ビットコインの今後を予想!2022年の価格はどうなる?
ビットコイン(BTC)は2021年11月、1BTC=700万円を突破し、過去最高値を更新しました。しかし、年末にかけて相場は急落し、著名アナリストが予想していた価格には到達しませんでした。NFTやメタバース、Web3など、関連キーワードが盛り上がる中で、ビットコインは今後、どうなるのでしょうか。
本稿では、著名人のビットコインの価格予想や、価格に与える要素、海外の動きなどを解説し、ビットコインの将来性を考えます。

ビットコインの今後の価格はどうなるのか

2021年は史上最高値を更新しましたが、2022年のビットコイン価格はどうなるのでしょうか。以下では、著名アナリストの意見や予想を見てみましょう。
S2Fモデルでは10万ドル以上
ビットコインの有名な価格モデルであるストック・トゥー・フロー(S2F)モデルを開発したPlanB氏は、2022年は10万ドルを超えると予想しています。
S2Fモデルとは、貴金属(金や銀)などの希少性と価値を測るモデルとして利用されており、「S2F=市場に存在する量(ストック)/ 年間生産量(フロー)」で計算されます。金などの一部の希少性が高い商品は、市場に存在する量に対して年間の生産可能量が小さく、供給過多によって値崩れすることはほぼありません。2020年5月に「半減期」を迎えたビットコインは、ストックに対するフローが急減しており、これによって中・長期的には価格が上昇すると考えられています。
過去には価格を的中させてきたこともあり、S2FモデルはメディアやSNSなどで人気が高いことで知られています。PlanB氏のツイッターフォロワー数が2022年2月現在で170万を超えていることからの注目度が高いことがわかります。
ただし、同モデルは2021年に「年末にも10万ドル」と初めて予想を外しています。
ブルームバーグのストラテジスト予想
大手メディアのブルームバーグで、暗号資産(仮想通貨)に関するレポートを執筆するマイク・マクグローン氏は、2022年は暗号資産に資金が集まると予想しています。金融ストラテジストである同氏は、2021年にビットコインが10万ドルに到達すると予想していました。2022年も2月に発行したレポートでは、年内の予想について具体的な金額は示していないものの、10万ドルが重要なレベルと指摘しています。一方で同氏は底値として3万ドルを予想しています。
2022年に入って、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締めを行う中で、株式指数とともに暗号資産市場も連れ安となりましたが、ビットコインが投資家に価値を認識され始めていることから、株式指数を凌駕するパフォーマンスを示すとマクグローン氏は主張しました。
「暗号資産の冬」の予想も
一方で強気予想ばかりではありません。
スイスの大手銀行であるUBSは、顧客向けのメモの中で、2022年にビットコインの魅力が薄れると指摘しました。世界的に金利が上昇することや規制によって、「価値の保存手段」としての資産にはならないと主張しています。
UBSは具体的な価格を上げているわけではありませんが、価格が何年も回復しないかもしれない「暗号資産の冬(クリプト・ウィンター)」の可能性を上げています。
ビットコインの価格に影響を与える要素

ビットコインの今後を考えるには、将来性に関して影響を与える要素を知っておく必要があります。主には、決済利用といったユースケースの拡大や、安全性、規制、半減期などが挙げられます。
決済利用
ビットコインの決済機能を使用した支払い方法は、すでに世界中で導入されている例があります。ベネズエラのバーガーキングといったファストフードチェーンのほか、オーストラリアのボトラーであるコカコーラ・アマティルも2020年にビットコイン決済を受け入れています。
日本でも少額決済であれば、家電販売などの大手企業がビットコイン決済に対応しています。
ビットコインの利便性が高まれば、需要の増加にも繋がり、ビットコインを決済として扱う事業者が増える可能性もあります。そうなれば、価格の動きにも反映されるかもしれません。
ただ、ビットコインには、需要が高まれば送付遅延や手数料高騰といった「スケーラビリティ問題」があります。最終的には処理能力においてもデータ詰まりなどを起こさない改善が必要になります。
半減期
ビットコインの価格に大きく影響を与える「半減期」というシステムがあります。半減期とは約4年に一度、マイニング(採掘)で得られるビットコイン報酬が半分になる時のことを指します。得られるビットコインがマイニングに要した労力や費用に見合わなければ、マイナー(採掘者)が撤退し、ビットコインの価格が下がると考えることもできる一方、市場に出回る量が減ることで価値が高まるとも考えられます。
これまでは、半減期はビットコインの価格上昇に寄与しているとされています。
半減期は2020年5月に第3回目を迎えました。前回の2016年にあった半減期では、2017年に入って6月ごろから徐々に価格が上昇し、2017年末にかけて過去最高値に到達しました。
2020年5月以降も半減期後に価格が上昇し、同年12月にはそれまでの最高値を更新し、2021年11月には1BTC=700万BTCを超える価格まで上昇しました。
2022年2月時点ででは、次回の半減期は2024年5月頃が予定されています。
規制の動き
2021年は中国の中央銀行である人民銀行が暗号資産の関連事業を全面禁止すると発表しました。こうした規制が発表されると暗号資産市場は大きく値を崩しました。日本だけでなく、海外の規制状況はビットコインの今後に大きな影響を与えます。
2022年2月時点では、アメリカやロシアといった大国での暗号資産規制が報道されています。
アメリカではビットコインなどの暗号資産を国家安全保障の問題として規制することが検討されています。ロシアでは、規制を巡ってさまざまな情報が錯綜していましたが、2022年2月には、暗号資産をデジタルの金融資産ではなく「通貨の類似物」と定義する法案を作成したことが明らかになりました。ロシアで暗号資産の流通が認められたことを受けて、価格もそれまでの弱気相場からポジティブに推移しました。
ビットコインETFの影響
2021年2月には北米で初となるビットコイン現物ETFがカナダで上場しました。ビットコインETFとは、価格がビットコインと連動するように設計された上場投資信託で、株式と同じように証券取引所で売買できるものを指します。
投資家の中には、ビットコインを保有するリスクなしで直接投資したいと考える人がいます。そのためにビットコイン現物に100%連動する商品が待ち望まれていました。ビットコイン現物ETFの上場が発表されると、市場は好感しました。
同年10月にはアメリカで初めてとなるビットコイン先物ETFが上場しました。先物ETFでは、手数料が多くかかることやビットコインに100%投資する商品ではないことなどから、アメリカでもビットコイン現物ETFの承認が期待されています(2022年2月末現在)。
一方で日本の金融庁は、2019年12月27日付で「金融商品取引業者向けの総合的な監督指針」の改正・適用を実施し、パブリックコメントへの回答において暗号資産ETFは「組成・販売できなくなる」旨を公表しました。2022年2月末現在で、日本国内ではビットコインをはじめとした、暗号資産ETFは未承認です。
ビットコインに関わる今後の注目点

ビットコインは現在も開発が進められています。今後を考える上で、技術面やCBDCといった注目ポイントについても把握しておきましょう。
技術面での進化
ビットコインに関連する技術面では、少額決済を実現する技術ライトニングネットワークの普及度に注目です。日本でも、ライトニングネットワーク対応モバイルウォレットが2019年12月に登場したほか、2022年2月末現在でノード(コンピュータ)数が約1万5,000以上に達するなど、少額決済を行いやすい環境が徐々に整いつつあります。
中央銀行デジタル通貨(CBDC)
2022年2月現在、各国が独自のCBDC(中央銀行が発行するデジタル通貨)に関する調査・計画を進めています。
CBDCは法定通貨のデジタル版であり、ビットコインは非中央集権的に分散管理される暗号資産です。CBDCが普及すれば、キャッシュレスが進み、低コストで支払い可能なシステムが構築されることが期待されます。
CBDCの普及は、広く一般にキャッシュレスへの抵抗感をなくすことにつながり、ビットコインをはじめとした暗号資産への利用増につながるかもしれません。
日本銀行は2021年4月からCBDCの概念実証(Proof of Concept)を開始しています。全体で3段階に分かれる概念実証では、2022年4月から第2段階が行われる予定です。
今後の安全性について

ビットコインの安全性は、オンライン上であっても非常に高いと評価されています。厳密にいえば、ビットコインの安全性が高い理由は、ビットコインに採用されているブロックチェーンが高いセキュリティ性を最初から備えていることが要因です。
ブロックチェーンは、データの保管場所としての役割を果たし、データの処理を行う端末は分散して存在します。たとえ1つのデータの在処を誰かが破壊しても、その代わりとなり得る端末はいくらでも存在し、ブロックチェーンシステムの根幹を壊さない限り、不正を行うことはほとんど不可能となっています。
ビットコインの取引そのものもブロックチェーンから追跡可能であり、相互監視・協力がなければユーザーの操作は承認されず、システムとしても動作することはないでしょう。
そのため、ブロックチェーンはデータ共有の役目と、オンライン上における強固なセキリティ性を兼ね揃えており、ハッキングなどのサイバー攻撃に強い耐性を持っています。
量子コンピューターによる秘密鍵の解読
ビットコインの取引が強固なセキュリティを持っている理由の一つに暗号を使った秘密鍵の生成があります。しかし、通常のコンピューターであれば解読するための計算に数十億年かかるとされていますが、この計算をわずかな時間で解いてしまうコンピューターについてのニュースが報じられました。
それが、Googleが2019年10月に発表したスーパーコンピューターを凌ぐ、量子コンピューターの開発です。Googleはこれまでのコンピューターが計算不可能だったとされる「量子超越」を実証したことを発表しました。
Googleの量子コンピューターは、現在最も強力なスーパーコンピューターである「サミット(Summit)」が1万年かけて行う計算を3分20秒で計算できるとされています。
量子コンピューターによって高速計算が可能になり、現在の暗号化技術が通用しなくなると、第3者が公開鍵から秘密鍵を割り出せることになり、一部の有識者によると「世界中のビットコインにアクセス可能になる」とまでいわれています。
ただ、イーサリアム創業者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が指摘するように、業界内では実用性には程遠いとの意見もあり、脅威と考えるのはまだ当分先であるとされています。さらには量子技術を利用した量子鍵配送という暗号技術も開発されています。
今後の展望について
暗号資産(仮想通貨)における安全対策は、万全を期すものでなければなりません。暗号資産の市場の成長スピードとオンライン技術の進歩は相対的に比例します。逆に言えば、量子コンピューターの事例のように技術の進歩によって安全性が高いとされるブロックチェーンシステムが破壊される可能性も皆無ではありません。
しかし、暗号資産のシステムは開発途中であり、より強固なブロックチェーンが続々と開発されています。また、拡張性のある暗号資産においては、他の暗号資産のメリットをそのまま取り込むことも可能です。
サイバー攻撃を受けた場合、資産として暗号資産の価値が消失することに加え、暗号資産そのものの未来も同時に失うことになり得ます。そのため、オンライン技術の進歩と共にブロックチェーンのセキュリティもより良い方向に変化していくと見て良いでしょう。
しかし、暗号資産そのものに問題がなくとも、暗号資産交換業者に問題があった場合、その問題の大きさに比例して暗号資産全体の価値が大きく下落することがあります。特定の暗号資産交換業者の体制不備による下落は、長期的に見れば一過性のものであると考えることが可能です。しかし、短期的なトレードを繰り返している方からすれば、要注意でしょう。
まとめ

2021年に最高値を更新したビットコインは、今後も発展していく可能性を有しています。
しかし、世界的な需要や規制に応じてビットコイン価格は大きく上下するため、取引にはリスクもあります。著名アナリストなどからは強気の予想もありますが、全てを鵜呑みにせず、ご自身でビットコイン自体の技術やニュースなどを細かくチェックするようにしましょう。
ビットコインの価格の動きに興味を持たれた方は「ビットコインの買い時を見極めよう!チャートの見方や分析のしかた」もご参照ください。
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