ビットコインとマネーロンダリング防止策の関係は?

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マネーロンダリング
2020-03-18 更新

ビットコインとマネーロンダリング防止策の関係は?

ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)は、仕組み上はネットワークに接続されていれば、世界のどこへでも送付できます。したがって、場合によってはマネーロンダリング(資金洗浄)などの犯罪に悪用されるリスクがあるため、マネーロンダリングへの対策が各国で講じられており、日本も例外ではありません。

本記事では、「マネーロンダリングって聞いたことあるけどよく分からない」「DMM Bitcoinってマネーロンダリングの対策やってるの?」といった疑問を持つ方に向けて、そもそものマネーロンダリングとは何かという話から、ビットコインとマネーロンダリング防止策の関係性、そしてDMM Bitcoinの行っている対策について紹介していきます。

マネーロンダリング防止(AML)とは

「マネーロンダリング」(Money Laundering)とは、犯罪によって得た不正な利益の出所と所有者を隠すことで、捜査機関による差し押さえや摘発、犯罪の検挙を逃れる行為の総称です。日本語では「資金洗浄」と訳されます。

マネーロンダリングの防止策(AML:Anti Money Laundering)は、テロ資金供与対策(CFT:Counter Financing of Terrorism)の取り組みと共に推進されており、ニュースサイトなどでは「AML/CFT」とひとまとめに記載されることが多いです。マネーロンダリングによる不正な資金の隠匿や移動は、テロ組織などの反社会的勢力の組織強化や犯罪活動を支援するものと見なされ、日本国内においても犯罪として規定されています。

なぜ、AML/CFTの面でビットコインが注目されているのか

暗号資産(仮想通貨)のやり取りは、英数字の羅列であるアドレス同士で行われます。アドレスのみからユーザーの属性を特定することは困難です。ただし、一般的なブラウザやインターネットを介してやり取りする場合は、IPアドレスやモバイル端末の位置情報、取引の頻度や他のアドレスとの関係性などからユーザーの属性を絞り込むことは可能であるため、一概に暗号資産の匿名性が高いとは言い切れません。

とはいえ、インターネットに接続されていれば、国際送金が簡単に行える暗号資産は、特定の条件下で匿名性が高くなる懸念があります。マネーロンダリングなどの犯罪行為に悪用されるリスクがあるため、AML/CFTの面でビットコインをはじめとする暗号資産が注目されているのです。

暗号資産の仕組みに問題はなく、投資家・消費者保護が目的

当然ながら、AML/CFTの観点で注目されているからといって、暗号資産やブロックチェーンの仕組み自体に問題があるわけではありません。AML/CFTの目的は、あくまでも消費者・投資家保護や犯罪の防止にあり、金融システムへの信頼の向上や安全な環境を実現するものです。

例えば、日本国内の暗号資産交換業者では、口座開設時に本人確認書類(運転免許証など)の提示などが求められる「KYC」(Know Your Customer)があります。これは、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(犯罪収益移転防止法)に基づいたもので、AML/CFTを実施し消費者・投資家のリスクを低減するために行っています。海外では、口座開設時にKYCを実施していない事業者も存在しており、これらは消費者・投資家にとってはハイリスクな状態にあると覚えておくといいでしょう。

また、AML/CFTの遂行においては「FATF」という国際機関が大きな役割を担っているため、次に紹介しておきましょう。

国際機関「FATF」(金融活動作業部会)

「FATF」(Financial Action Task Force)は、麻薬組織やテロリスト、犯罪組織などへの資金供給を断つために、国際的なマネーロンダリング対策を行う政府間組織です。日本語では「金融活動作業部会」などと訳されています。

国を越えて資金が行き交う現代社会において、一国だけがAML/CFTに沿った法規制を整備したところで有効な対策とはなり得ません。そこでFATFのような機関がAML/CFTの国際基準となる「FATF勧告」を策定し、FATF加盟国・地域が勧告に沿う形で法整備を行っているのです。

2020年1月現在、FATFにはG7を含む37カ国と2つの地域が加盟しており、9つのFATF型地域体を加えると、FATF勧告が適用される対象は世界190以上の国と地域になります。なお、FATF型地域体とは、地域ごとに存在し、FATF加盟国と未加盟国が所属する組織体です。FATF勧告をベースにした相互審査などが行われています。

2008年実施の第3次FATF対日相互審査では、日本は厳しい評価に

実は、2008年に実施された「第3次FATF対日相互審査」で、日本のAML/CFTの取り組みに対して厳しい評価が付けられています。この評価を受けて以降、国内では法整備が進められてきました。

例えば、2011年には顧客管理の強化という観点から、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(犯罪収益移転防止法)が改正されています(2013年施行)。ところが、2014年に、顧客の実質的支配者の確認方法などが不十分という声明がFATFより発出され、日本は不備への迅速な対応が求められました。

FATF勧告への対応が遅れている(不十分な)国は、グローバル金融取引においてリスクの高い国と見なされます。この評価の影響は非常に大きく、その国の金融システムの安定性や信頼性が疑問視され、国際的な送金や取引が制限されるなど、経済活動に支障が出る可能性があるのです。したがって、FATF勧告に沿う形での法整備が2008年以降、国内で進められてきました。

G7やFATFが暗号資産(仮想通貨)に対する懸念を表明

暗号資産はAML/CFTの観点から注目されており、G7やFATFにおいても懸念が表明されています。まず2015年6月、暗号資産の取引量が増えていた状況を背景に、G7とFATFが暗号資産に対する懸念と各国への規制を促す声明を相次いで発表しました。この声明を受けて、後述するように日本では暗号資産に対する法規制の検討が進められ、2017年4月に改正資金決済法が施行されるに至っています。

2018年3月には、G20財務大臣・中央銀行総裁会議の共同声明が発表され、同年7月にはFATFが「G20財務大臣・中央銀行総裁会議に対する報告」を公表しました。さらに、同年10月、FATFの規制基準(国際的な勧告)に「仮想通貨」と「仮想通貨サービスプロバイダー」などを新しく定義するための手引を発表しています。

また、2019年2月にはFATF全体会合の閉幕後に「仮想通貨のリスク軽減に関する公式声明(Public Statement – Mitigating Risks from Virtual Assets)」が公表、同年6月にはFATF規制基準(The FATF Recommendations)の改訂版が明確にされました。

改正資金決済法など、世界に先駆け暗号資産(仮想通貨)関連の法律・規制を整備

FATFでの暗号資産に対する懸念を受けて、日本は世界に先駆けて暗号資産関連の法律・規制を整備しました。2017年4月には「改正資金決済法」と「改正犯罪収益移転防止法」が施行され、「暗号資産交換業者」(仮想通貨交換業者)が法律で定義され、犯罪収益移転防止法における特定事業者に指定されたのです。

したがって、暗号資産交換業者に対しては、本人確認義務(口座開設時など)、本人確認記録および取引記録の作成・保存、疑わしい取引の司法当局への届出、体制整備(社内規則の整備、研修の実施、統括管理者の選任など)が義務づけられています。なお、資金決済法は2019年5月にも再び改正されており、改正法の施行後は他人のために暗号資産の管理業務を行うカストディ業者も、暗号資産交換業者としてAML/CFT規制に従わなければなりません(改正法は2020年6月までに施行予定)。

その他にも、金融庁がAML/CFT関連のガイドラインやレポートを公開しています。例えば、2018年2月には「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」が、同年8月には「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の現状と課題」というレポートが公表され、同名レポートの2019年9月版も公開されています。

「FATF第4次対日審査」報告書を2020年夏に公表

2008年に実施された「第3次FATF対日相互審査」後の10年間で、国内法はFATF勧告に沿って整備が進められてきました。前述のように、審査を経てリスクの高い国とされてしまうと、経済的な損失が大きくなるため、「FATF第4次対日審査」の結果は注目すべき話題となっています。2020年6月頃に対日審査の報告書内容がFATFの全体会合で討議され、夏頃を目処に対日審査報告書が公表される見込みです。

対日審査では、暗号資産(仮想通貨)交換業者も含む日本の金融機関などが、AML/CFTを十分に講じているかどうかがFATFによって審査されます。対日審査の報告書が無事に採択されれば、暗号資産規制が整備された国として暗号資産市場における日本の存在感が大きくなる可能性があるため、FATF第4次対日審査の結果は注目されているのです。

DMM Bitcoinはどのような対策を行っているか

DMM Bitcoinでは「反社会的勢力に対する基本方針」と「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止に関する基本方針」を明確化し、AML/CFTに取り組んでいます。どのような対策を行っているかというと、口座開設時のKYC(本人確認)や、暗号資産(仮想通貨)の出庫時の目的確認などが該当します。

ビットコイン、マネーロンダリングまとめ

マネーロンダリングとは、犯罪によって得た不正な利益の出所と所有者を隠すことで、捜査機関による差し押さえや摘発、犯罪の検挙を逃れる行為の総称です。そして、ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)は、組み合わせるツール次第で匿名性の高い国際送金ができるようになります。したがって、AML/CFTの観点からビットコインや暗号資産が注目されているのです。

日本は2008年の「第3次FATF対日相互審査」において、AML/CFTの取り組みに対して厳しい評価が付けられました。この評価を受けて、国内の法整備が進められており、暗号資産に関する規制もFATF勧告への対応の一環として行われています。このような背景があるため、2019年~2020年にかけて行われる「FATF第4次対日審査」の動向は注目されています。

そして、DMM BitcoinではAML/CFTのための施策として、先に触れたように口座開設時のKYCや、暗号資産の出庫時の目的確認、2段階認証の導入などを実施しています。その一方で、顧客側も見知らぬ相手先への出庫を避けるなど、注意する必要があるといえるでしょう。

KYCについて詳しく知りたい方は「口座開設に必須のKYCとは?本人確認義務の理由」もご参照ください。

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