盛り上がりを見せる分散型金融(DeFi)とは?仕組みも紹介

DeFiとDeFiトークン
2020-12-09 更新

2020年は分散型金融(DeFi:Decentralized Finance)とDeFiに関連する暗号資産(仮想通貨)が注目を集めています。2020年8月中旬には、その一つであるヤーン・ファイナンス(yearn.finance)の独自トークンであるYFIの時価総額が当時のビットコイン価格を超えて、12800ドルに到達し、その後も上昇を続けました。これほどまでにトークンの価格が上昇を続けているのは何故なのでしょうか?中には「バブル」との指摘もある中で、そもそも「分散型金融」とはどのようなものなのでしょう。

本記事ではDeFiの全体像をまとめ、どのようなサービスが出ているのか考察します。またDeFiの重要な仕組みである「イールドファーミング」と「流動性マイニング」についても説明します。

そもそもDeFiとは

DeFiは「分散型」という言葉の通り、中央集権的な管理者なしで金融サービスを提供する仕組みのことを言います。従来の金融は、例えばお金の貸し借りでは銀行(管理者)が間に入って、貸す人と借りる人をつなぐサービスを提供しています。しかし、DeFiはプログラムによって、こうしたお金の貸し借りを始めとした金融サービスを、銀行などの管理者を介することなく可能にしています。銀行などの経営主体がないため、倒産リスクもありません。しかし銀行がないということで、資産の管理は自分自身でする必要があります。

また、仲介者なしにサービスを受けられるということだけが、DeFiの目指すものではありません。DeFiという言葉の発案者の一人であり、分散型P2P賃借マーケットを提供するDharmaのブレンダン・ファスターCEOは、「インターネットがニュースメディアにしたことを、金融でDeFiが行う」とDeFiが目指す世界観を話しています。これはつまり、インターネットが誰もが情報発信を可能にしたように、DeFiは誰もが金融サービスを提供したり、提供されたりすることを可能にするという世界を目指していることを指しています。

日本では金融サービスにアクセスできないということは少ないですが、海外ではそもそも銀行口座を持っていなかったり、米ドルの交換レートが決まっていたりする国があり、金融サービスが自由にならない地域が多くあります。DeFiはこうした人々に自由なアクセスが可能になる世界を目指しています。

現在は管理主体や団体がいるサービスでもDeFiに分類されることもあります。広義の概念では、イーサリアム(ETH)などのスマートコントラクトで動作する金融サービスアプリケーション全般を指しているようです。

DeFiの種類

それではDeFiにはどのようなサービスがあるのでしょうか。

有名なものには、MakerDAOのようなステーブルコインプロジェクトがあります。前述したように、海外では銀行や金融サービスにアクセスできない人が多くいます。MakerDAOは、そうした人たちに米ドルと価値が紐づいているステーブルコインを発行し、自由にやり取りできる資産DAI(Multi Collateral DAI)やSAI(Single Collateral DAI)を提供しています。

そのほかに暗号資産交換業者(分散型交換所「DEX」と呼ばれます)やデリバティブ、レンディングが挙げられます。

DeFiの例 プロジェクト名
ステーブルコイン MakerDAO
暗号資産交換業者 Uniswap
デリバティブ Synthetix、Opyn
レンディング Compound

DeFiに関するサービスをまとめているウェブサイトのDeFiprime.comによると、2020年9月末時点ではイーサリアムベースでは206のプロジェクトがあるとされています。

DeFiprime.comによると、DeFiのカテゴリーは、「支払い」や「保険」、「資産のトークン化」など17ほどのサービスが分類されています。

「イールドファーミング」と「流動性マイニング」

イールドファーミング

「金融アクセスを全ての人に届ける」という思想以外に、多くの人の興味関心を惹きつけているのは、DeFiには「イールドファーミング(Yield Farming)」と「流動性マイニング(Liquidity Mining)」という仕組みがあるためです。

イールドとは利回りのことです。イールドファーミングとは、ビットコインやイーサリアム、テザーなどの暗号資産をプラットフォームに預けることによって流動性を提供する見返りに、利息を獲得できる(ファーミング:収穫、農業)行為のことをいいます。

例えばDeFiの代表格であるコンパウンド(Compound)という暗号資産レンディングプラットフォームでは、貸したい人がビットコインなどの暗号資産をプールしておき、借りたい人が賃借料を払って暗号資産を借りていく仕組みになっています。ここで借りた人が支払う金利手数料を、貸し手が利回りとして受け取ることができます。このように資産を預け入れることで利息を得ることができます。

従来の金融であれば、ここに管理主体がいて、金利は管理側が受け取るが、分散型金融ではこの利回りを管理者なしで受け取ることができることが新しい仕組みといえるでしょう。

流動性マイニング

「流動性マイニング」とは、DeFi利用者がプロトコルに参加する報酬として、利息の他にガバナンストークンを受け取る活動のことを指します。コンパウンドでいうと、暗号資産を貸し出している人が、利息以外にコンパウンドのガバナンストークンである「COMP」を受け取ることが「流動性マイニング」です。こうしたトークンは海外の暗号資産交換業者などが取り扱いを開始し、価格が急騰することがあります。

この仕組みによって高い年利を得る仕組みで資金が集まり、それとともにガバナンストークンの価値が急騰していることで「バブル」ともいえる様相を呈しています。

注目のDeFiを知るにはTVLを参考にしよう

イールドファーミングといった仕組みで人気が高まっているDeFiですが、注目プロジェクトにはどんどんと多くのお金が集まっています。こうした注目プロジェクトを知るための指標が、「トータル・バリュー・ロックド(TVL)」です。

TVLは「スマートコントラクトにロック」された資金の総額のことをいいます。DeFiプロジェクトはイーサリアム・ブロックチェーン上で構築されているものがほとんどを占めていますが、こうしたプロジェクトでは前もって、そのブロックチェーンに資産を入れておかなければなりません。これを「スマートコントラクトにロックする」といい、注目のプロジェクトほど、ユーザーが多くの資金を入れているのかがわかります。

ロックされている対象資産の総額では2020年上半期ごろまでは、ステーブルコインプロジェクトであるMakerDAOがトップとなっていました。しかし、コンパウンドやその他のサービスが人気になるにつれて、9月末時点でのトップはDEXプロジェクトとなっています。これはDeFiが人気になるにつれて、DEXでDeFiトークンの取引が活発化しているためです。9月末時点で最もTVLが大きいプロジェクトは21億ドル(約2200億円)ほどとなっています。上位には分散型レンディングサービスを提供するプロジェクトや分散型デリバティブサービスなどが入ってきています。

ただ、TVLはあくまでDeFiプロトコルに預けられた暗号資産の合計額を示しているだけのため、DeFiトークンの価値全てを表しているわけではありません。上位にあるから安全であるとか、安心できるプロジェクトでは必ずしもないため、市場の注目度を図る参考程度にしておきましょう。

DeFiはバブル?最近の世界の動きは

日本ではまだDeFi自体の話題は有名ではないものの、海外ではすでにあまりの過熱ぶりから「バブルなのでは」との指摘も出ているほど人気になっています。

世界の動きをニュースから見てみましょう。

海外ではDeFi銘柄への対応が続く

海外の暗号資産交換業者ではすでに、合計で30種類ほどのDeFiトークンを取り扱う交換業者出ているなど、急速に対応が進められています。6月には米国の暗号資産交換業者がコンパウンド(COMP)を上場させたことが話題になりました。

さらに、暗号資産の対応だけでなく、DeFiへの対応を目的としたブロックチェーンの開発も行われています。海外の暗号資産交換業者ではスマートコントラクト機能やトークンごとのクロスチェーン送金(異なるブロックチェーン間での送金)機能を実装した新たなブロックチェーンを発表し、DeFiプロジェクトに対応しています。すでにレンディングマーケットであるAaveや各DEXの最適なレートを提供する1inchExchangeなどと連携して開発を進めているところもあります。

「キムチ」に「芋」、「ホットドッグ」...価格が一気に暴落するプロジェクトも

このように海外では続々と対応が進み、ブームの様相を呈しているDeFiですが、必ずしも全てのプロジェクトが上手くいっているわけではありません。プロジェクトの中にはわずか数週間で暴落するトークンもあるため、注意が必要です。

暴落する原因は開発に数週間しかかけずに、市場に出回るものが多いことです。こうしたプロジェクトはセキュリティ監査を受けていないものが多く、問題が指摘されています。そのため、システムにバグが発見されることが相次いでおり、トークン価格がわずか5分で4000ドルから1ドルまで暴落するという事例も起きました。

DEXの一つであるIDEXのアレックス・ウェアンCEOは、「分散型金融についていえば、私はこの分野全体にいくらかのリスクがあると考える。定評あるプロジェクトだったとしても、比較的新しいものがあるため、そこに何のバグも含まれていないと確信することはできない」と話すなど、脆弱性があるとの指摘が業界関係者からも出ています。2020年の8〜9月にかけては、バグによって価格が暴落したプロジェクトが続出しました。

暴落したプロジェクトでは「Kimuchi」や「YAM(芋)」「Hotdog」など食べ物の名前を冠したものなどがあります。

まとめ

分散型金融は管理者がいない非中央集権的な仕組みで、次世代の金融サービスを作る仕組みです。

その中でも今最も注目を集めているのはコンパウンドに代表されるレンディングの分野でしょう。これは、イールドファーミングと流動性マイニングという仕組みによって金利やトークン収入が得られることから人気が高まっています。

ただ、バブルの様相を呈しており、バグの発見によって、価値が一気に0に暴落するプロジェクトも出ているほか、まだまだ日本語の情報は多くない状態です。また、資産を自分自身で管理する必要があり、操作ミスによって資産を失ってしまう可能性もあります。そのため、サービスに参加するには十分な情報収集と注意が必要でしょう。

なお、DeFiの多くはイーサリアムのスマートコントラクト上で提供されていますが、イーサリアムの現在のコンセンサスアルゴリズムでは処理能力に限界があることがわかっています。DeFiの発展にとって欠かせない要素とされるイーサリアム2.0については「ついに始まったイーサリアム2.0とは 今後のスケジュールも解説」をご覧ください。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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