暗号資産(仮想通貨)の法律が変わる?2020年の法改正とは

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2020-03-18 更新

暗号資産(仮想通貨)の法律が変わる?2020年の法改正とは

2017年4月以降、日本では暗号資産(仮想通貨)が「資金決済法」という法律で定義され、規制されてきました。しかし、ビットコインをはじめとする暗号資産は、技術開発や新たな関連サービスの登場と普及が速く、2017年4月の法改正からたった1~2年で状況が大きく変わっています。

このような背景のもと、投資家や利用者保護の観点から、2019年5月に暗号資産などを規制する改正法案が国会で成立し、2020年6月までに施行予定です。そこで今回は、暗号資産に関する改正法の概要について解説していきます。

ちなみに、メディアで「暗号資産」という言葉を見かける機会が増えている理由は、法改正によって、仮想通貨の法律上の名称が「暗号資産」へと変更されているからです。

改正資金決済法、改正金融商品取引法が2020年施行

冒頭でも記したように、法改正は暗号資産(仮想通貨)や関連サービスの急速な普及によって、投資家・利用者保護を適切に講じる必要があったことから行われました。適切なルールが国内で整備されることによって、投資家やサービスの利用者が安心して、より活発に取引を行えるのではないかと期待されています。

改正資金決済法
改正の意図 投資家・利用者保護やルールの明確化のための制度をさらに整備
ポイント1 「仮想通貨」から「暗号資産」に呼称を変更。国際的な呼称「Crypto Asset」に対応したもの
ポイント2 暗号資産カストディ業務(暗号資産管理業務)に対する規制追加。暗号資産カストディ業者も暗号資産交換業者としての登録が必要になり、本人確認や分別管理などの規制が課される
ポイント3 暗号資産交換業における規制の強化。利用者から預かった金銭の信託義務など、利用者財産の保全義務の強化。取り扱っている暗号資産の名称を変更する場合の事前届出制の採用など
改正金融商品取引法
改正の意図 暗号資産を用いた新たな取引が登場している状況を受け、STO(Security Token Offering)、暗号資産デリバティブ取引に関する規制を整備
ポイント1 「電子記録移転権利」の新設とその規制。「電子記録移転権利」という概念を導入し、改正金融商品取引法の適用対象となるSTO発行トークンの範囲を明確化している
ポイント2 暗号資産デリバティブ取引に関する規制。暗号資産が金融商品に追加され、暗号資産に関するデリバティブ取引も金融商品取引法の規制対象になる
ポイント3 暗号資産取引および暗号資産デリバティブ取引に関する不正行為に対する規制。風説の流布や相場操縦行為なども禁止
改正金融商品販売法
改正の意図 暗号資産交換業者に対し説明義務違反に基づく損害賠償請求を顧客が行う際、具体的な説明義務の存在を立証する必要があった。今回の改正では、この顧客の負担を軽減するため明示的に販売業者に説明義務を課した
ポイント 暗号資産取引、暗号資産関連デリバティブ取引が、改正金融商品販売法に基づく説明義務などの対象になる

それでは、改正法案が提出されてから、2020年1月現在までの流れを見ていきましょう。まず、2019年3月15日に「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」が金融庁から国会へと提出され、国会での審議を経て、改正法案が同年5月31日に成立しました。

複数の法律がまとめて改正されており、暗号資産やセキュリティトークン(証券型トークン)に関連する法律としては、「資金決済法」と「金融商品取引法」、「金融商品販売法」が改正されています。この法改正によって、セキュリティトークンが「電子記録移転権利」として、法律上初めて定義されました。後述するように、業者に対する義務も明確化されています。なお、セキュリティトークンとは、株式・債券といった有価証券や、不動産などの資産を価値の裏付けとするトークンのことです。

また、2020年1月14日には「令和元年資金決済法等改正に係る政令・内閣府令案等」が公表されており、同年2月13日まで行われるパブリックコメントの後、所要の手続を経て公布、改正法と共に施行される予定です(2020年1月現在)。

暗号資産(仮想通貨)や暗号資産交換業者にどんな影響がある?

2020年施行の改正法は、金融機能に対する信頼性の向上と投資家保護を目的としています。それゆえに、前述の証拠金取引(レバレッジ取引)の倍率規制をはじめとして、業者に対する様々な義務が新しく追加されました。

例えば、暗号資産交換業者(仮想通貨交換業者)に対しては、ハッキングなどによる暗号資産の不正流出を防ぐ目的から、顧客の暗号資産をコールドウォレットなどの信頼性の高い方法で管理するように義務付けています。業務の円滑な遂行のために必要な暗号資産はホットウォレットでの管理が可能ですが、同種同量の暗号資産を、別途コールドウォレットなどで他の暗号資産とは分別して管理する規定が新たに設けられました。なお、コールドウォレットとは、インターネットなどのネットワークから切り離された状態で秘密鍵(暗号資産)を保管できるウォレットであり、ホットウォレットはオンライン状態のウォレットです。

また、暗号資産交換業の一類型として、他人のために暗号資産の管理のみを行う業者(カストディ業者)が追加されました。

さらに暗号資産の証拠金取引については、FX取引(外国為替証拠金取引)と同様に広告や勧誘規制を整備しています。ICO(Initial Coin Offering)については資金決済法、STO(Security Token Offering)については金融商品取引法において規制する旨を明確化、有価証券(株式など)に課せられる投資家への情報開示義務や販売・勧誘規制を適用しています。そして当然ながら、暗号資産やトークンに関する風説の流布や相場操縦などは禁止されています。

★参考コラム: ビットコインに関わる仮想通貨法ってどんな法律?

改正資金決済法のポイントは?

それでは、改正資金決済法のポイントをピックアップしていきましょう。

まず、本記事冒頭で記したように、ビットコインなどの仮想通貨の呼称が「暗号資産」へと変わります。そして、前のセクションでも言及したように、暗号資産カストディ業者も暗号資産交換業者として分類されます。したがって、ウォレットなどを開発している一部の企業は暗号資産交換業を営む事業者として、金融庁に登録しなければなりません(ウォレット開発のみではカストディ業務に該当せず、顧客暗号資産を事業者が移転可能などの条件がある)。

また、改正法は投資家保護を目的としていることから、暗号資産交換業の業務に関する規制強化や暗号資産交換業登録の拒否事由の追加、広告・勧誘規制の整備が行われています。その他にも、資金決済法に基づく認定資金決済事業者協会である「一般社団法人日本仮想通貨交換業協会」(JVCEA)の自主規制規則に準ずる社内規則・遵守体制の整備が必要なことや、取り扱っている暗号資産の名称を変更する場合の事前届出制の採用など、様々な義務が課されています。

さらに、利用者に信用を供与して暗号資産の交換などを行う場合には、内閣府令の定めに従って情報を提供しなければなりません。そして、利用者から預かった金銭の信託義務など、利用者財産の保全義務の強化や、利用者の暗号資産の返還請求権に対する優先弁済権などが付与されるようになりました。

なお、ここでの優先弁済権とは、万が一ハッキングや事業者の過失などによって、利用者が預けていた暗号資産が流出または消失してしまった場合に、他の債権者に先立ってその相当額の弁済を受けられる権利のことです。

STOを規定する「改正金融商品取引法」

2017年4月施行の資金決済法が成立した当時は、ICOやSTOが想定されていませんでした。改正金融商品取引法ではSTOに関する規制が整備されています(ICOは改正資金決済法を適用)。

電子記録移転権利とは

法改正以前は、国内でICOやSTOを行う際に従うべき法律が、資金決済法なのか金融商品取引法なのか(あるいはその両方なのか)が不明瞭でした。法改正によって「電子記録移転権利」という概念が導入され、改正金融商品取引法の適用対象となるトークンの範囲が明確化されています。

なお、STOとは、ブロックチェーン上で発行されているセキュリティトークン(電子記録移転権利)を、投資家などに売却することによって資金調達を行う方法のことです。セキュリティトークンは、ブロックチェーンを用いて電子的に有価証券を発行したものを指しています。

電子記録移転権利とは、金融商品取引法で「電子情報処理組織を用いて移転できる財産的価値(電子機器その他に電子的方法に記録されるものに限定)に表示される」と定義されており、ブロックチェーン上で移転できる財産的価値のうち、暗号資産を除いたものが該当します(当然ながら、改正資金決済法においては、暗号資産の定義から電子記録移転権利が除外されています)。

暗号資産(仮想通貨)デリバティブ取引

暗号資産デリバティブ取引については、投資家に対して適正な範囲で自己責任を求めつつ、一定の規制を設けた上で、利用者保護と適正な取引環境の確保が図られています。なお、改正金融商品取引法におけるデリバティブ取引とは、市場デリバティブ取引、店頭デリバティブ取引、外国市場デリバティブ取引の総称です。

また、法改正によって暗号資産が金融商品に追加されたことで、暗号資産に関するデリバティブ取引も金融商品取引法の規制対象となっています。

改正金融商品販売法

暗号資産(仮想通貨)を取得させる行為に対して金融商品販売法が適用されることになりました。したがって、暗号資産の現物取引についても、同法に基づく説明義務の対象となっています。暗号資産交換業者に対する説明義務が課されたことで、利用者が業者の説明義務を果たさなかったことによる損害を受けた場合に、損害賠償請求を行うための負担が軽減されました。

また、暗号資産関連のデリバティブ取引についても、金融商品取引法上のデリバティブ取引として、同法上の説明義務などの対象となっています。

暗号資産(仮想通貨)ETFと証拠金取引(レバレッジ取引)の倍率

国内の暗号資産ETF(Exchange Traded Fund)や証拠金取引も規制される見込みです。証拠金取引を行っている方は、国内規制の方向性は知っておいた方が良いかもしれません。なお、ETF(上場投資信託)とは、ある特定の指数に連動するように設計され、証券取引所で売買される投資信託のことです。

まず、暗号資産ETFに関しては、2019年12月27日付で公表された「金融商品取引業者向けの総合的な監督指針」(金融庁)の一部改正案に対するパブリックコメントへの回答で、「監督指針改正を踏まえると、国内では組成・販売できなくなる」と明言しています。これは、長期的な資産形成を行うという投資信託の目的と照らし合わせると、暗号資産の価格変動リスクが高く、投資信託としては適切ではないという判断によるものです。

また、証拠金取引については、2020年1月14日に公開された「仮想通貨交換業者に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(案)」で、証拠金取引の倍率(レバレッジ)上限を2倍とする条文が追加されています。これも暗号資産の価格変動リスクを踏まえた措置だと言えるでしょう。

投資家保護の観点から、国内での暗号資産の証拠金取引はリスクを小さくする方向性で規制される見込みです。

改正資金決済法・改正金融商品取引法まとめ

「資金決済法」と「金融商品取引法」、「金融商品販売法」を改正する目的は、金融の機能に対する信頼性の向上と投資家保護です。法規制が整備されることによって、投資家・利用者ともにより活発に取引できると期待されています。2019年5月に成立したこれらの改正法は、2020年6月までに施行される予定です。

仮想通貨の法律上の名称が暗号資産へと変わったことや、暗号資産のカストディ業務の提供に暗号資産交換業としての登録が必要になったこと、有価証券の性質を持ったトークンによる資金調達(ICOやSTO)を行う際に従うべき法律が、ICOは資金決済法、STOが金融商品取引法と明確になったことなどが大きな変更点だといえるでしょう。また、法改正に併せて施行される内閣府令では、証拠金取の倍率を最大2倍とする規制も追加されています。

2020年以降、基本的には国内で暗号資産取引を行う利用者は法律によって、より保護される立場になります。暗号資産のリスクを把握した上で、余剰資産の範囲内での取引を心がけていきましょう。

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