口座開設に必須のKYCとは?本人確認義務の理由

KYC
2020-03-18 更新

口座開設に必須のKYCとは?本人確認義務の理由

暗号資産(仮想通貨)交換業者の提供サービスやインターネットバンキングなどで口座を開設する際に、本人確認書類(運転免許証など)の提示などが求められ、「少し面倒だな」と感じた経験のある方は多いのではないでしょうか?こうした本人確認のプロセスは、事業者の義務として課せられている「KYC」(Know Your Customer)という手続きの一環です。

原則としてKYCは、特定のサービスを提供する事業者(銀行業や暗号資産交換業など)であれば、各国の法律に基づいて求められます。本記事では、口座開設時にKYCが必須である理由を解説していきます。

KYC(Know Your Customer)とは、本人確認義務のこと

「KYC」(ケーワイシー)とは「Know Your Customer」の略称で、金融サービスなどを提供する事業者が顧客の身元を特定し、身元確認のために取られる手続きのことです。個人顧客向けのサービスにおいては一般的に、運転免許証やマイナンバーカードのような本人確認書類を用いた住所確認などが行われます。なお、KYCは「CDD」(Customer Due Diligence)とほぼ同じ意味で使われる場合もあります。

犯罪収益移転防止法

他の金融機関と同様に、暗号資産(仮想通貨)交換業者も「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(犯罪収益移転防止法施行規則)の対象事業者(特定事業者)とされています。犯罪収益移転防止法は2008年に全面施行された法律で、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与など、犯罪で調達された不正な利益が、犯罪組織の強化や新たな犯罪に使われることを防ぐ目的で施行されました。要するに文字通り、犯罪による収益の移転を防止する法律なのです。

したがって、金融機関などの特定事業者は同法に基づいて、マネーロンダリングおよびテロ資金供与対策規制に従わなければなりません。特定事業者には、取引時確認や確認記録・取引記録等の作成と保存、疑わしい取引の届け出などの義務が課せられています。

金融機関などでの口座開設時には、顧客が経済制裁対象者や反社会的勢力、米国財務省外国資産管理室(OFAC)・EU・経済産業省外国リスト、公的要人(PEPs:Politically Exposed Persons)ではないことの確認などが行われます。取引時確認を行うことで、なりすましや偽名・借名、ネームロンダリングなど、犯罪につながる可能性のある行為を未然に防いでいるのです。

ビットコインなどの暗号資産や、その基盤技術であるブロックチェーンには、中心的な管理者が存在しません。そして、仕組み上はネットワークに繋がってさえいれば、国境を意識せずに世界中のユーザーと、暗号資産をはじめとする財産的価値の取引ができます。したがって、犯罪行為によって調達された収益の移転に暗号資産が悪用されないように、暗号資産交換業者に対しても犯罪収益移転防止法が適用されているのです。

目的は「消費者や投資家の保護」にある

前述のように、犯罪収益移転防止法や同法に基づくKYCに関する説明は、物々しい印象を受けるかもしれません。しかし、KYCの目的は「法令遵守(疑わしい取引の届出含む)」や「マネーロンダリングおよびテロ資金供与対策(AML/CFT)への対応」、「コンプライアイス態勢の保持とレピュテーションリスク(企業の信用やブランド価値が低下し、損失を被るリスク)の低減を実施すること」によって、消費者・投資家を保護し、安全でより良いサービスを提供することにあります。

次に紹介するeKYCのように、投資家や利用者側の負担を低減する仕組みの採用も進められています。

eKYC(electronic Know Your Customer)

スマートフォンの普及に伴い、金融機関などの口座開設を行う際に、専用アプリなどを用いてKYCを行い、顧客の本人確認がオンラインで完結するサービスが登場するようになりました。対面や資料の郵送などといった物理的な方法ではなく、オンラインで完結する本人確認は、「eKYC」(electronic Know Your Customer)と呼ばれています。eKYCが可能になった理由は、2018年11月30日に「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令」が公布・施行されたからです。

また、eKYCを可能にする法改正が行われた背景としては、2017年6月に閣議決定された「未来投資戦略2017」において、「FinTechに対応した効率的な本人確認の方法について検討」を進める方針が示されたことが挙げられるでしょう。その後、「未来投資戦略2018」において、「郵便を用いた本人確認手続が、事業者・利用者双方の負担となっている」状況を踏まえて、オンラインで完結する本人確認手法を導入するという具体的施策が示されました。

eKYCはオープンイノベーションを推進する側面も担っており、将来的には銀行におけるオープンAPI(Application Programming Interface)の導入や、ブロックチェーン技術、AIなどを活用した効率的な本人確認手続や、マネーロンダリング防止・テロ資金供与防止対策などを効率的に行える共同インフラの構築が期待されています。なお、銀行におけるオープンAPIとは、銀行と外部の事業者との間の安全なデータ連携を可能にする取組みのことです。

また、2017年5月には「銀行法等の一部を改正する法律」(改正銀行法)が成立(2018年6月施行)しており、日本国内の金融機関に対しては、オープンAPIの導入に向けた体制を2020年6月までに整備するという努力義務が課せられています。

eKYCの特徴とメリット

さて、それではeKYCのメリットを整理しつつ、eKYCの方法を紹介していきましょう。eKYCのメリットは、口座開設時に様々な書類を用意する手間が省けたり、郵便で書類のやり取りをする必要がなかったりする点にあります。eKYCの導入は、利用者が新しく金融サービスなどを利用する際のハードルを下げ、サービスの利用促進が期待できるため、事業者・利用者双方にとってメリットがあるのです。

eKYCプロセスにはいくつかパターンがあります。例えば、顧客が顔写真付きの本人確認書類のデータ(運転免許証やマイナンバーカードの画像データなど)と、本人の顔写真(容貌)を撮影したデータを事業者に送って本人確認する方法があります。この場合、本人の存在を確認する方法としては、ビデオ通話機能を用いた本人確認も可能です。

また、顧客がすでにKYCを終えている金融機関といった他の事業者に、当該顧客の情報を照会してeKYCを完了させる方法もあります。この場合はまず、顧客から本人確認書類の画像、あるいは氏名と住所、生年月日が記載されたICカードの情報を事業者に送付します。そして、事業者は受け取った顧客情報を用いて、当該顧客名義の預貯金口座がある金融機関やクレジットカード会社に照会をかけ、当該顧客の本人確認記録を確認して、eKYCが完了するのです。ただし、ICカードの情報を送信する場合は、顧客側で別途カードリーダーなどを用意しなければなりません。

DMM Bitcoinでは、どんな場面でKYCなどの確認を行っているか

具体的なKYCの例を挙げると、DMM Bitcoinなどの日本国内の暗号資産(仮想通貨)交換業者では、口座開設の際に本人確認を実施しています。

DMM Bitcoinの場合は、「満20歳以上および満75歳未満」、「本人名義の金融機関口座」を持つ「日本国内居住者」など、「約款・規定類」ページにある「DMM Bitcoin サービス基本約款」にまとめられている条件を満たしていれば、口座開設の申請が可能です。

口座開設の手順は、お手軽そのもの

DMM Bitcoinを例にとると、口座開設は、パソコンあるいはスマートフォンのどちらかを使ってWEBサイトから行えます。 手順としては、「メールアドレス」の登録後に「基本情報」として、氏名・住所・生年月日などの個人情報を入力し、「本人確認書類」の画像データをアップロードして口座開設の申込をします。DMM Bitcoin側でこれらの情報を元に審査を行い、審査を通過したお客様には認証コードが記載されたハガキが郵送されます。そして受け取った認証コードをWEBサイトで入力することで口座開設が完了します。この本人確認書類は、DMM Bitcoinの場合であれば、顔写真付き確認書類として運転免許証、パスポートなど1点を提出します(DMM Bitcoinでは、マイナンバーカードおよび通知カードは本人確認書類としては利用できません)。
顔写真なしの確認書類を提出するのであれば、各種保険証と住民票の写しなど2点を用意する必要があります。

なお、利用できる本人確認書類の詳細、送付方法については、「本人確認書類と送付方法について」を必ずご確認ください。

本人確認をはじめ、DMM Bitcoinの口座開設は複雑なものではなく、銀行口座を開設した経験がある方なら、すんなりと進めていくことができるはずです。「口座開設までの流れ」や、コラム「仮想通貨の購入までの手順と購入後の管理」を参考にするとよいでしょう。

KYC(Know Your Customer)まとめ

本記事でも解説したように、KYCは犯罪による収益の移転を防ぐために必要な手続きです。特定事業者に対するKYCの義務は犯罪収益移転防止法によって定められており、銀行などの金融機関と同様に、暗号資産(仮想通貨)交換業者についても例外ではありません。本人確認書類の提出や、自身の容貌を撮影して送信するのは面倒だと感じるかもしれませんが、KYCによって犯罪リスクを低下させられるのです。これは、安全な暗号資産取引につながっています。

また、以前は対面や郵便による書類のやり取りによって、KYCが行われていましたが、2018年の法改正によって本人確認がオンラインで完結するeKYCも可能になりました。eKYCの導入は、利用者が新しく金融サービスなどを利用する際のハードルを下げ、サービスの利用促進が期待できるため、今後はeKYCの普及が進んでいくでしょう。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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