IEOとは何か?ICOとの違いは。

IEO
2020-10-14 更新

イニシャル・エクスチェンジ・オファリング(IEO、Initial Exchange Offering)とは、暗号資産交換業者によって管理される資金調達方法です。ブロックチェーンプロジェクト自身が資金調達を行うイニシャル・コイン・オファリング(ICO、Initial Coin Offering)とは違って、ユーザーが取引所のプラットフォームを通じて資金調達に参加できる仕組みです。暗号資産交換業者が介在することで、ICOに伴うリスクを軽減させ、よりユーザーが資金調達イベントに参加しやすくするものと考えられています。

海外では、一部の大手暗号資産交換業者がIEOを実施しています。そして日本国内の暗号資産交換業者もIEOを試みようとしています。資金を必要とするスタートアップのプロジェクトの資金調達手段として、またユーザーの投資の手段として今後も注目を浴びていくことになりそうです。

IEOとICOもどちらも暗号資産(トークン)を発行することで資金調達をする方法ですが、IEOは暗号資産交換所というプレイヤーが介入することが大きな違いです。それでは、IEOがどのような仕組みや特徴を持つのか見ていきましょう。

IEOとは

IEOについての説明を始める前に、まずICOとは何かを簡単に説明しましょう。ICOは資金調達を行おうとする企業やプロジェクトが、暗号資産(トークン)を発行・販売して資金を調達する手段のことです。投資家は発行されるトークンを購入します。この投資の対価として受け取るトークンは、開発されるプラットフォームで使うユーティリティトークンや、株式のような議決権や配当を得るタイプのものもあります。

ICOは2017年に大変なブームとなりました。発行されるトークンが取引所に上場することで高騰する値上がり益が莫大なものだったからです。しかし、その中にはプロジェクトがいつまで経っても完成しないもの、さらには初めからプロジェクトをローンチする気のない詐欺的なものもありました。米国を中心にICOへの取締りが強化されたこと、さらに暗号資産市場が2018年以降に冷え込んだことで、ICOは下火へとなっていきました。

ICOでは事業者は、開発するプロダクトについて解説したホワイトペーパーを公開し、投資家はそれを見て、投資を判断することになります。また投資家は直接、ICOをする事業者との間で資金のやり取りを行います。事業者が指定するアドレスに資金を送り、トークンが配布されることになります。

あるプロジェクトがICOの投資に適しているのか、そもそも信頼性のあるものなのかどうか、これを判断するのは投資家自身となります。投資家にとっては、投資判断をするにはコストがかかり、そしてリスクがあるものと言えるでしょう。

一方、IEOは、暗号資産交換業者がプロジェクトと投資家の間に入る形のものです。暗号資産交換業者が、優良なプロジェクトを選定した上で、投資家向けにトークンセールを行うことになります。暗号資産交換業者によっては、IEOを行うプロジェクトのリサーチペーパーを発行するなど、プロジェクトについてより詳しい情報を得ることができます。投資家のトークンセールへの参加も暗号資産交換業者が準備したプラットフォームを通じて行うことになります。投資家は暗号資産交換業者のアカウントがあれば、トークンセールに参加することができます。

投資家にとってのIEOの利点は、暗号資産交換業者側がプロジェクトの技術力やその正当性を審査することです。たとえば海外のある暗号資産交換業者ではプロダクトの実用性やユーザーベースの大きさといった審査項目をあげています。IEOでは、暗号資産交換業者というフィルターを通じて、選抜されたプロジェクトに投資家がアクセスすることができます。もちろん、その審査を通過したことが成功を保証するものではありませんが、ある程度の信用ができるといえます。

IEOのメリット

基本的に、IEOを行ったトークンは、その暗号資産交換業者の取引所に上場することになります。これまでのICOであれば、トークンセール後にどこの取引所にも上場しないケースや、上場したとしても流動性の少ないマイナーな取引所というケースもありました。IEOであれば、取引所への上場の予測可能性も高まることになります。

資金調達を目的とするプロジェクトの場合、IEOは暗号資産交換業者が持つ取引所のユーザーベースを利用することができます。そのため、取引所のユーザーの規模によっては、プロジェクトが資金調達するために行うマーケティングのプロセスやコストを減らすことができ、プロダクトの開発に集中することができるようになります。加えて、IEOに参加する投資家は、暗号資産交換業者がすでに本人確認(KYC)を行ったユーザーです。取引所側が顧客管理をすることになるため、トークン発行者側にもメリットがあるわけです。

IEOの課題

株式の上場の場合、株式市場に上場する企業を、証券取引所が厳格に上場審査をした上で上場させています。しかしながら、それでも不祥事を起こす上場企業があったり、赤字に陥る企業や上場廃止になったりする企業もあります。このことは株式市場に上場する企業が、必ずしも優良な企業ばかりであるわけではないことを示しており、投資家が自身でその企業のパフォーマンスを分析して、個人の判断で投資する必要があるということになります。

同様に、暗号資産交換所が行うIEOであるからといって、完全に安心であるというわけではありません。

特にIEOを行うようなプロジェクトは、プロダクトを開発するという段階であったり、プロダクトがまだ初期段階であったりする場合が多いでしょう。暗号資産・ブロックチェーンという非常に変化の速い業界において、どんなにホワイトペーパーの内容が優れていようとも、そのプロジェクトが成功するとは限りません。

少し古いデータですが、2019年12月に海外のある暗号資産交換業者がIEOを行ったプロジェクトのトークンのパフォーマンスを調べており、そのレポートによると、12のプロジェクトのうち、11のプロジェクトは、トークンの価格がIEO後に80%以上下落していました。このことからも例えIEO銘柄であっても、株式などの投資と同じようにそのプロジェクトの成長性を自身で判断する必要があると言えます。

日本におけるIEO

日本では現時点ではまだIEOが実施されていませんが、IEOを行うための環境整備は進んでいます。

日本の自主規制団体である日本暗号資産取引業協会(JVCEA)は、「新規暗号資産の販売に関する規則」とそのガイドラインを定めています。これは新規暗号資産の発行・販売による資金調達手段であるICOや、その販売を暗号資産交換業者に委託するIEOについて定めたものです。

この自主規制規則では、日本の暗号資産交換業者がIEOをする際に審査する項目を定めています。たとえば、対象事業の事業計画の合理性や、技術的な実現可能性、成長性及び安定性などです。こういった項目を暗号資産交換業者がチェックしていき、さらにJVCEAにおいてもその内容を確認することになります。また、IEOを行う際、購入者に対して詳細な情報開示を行う必要があることも定めています。

そして2020年8月には国内の暗号資産交換業者が日本初のIEO実施を目指すとの発表もありました。これはファンコミュニティにおいてコンテンツを活用したデジタルアイテムを発行・管理・流通させるブロックチェーンプラットフォームを運営する企業が、そのプラットフォームで使われるユーティリティトークンをIEOで販売するというものです。具体的なスケジュールや発行額などの詳細についてはまだ明らかになっていませんが、国内でのIEO事例として注目していきたい動きです。

まとめ

ここまでICOと比較したIEOのメリットやその課題、日本国内での環境整備について説明してきました。

投資家にとってはICOに比べてリスクの低い投資が可能になると同時に、プロジェクトを推進する事業者側にとっても暗号資産交換業者のユーザーベースを利用できるといったメリットがあります。もちろん、個々の投資の判断においては、投資家自身がリスクを見極めることが重要であるのは、ほかの投資と変わりません。

IEOは、トークンを発行するという新しい資金調達手段を活かしていくための、暗号資産交換業者、投資家、事業者の3者による新しい試みと言えるでしょう。

日本においても自主規制団体によるルール整備が進み、IEOが行われる環境が整えられてきました。国内の暗号資産交換業者においてもIEO実施に名乗りを上げる企業の発表も出てきており、これからIEOに向けた動きが活発になると期待されます。

IEOやICOの他にSTOという資金調達方法もあります。詳しくは「新たな資金調達方法STOとは?ICOとの違いや仕組みを解説」をご覧ください。

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