回の半減期に上昇したことから、事前に価格が織り込み済みであったとの声も多く、8月2日には5万2,000円をつけるなど、投資家にとっては期待を裏切られる結果となりました。しかし5ヶ月後の2017年1月4日には、過去最高値となる約13万円まで上昇しました。

ビットコインの直近の半減期(3回目)は、2020年5月12日にありました。3月のコロナショックから金融市場全体が回復していたタイミングだったこともあり、半減期当日につけた92万5,000円から、2020年10月末時点で135万円を超えています。暗号資産アナリストの間では上昇はまだ始まったとは言えず、これまでの傾向から本格的な上昇は2021年以降とする声が多くあります。

ビットコインキャッシュの場合

ビットコインキャッシュは、2020年4月8日に初めて半減期を迎えました。

半減期当日の価格は2万7,000円前後でした。そこからはおおよそ横ばいの価格が続いています。

2月14日には2020年最高値の約5万4,000円をつけていましたが、コロナショックにより急落。しかし10月末時点でも半減期と変わらない2万8,000円を推移しています。
ビットコインはすでにコロナショック前の高値を更新していますが、ビットコインキャッシュの価格にはビットコインの影響は出ておらず、第一回目の半減期は価格上昇には影響を与えていないのかもしれません。

ビットコインキャッシュの半減期は21万ブロック毎に実行され、次回の半減期は4年後(2024年)の84万ブロックのタイミングとなります。

アップデート(ハードフォーク)

ビットコインキャッシュは毎年5月と11月に定期アップデートを実施しています。これは業界関係者ではハードフォークと言われることが多いですが、ビットコインABCは定期アップデートと呼んでいます。

前述の通り、実社会での利用のために日々開発が進められているビットコインキャッシュですので、開発の大きな進捗があれば、それは価格に反映されると思うのが一般的な考え方でしょう。

ビットコインキャッシュのロードマップ及び詳細のアップデートはhttps://www.bitcoinabc.org/で確認することができます。

また、ビットコインキャッシュはジハン・ウー氏やロジャー・バー氏のツイッターからも最新情報を得ることが可能です。

ビットコインキャッシュの今後の価格は上がる?

ビットコインキャッシュは2017年8月に誕生してまもなく2017年末の暗号資産バブル時期に突入しました。その後2020年末に至るまで、当時からある暗号資産はほぼ全てが下落しています。

ビットコインキャッシュもその例にもれず、過去最高値の47万2,815円(2017年12月21日)から最安値8,493円(2018年12月15日)まで下落しました。

価格 最高値からの騰落率(%) データ取得日
BTC 最高値 ¥2,210,434 2017/12/18
最安値 ¥344,940 -540.82% 2018/12/15
現在値 ¥1,364,188 -62.03%
BCH 最高値 ¥472,815 2017/12/21
最安値 ¥8,493 -5467.11% 2018/12/15
現在値 ¥28,820 -1540.58%
ETH 最高値 ¥171,182 2018/1/13
最安値 ¥8,712 -1864.90% 2018/12/7
現在値 ¥41,709 -310.42%
XRP 最高値 ¥403.652 2018/1/4
最安値 ¥10.728 -3662.60% 2020/3/13
現在値 ¥25.448 -1486.18%

※現在値は10月25日の始値

※騰落率=(1-当日終値÷前日終値)×100

参考までに人気の暗号資産であるビットコインやイーサリアム(ETH)、リップル(XRP)と、ビットコインキャッシュの2017年8月以降の最高値・最安値・現在値を比較すると、ビットコインキャッシュの騰落率が一番高いことがわかります。

また、価格が現在も他の暗号資産の水準に追いついていないことから、今後暗号資産市場が活性化され、ビットコインキャッシュが他の暗号資産の水準まで価格を戻す可能性を考えると、今からの参入で一番値上がり幅が取れることになります。

ビットコインキャッシュが誕生以降、コインマーケットキャップの時価総額ランキングでは常に10位以内に入り続けており、直近でも継続して5位前後に位置しているため、根強いファンがついていることが考えられます。

なお、2021年に入りビットコインが史上最高値を更新するなど、再び活況を迎えています。

ビットコインキャッシュ決済の普及

ビットコインキャッシュは前述の通り、日常的に利用される上で避けては通れない問題(スケーラビリティ問題)をクリアしているため、日常的な決済がしやすい暗号資産です。

そのため、ロジャー・バー氏が率いるBitcoin.comはじめ、米大手暗号資産決済プラットフォームBitpayでもビットコインキャッシュ支払いに対応しています。

そして最近、アメリカの大手決済会社ペイパルが暗号資産決済を提供し始めると発表し、取り扱い資産4種にビットコインキャッシュも名を連ねました。ペイパルが取り扱いを発表したことで今後他の事業会社でもビットコインを始めとする暗号資産決済の導入が加速すると考えられます。

ビットコインキャッシュ関連サービスの拡充

Bitcoin.comが2020年6月にビットコインキャッシュをメールアドレス宛てに送付できるサービスを開始しました。これは、受け取り側の暗号資産ウォレットアドレスを知らなくても、メールアドレスさえ分かればビットコインキャッシュを送付することが可能です。

このように、ビットコインキャッシュ関連サービスが拡充されていくことで決済市場に流通し、需要が生まれることで、時価総額の引き上げにもつながるかもしれません。

暗号資産投資信託への広がりも

すでに海外では、ビットコインキャッシュの投資信託が米証券預託機関(DTC)の認可を取得している例が出てきています。こういった展開は、今まで暗号資産市場には参入していなかった新たな投資家層を取り込み、時価総額の上昇、価格の上昇に寄与する可能性があります。

ビットコインキャッシュの今後の価格は下がる?

ビットコインキャッシュには、上述したような価格上昇の要素も多くありますが、下落する可能性のある懸念事項も存在します。

51%攻撃の可能性

ビットコインキャッシュに限ったことでは有りませんが、非中央集権型の暗号資産では、ブロックチェーンで行われる取引の承認作業は多数決方式が採用されており、マイナーが51%以上のハッシュレートを持つことでネットワークをコントロールすることが可能になってしまいます。これは51%攻撃と呼ばれます。

ビットコインキャッシュは過去に51%攻撃を意図的に実施

2019年5月、ハードフォーク時に不正な攻撃を行うネットワーク参加マイナーがいたことが問題になりました。その攻撃を正すために、当時ビットコインキャッシュのマイニングプール2大シェアであったBTC.topとBTC.comが協力して意図的に51%攻撃を仕掛け、不正取引への対応を実施しました。

この際の51%攻撃は不正を正すためのポジティブなものですが、そもそも非中央集権の暗号資産を目指して誕生したビットコインキャッシュが、大手マイニングプールが協力することで実際に51%攻撃ができてしまうということは、中央集権的ではないかという声も一部の暗号資産アナリストから挙がりました。

しかし、上記2019年5月当時よりは、現在ビットコインキャッシュマイニングの参加者も増えているため、ハッシュパワーは以前より分散されていると言えます。

ビットコインキャッシュの今後についてのまとめ

ビットコインキャッシュはビットコインコミュニティの分裂から誕生しましたが、非中央集権の暗号資産を目指していることから、ビットコインが持つスケーラビリティ問題などをクリアしています。

また、ロジャー・バー氏といった強力な広告塔がおり、投資家の目に情報が触れる機会も多くなっています。今後ビットコインキャッシュ関連サービスや、関連投資商品が増えることで時価総額にも影響が出るでしょう。

しかし、マイニングプールのシェアは大手のシェアが高く、非中央集権の暗号資産になるためには乗り越えなければならない問題も含んでいます。

暗号資産市場全体の価格上昇がビットコインキャッシュの価格上昇にもつながることが考えられますが、投資を行う前にはリスクを理解し、最新の情報を得た上で判断を行うようにしましょう。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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