コロナショックが仮想通貨(暗号資産)に与える影響は?価格動向を解説

コロナショック
仮想通貨
2020-06-10 更新

2020年5月1日現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が世界各地で深刻化しています。同年3月11日にWHO(世界保健機関)がパンデミック(世界的な大流行)を宣言して以来、各国でロックダウン(都市封鎖)や外出自粛要請が行われました。

経済活動の制限によって、株式市場だけではなく暗号資産(仮想通貨)の市場も大きな影響を受ける事態に陥っています。今回は、このような新型コロナウイルスに端を発する経済危機、いわゆる「コロナショック」が、暗号資産市場にどのような影響を与えるのか、そして今後の価格動向はどうなっていくのかを整理していきます。

なお、本稿の内容はすべて2020年5月1日時点までの報道を基にしたものです。特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する最新情報は、公的機関のWEBサイトを必ずご確認ください。

コロナショックで世界同時株安・・・暗号資産(仮想通貨)も下落

新型コロナウイルスのパンデミックは世界経済に大きなダメージを与えました。そこでまずは、2020年2〜3月の経済状況を整理していきましょう。

世界経済の現状整理

2020年2月後半〜3月の世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で同時株安となりました。新型コロナウイルスを発端とする経済危機は「コロナショック」と呼ばれ、2008年に発生した金融危機「リーマンショック」と同等かそれ以上に深刻なダメージを、世界経済に与える可能性があります。実際に世界経済の損失や財政出動の額は、リーマンショックのときを上回るとも試算されているのです。

過去の経済危機と比較して、いくつか数値を挙げてみましょう。まず、コロナショックにおいては、「米シカゴ・オプション取引所」(CBOE)が算出し、投資家の市場心理を反映する指標「VIX」(恐怖指数)が、リーマンショック時に近い数値を記録しています。また、アメリカの代表的な株価指数「S&P500」は約30%下落、ダウ平均株価は1987年の世界的な株価の大暴落「ブラックマンデー」以来、最大の下落幅(日足)を更新しました。コロナショックは、数値的には過去の経済危機に匹敵するのです。

過去の経済危機とコロナショック(初期)の違い

過去の経済危機に匹敵するコロナショックですが、企業や消費者があえて経済活動を最小限に抑えているという点が決定的に異なります。日本銀行発行の「金融システムレポート(2020年4月号)」にもあるように、今回は金融問題に由来する不況や倒産の連鎖が引き金ではないのです。相手がウイルスであるがゆえに、国や自治体がロックダウンや自粛要請を出しているため、最低限の経済活動とならざるを得ません。

したがって、早期に感染拡大を終息させ、経済活動を再開させることができれば、経済が回復する可能性は高いとする見方もあります。ただし、2020年5月の時点では、新型コロナウイルスの感染拡大は特に罹患者の多い欧米を中心に長期戦になるとの見方が大勢を占めています。先に挙げた日本銀行のレポートに「実体経済への下押し圧力の強さ、持続期間を巡る不確実性はきわめて大きい」とある点も、強く留意すべきでしょう。経済活動の制限が長期化すれば、債務超過などで倒産する企業は増えるはずです。その結果、本格的な経済危機となる可能性は否定できません。

暗号資産市場におけるコロナショックを振り返る【〜2020年4月前半】

コロナショックを受けて、ビットコインも値を下げています。暗号資産(仮想通貨)全体の時価総額の60%以上を占める(2020年4月末現在)とされるビットコインの価格下落は、必然的に暗号資産の全体の下落に繋がるのです。パンデミック前後のビットコイン価格の推移を見ていきましょう。

パンデミックを受けて暴落するも、その後は回復

2020年3月1日には90万円台だったビットコインは、同月12日に突如大きく値を下げました。12日の始値は81万円台でしたが、終値では56万円台にまで下がっており、翌13日には一時的に42万円台まで下落しています。価格変動が大きいビットコインとはいえども、2日間で50%以上も下落することは滅多にありません。また、ビットコイン価格の下落を受けて、その他の暗号資産価格も総じて値下がりしました。

3月12〜13日に発生した暗号資産価格の下落は、12日未明(日本時間)にWHOが新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を宣言したことが主要因だと考えられます。あわせて、12日までにトランプ大統領が欧州からアメリカへの渡航を停止、イタリアは全国的なロックダウンを実行するなど、経済活動に強い制限を課しており、これらの要素が複合的な要因となって価格下落を招いたといえるでしょう。

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ただ、こうした状況の中で、ビットコインの暴落を期に新しく取引を始めるユーザーが増える現象が観測されています。手持ち資金に余裕がある者にとって相場の暴落時は、良い買い時になる可能性があるのです。こうした新規買いの動きもあって、ビットコインは徐々に値を戻しており、4月30日には一時的ながら100万円を超えました。

コロナショックの初期では、株価と暗号資産の価格に相関アリ?

発行上限数量が2,100万BTCと限られているビットコインは、基本的には希少性がある新しい資産クラスであると見なされています。新しい資産であるがゆえに、株式などの伝統的な経済市場との結びつきは依然として弱いと考えられているのです。経済危機においてビットコインは、資産の逃避先として選ばれる場合があり、例えば2013年に発生した金融危機「キプロス危機」では、ビットコインへと資産を逃がす動きが見られていました。

ところが、コロナショックではビットコインに資産を逃がす動きは観測されておらず、むしろビットコインをはじめとする暗号資産価格と株価の相関が強くなる傾向があります(2020年5月1日現在)。なお、相関とは2つの事象の関連度合いのことです(相関関係=因果関係ではないので注意)。

コロナショックのような経済危機において、株価と暗号資産価格の動きに相関が見られたということは、伝統的な経済市場と暗号資産市場の結びつきが強くなった証拠かもしれません。ただ、コロナショックで見られた株価と暗号資産価格の相関は、長期的なものではないとの見方もあります。

コロナショックによる暗号資産業界への影響は?

新型コロナウイルスの影響によって、暗号資産関連の企業もダメージを受けており、実際に一部のマイニング企業は従業員の一時解雇を発表しました。サプライチェーンの混乱によってマイニング機器の生産・調達・更新が困難になり、事業を停止せざるを得ない事業者もいると報じられています。

マイニング事業者の休業や撤退の影響は、3月後半にハッシュレートの低下として顕在化しました。ただし、4月に入りハッシュレートは回復傾向にあります。

また、一部では感染者が多い国の医療機関へ物資を提供するために、暗号資産での寄付を集める動きも見られます。

その他、別の視点として、今回の新型コロナウイルスによってリモートワークやデジタル化を余儀なくされた企業が、ブロックチェーンなどのデジタル化を進める技術を再評価し、積極的に導入していくのではないかと予想されています。例えば、「BIS」(国際決済銀行)は、コロナショックを機にデジタル決済の普及が加速すると指摘しています。

コロナショックでどうなる?暗号資産市場の今後

新型コロナウイルスのパンデミックは、短期間で終息する可能性は低いと考えられています。終息の鍵を握るのはワクチンの開発ですが、ビル・ゲイツ氏曰く、ワクチンが完成するのは早くても1年から1年半後であり、世界経済がコロナ以前の状態に戻るのは、さらにその後になりそうです。ただし、新型コロナウイルスの治療薬として、いくつかの既存薬が候補に挙がっており、国内外で臨床試験が行われています(2020年5月1日現在)。

また、世界的には先進国を中心に、かつてないほどの量的緩和が進んでいる点も見逃せません。大量のお金が市場に供給されている状態であり、パンデミック終息後に、世界的なインフレーション(物価上昇・通貨価値の下落)が発生すると懸念されています。

市場にお金が余り始めると、その一部はリスクの高い資産=ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)への投資に回る可能性があり、価格の上昇圧力となるかもしれません。ただし、世界経済がコロナショック以前の状態に戻るまでは、ビットコインや暗号資産の価格がどのように変動するのかは誰にも予測ができないのが実際のところです。

コロナショックを受けてビットコインの半減期の影響はどうなるのか?

コロナショックに加えてビットコインの場合、2020年5月に半減期を迎えました。半減期前からビットコイン価格への影響が取り沙汰されていたものの、実際に半減期の影響が分かるのは、コロナ以前の状態に経済が戻ってからではないかと見られています。

コロナショックと半減期の影響を同時に受けることになったビットコインは、資産としての存在価値が今後も問われることになり、半減期後の価格推移こそ要注目だといえるでしょう。

コロナショックと暗号資産(仮想通貨)まとめ

コロナショックは予想外の事態に近く、暗号資産(仮想通貨)を含めて多くの金融資産が値を下げました。これまで株価との相関があまりなかったビットコインや暗号資産価格も、世界経済全体の落ち込みによって、結果として一時的に相関するような動きを見せています。2020年5月1日時点では、新型コロナウイルスの感染拡大の終息がいつになるのか見通せていません。

また、コロナショックの影響は暗号資産の業界全体に及んでおり、一部企業では事業の休止や人員削減の動きも見られています。

過去2回の半減期では、ビットコイン価格の長期的な上昇傾向に結び付いたものの、今回はこれらコロナショックの影響が考えられるため、どのように推移するか注視し続ける必要があるでしょう。

ビットコインの半減期について興味を持った方は「ビットコインの半減期とは?価格動向の予測に必須の知識」をご参照ください。

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