ビットコインの最高値は?上昇のきっかけなど過去の歴史を紹介
ビットコイン(BTC)は誕生してから10年以上が経過しました。ビットコイン取引が世の中に広まるにつれ、半減期や政治的緊張などさまざまな出来事により、ビットコイン価格も大きく変動しています。今回は、どのような出来事がビットコインの価格の高騰に結びついたのかという視点から、動向を振り返ってみましょう。
2023年時点の過去最高額は約775万円
DMM Bitcoinの「ビットコインのチャート(相場)」を見ると、2023年10月末時点でビットコインの過去最高値(現物取引)は、2021年11月に記録した1BTC=約775万円(BTCはビットコインの単位)です。ちなみに、2023年10月末時点では1BTC=約500万円付近を推移しています。
「ビットコイン/円(BTC/JPY)のリアルタイムチャート・レート(相場・価格)」をみてもわかるように、ビットコインの価格は過去最高値から大きく変動しています。
暗号資産(仮想通貨)のひとつであるビットコインは、国家などの中央管理者が存在しないデジタル上の電子的な存在です。そのため、中心的な管理者が価値や価格を決定することはなく、市場の流通量、需要と供給などで変動する交換レートを基に売買(取引)することになります。このため、1BTC=約400万円などのような価格動向の把握がとても重要になるのです。
またビットコインは、日本であれば、日本国内在住者向けにサービスを提供している暗号資産交換業者を介して売買できます。DMM Bitcoinも、金融庁に登録を行なった暗号資産交換業者(関東財務局長 第00010号)のひとつです。なお、暗号資産を売買する方法には「現物取引」と「レバレッジ取引」の2種類があります。
ビットコインの歴史と最高額の価格推移
ビットコインのアイデアの基になったのは、サトシ・ナカモト(個人なのかグループなのか本名なのかも含めて正体は不明です)による「ビットコイン:P2P 電子通貨システム」という論文です。この論文は2008年10月31日に暗号学のメーリングリスト上で公開されました。
公開当初は、関係者の中でも論文の内容についていぶかしむ人も多くいたようです。その中でも関心を持った技術者や研究者がサトシ・ナカモトと連絡を取りつつ、具体的なビットコインシステムとして実装を進めました。そして、2009年1月8日にはビットコインのソフトウェアがリリースされ、ネットワークが稼働し始めました。
この時以降、ビットコインのネットワークは10年以上“一度も”停止することなく動き続けており、その価格は何度も最高値を更新しています。
2010年5月、ビットコインを使った初めての支払い
ビットコインの公式フォーラムにおいて、1万BTCで2枚のピザを購入したいという呼びかけが行われました。この時のピザの価格は合計で約25ドル(約2,740円)。単純計算で、1BTC=約3.64円となります。この取引がビットコインを使った初めての支払いとされています。
2011年、米大手メディアの紹介で大幅な値動き
2011年4月に米大手メディアに記事が掲載されたことで、6月に一時31ドル(当時約2,600円)を超えました。ただし6月19日には、マウントゴックス社においてハッキング被害が発生し、徐々に10ドル(当時約800円)前後まで下落してしまいました。
また、2012年11月28日に初の半減期を迎えました。当初はマイニング(採掘)報酬が50BTCでしたが、この半減期によって25BTCとなっています。
半減期は、マイニングに成功したマイナー(採掘者)に支払われる報酬(マイニング報酬)が半分になる時期のことで、一定数のブロックがマイニングされるたびに実行されます。半減期を迎えると、新規に発行されるビットコインの数が減少するため、将来的にビットコインの新規発行はなくなる予定です(ビットコインの発行上限数量は2,100万BTC)。半減期の前後では、ビットコインの希少性が高まることを想定する投資家の動きや心理によって、価格の変動が起こりやすくなるとされています。
2013年のキプロス危機で最高値更新
2013年3月16日に始まったキプロス危機前後にビットコインの価格が上昇しました。2013年のギリシャ危機のあおりを受けた地中海の小国キプロスにおいて、富裕層が国外に資金を持ち出すためにビットコインを利用したとみられています。同年5月には当時の過去最高値である265ドル(当時約27,000円)まで上昇しました。
キプロス危機では同国が法定通貨としているユーロや同通貨導入国の債券が売られ、代わってビットコインに資産を避難するという動きが顕著になりました。政治的な情勢が不安定になったことで、従来の法定通貨への信頼感が低下していきました。その一方で、ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)が安全資産としてみなされるようになり、多くの人々が資産を移したのです。
このような背景もあり、法定通貨から暗号資産に資産を変えようとする動きが世界的に広がりました。そのため、2013年12月5日に中国政府が国内銀行に対してビットコインの取り扱いを禁止する通達を出しました。これは、中国政府が自国の人民元からビットコインに資産が流れてしまうことを恐れたことが理由であるとされています。
また2014年2月、マウントゴックス社がハッカーによるビットコイン不正流出を理由に閉鎖しました。この事件によってビットコインへの信頼が揺らぎ、2015年秋頃まで、価格低迷が続きました。
2016年の半減期サイクルで最高値更新
ビットコインの半減期が訪れる直前の5月から徐々に価格が上昇し、半減期直前の6月末に急降下しました。さらにこの時には、半減期を迎えた後に価格が上昇するという値動きも起こっています。この動向の理由としては、ビットコインの認知度が徐々に高まり、取引が活発に行われ始めていたことが指摘されています。
ビットコインの最高値を更新する動きは、約4年に1度発生する半減期を1つのサイクルとして起きています。半減期によって供給量が減少することで、ビットコインの最高値を更新するサイクルに影響があるのではないかと考えるアナリストもいます。ただし、実際にはさまざまな要因が絡み合うために、「必ず半減期に最高値を更新する」と断言することはできません。実際にどのような動きやニュースが起きたのかをみてみましょう。
2017年1月に1000ドルを突破
日本でもビットコイン取引が盛り上がり、2017年1月に過去最高値の1BTC=約1,000ドル(当時11万円超)を更新しました。
このような過熱ぶりをみた、中国人民銀行がビットコイン取引の加熱に対する警告を発表しました。また、日本でも2017年4月、ビットコインはじめ暗号資産(仮想通貨)を日本で初めて法律で規定した改正資金決済法などが施行されました。
2017年12月に1BTC=1万ドルを突破
2017年8月には、ビットコインはコミュニティ内での意見の衝突によって、元来のビットコインとビットコインキャッシュ(BCH)の2つにハードフォーク(分岐)するイベントが発生しました。
2017年に入ってから高値を更新し続けていたビットコインの価格は、この騒動により投資家の注目を集め、ますます価格を飛躍させていきました。そして2017年12月上旬から中旬にかけ、世界最大規模のオプション取引所であるCBOE(シカゴ・オプション取引所)や先物取引所CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)が相次いでビットコイン先物取引を開始しました。
これにより、2017年1月に1,000ドルを記録したビットコインは、12月には1BTC=1万ドル(当時約110万円)を超え、一時は高値で2万ドル(当時約220万円)まで上昇をつづけるなど、まさに「バブル」の様相をみせたほどです。
この時期はビットコインがメディアで特集される機会も増え、暗号資産取引所が著名人を起用してCMを出すなど、暗号資産は大きな現象となりました。連日多くの情報がメディアを賑わしたことで暗号資産に対する認知が一気に進んだ時期だといえます。
2018年1月、1BTC=160万円前後。急激な変動とボラティリティ
活況に沸いた2017年末とは打って変わって、2018年1月にはビットコインの価格が暴落しました。約1週間で36%ほど価格が急落し、1BTC=15,000ドル(当時約165万円)程度から11,000ドル(当時約120万円)ほどになりました。2018年はその後も下落の勢いはとどまらず、12月に1BTC=3,200ドル台(当時約35万円)まで落ち込んでいます
2020年の相場軟調の後、過去最高値を記録した2021年
2020年は1BTC=1万ドル前後で比較的軟調に推移しましたが、年末から価格が上昇しつづけ、2021年1月には過去最高値を更新し3万6,000ドル(当時約370万円)まで高騰しました。そして4月に5万9000ドル(当時約650万円)を超えた後、6月にかけて一時下落しましたが、その後はまた上昇に転じ、11月には円建てで730万円の最高値を付けました。これは、2023年現在における過去最高値となっています。
これにはイーサリアムのユースケースが広がったことで市場が盛り上がりを見せたことや、海外の著名企業がビットコインを導入したことが影響したとみられています。
ビットコイン、暗号資産(仮想通貨)の取引にはリスクもある
ビットコインを含む暗号資産(仮想通貨)は価格が大きく変動することが多いものです。今回取り上げたビットコイン価格の高騰や上昇だけではなく、下降するリスクもあることも認識しておきましょう。
暗号資産市場はまだ規模が十分大きくはないため、大量に売却されると売買のバランスが崩れ一気に暴落する可能性もあります。このような性質のことを「ボラティリティが高い」という表現をしますが、急に価格が上昇したり下落したりすることがあるので注意が必要です。
また、暗号資産が流通している各国の法律や規制の状況によっても大きく変動するリスクがあります。これまでにも、中国がICO(Initial Coin Offering)を禁止したことで価格が下落したり、日本でも暗号資産を規定する法案が制定されてから価格が変動したりといった変化が起こりました。
このような背景があるため、価格動向を含めた最新情報を常に把握するよう努める必要があります。
関連コラム:
「ビットコイン高騰は「バブル」なのか?最高値更新の理由と今後」
まとめ
2009年にネットワーク稼働しはじめて以降、ビットコインでは多くのイベントが発生し、それに合わせて価格も変動してきました。半減期や政治的な要因などがビットコインの価格に大きな影響を与えています。
今後もこのようなイベントによって、ビットコインの価格が変動することが考えられます。最新情報を含め情報収集をしっかり行って取引をしていきましょう。
※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。
関連記事
-
アメリカ政治と暗号資産(仮想通貨)、大統領選とどう関係する?
暗号資産(仮想通貨)業界の発展において影響を与えるアメリカ政治。ただ、アメリカは暗号資産に対して明確な政治的な意思を表明しているとは言えません。本コラムでは、暗号資産をめぐるアメリカ政治の現状を整理します。
-
ビットコインの時価総額の今と今後について
ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産(仮想通貨)が、世界中でどの程度の規模で流通し、どれだけの資金を集めているのか、いわば人気ぶりをうかがえる情報が時価総額です。時価総額から具体的に何が分かり、どういった視点から観察するのが有効なのか説明します。
-
ビットコインの今後を予想!2025年の価格はどうなる?
ビットコイン(BTC)は2024年3月、1BTC=73,000ドルを突破し、当時の過去最高値を更新しました。本稿では、著名人のビットコインの価格予想や、価格に与える要素、海外の動きなどを解説し、ビットコインの将来性を考えます。
-
ビットコイン高騰は「バブル」なのか?最高値更新の理由と今後
市場の人気や世界的な経済情勢などからビットコインの価値は大きく変動するようになり、ブロックチェーン技術が注目されるようになった近年は、投資や投機の対象という印象が強くなっています。当記事では、ビットコインの価格がどのように移り変わってきたか、将来はどうなるのか解説します。
-
ブロックチェーンのオラクルとは?
スマートコントラクトが現実の世界の情報を取り込むには、「オラクル」と呼ばれる技術が必要になります。この記事ではオラクルについて、その特徴や今後の将来性について解説します。
-
マウントゴックス事件とは?ビットコインが消失した事件の全貌を知る
暗号資産(仮想通貨)業界を驚愕させた「マウントゴックス事件」。この事件は、暗号資産の安全性、信頼性を考えるきっかけにもなりました。本記事では、マウントゴックス事件について紹介します。
-
ビットコインや暗号資産(仮想通貨)ニュースの見方は?
ビットコイン(BTC)等の暗号資産(仮想通貨)に関するニュースは、政治や経済、技術の各分野で日々数多く生じており、これらの報道が暗号資産の価格に影響を及ぼすことがあります。この記事では、暗号資産に関するニュースをどのように解釈し、どういった観点から分析すべきかについて、詳しく説明します。
-
アルゼンチンの新大統領の経済政策に暗号資産(仮想通貨)採用はあるか?
2023年12月10日にアルゼンチンで新大統領に就任したハビエル・ミレイ氏は、暗号資産(仮想通貨)業界から注目を集めています。この記事では、ミレイ大統領によって暗号資産にどのような影響がでるのか、エルサルバドルのようにビットコインの法定通貨採用があるのかについて考察していきます。
今、仮想通貨を始めるなら
DMMビットコイン