ビットコイン取引なら国内?海外? 安全・安心な暗号資産(仮想通貨)事業者とは

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2020-06-10 更新

暗号資産(仮想通貨)には非常に多くの種類があります。海外の暗号資産交換業者(仮想通貨交換業者)は、取引できる暗号資産の種類が日本の事業者よりも多かったり、レバレッジ取引の倍率が高かったりと、魅力的に感じる部分が多いかもしれません。海外の暗号資産交換業者の利用を検討している方もいるのではないでしょうか?

しかし、海外事業者の利用は相応のリスクがあります。今回はビットコインをはじめとした暗号資産取引に関して、国内外の暗号資産交換業者のリスクを整理していきましょう。

日本では、投資家保護を目的とする暗号資産(仮想通貨)法規制の整備が進む

暗号資産の領域において日本が特徴的な点は、世界の中でも法整備が進んでいることです。日本では2017年に改正法が施行された「資金決済法」において、世界で初めて「暗号資産」が合法的な支払手段として定義・規制されました(2017年の施行当時の呼称は「仮想通貨」)。法規制がしっかり整備されることは、暗号資産の利用者や投資家にとって非常に重要です。

また、技術や業界の発展に伴って、2019年5月には資金決済法の改正案が成立し、2020年5月1日に施行されました。あわせて「金融商品取引法」と「金融商品販売法」も改正されており、適切なルールが整備されることで、投資家が安心して取引できる環境が整いました。環境が整備されることで、さらに活発な取引が行われると期待されています。

法改正に関連して、2020年1月14日には「令和元年資金決済法等改正に係る政令・内閣府令案等」が公表、パブリックコメントが募集されました。この政令・内閣府令案は、資金決済法をはじめとする改正法に基づき、規制の詳細を定めるものです。公募したパブコメの内容を踏まえた上で、必要な手続を経て公布され、改正法と共に施行されました。

暗号資産(仮想通貨)取引を行う顧客や投資家を保護する環境が充実

日本における暗号資産の取引環境を整理しておきましょう。

コールドウォレット管理

ハッキングなどによる暗号資産の盗難リスクを最小限に抑える目的から、日本国内の暗号資産交換業者は、顧客から預かった暗号資産を日本円換算した金額の95%以上を、信頼性の高い方法で管理するように義務付けられています。信頼性の高い方法としては、オフライン環境で利用する「コールドウォレット」などが挙げられるでしょう。

分別管理

顧客からの預かり暗号資産を、インターネットに接続できる環境(ホットウォレットなど)で管理する場合、いつでも顧客に対する補償などができるように「履行保証暗号資産」として、同種・同量の暗号資産を暗号資産交換業者が保有する規定が新設されています。さらに、履行保証暗号資産に関しては、コールドウォレットのような信頼性の高い方法で管理しなければなりません。

金銭信託の必須化

顧客から預かった暗号資産だけではなく、顧客から預かった金銭(日本円など)に関する規制も強化されています。利用者の金銭は、暗号資産交換業者自身の金銭と区別して、分別管理する必要があり、預かった金銭は信託銀行などに信託しなければなりません。

暗号資産の優先弁済権の付与

暗号資産の返還請求権に対する顧客の優先弁済権も存在します。ハッキングや事業者の過失、倒産などの理由によって、顧客が預けていた暗号資産が流出(消失)してしまった場合、顧客は他の債権者に先立って、自身が預け入れていた暗号資産相当額の弁済を優先的に受ける権利が保証されているのです。

以上のように、国内の暗号資産交換業者に対しては、様々な義務が課されています。利用者保護のためのメニューが整備されており、安全性の高い環境だと言えるでしょう。

海外の場合は、国によって法規制の充実度が大きく違う

海外の場合、国によっては投資家保護の観点から、法規制や事業者の対応が不十分な国が存在します。また、法規制は時間の経過と共に変わる可能性があり、事業者は各国の法規制を遵守する必要があるため、暗号資産交換業者が特定地域に住む顧客をブロックしたり、サービスの提供そのものを中止したりすることがあるのです。あるいは、法規制の行方や解釈が不透明であるがゆえに、特定地域に住む顧客をブロックするケースもあります。

例えば、暗号資産(仮想通貨)取引への取り締まりが厳しい中国では、暗号資産取引サービスを提供する事業者が水面下で存在していましたが、2019年秋の取り締まり強化によって、複数のサービスが突如閉鎖されました。また、インド政府も暗号資産に対して否定的な姿勢を見せています。実際に、中央銀行である「インド準備銀行」(RBI)が2018年4月、銀行に対して暗号資産関連の取引禁止などを命じていました。ただし、RBIの判断に対しては、2020年3月に同国最高裁が違憲判決を下しています(RBIは再審査の申請を計画中と報じられている)。

暗号資産に関する法規制が不十分・不透明な国としては、ロシアが挙げられるでしょう。複数年にわたって法規制に関する議論が続いていますが、2020年3月末現在でも不透明な状態が続いています。ただ、ロシアの中央銀行は、暗号資産の発行と流通を禁止する方向性で検討していると報じられています。

以上のように、国によって暗号資産に対する規制の状況や姿勢は異なるのです。ただ、暗号資産を容認するにしても否認するにしても、世界的には暗号資産関連の規制が強化される方向性で進められています。この点は日本も例外ではありません。背景にはマネーロンダリング(資金洗浄)などの犯罪への危機感があります。

KYCとマネーロンダリング

日本国内の暗号資産交換業者の場合、口座開設の申請時に、本人確認書類(運転免許証など)の画像提示が必要です。これは事業者が顧客の本人確認(KYC:Know Your Customer)を行うために不可欠な手続きであり、マネーロンダリング・テロ資金供与対策(AML&CFT:Anti Money Laundering & Counter Financing of Terrorism)の一環として行われています。

ここで覚えておきたい点は、暗号資産(仮想通貨)取引がAML&CFTの対象となっているのは、暗号資産および取引に何か問題があるという訳ではなく、犯罪などから顧客や消費者を保護するための措置だということです。AML&CFTに関する活動は、「FATF」(金融活動作業部会)という国際機関が主導的な役割を担っており、同機関の方針は各国の規制に大きな影響を与えています。

KYCを実施していない海外事業者に要注意

日本国内で暗号資産(仮想通貨)取引を行うにはKYCが必須となっている一方、海外では口座開設時のKYCを実施していない事業者が存在します。見方によっては、簡単に口座開設ができて便利に思えるかもしれませんが、インターネットを介して世界中に送付しやすいという暗号資産の性質は、テロ組織をはじめとした反社会的勢力の組織強化や犯罪活動の資金に悪用される可能性があり、大きなリスクして認識されているのです。こうした背景から主要国に拠点を置く事業者は、総じてKYCの強化を図っています。

なお、マネーロンダリングや反社会的勢力の組織強化、犯罪活動の資金に悪用されるリスクは暗号資産に限ったものではなく、現金なども同様にリスクがあると認識されています。

不適切な暗号資産交換業者による取引高の水増し

諸外国の規制に関するリスク以外にも、海外の暗号資産交換業者の中には、取引高を水増ししている事業者が存在するとの指摘もあります。事業者が自己売買を繰り返す「仮装売買」によって、実際よりも取引高が多く、活況であるかのように見せ、新規顧客を集める狙いがあるのです。

なお、海外の調査会社「Blockchain Transparency Institute」のレポートによると、日本とアメリカの暗号資産交換業者は、偽装された取引高の無い”世界で最もクリーンな事業者”であると報告されています。その理由としては、法規制の整備が挙げられています。

ハッキングによる不正流出が原因で、顧客資産が返済されない場合も

海外の暗号資産交換業者には、ハッキングによる暗号資産の盗難が生じた際に、預け入れた資産が返済されないというリスクも存在します。例えば、2019年にブラジルの暗号資産交換業者がハッキングされた際には、顧客資産を返金できない事態に陥りました。同様にニュージーランドの暗号資産交換業者でも、ハッキング事件によって流出した顧客資産の返金が滞っている事例があります。なお、どちらの事例でも、ハッキングが事業者の自作自演であるとの疑念が生じています。

以上のように、海外の暗号資産交換業者を利用することには様々なリスクがあるのです。

自分の資産を守るため、「サービス基本約款」を再確認してみよう

暗号資産(仮想通貨)の取引を行う際には、利用する暗号資産交換業者の内部管理態勢や、資産流出時の事業者の対応などを確認しておく必要があります。DMM Bitcoinでは「サービス基本約款」において、事業者の態勢や顧客自身が資産を守るために必要な情報などをまとめています(約款は適宜更新)。

サービス基本約款を理解することで正しい知識が身につき、不適切な行為やサービスから自身を守る手助けになるはずです。資産運用時のベースとなる基礎知識にもなるでしょう。少し文量が多く、難しい内容も含まれていると感じるかもしれませんが、改めて一読するようお勧めします。

参考情報: サービス基本約款

国内・海外の暗号資産(仮想通貨)事業者まとめ

本稿では、暗号資産への投資における事業者選択のリスクについてまとめました。日本は暗号資産に関する法規制が世界的にも整備されている国です。国内の暗号資産交換業者は、規制に従ったサービスを提供しているため、安全性や透明性の観点から大きなメリットがあると考えて良いでしょう。

海外の暗号資産交換業者の場合、取引できる暗号資産の種別や口座開設について、一見メリットに見える要素だけを強調する傾向にあります。しかし、法令遵守が徹底されていなかったり、トラブルによって預け入れ資産が引き出せなくなったりするリスクを忘れてはいけません。実際に過去、海外事業者から預け入れ資産が倒産するなどして、預託資金が返済されない事例もありました。

海外の暗号資産交換業者を利用するリスクは大きく、資産の保護という観点から見ると国内の事業者は安全性が非常に高いといえるのです。

ビットコインの海外情勢について詳しく知りたい方は「主要国の政治経済が仮想通貨に及ぼす影響」もご参照ください。

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